2015年12月24日

【クリスマススピンオフ】アラサー賢者と魔王の呪い

アラサー賢者と魔王の呪いのスピンオフです





もうすぐ聖夜祭。初めて都会で迎える聖夜祭はどんなものか…と魔法戦士は思っていたが。

王「聖夜祭の日は里帰りするが良い、魔法戦士よ」

魔法戦士「えっ!? 街が人々で賑わうから、我々騎士団による警備が必要なのでは!?」

王「賢者の魔法教室でパーティーが行われるらしいぞ」

魔法戦士「そ、そうなんですか…」

王「参加したいだろ? ん? ん?」

魔法戦士「あ、はい…ま、まぁ」

王「同級生とパーティーできる機会なぞ、これから先そうそうあるまい。楽しんでこい、魔法戦士よ!」

魔法戦士「……」


こうして寛容な王のはからいにより、魔法戦士は里帰りすることになった。





魔法戦士(田舎は雪がザックザクだなぁ…あぁ歩きにくい)

聖夜祭の日、実家に帰った魔法戦士は、聖夜にはさほど浮かれてもいなかった。
それよりも、1日も早く一人前の騎士になることの方が重要なのだが…。

魔法戦士(そんでも王様の言う通り、来年にゃ皆卒業してバラバラになるし…いい思い出になるかもな)

魔法戦士(それに……)


賢者『5年経っても私への気持ちが変わらないようなら、また言いに来て。それまで、待ってるから』


魔法戦士(せっかく先生と過ごせるんだ、こりゃもう楽しまないとバチが当たるってもんだ!)

やる気に燃えて、魔法戦士は魔法教室までの道を駆けた。


<ワイワイ

魔法戦士(よし、教室が見えてきたぞ。何か賑やかな声も聞こえるな)

魔法戦士「みんなー、久しぶ……」


生徒A「きゃーっ、先生可愛いーっ」

生徒B「本当、お持ち帰りしたーい」

賢者「こらっ、大人をからかっちゃいけません!」

生徒C「でも先生だってノリノリで着たじゃないですかーっ」

賢者「それは…可愛い教え子が用意してくれたのだから、無碍にできないもの」


魔法戦士「」アワアワ

生徒D「あ、魔法戦士じゃん」

生徒A「魔法戦士ぃ、どう? 先生可愛いっしょー」

魔法戦士「な、な、な……」


賢者は女子生徒達の手により、サンタドレスを身に纏っていた。


賢者「もぉー…恥ずかしいなぁ」モジモジ

魔法戦士「何やってんじゃーっ! 先生を着せ替え人形にするなーっ!」

生徒A「えーっ、可愛いじゃん」

そりゃ、子供が仮装してる姿は、ものっ…凄く可愛いけれど。

魔法戦士「あのなぁ、敬意を持て!! 先生は大人なんだからな!?」

賢者「そうよ~。子供の姿ではあるけど、おばさんなんだから…」シュン

生徒B「うわー。先生におばさんとか、魔法戦士サイテー」

魔法戦士「言ってなああぁぁい!!」

生徒C「まぁまぁ、聖夜の日くらい羽目を外してもいいじゃん」

生徒D「せっかくのパーティーなのに、先生ったら洒落っ気ないんだもん。ねー?」

賢者「着飾るのは苦手なのよ~…」

魔法戦士「……」

賢者は縮こまっているが、そんな恥じらっている姿も可愛らしい。
なかなか見られない賢者の姿を見れた…と思えばまぁ、得した気分にはなれる。

魔法戦士「先生、似合ってるよ」

賢者「あら本当?」

魔法戦士「うん。聖夜祭の主役は先生だ」

賢者「も~。皆の為に開くパーティーなんだから、先生が主役じゃダメじゃない」

魔法戦士「はは、そうか」

生徒A「もしもーし、魔法戦士ぃ?」

生徒B「私らもパーティードレス着てるんですけどー?」

生徒C「ま、仕方ないよ。魔法戦士は同級生に興味ないのよ」

生徒D「そうねぇ~。先生は小さくて可愛いもんね~」

魔法戦士「誤解を招くことを言うなああぁぁ!!」

賢者「ふふふ。E君達も来たらパーティーを始めましょうか」

一同「はーい」





やがて男子生徒たちも揃い、パーティーが始まった。
皆で持ち寄った料理を飲み食いし、ゲーム大会をやって…という、ごくごく質素なパーティーだ。

魔法戦士(まぁ、城のパーティーは豪華すぎて俺には合わんしなぁ…)

