2015年12月31日

【スピンオフ】魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」

魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」のスピンオフです。





魔道士「アッハァ~ン。町娘ちゃん見て見て、傑作が出来上がったよ!」

町娘「どうしたんですか、朝から晩まで仕事部屋にこもっていたと思ったら」

魔道士「大仕事を達成したのさァ! 見てよ町娘ちゃん、僕のチャーミーな発明品を☆」

魔道士さんがそう言うと、ドアの向こうからギシギシ音を立てて何かがやってきた。
手乗りサイズの木製人形だ。外見は小人さんのようで、可愛らしい。

町娘「動く人形が今回の依頼の品ですか?」

魔道士「甘い甘い、その考えはスウィートだよ町娘ちゃん! さぁ、その真価を発揮しなよ! ミラクル★イリューッジョンッ!!」

魔道士さんの掛け声で、人形の口がパカッと開いた。
そして――

ガタガタガタガタッ

町娘「ひいぃ!?」

口がガタガタ鳴りながら高速で開いたり閉じたりする姿は、かなりのホラーだ。

魔道士「驚くのはまだ早いよ!」スッ

町娘「それは昼のポテトサラダ…!」

魔道士「これを人形の口に突っ込んでッ!!」

ガタガタガタ…ピュッ

町娘「…」

魔道士「ハイッ☆ 見事、玉ねぎが分離されました。名付けて『玉ねぎ分離人形おにおん離んぐ』君!」

町娘「何の意味が?」

魔道士「依頼主さんは玉ねぎが嫌いなんだってさ~。だから、分離機★」キラーン

町娘「…魔道士さん」

魔道士「ン?」

町娘「偏食の片棒担ぐようなもの作るんじゃなああぁぁい!!」

魔道士「Oh!?」ビクゥッ





町娘(えーと、お客様用のお茶菓子は…)

魔道士さんは相変わらずの売れっ子魔道士で、ここの所ずっと忙しい。
収入は大分増えたことだろうけど、使う時間もない。まぁ、暇があるからって贅沢する魔道士さんじゃないのだけれど。

町娘「お茶をどうぞ」

客「どうも」

今日のお客様はどこかの町の町長さんらしい。
長い歴史を持つ魔道名家の当主だけあって、こういうお偉い方もお客様として来るのだ。

魔道士「ふむぅ…なかなか特殊な仕事だね」

町娘(今度はどんな仕事なのかしらねー)

お茶出しを終えて速やかに退室する。
まぁ町長さんからの依頼なら、この間みたいな変な依頼にならないと思うけれど。



魔道士「バーイ☆ この僕が依頼を受けたからには、最高の輝きをプレゼントするよ★」キラリン

1時間くらいしてお客様は帰っていった。

魔道士「町娘ちゃん。明日から1週間くらい家を空けるよ☆」

町娘「あら泊まり込みですか、珍しいですね」

魔道士「町長殿が作業場兼宿泊場所に空き家を貸してくれるんだ」

町娘「それは高待遇ですね」

魔道士「というわけで町娘ちゃん、その間は休みでいいよ。お家に帰ってあげたらどうかなぁ?」

町娘「そうですねぇ……」

叔父さん叔母さんの経営する食堂は、借金を返済してからは従業員を雇う余裕も出てきて、もうお手伝いの手はあまり必要としていない。
弟君もよくこっちに遊びに来るから、会えなくて寂しがっているということもないだろうけど…。

町娘(でも、私がこの家に残ってても仕方ないものね。汚す人もいないし……)

……汚す人?

