2015年09月05日

【頂き物】姫「魔王子との政略結婚」【魔王子視点】

生キャラメルさんより頂きました。

お先に 姫「魔王子との政略結婚」 を最後までご覧下さい
(1/3)http://ponpon2323gongon.seesaa.net/article/425368236.html
(2/3)http://ponpon2323gongon.seesaa.net/article/425368320.html
(3/3)http://ponpon2323gongon.seesaa.net/article/425368499.html

本編おまけの、魔王子視点の話であります
あまりの甘さに血糖値が上がりましたね

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魔王子(はぁ…。なんか、ちょっと緊張するな)


久しぶりに、姫様が城に戻ってきた
就寝前に、一日の報告事務などを済ませてきた俺と違って
姫様は既に部屋で休んでるはずだ

姫様が王国に帰っている間、夜に部屋に戻るのが寂しく感じた
長く空けていた部屋は静かでひんやりとしていて--否応にも、独りなのだと実感させる


魔王子(……でも、今日からは違うもんね! 早く部屋に変えろ!)


自然と駆け足になってしまう
早くしないと、姫様は疲れて眠ってしまうかもしれない
部屋の前にきて、はやる心のままにドアに手をかけてから、一瞬躊躇する


魔王子(あ…。ちょっと待てよ。寝てたらどうしよ。やっぱ静かに入るべき…?)


部屋の中にいる、想い人
その存在が気になりすぎて、妙なことにまで余計に気をとられる

少し悩んだけれど、扉の向こうが見えるわけではない
起こさないように声はかけず、軽くノックする


トントン


姫『きゃっ!?』

魔王子(やった♪ まだ起きてた♪ ……って、なんで『きゃ』?)


もしかすると、寝る前に本でも読んでたのだろうか
邪魔をして驚かせたりしてなければいいのだけれど…


魔王子「姫様ー、入ってもいいー?」

姫『え、あ、どうぞ!!』


何かバタつく音が聞こえる
やっぱり何か作業の邪魔でもしてしまったのかもしれない


魔王子(あーあ。タイミング悪いなぁ、俺。奥さん帰ってきた早々、気を遣わせちゃったよ)


扉を開けて、どう謝ったものか姫様の姿を探す
一体何をしていたのか、いると思っていた机ではなく、ベッドのほうから近寄ってきた
それになんだか……


魔王子「どうしたの姫様? 真っ赤だよ」

姫「い、いえっ! 何でも!」


そういいながら、姫様がベッドのほうをちらりと見たのに気付く
表情がなんとなく、未練っぽい


魔王子(あ、わかった。さては待ちきれなくて先に寝ちゃってたんだな)

魔王子(帰ってきた俺のために、わざわざ起きてたフリしてくれたのかも… くぅー! いい奥さんだぜ!!)


そうとわかれば話は早い
眠たいのを無理に起こしていては、この可愛い嫁さんが可哀相ってもんだ
さっさと布団に入って眠らせてあげなくては!


上着を脱いで、寝支度を整える
姫様は俺が脱ぎ散らす上着を拾っては、調えて揃えていく


魔王子(っと。いけないいけない…こういうのも気をつけなきゃな)

魔王子(それにしても… 当たり前みたいに尽くしてくれるんだなぁ…あああ、ほんっと俺って果報者だ!)


おかげであっさりと整った寝支度
ベッドに向かうと、姫様もとことこと後ろをついてくる
その様子が可愛らしくて、顔がニヤケそうになるのを我慢する
我慢は、するけれど……


魔王子「でも嬉しいなー」

姫「え?」

魔王子「2人で寝るの久しぶりじゃん」



やっぱり嬉しいものはうれしいし
姫様が愛しい気持ちは我慢できそうにない


姫「私も、嬉しいです」


はにかみながらも、心からそういってくれてるんだと思えるような
そんな最高の笑顔と言葉に、心底満足する


ベッドにもぐりこんで、姫様を隣に招き入れる
身体の小さな姫様なら、まっすぐ大の字で寝たって邪魔にならないのに
いつもこちらを向いて、腕を折りたたんで顔の横に添えて眠る

