2015年12月24日

【クリスマススピンオフ】介護ヘルパーシリーズ

介護ヘルパーシリーズのスピンオフです。





今日はデイサービスでのクリスマスパーティー。

ヘルパー「皆さん、メリークリスマス!」

勇者「楽しみだなぁ」パチパチ

女騎士「性夜祭だと!? おのれオーク、一晩かけて女を蹂躙する気か…!」

魔王「あ、ああぁ~……」


新人ヘルパー(介護施設でのクリスマス…一体どんなことをやるのかなぁ)

新人ヘルパー(しかも集まったのは濃いメンツだし…何か心配だなぁ)





魔王「……」ボー

ヘルパー「魔王さーん! クリスマスだよ、ク・リ・ス・マ・ス!」

魔王「……」ニコ

ヘルパー「あらぁ魔王さん、いい笑顔ー! ほら見てー、クリスマスツリーもキラキラだー」

新人ヘルパー「介護職員皆で飾り付けしたんですよー」

勇者「ワシも飾り付けしたの」

ヘルパー「うんうん、そうだったねー。勇者さんありがとうねー」

勇者「ワシ若い頃はね、魔王討伐の旅しとったからクリスマスも関係なかったの」

ヘルパー「あらぁ苦労したんだねー。クリスマスでも休めなかったんだー!」

勇者「夜、宿についてね、簡単なパーティーをしようってことになったの。けどケーキ買うのに、えーとどれくらいだっけ…1時間かぁ、2時間くらい並んだかねぇ~」

ヘルパー「クリスマス当日だからねー!」

勇者「でね、寒いのを堪えてようやくケーキを買ってね、宿に戻ってパーティーしよう~ってなったんだけど、丁度そのタイミングで街にオークの襲撃があってね」

女騎士「何っ、オーク!?」

勇者「そうそう。オークがね、こう…大きなこん棒を振り回しとってー」

女騎士「おのれオーク…肥大化させたこん棒(意味深)を街中で振り回すとは、何たる破廉恥!」

勇者「それでね、ワシらケーキをほっぽりだしてオークを倒しに出たんだけど、その時にね、えーと…何だったっけ」

ヘルパー「うんうん、色々あったんだねー! それじゃあ今日は若い時の分まで楽しんじゃおうかぁ!」

魔王「ふがー!」

新人ヘルパー(話の続きが気になる……)





新人ヘルパー「今日は楽隊とか近所の幼稚園とかから人が来て、催し物をやって下さるんですよね」

ヘルパー「うん、お昼ご飯までは催し物だねー」

新人ヘルパー「その間は利用者さん達の見守りや、時間を見ながらのトイレ誘導をすればいいんですか?」

ヘルパー「大体そうだねー。あと、持病がある利用者さんもいるから気をつけてね」

新人ヘルパー「持病…女騎士さんが催し物をして下さる方々をオークと見間違えたり?」

ヘルパー「女騎士さんがオークに見えるのはヘルパーだけだよ。それよりも魔王さんを注意してて」

新人ヘルパー「魔王さん? …あ、手品ショーが始まります」


~♪


勇者「おぉー」パチパチ

女騎士「なっ…みかんがりんごに変わっただと!? バカな…何か魔法を使ったのか!」

新人ヘルパー「わぁ、皆楽しんでるなぁ」

魔王「ふっ…ふっ……」

ヘルパー「しまった、魔王さんが興奮し始めた! ”高血圧波”が発動してしまう!!」

新人ヘルパー「ええええぇぇ、皆逃げてえええぇぇ!!」

魔王「ふがあああぁぁ!!」

ぐぁんぐぁん

新人ヘルパー「うわあああぁぁぁぁ」



新人ヘルパー「」ピヨピヨ

女騎士「ふっ、この程度の振動魔法など、私にとって回避は容易い!」

勇者「魔力の流れを読むことが大事だねぇ」

新人ヘルパー(そうだった…この人たち、高レベルの猛者揃いだった)

ヘルパー「魔王さーん、深呼吸~。すー、はー」

魔王「すー、はー」

新人ヘルパー(何で先輩も無事なんだ)





その後これといった問題もなく催し物は進行し、やがて昼食時間となった。

ヘルパー「今日はご馳走だよー! どうぞ召し上がってくださーい!」

女騎士「ふん! オークの施しなど……」

勇者「ワシの好物だぁ」ニコニコ

女騎士「ど、どうせ媚薬でも入って……」

勇者「美味い美味い」ニコニコ

女騎士「……」グ-

勇者「食わんのかい?」

女騎士「くっ…本能を刺激するとは卑怯な……ッ!! あぁッ、手が止まらないっ!!」

新人ヘルパー「はい、魔王さん、あーん」

魔王「…」ブンブン

ヘルパー「あ、ごめんね。刻みにしておかないと食べにくいよね。今、切ってくるからねー」

魔王「…」コクリ


新人ヘルパー「せっかくのクリスマス料理も刻みにしたら見栄えが良くないですね」

ヘルパー「クリスマス仕様の紙皿に乗せるだけで大分違うよ」

新人ヘルパー「確かにクリスマス気分を多少は味わえますが…」

ヘルパー「要介護になると、あんまり自分から出歩けないからね。こういう行事の時に違う雰囲気だけでも感じてもらうのって、いいことなんだよ」

新人ヘルパー「なるほど」


ヘルパー「魔王さーん、お待たせしましたー」

魔王「…」ニコニコ

新人ヘルパー(この笑顔…もはや魔王ってのは名前だけだな)