魔道士「さーて、荷造りしなきゃ~♪」

これはまずい。

町娘「魔道士さん!」

魔道士「ン~? どうしたのかな町娘ちゃん」

町娘「私も行きます!」

魔道士「Why?」

魔道士さんは頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた。
そして何を思ったか、ニコッと笑う。

魔道士「もしかして寂しいのかな町娘ちゃん? 君がデレるなんて、今日はハッピーデーだね★」キラリーンキラキラ

町娘「……から」

魔道士「え?」

町娘「魔道士さんのことだから借りた家を汚すでしょ!! だから私もついて行くんです、わかりました!?」

魔道士「Ohhhh!?」ビクウウウゥゥッ





>町


町娘「ここがその宿泊場所…」

ごく普通の一軒家に見えるが、看板が建っている。
どうやら、こういう宿泊施設らしい。

魔道士「こういう施設なら掃除する人もいるだろうし……」

町娘「魔道士さんの汚し方は尋常じゃないんですよ!」

魔道士「町娘ちゃん…そんなに僕のお世話をしたいのかな☆」

町娘「何かおっしゃいました?」ゴゴゴ

魔道士「ゴメン★」

早速中に入って設備を確認する。
台所には調理道具が一通り揃っている。掃除用具も、ちゃんと物置き部屋に必要なものはあった。

町娘「でも食材はないみたいですね。近くに市場があったから買ってきますね」

魔道士「町娘ちゃんはしっかりしているから頼りになるよ〜。いい奥さんになれるね☆」

町娘「あらそうですかー。結婚式にはお呼びしますよ魔道士さん」

魔道士「町娘ちゃん…君は本当に男心を弄ぶ小悪魔ちゃんだね★」

町娘「そういうことばかり言っているとどうなるかわかってます?」

魔道士「ごめんなさい…僕を捨てないで下さい…」ドヨーン

町娘「そこまで落ち込まないで下さい! だから何で中間がないんですか!?」

その後、何とか魔道士さんを宥め、魔道士さんは仕事の為に部屋にこもった。
私は食材の買い出しの為、市場に向かうことにした。


町娘(それにしても、ここはお洒落なお店が多いなぁ)

市場に行くまでの通りには、外観が洒落た雑貨屋さんや衣装屋さんがあった。
私の育った町も大きかったけれど、こんなにお洒落ではなかった。

町娘(あ、あれ素敵だなぁ)

衣装屋さんのショーウィンドウにある服に目が行った。
紺色の上品なワンピースで、私好みのデザインだ。

町娘(あー、でも高いなぁ。着て行く場所もないし、見るだけにしておこう)

自由になるお金はあるけれど、節約精神はきっちり身に付いていた。無駄遣いは敵である。

町娘(着てどこかに行くシチュエーションがあるのなら、無駄にはならないんだけどね)

一日中仕事をして、息抜きと言えば本やおやつ。休日も弟の相手をするとかお昼寝をするとか、そういう生活なのでお洒落な服は必要としていない。

町娘(って、私の生活かなり所帯染みてない?)

同年代の女の子達はお洒落をして、友達や恋人と色んな所に遊びに行くのだろう。
私には一緒に遊びに行く程仲のいい友達はいない。
恋人、は…。

町娘(魔道士さんは恋人未満。ていうか友達でもないし。一緒に遊びに行くか、というと…)

魔道士さんは毎日仕事で部屋にこもっている。
必要な用事以外で出掛けるとしたら、せいぜい風景画を描きに行くくらいか。

町娘(うん、やっぱり服はいらないわね)

すっぱり諦めて、私はそのまま市場へ向かった。





魔道士「イヤァ、ここでも町娘ちゃんのご飯が食べられるなんて幸せだなぁ~」

町娘「この町、外食屋さんも充実していましたよ。もし外で食べられるようなら、言って下さいね」

魔道士「ウゥン、外食屋さんは苦手なんだよねぇ」

町娘「そうなんですか」

そう言えば私が休みの時も外食している様子はない。
事前に私が作り置きしたものか、本人曰く激マズの魔法非常食を食べているらしかった。

町娘「外食嫌いだと、ますます出不精にな」

魔道士「デブ症!?」ガタッ

町娘「そんなこと言ってませんよ!?」

町娘(『デブ』に過敏な反応しすぎでしょ)

魔道士「外食屋さん以外もお店屋さんが充実していたでしょ。手が空いたら、好きに見ておいでよ★」

町娘「ちらっと見てきましたけど、欲しいものは無くて」

魔道士「服とかアクセサリーも?」

町娘「着て行く所がないので、必要ないですねぇ」

魔道士「ナルホド。町娘ちゃんのことがまた一つわかったよ☆」

町娘「…」

町娘(『一緒に出掛けよう』とかはないんだ)モヤッ

魔道士「? どうかした?」

町娘「いえ、別に」

町娘(って、これじゃあ魔道士さんとデートしたいみたいじゃない。どこ行くってのよ)


例えば買い物デート

魔道士「あれもいいね、これもプリティーだね」

町娘「物を増やしたら掃除の手間が増えるので」

魔道士「じゃあ必要なものを買おうか」

町娘「食材と洗剤とあとは」

これだとただの買い出しだ。


じゃあピクニック

魔道士「お弁当美味しいなぁ」

町娘「綺麗なお花が咲いてますよ魔道士さん」

魔道士「お花は家の周りに咲いているからねぇ」

そうだ。自然に囲まれた家に住んでるからか、魔道士さんはあまり自然に興味ないんだ。


それじゃあ観劇?

