2016年02月14日

【スピンオフ】アラサー賢者と魔王の呪い【バレンタイン】

アラサー賢者と魔王の呪いのバレンタインスピンオフです。





>バレンタイン当日


賢者「それじゃあ、今日の授業は終わりまーす」

<ありがとうございましたー

賢者「さーて、明日の授業の準備してから帰ろうかな…」

生徒A「あー!」

賢者「あら?」

振り返ると生徒たちが、窓の外に手を振っていた。
彼らが手を振っている相手は…

賢者「あら、魔法戦士君」

魔法戦士「お久しぶりです」

生徒A「あれー魔法戦士、ちょっと見ない内に大きくなったー? あ、なってないね」アハハ

魔法戦士「そう簡単に伸びないから」

魔法戦士が田舎に帰ってくるのは、1、2ヶ月ぶりか。
騎士団も忙しいと聞いているが、やはり若いからか、魔法戦士は元気そうだ。

賢者「魔法戦士君たら。帰ってくるのなら、お手紙くれれば良かったのに~」

魔法戦士「……いやぁ」

賢者「?」


この時魔法戦士は、かなり複雑な心境でいた。


魔法戦士(こんなバレンタインの日を狙って帰ってくるつったら、チョコ用意しててくれ、って言うみたいじゃん)フン

魔法戦士(…他の男にはチョコやったのかな?)ムム

魔法戦士(いや別に! チョコなんて期待してないし!? 急に帰ってきた奴の為にチョコなんか用意してないよな!)ヘッ

魔法戦士(…先生、バレンタインは知ってるよな? 魔法以外のことに割と疎いし……)ムムゥ

魔法戦士(いやいやいやいや!! 知ってたとこで俺とは関係ないしいいぃぃ!!)グヌヌゥ


生徒B「どうしたのよ魔法戦士、さっきからコロコロと顔が変わってるけど」

魔法戦士(はっ、つい!!)

賢者「あ、わかった」

魔法戦士「せ、先生、違うんだ!! お、お俺、別にっ」アワアワ

賢者「思い出し笑いみたいなものでしょ~。魔法戦士君、騎士団でどんなことがあったのか聞かせてよ♪」

魔法戦士「……」

魔法戦士(先生…ナイス天然)グッ

生徒E「本当にどうしちまったんだ魔法戦士の奴? 激務で頭おかしくなったか?」

生徒F「そういう時は糖分だな。おい魔法戦士食うか、俺のチョコ…」

魔法戦士「チョコ!?」

生徒F「」ビクッ

生徒A「あーほら、今日バレンタインだからさ。チョコのやりとりがあったのよ」

生徒B「事前に帰ってくること言ってくれれば、魔法戦士の分も用意しといたのに~」

魔法戦士(そりゃそうだよな…だが問題なのは…)

賢者「?」

魔法戦士(先生からこいつらへのチョコはあったのか、なかったのか…!!)

生徒A「あ、そろそろ帰らなきゃ。魔法戦士、今度来る時は連絡よこしなさいよ! じゃあね~」

賢者「みんな、気をつけてね~」

魔法戦士「……」

賢者「魔法戦士君、どうしたの?」

魔法戦士「え、あ、いやぁ~! べ、別に実家帰ってもすることないし!」

賢者「?」

魔法戦士「せ、せっかくだし、明日の授業の準備手伝うよ先生!」

賢者「あら~、いいの? ここぞとばかりに力仕事頼んじゃうわよ~?」

魔法戦士「バッチコイ! 力仕事なら俺に任せてよ!」

賢者「まぁ、頼もしいのね。それじゃあ教材運びをお願いしちゃおうかしら」

魔法戦士「了解!」

賢者「ふふ、魔法戦士君が手伝ってくれるから、今日は早く帰れそうだわ♪」

魔法戦士「……」

魔法戦士(い、いや別に何の下心もないから! チョコなんて期待してないから!)





賢者「ありがと~っ、魔法戦士君! おかげで先生助かっちゃったわ」

魔法戦士「これくらい何てことないよ。つか先生、いつもこんな重いもん持ってたの?」

賢者「勿論、少しずつ持ってたわ。じゃないとおばさん、すぐ腰痛めちゃうから」

魔法戦士「いやいや、俺より若い体で何をおっしゃる」

賢者「子供にも肩こり腰痛はあるのよ」

魔法戦士「鍛え方が足りないなぁ~? 今からそんなんじゃ、体が成長した時…」

賢者「きゃあ、怖いこと言わないでぇーっ」ブンブン

魔法戦士(はは。つい、いじめたくなっちゃりして…)

賢者「さて帰りましょうか魔法戦士君。ねぇ、時間ある?」

魔法戦士(お?)「あるよ勿論」

賢者「それじゃあ手伝ってくれたお礼に、ちょっと寄り道しましょう♪」

魔法戦士「!!! ぜ、是非!!」

賢者「? えぇ」

魔法戦士(バレンタインデート…!! あ、いや、デートとか、そんなんじゃねーよな!! 期待すんな、俺!!)