久々に素朴な故郷を感じ、魔法戦士は期待していたよりも楽しんでいた。

生徒A「はい、皆クジ引いて~!」

魔法戦士「えーと…中身は何だ」ゴソゴソ

プレゼント交換会、きっとやると思っていたので自分は財布を買っておいた。
果たして当たったプレゼントは……。

魔法戦士「…ん? 手編みのマフラーか…」

生徒E「あ、それ俺が編んだやつだ。大事にしろよな!」

魔法戦士「男の手編みかよ!?」

生徒F「俺に当たったのは…おぉっ、財布だ!」

魔法戦士「あぁ、それ俺が買った…」

生徒A「ハイカラだねー!」

生徒F「巾着袋と違って、ゼニ入れる所が一杯あるぞー! ウオオォォ!!」

ワーワー

魔法戦士「……」

魔法戦士(やべぇ…ハイカラだの巾着袋だの、こいつらが田舎モンに見える……)





そうして時間が経過し、パーティーはお開きとなった。
片付けは明日やることにして、今日は遅くなりすぎない内に解散することにした。

賢者「みんなー、気をつけて帰るのよ~」

魔法戦士「皆、相変わらず賑やかだね」

賢者「さ、魔法戦士君も帰りなさい」

魔法戦士「いや、俺は先生を送って行くよ。こんな時間に、女性1人で歩かせるわけにはいかないしな」

賢者「まぁ魔法戦士君たら。ふふ、お言葉に甘えちゃおうかしら」

魔法戦士「…ところで、その格好のまま帰るの?」

そりゃ今日は聖夜の日だから、サンタの格好をしていても変な目立ち方はしないだろうけど。

賢者「いちいち着替えるの面倒なのよね~。このまま帰ってパジャマに着替えた~い」

魔法戦士(相変わらずズボラだなぁ)

そんな所も、賢者らしいと思うが。

魔法戦士(できれば、あんま沢山の奴にこの姿見せたくないよな~…)

賢者「それじゃあ帰りましょうか」

魔法戦士「うん」





賢者「雪がベチャベチャで歩きにくいわね~」

魔法戦士「パーティーの間に降ったんだな。先生、転ぶなよ」

賢者「魔法戦士君も気をつけてね…あうっ!」ズボッ

魔法戦士「だ、大丈夫?」

賢者「えぇ、大丈夫よ。ちょっと足が埋もれただけ」

魔法戦士「危ないなぁ。…よっと」ヒョイ

賢者「あっ!?」

魔法戦士は軽々と賢者を抱え上げた。

魔法戦士「子供の足には歩きにくいだろ」

賢者「わ、私、最近雪のせいで出不精になってて~…前より重くなってるかもしれないわよ?」アセアセ

魔法戦士「大丈夫だって。今の先生は軽い軽い」

賢者「『今の先生は』って何よぅ」ムゥ

魔法戦士「あはは、ごめんごめん」

魔法戦士の力なら、元の賢者でもきっと軽く持ち上げられると思う。
…けど元の賢者なら恥ずかしがって、抱えさせてくれないだろうけど。

賢者「けど、こうしてると魔法戦士君、何か……」

魔法戦士「…んっ?」

賢者「トナカイさんみたいね♪」

魔法戦士「……はい?」

賢者「ほら、今の私はサンタだから。魔法戦士君はサンタを乗せるトナカイさん!」

魔法戦士「先生…サンタが乗ってるのはトナカイじゃなくて、ソリだからね……」

賢者「あぁ、そうだったわねぇ」フフ

魔法戦士(トナカイかよ……)

もうちょっとこう、王子様とまで言わなくていいけど、格好いい例えがあるんじゃないか…。
トナカイが悪いとは言わないけど、草食動物だし。

魔法戦士(つーか俺、完全に男として意識されてねーしっ!!)