ただでさえ小柄な姫様が、さらに小さく見えて…
どうしたって守ってやらなきゃならないという気にさせてくれる

そんな風に思っていると、ふと子供の頃の「小さい姫」の姿が脳裏に映った
あの花の力が見せてくれた小さな姫の姿は、想像の産物ではないと確信できる


魔王子「…にしても、まさか互いが初恋の相手だったなんてなー」

魔王子「何か…運命ってやつだな!」


本当は、少し気がかりだった
あの秘密基地を、ふたりきりのものにできたらよかったのに、と思ってしまった

だからこそ、昔にあの場所を教えてあげた女の子のことが
余計に気になってしまいそうで心配だったんだ

でも、あの女の子が姫様なら…とっくにあの秘密基地はふたりきりのもので。
気になってしまいそうだったあの子も、姫様っていうことになる

うしろめたく感じそうだったものまで、なくなった
これはもう姫様を選ぶしかなかったんだと、そう思えた


姫「えぇ… 最近まで忘れかけていたのが、申し訳ないです」


だから、姫がそんな風に気遣ってくれるのは予想外で


魔王子「いやー子供時代の事だし仕方ないよ」


上手いフォローも、すぐに出てきたりしない。
だから、言える言葉はそんなに多くないけど 伝えたい気持ちくらいはわかる


魔王子「大事なのは 今、一緒にいられることだろ?」


そうだ。過去を気にしたりすることなんてない
今、こうしてすぐ隣に姫様がいてくれて… 俺のことを見てくれる


姫様は、あの日に俺を罵ったのと同じ人間だけど

俺のことを『薄汚い魔物』だなんて思わないでいてくれる
俺と居て穢れるなんてこと思わずに、こんなに傍に寄り添ってくれる
過去なんて気にしなくていいって信じさせてくれる

自信をくれる
勇気をくれる 

俺を、どこまでも強く居させてくれる--


姫「…手を握っていてくださいませんか?」


でも、そんな強さをくれる姫様は 相変わらず繊細そうに瞼を伏せていた
遠慮がちに、顔の傍で揃えていた手を伸ばしてくる


魔王子「? いいけど…」


どうしたのだろう


姫「この感触… 本当に魔王子様なのですね」

魔王子「そりゃそうだよ。何?夢だと思った?」

姫「半分くらいは」


苦笑してみたけど、姫様はどうやら本気でそんな心配をしているようだった
だけど、そんなことがあってたまるものか
ようやく迎えに行って、ようやく落ち着いたんだ

コレがもしも夢だったりしたらどうなる
朝になって目が覚めたら--


姫「目が覚めたら貴方がいない--なんてことは、ありませんよね?」


心を、読まれたのかと思ってドキリとする
想像してしまった一抹の不安は
言葉にされたことで、よりその思いを加速させる


魔王子「…やっぱ俺と姫様って運命の相手だね」

姫「え?」

魔王子「同じこと、俺も思っていた」


こんな風な不安を思いつくのなら、姫様が繊細な理由もわかる気がする
でも、そんな風な不安は 俺を大切に思ってくれるからこそなんだと知る事が出来た



魔王子「明日は先に目が覚めても、姫様が起きるの待ってるよ」

姫「えぇ…でも、いつも私のほうが早いでしょう」

魔王子「明日は俺のほうが先」


一分一秒でも、もう目を離しているのが惜しい気がする
今は少しでも多く、姫様を見つめていたいと思える

だから


魔王子「姫様の寝顔 じっくり見たいから」


そういったのに。


姫「やだ恥ずかしい。絶対、貴方より先に起きます」


頬を膨らませて反発されてしまった
どうしてこう、俺は上手く伝えられないのか。もどかしい

気がつくと、もどかしさが繋ぎ合わせた指先に出ていたのか
指と指が絡まりあっていた


姫様は、そんな絡まったままの指をぎゅっと握り締める
そしてそのまま 手を、姫様の頬に連れ去った


魔王子「ん?」


先ほどまで、どちらが先に起きるか、起きられるかと言っていたのに
突然に雰囲気が変わったような気がする

どうしたの、と声をかけようとした瞬間--


姫「好きな所に触れて下さい--魔王子様」


潤んだ目に、見つめられた


魔王子「あ… うん--」

触れた頬が、ほんの少し熱を持っている
その熱を確かめるように撫でると、柔らかな髪が流れ落ちてきた

風呂に入ったせいなのか、ほんの少し冷えて潤っている
それでも一本一本がしなやかに流れる、美しい金糸の髪


魔王子「ほんとサラサラしてて、気持ちいいよね」

姫「ふふ」


嬉しそうに姫様が笑い、俺を見上げるような視線を投げた


姫「なら、もっと……」

魔王子「っ」


そのあと、今度は頭を寄せてくる
横になったまま前傾姿勢で近づく姫様は、俺の首元に沈み込む

髪に沿わせたままの腕は、まるで自分が彼女を引き寄せたように錯覚させる
柔らかな髪が香り、それが緊張を募らせ、呼吸さえも乱しそうになる


姫「魔王子様…」


胸元に収まった姫様が、小さく漏らした声が
気持ちを煽り立てる

だけど、気持ちとは裏腹な怖さもあった

どうしていいかもよくわからないのに、
こんなにも煽られるような気持ちで抱いては負担を与えてしまうかもしれない
自分に、思いやるだけの余裕が持てるか分からなくて--