それで…


魔法戦士「……」

賢者「はぁ、美味しいわねぇ。仕事終わりのコレが楽しみでねぇ」

魔法戦士「……そうだね」

賢者「遠慮なく食べてね魔法戦士君。先生贔屓のお店なの……ここの、牛丼屋」

魔法戦士「大盛りご馳走になりまーす!」

賢者「その食べっぷり、流石男の子ねぇ」

魔法戦士「そうだろ~そうだろ~」


そりゃ、期待すんなと自分に言い聞かせはしたが…


魔法戦士(よりにもよって田舎の牛丼屋かよ!!)

賢者「う~ん美味しい、幸せぇ~」ニコニコ

魔法戦士「良かったねぇ、先生」

魔法戦士(もう俺ゼッテー男として意識されてねぇよ…)ズーン


やはりバレンタインなどろくでもない…魔法戦士はそう思いながら肉の味を噛み締めた。





賢者「ふぅ、美味しかったぁ。よーし、明日も頑張るわよ~」

魔法戦士「牛丼くらいなら、俺も作れるよ」

賢者「まぁ~。それは食べさせてくれるって期待してもいいのかしら?」

魔法戦士「いいぜ。また帰ってきた時、時間とれれば俺の手料理振舞ってあげるよ」

賢者「あら。今回はそんなにゆっくりしていられないの?」

魔法戦士「そうだね。明日には帰るよ」

賢者「それじゃあ1泊する為にわざわざ?」

魔法戦士「……まぁね」

賢者「あぁ、でもずっと帰ってきてなかったものねぇ。たまに元気な顔を見せてくれると、先生は嬉しいわよ!」ポン

魔法戦士「はは…ありがとう」

魔法戦士(あぁ…やっぱ俺……)

いくら強がっても、やっぱり心のどこかで期待していた。

魔法戦士(先生からのチョコ、欲しかったんだろうなぁ……)


もし強がらずに、事前に帰ることを伝えていればチョコを貰えたのだろうか。
だけどそこまでしておいて貰えなかったら……

魔法戦士(ああぁーっ、俺の臆病者!!)


結局、怖かっただけか。


賢者「魔法戦士君、今回急に帰ってくるものだから…」


そう。
自分は「チョコを貰えなかったのは、急に帰ってきたせい」と予防線を張りたいヘタレなのだ。
それなのに、貰えるかもしれないという期待を捨てきれず帰ってきてしまう下心はしっかりあるのだ。


魔法戦士(こんな情けない男に先生が惚れるかっつーの!! あぁもう!!)

賢者「チョコ、そっちの下宿に郵送しちゃってたわよ」


魔法戦士「……」


……はい?


賢者「だってホラ、今日バレンタインじゃない。魔法戦士君と入れ違いになっちゃったかなぁ」

魔法戦士「せ、せ、先生!?」

賢者「あら、どうしたの?」

魔法戦士「ほ、ほ、ほんとに!? ほんとに俺にチョコを!?!?」

賢者「えぇ。日頃頑張ってる魔法戦士君に…あ、チョコ嫌いだった?」

魔法戦士「いやいや、大好きだよ!」

賢者「良かったぁ。帰ったら食べてね、魔法戦士君!」

魔法戦士「~っ……」

賢者「魔法戦士君?」


魔法戦士(生きてて良かったぁ~……!!)ググッ


賢者「あのチョコ、E君達も美味しいって言ってたから、男の子の口にも合うと思うわよ~♪」

魔法戦士(ですよねー!! 他の奴らにも同じのやってますよねー!!)





>下宿


魔法戦士(つっても、先生から貰えたチョコに変わりはないし)

魔法戦士「手作りじゃなくて市販かー…って、これうちの田舎で1番の高級店のチョコじゃん。心して食おう!」

魔法戦士「ん、何か入ってる。……手紙?」


~~~~~~~~~~~~
魔法戦士君へ

騎士団で強く立派に成長できることを願っています。

先生より♪
~~~~~~~~~~~~


魔法戦士「………」


自分は約束した。
強く一人前の男になって、賢者を迎えに行くと――


魔法戦士(強く立派に成長して、迎えに来てくれる日を待ってますって、そんな先生!!)←※そんなこと書いてない

魔法戦士(一人前になるまで本命チョコはお預けってことだな! よっしゃ待ってろよ本命チョコ!!)←※そんなこと書いてない


ともあれ、魔法戦士にとっては幸せなバレンタインとなった。





一方その頃、賢者は――


賢者「お菓子屋さん見てたら目移りして、ついつい自分も食べたくなっちゃって…」パカッ

賢者「あぁ、美味しい~♪ 甘いもの食べてる時って幸せ~♪」

賢者「うぅ。でもブランデー入りのチョコは苦く感じるぅ~。舌だけは大人に戻りたーい」


1人楽しく、自分用チョコを嗜む独身アラサーであった。


Fin




あとがき

あれ…?魔法戦士ってこんなにアホだったっけ…? まぁ、恋は人を狂わせますから。
賢者が色々と残念な人なんだからしっかりしろ魔法戦士!
posted by ぽんざれす at 09:59| Comment(0) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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