賢者「くしゅん」

魔法戦士「あ、寒い? 先生」

賢者「そうねぇ~、ちょっと冷えてきたわね」

魔法戦士「なら…はい、これで暖まって」バサッ

先ほどプレゼント交換で当てたマフラーを賢者の首にかける。
長めのマフラーは、小さな賢者の体にはもふもふ感がある。

賢者「あら魔法戦士君、いつからそんな紳士になったのかなぁ? ふふ、王宮で開かれるパーティーで学んだのかしら?」

魔法戦士「からかうなよ…」

また賢者は、子供の成長を見守るような言い方をする。
自分は誰にでも紳士なわけじゃない。賢者が相手じゃなければ、こんなこと――

賢者「ほら、魔法戦士君も寒いでしょ」バサッ

魔法戦士「あ……」

賢者はマフラーの余っている丈を魔法戦士の首に回した。

魔法戦士(これ…恋人巻き…)

賢者「ふふ、これで魔法戦士君も風邪ひかないわねぇ~」

魔法戦士「……」

賢者「あ、家が見えてきたわ。降ろしてくれて大丈夫よ」

魔法戦士「あ、うん……」

賢者はマフラーを外して魔法戦士の手から降りた。

賢者「送ってくれてありがとう。少し暖まっていかない、魔法戦士君?」

魔法戦士「あ、いや……」

賢者「寒いでしょ。お茶くらいなら淹れるわよ」

魔法戦士「だ、だ大丈夫だから! それじゃあね、先生!」ダッ

賢者「あっ! 転ばないでね~」



魔法戦士「……」


賢者『ふふ、これで魔法戦士君も風邪ひかないわねぇ~』


賢者の様子に照れはなかった。魔法戦士1人で動揺して、意識してしまって。

魔法戦士(くっそ、何か悔しい~…)

魔法戦士は恥ずかしくてマフラーに顔を埋めた。
マフラーには、まだ賢者の温もりが残っている。

魔法戦士「……熱い」

魔法戦士(こんなザマじゃ、まだまだ胸を張って先生を迎えに行けないよな~…)

どうしようもない年齢差。
自分が「大人の余裕」を身につけられるようになるまで、まだまだ時間がかかりそうだ。

魔法戦士(…でも! 絶対に一人前の男になってやるからな!!)

魔法戦士「それまで待ってろよ、先生ーっ!!」



賢者「へくちっ」

賢者「うーん、風邪ひいたかしら? 今日は早く寝よう~っと…」

パジャマに着替えようとしたが、ふと思いついた。
せっかくサンタのコスプレをしているのだし、今日はクリスマスだし…。

賢者「上手くいくかしら…星空魔法っ!」



魔法戦士「……んっ」

魔法戦士「おぉ…すっげぇ、空がキラキラだ」

魔法戦士(先生と一緒に見たかったなぁ。先生も、この星空見てるかなぁ)



賢者「ふふ。上手くいったわ~」

クリスマスイヴを彩る星空魔法は上手くいった。
これが自分から皆に贈るクリスマスプレゼント…なんて、サンタを気取ってみる。


賢者「星空さん、どうぞ皆さんを照らして下さい…メリークリスマス♪」



Fin






あとがき

賢者サンタから皆さんへメリークリスマス♪
スピンオフより過去の話なので2人の距離感もこんな感じです。頑張れ魔法戦士。
posted by ぽんざれす at 18:38| Comment(2) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
サンタドレスの賢者さんが欲しいのですが、ドンキには売ってませんでした…
Posted by づっきーに at 2015年12月28日 21:43
Amazonならその内入荷するかもっす(`・ω・´)
Posted by ぽんざれす@作者 at 2015年12月29日 07:11
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