魔王子「どうした姫様…。今日はやけに積極的だね…?」


そんな言葉で、逃げ出そうとしてしまった
だけど姫様は、俺の『弱気』を察したように言葉を続ける


姫「女の口から、言わせるつもりですか…?」

魔王子「…っ」



逃げ出せない
でも、どうしていいかわからない


そんな時に、姫様は俺の服をぎゅっと掴んできた
うつむいて顔は見えない。
ただ、不安な気持ちを強がって押し殺しているようには見えた



そんな様子が、
魔王城に、初めて姫が来た日の事を思い出させる



魔王子『あー、風呂くらい入らせてくれってぇ』
姫『!』


緊張して、顔をこわばらせて、不安そうで
部屋に入った瞬間、助けを求めるような視線を投げかけてきた



魔王子『宜しくなぁ、お姫様~』
姫『え、えぇ…』


手を伸ばしても、緊張して 萎縮して
手を引っ込めてしまうような姫君だった



姫『あ、あの… いいんですか…?』
魔王子『あー、いいのいいの、気にすんな!』


捕まえた手を、振りほどくこともできないような
そんなか細くて、守られるだけのオヒメサマだったのに



姫「魔王子様…」



今では 俺をしっかりと掴んで、繋ぎとめてくれる

首元まで紅潮して熱を持った身体が、彼女の心情を教えてくれる
小さく、震えながらも、必死に 俺と夫婦になろうと努力してくれて--


魔王子「姫様」

姫「っ」


抱きしめたら、それだけでビクリと震えるほどなのに
寄せ合った頬は、こんなにも熱を持って恥じらいを堪えているのに



姫『好きな所に触れて下さい――魔王子様』



脳内で、もう一度 姫様の声が響いた気がした
ちゃんと、向かい合わなくちゃいけないと思った


魔王子「そんなこと言われたら、俺--止まれないよ」


怖いけれど、自分の中にあるこの衝動も 姫様への想いのひとつだから
きちんと はじめなければ


姫「止まれないのは、私も同じです」


恥じらいでは消せない、姫様の想いを受け取った


魔王子「…灯り、消すよ」

姫「はい…」



暗闇の中
視線の先にいるのは、ひとりの女の子

俺だけを見つめてくれる
俺だけを感じてくれる
俺だけを求めてくれる

オヒメサマでは終わらない、俺だけの--


求めるうちに、求められるうちに
抱きしめるうちに、抱き寄せられるうちに
止まれなくなって、止まらなくなって


姫様は、涙を流して
俺を強く抱きしめてきた


彼女が流した一筋の涙は、なんだったのだろう
ただ、それがどのような理由の涙であっても…もう、離せないと思った

だから俺は
ただ、その頭を抱いて、撫でてやることしかできなかった



目が覚めたとき、あたりはまだ暗かった
カーテンの向こうは未だ紫明色
互いに、その身体を抱きながら眠ってしまっていたようだ



姫「すや…すや…」

魔王子「……無防備な顔して寝ちゃって」


その顔を見つめたまま、そっと姫様の姿勢を楽にしてやる
穏かで、心配なんて何一つないという寝顔にみえた

何ひとつ、この顔を曇らせてはいけないと思えた
改めて、守ろうという決意が湧き上がる

姫様と居れば、何度でも湧き上がる

そうだ、これからはいつだってこうしてそばにいる
だから、慌てずに育てていこう

二人の関係も、この国も、両国の関係も-- これからの、未来も


魔王子(そ、それにしても)


柔らかな吐息に、誘われそうになる
だけど、せっかく眠っているのを見てるのに 起こすわけには行かない
起こしても見てはいられるけど、昨夜の事を考えると 起こすのは忍びない


魔王子(~~~~~~む、無防備な顔して寝ちゃってんじゃねぇかあああ!!)


悶えつつも、姫様の手を離さなかったのは
きっと未練もあったのだとおもう

自分との葛藤に戦っているうちに、精神的に疲労し
いつの間にか俺はもう一度眠ってしまっていた


魔王子「…ん?」


目が覚めると、姫様が頬に触れていた


魔王子「あ、姫様…おはよう」

まわりは既に明るい。随分長い時間、寝顔を堪能していたようだ
いや、それ以上にもだえていたような気もするけれど……

そんな俺を知ってか知らずか、姫様は悪戯そうに笑った


姫「おはようございます…やっぱり私の方が早起きでしたね」

魔王子「いや、一旦先に起きたよ。二度寝しただけだし」

姫「ふふ、そういうことにしておきましょう」

魔王子「本当だってば」


ヒトがどんな思いでいたか聞かせてやりたい
けど、とてもじゃないけど言えない


魔王子(寝顔を延々見続けた挙句に一人でもだえてたとか…どんだけ変態だよ!)


っていうか改めて言葉にすると、俺は何をやっていたんだって思う。
こっそりと溜息を吐き出した


姫「起きましょうか」


そういって身体を起こそうとする姫
だけど繋いだ手を離すのが、どうしても惜しくて。


姫「どうされたんですか、魔王子様?」

魔王子「もうちょっと、こうしていたい。…駄目?」


子供のようだと、呆れるだろうか
昨夜のことがあって、嫌になったりしていないだろうか
穢されたと――思っていないだろうか。そんな気持ちが胸を締めた。


姫「えぇ…いいですよ」


答えると同時に、ぎゅっと握り締められた手
とろけそうなほどに暖かな微笑みが、心を解いていく



手に入った幸せに今は浸っていたい
ぎゅっと握り締めてくれる、この手のありがたさをいつまでも信じていよう

そして これからも共に歩んで行こう――ずっと、ずっと。


fin
posted by ぽんざれす at 11:20| Comment(0) | 頂き物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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