魔道士「おぉ月よ、僕らを照らしておくれ。彼女の姿が暗闇に溶けてしまえは、僕の心は潤いを失ってしまう…」キラキラ

影響されそうで鬱陶しい。却下。


魔道士「どうしたの町娘ちゃん、何か考え込んでる?」

町娘「いえ。魔道士さんは、今の生活がベストみたいだなって」

魔道士「? そう」

町娘(私も出不精だもんね。だから今のままで、一日中家に…)ハッ

町娘(…一日中一緒?)

魔道士「そうだねぇ、今の生活が最高かな」

町娘「そ、そういうつもりじゃなあぁい!!」

魔道士「What!?」





朝は最初に朝食の用意をする。魔道士さんは起きる時間が不規則なので、大体8時くらいに用意すると決めている。寝坊した場合は起こしに行く。

魔道士「チャオ☆ 今日もいい天気だね!」

町娘「今日は寝坊しませんでしたね」

魔道士「町の喧騒が目覚めの呼び声となったのさ、アハーン」

町娘「森と違って賑やかですからね」

食後、魔道士さんは仕事に戻るので、食後の後片付けと掃除、ベッドメイクをする。
今日は時間に余裕があるので、洗濯もしてしまおう。

町娘(やっぱりカゴに下着入ってないわね)

洗って物干しして、昼食を準備する。
魔道士さんはお昼を簡単に済ませて早く仕事に戻りたい人なので、品数は沢山は出さない。

魔道士「ご馳走様、美味しかったよ」

町娘「ちゃんと歯磨きして下さいね」

魔道士「仕事がいい所だから、歯磨きの時間も惜しいよ」

町娘「不潔な人は嫌いだなぁ」ボソ

魔道士「磨いてきまーす★」

町娘「よし」

後片付けをして、買い出しに行く。

町娘(あ、お肉が安い。昨日買った野菜と合わせれば、カレーもできるし肉じゃがもできるし)

帰ってきて夕飯を作り、夕飯後は後片付けをしてお風呂の準備をする。
お風呂にお湯を溜めてタオルと着替え(ただし下着は触らせてくれないので除く)をセットしたら、仕事中の魔道士さんを呼びに行く。

町娘「魔道士さん、お風呂の準備できましたよ」

魔道士「アハァン、今すっごくいい所なんだ! 町娘ちゃん、先に入ってて」

町娘「キリのいい所で止めて下さいね」

無精者の魔道士さんはお風呂に入らないこともある。
毎日お風呂に入るかどうかは人それぞれなので、それに関しては構わない。だけどお風呂をきっかけにでもしないと魔道士さんはノンストップで働き続けてしまうので、なるべく毎日お風呂の準備はしている。

町娘「ふぅー」

全ての仕事を片付けてから、お風呂で1日をしめくくる。
来客対応や魔道士さんのお手伝いをすることもあるが、大体これが毎日の仕事である。

魔道士「今日もお疲れ様☆ 僕も今からお風呂頂くね〜♪」

町娘「はーい」

雑誌を読んでいたところで、魔道士さんが声をかけてきた。毎日労いの言葉をくれる、こういう所はマメな人だ。

町娘(そういうのは結構嬉しいのよね)

町娘(ん、なになに。“奥さんの旦那さんへの不満特集。多く寄せられたのは『感謝の言葉をくれない』”)

町娘「…」

町娘(って、あくまで夫婦の話だから! 魔道士さんが良き夫とか、そういうんじゃないから!!)





町娘(それにしても、こっち来てからも生活はあまり変わってないわね)

買い出しの帰り道、ふとそんなことを考えた。
この生活習慣なら、どこで生活しても同じかもしれない。

町娘(それにしても、やっぱりここの通りはカップルが多いなぁ)


彼氏「あの服、君に似合いそうだね。プレゼントしたら着てくれる?」

彼女「えー、そんなの悪いよ」


町娘(あら仲の良さそうなカップル)

そのカップルは、前に私がショーウィンドウで見ていた服を見ていた。


彼氏「悪くないよ、俺が君に着てもらいたいんだから」

彼女「似合わないかもしれないよ」

彼氏「まずは着てみようよ。俺、君がお洒落してますます可愛くなった所が見たいなぁ」

彼女「もー、彼氏くんたら」


町娘(よくスラスラそんな言葉が出てくるなぁ。本当に思っているから出てくるんだろうな)

町娘(そう言えば私、着古した質素な服しか持ってないけど…)

町娘(魔道士さんは私の格好に興味ないのかしら)モヤッ

町娘(って何考えてるんだって!! もー、カップルにあてられて変なこと考えちゃった! 早く帰ろう!)