勇者「ふぅ、食った食った」

女騎士「もう、らめ…ぇ」トローン

ヘルパー「3時のおやつにケーキ用意してるからね~。それまでの腹ごなしに、ゲームしよう!」

新人ヘルパー「風船バレーでーす。落ちないようにポンポンしましょう~」

ヘルパー「いくよー、勇者さん。はーい」ポーン

勇者「はいっ」ポーン

新人ヘルパー(ほのぼのしてるなぁ)

新人ヘルパー「女騎士さーん、そっち行ったよ~」

女騎士「覇っ!」シュッ、パァン

新人ヘルパー「」

ヘルパー「あら女騎士さん、見事な手刀だね~」

女騎士「勇者殿、貴殿の力はそんなものか? もっと本気で来るがいい!」

新人ヘルパー「いや本気って…勇者さん筋力も落ちてるし」

勇者「それっ」バチバチバリイイィィッ

女騎士「それが噂に名高い、雷鳴烈風波かッ!! だがッ!!」バッ

勇者「あー…割れた風船のゴムで雷を防いだんだねぇ」

女騎士「さぁ食後の腹ごなしだ…本気で来いッ、勇者殿ッ!!」バッ

勇者「仕方ないねぇ」バッ

シュバッシュバッドガガガガッ

ヘルパー「あらぁ、2人ともレクで興奮してるねぇ。血圧上がりすぎなければいいけど」

新人ヘルパー「レク!? あれがレク!? 血圧どころじゃないですよ!?」

魔王「すやすや」

ヘルパー「あらー魔王さん居眠りしちゃったねぇ」

新人ヘルパー「この状況で!?」

勇者「覇ぁっ」バリバリィッ

女騎士「なんのっ!」カキンカキィン

新人ヘルパー(女騎士さん、ついに箸で魔法を弾き出したよ…何なのこの高齢者)





>3時


女騎士「この、白くて口の中でとろけるぬるぬるが…っ、私の舌を犯していくううぅぅっ!」

新人ヘルパー「ケーキの感想とは思えない…」

勇者「美味しいねぇ」

魔王「ん~」コクッ

新人ヘルパー「皆さん食べ終わりましたね」

ヘルパー「そうだね。音楽を流して…っと」

♪じんぐるべーるじんぐるべーる

施設長「やぁ」

勇者「おや、サンタさんだ」

女騎士「真っ赤なオーク!? 新種かッ!!」

魔王「ん~」

施設長「今日は皆の為にプレゼントを持ってきたよ」


新人ヘルパー「中身はヘルパー皆で書いたメッセージカードと靴下ですよね」

ヘルパー「利用者さんごとに違ったプレゼントにしたら不公平だからね」

新人ヘルパー「メッセージカードなら心がこもっていて、いい記念品になりますよね」

ヘルパー「というか介護施設が増えすぎて施設同士で利用者さんの取り合いをしているせいで、うちの会社は年々利用者さんが減って赤字でね。だから経費節減の為にプレゼントもなるべく安く収めろという上からの指示で…」

新人ヘルパー「聞きたくない聞きたくない」


勇者「嬉しいねぇ」

女騎士「オークからのプレゼント…だと!? ま、まぁ今日は特別に休戦だ、受け取ってやろう!」

魔王「…」ニコニコ


ヘルパー「ほら見て、皆の顔を! 大事なのはお金をかけることじゃない、皆の笑顔だよ!」

新人ヘルパー「う、うーん? いいのかな、それで……」





こうして楽しいパーティーはお開きとなった。


勇者「ワシは風呂に入りたいのう」

女騎士「何っ…風呂!?」

魔王「ふ、ふろぉ」


ヘルパー「楽しかったなぁ。行事って利用者さんが喜ぶから、大事なことなんだよね~」

新人ヘルパー「イベントっていい刺激になるんですね」

ヘルパー「そう。さて、クリスマスの次はお正月だ、頑張ろう!」

新人ヘルパー「…利用者さんは楽しいと思うんですけどね」

ヘルパー「うん?」

新人ヘルパー「介護施設ってどこも人手不足だから、行事の時って基本的に職員全員出勤じゃないですか。利用者さんはイベントで楽しんでいるけど、介護職員はイベントの日に仕事だわ、行事は多忙なのに特別手当もないわ、大体基本的にブラックだから休みもろくに取れないですよね」

ヘルパー「うーん? まぁ、そういう考え方もあるけど…」

新人ヘルパー「私、今日でこの仕事辞めます」

ヘルパー「え?」

新人ヘルパー「やっぱり仕事内容が安月給に見合わないし、私この仕事合いません。それじゃあ」

ヘルパー「……」

ヘルパー「また人が辞めちゃったなぁ~」


介護業界の人手不足は、業界全体で深刻な問題となっている。
給料安い、汚い、きついの3Kと言われる仕事だが、労働力不足により現場は年々きつくなっている現状がある。
頑張れ介護ヘルパー、負けるな介護ヘルパー。お年寄りの老後の生活は、君たちにかかっているのだ!!


Fin




あとがき

何つーオチだ!
その介護施設によって待遇は全然違うので、新人の言うことは決して間に受けないように!
posted by ぽんざれす at 18:37| Comment(2) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
クリスマスは仕事が忙しく読めなかったですが、今読んでワロタwwwリクエストして良かったですwww
Posted by づっきーに at 2015年12月28日 21:39
恋愛話ばかりの中でこういうのがあっても良かったのかなぁ、と思いましたw
Posted by ぽんざれす@作者 at 2015年12月29日 07:17
コメントを書く
コチラをクリックしてください