町娘「只今戻りました」

魔道士「お帰り町娘ちゃん。ちょっと僕は出掛けてくるね」

町娘「わかりました」

魔道士さんは手にスケッチブックを持っている。
仕事の小休止に絵を描きに行くのだろうか。

町娘(息抜きも『一緒に行こう』とかはないんだ)モヤッ

町娘(まぁ、絵を描くのに私がいても邪魔か)

魔道士「夕飯までには帰るね〜♪」

町娘「はい」

町娘(余計なこと考えないで、仕事仕事!)





魔道士「アハァ〜ン★ 帰ってきたらいい匂い☆」

町娘「お帰りなさい」

魔道士さんは丁度、夕飯ができた頃に帰ってきた。
ちゃんとうがいと手洗いを済ませて貰ってから、食事を提供した。

町娘「いい絵は描けました?」

魔道士「うん♪ これで仕事がはかどるよ」

町娘(絵と仕事に関係が?)

魔道士「それにしても、この町はカップルが多いねぇ。あてられてアチャチャーだよ」

町娘「お洒落なお店が多いですからね。魔道士さんは行かないんですか?」

魔道士「仕事で来てるからね、あまり寄り道はしていられないかな」

町娘「…そうですか」

町娘(そうよね、遊びに来たわけじゃないからね)

魔道士「さーて、仕事もラストスパート頑張るかな☆」

町娘「頑張って下さい」

町娘(仕事が終わったら真っ直ぐ帰るのよね)

町娘(…まぁ、仕方ないか)

遊びに行きたい、というわけじゃない。
遊びに行ってもすることがないのはわかっている。

でも、ここまで何もないと、何というか…。

町娘(魔道士さんは、今は私のことどう思っているんだろう)

そんなことを考えてしまう。

好きだ、と言われたことはある。
だけどその後は特に変わっていない。
魔道士さんは根は恥ずかしがり屋だから、ってのはわかっているのだけどーー

町娘「…うー」

町娘(何で魔道士さんのことで頭を悩ませないといけないのよっ!!)

もやもやしていた。




そして最終日。
今日の昼食におにぎりを持たせて欲しいと言われたので作って渡し、魔道士さんは朝から夕方まで帰ってこなかった。

町娘(夕飯には帰ってくるかしら)

いつでも温め直して出せるよう、今日のメニューはカレーだ。

町娘(明日の朝には家に戻るって言ってたし、この借家で過ごす夜も最後か)

町娘(…何か、味気なかったなぁ)

勝手に着いて来たのは自分。だから不満に思ってはいけないのだけれど。

町娘(…どうしたのよ、私らしくもない)

魔道士「只今のチャオ〜☆」

町娘「わわっ!? ま、魔道士さん、お帰りなさい…」

魔道士「驚かせちゃってソーリー★ お仕事、終わらせてきたよ☆」

町娘「そうですか、お疲れ様です」

魔道士「あぁ、いい匂いだ。帰ったら町娘ちゃんが料理して待っててくれているって、安心するなぁ♪」

町娘「えぇ、いつも通りですよ」

町娘(いつも通り…たまには違ってもいいのに)

魔道士「町娘ちゃん、お腹ペコペコ?」

町娘「お腹ですか? いえ、そこまででも…」

魔道士「そう。それじゃあちょっと、出掛けない?」

町娘「…えっ?」





魔道士さんに連れられてやって来たのは、町全体を見渡せる丘の公園だった。
もう薄暗くて、公園には人が少ない。

魔道士「ゴメンねー、急に連れ出しちゃって」

町娘「いえ…それより、ここで何をするんですか?」

魔道士「とっておきの魔法だよ、アハーン♪」

町娘「…?」

魔道士さんは時計を見た。時間を気にしているのだろうか。

魔道士「そろそろだ。カウントダウン、10、9、8…」

町娘「?」

魔道士「3、2、1…ハイッ!」

町娘「――!!」

カウントが終わったと同時、町全体が光を放った。
暗くなってきた町に色とりどりの光が映え、まるで星が地面に降りてきたかのようで、とても――

町娘「綺麗…」

魔道士「気に入って貰えて良かったよ、アハーン♪」

町娘「もしかして、魔道士さんの今回のお仕事って…」

魔道士「そ。この町でお祭りが近いからね、イルミネーション作りさ★」

家にこもって発光する飾りを作り、今日は夜まで飾りつけをしていたということか。

町娘「魔道士さんのことだから、飾りつけにこだわったでしょう」

魔道士「わかる? 町全体をスケッチして、どう飾ろうかとっても悩んだよ☆」

町娘「あ、その為のスケッチだったんですね」

仕事がはかどると言っていた意味がようやくわかった。
魔道士さんは芸術に関する仕事が大好きだから、スケッチを見ながら飾りつけの配置を考えたのだろう。
確かに町全体のイルミネーションを見れば、配色のバランスが良く、魔道士さんのセンスの良さが出ている。

町娘「きっと、沢山の人が喜ぶでしょうね」

魔道士「アハーン♪ それだと僕も嬉しいな★」

町娘(魔道士さんはこんな大仕事を抱えていたのに。私、くだらないことでもやもやしてたわね)

魔道士「あっ」

町娘「どうされました?」

魔道士「今思ったんだけど、この状況って…デートみたいじゃない?☆」

町娘「」

町娘「そ、そ、そんなわけっ!!」

魔道士「そっかぁ。『この仕事が済んだら町娘ちゃんとデートできるぞー』って、僕は楽しみにしてたんだけどなァ」

町娘「~~っ…」

魔道士さんは私の心を読んでいたのか。
ここ数日、私がもやもやしていたものをどうして…。

町娘「…男の人が考えるサプライズは、あまり女性に好まれないって雑誌に書いてありましたよ」

魔道士「Oh?」

町娘「そういうのはサプライズにしないで、事前に言っておいて下さい。…不安になるから」

魔道士「そっかぁ~…僕ってダメだなぁ」シュン

町娘「あ、いえっ、ダメとかじゃ…」

魔道士「…知っての通り、僕は根っこはダサい男だからさ。そういうの、わからないんだ」

町娘「あっ」

しまった。こちらがもやもやしていたからと、魔道士さんのコンプレックスを突いてしまったようだ。

町娘「ま、魔道士さん、でも私、このデートは嬉しいですよ!」

町娘(…って)

町娘(デートって言っちゃったああぁぁ!!)

魔道士「…ほんとに?」

町娘「えっ!? あ、その、えーと」

魔道士「町娘ちゃんがイヤじゃないならいいんだ。そっか、安心したよ」ニコニコ

町娘「…」

町娘(そりゃデートってのは口を滑らせて出た言葉だけどっっ!! 全く気付かないのもどうなのよ!!)

魔道士「アハァン、町娘ちゃん。良かったら教えてくれないかな」

町娘「な、何を?」

魔道士「僕はどう振る舞えば格好いいのか。町娘ちゃんの前では、ダサい僕でいたくないからさ」

町娘「…」

本当、こういう時は弱気なんだから。

町娘「…もっと私に要求してもいいんですよ」

魔道士「要求? ご飯のリクエストとか?」

町娘「違いますよ。…もっと可愛い格好して、とか……」

魔道士「Uh?」

魔道士さんはピンときてないようだ。

魔道士「町娘ちゃんは、もう充分すぎる位……。僕には、町娘ちゃんが……」

町娘「えっ?」

魔道士「~~っ…」

魔道士さんの顔は真っ赤になっていて…。

魔道士「ゴメン! やっぱ言えない!!」

町娘「ちょっと魔道士さん!? どう振る舞えばいいかって言ってたでしょ、言って下さいよ!」

魔道士「無理! ゴメン! 格好よくなるには時間かかる!」

町娘「待ちなさーい!」

不器用な私、シャイな魔道士さん。
この関係が進展するのは時間がかかりそうだけど――

町娘「待ってますからね! その言葉の続き!」


Fin





あとがき

魔王城執政官(見習い)様より、チャオさん達の日常ということで。
このカップルは不器用ですね~。そこがまたいいんですけどね。

ところで読者様から見ればどうでもいいことかもしれませんが、チャオさんが1回しかチャオって言ってない!( ゚Д゚)クワッ
posted by ぽんざれす at 18:23| Comment(2) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
魔導士くんの日常のお話ありがとうございますー。
仕事に真面目でちょっと奥手な魔導士くんと、所帯染みた姉さん女房的な町娘さんの組合わせって、見ててしっくりきますね!
特に町娘さんのツンとデレの比率が絶妙で(笑
なかなか素直になれない娘さんと純真な魔導士くんの関係が伸展するのを、僕ものんびり見守って行きたいです!
Posted by 魔王城執政官(見習い) at 2016年01月01日 03:29
どもども⊂( っ´ω`)っ
双方とも不器用でなかなか進展しないけど、結婚したら絶対いい夫婦だと思うのです(`・ω・´)
Posted by ぽんざれす@作者 at 2016年01月01日 06:35
コメントを書く
コチラをクリックしてください