2016年08月31日

魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」/ハンタールート

本編はこちら


悪魔王との戦いから半年…


魔姫「はああぁっ!!」バチバチバリィッ

焼き鳥A「ギャヒイィィ」

魔姫「どう、雷撃の味は。いいスパイスになるかしら?」

焼き鳥's「ギュアアァァッ!!」

魔姫「何羽来ようと同じこと……」

――ザシュッ

魔姫「!」

ハンター「全く…数が多いばかりで手応えがないな」

魔姫「ちょっとハンター、邪魔しないで。そいつら、私の獲物なんだから」

ハンター「ふん。張り合うなら、とっとと獲物を狩ればいいものを」

魔姫「ちなみに貴方、何羽倒したの?」

ハンター「今ので12羽だな」

魔姫「あら、そう。私は20羽」ニッコリ

ハンター「……」

ハンター「これからが本領発揮だああぁぁ!!」ダダッ

魔姫「だから人の獲物取るんじゃないわよーっ!!」

<ギャーギャー


勇者「ははっ…2人とも苦戦する様子ないな、流石!」←スコア:40羽





勇者「それじゃ、焼き鳥の討伐をギルドに知らせてくるわ~」←最終スコア:87羽


ハンター「くっ……」←最終スコア:23羽

魔姫「数が多いだけで大したことなかったわねぇ」←最終スコア:31羽

ハンター「………フン」

魔姫「そんなに気落ちしないで。貴方、人間にしてはかなりやる方だと思うわよ?」

ハンター「えぇい、中途半端な慰めなどいらん!」

魔姫「あら、そう。なら…まだまだね」フッ

ハンター「俺に話しかけるな!」

魔姫「何よそれ!」

<ギャーギャー


勇者「報酬受け取ってき……って、また喧嘩かよ。ハンター、いい加減にしなよ~」

魔姫「そうよ、いい加減にしなさいよ~」

ハンター「俺が悪いのか!?」

勇者「魔姫さんが悪いわけないだろ」

魔姫「あらありがとう勇者。貴方って紳士よね~」

勇者「魔姫さん……! 俺は貴方を信じていますよ、このクールぶったキザ野郎が全部悪いんです!」

ハンター「…一生やってろ」ハァ


魔姫とその他一行は、人間に危害を加える残党刈り退治をしていた。





>魔姫の住む屋敷


猫耳「お帰りぃ~♪ 果物のタルト焼いたから召し上がれ!」

魔姫「あら、いい香りねぇ。猫、紅茶を淹れて」

勇者「俺は緑茶~! で、ハンターは……」

ハンター「…コーヒー」ムスッ


猫耳「ハンターの奴、機嫌悪いね」ヒソヒソ

勇者「あぁ、いつものアレだよ」

猫耳「そっかぁ、また魔姫に負けたのかぁ」

勇者「全くハンターの奴、魔姫さんに対抗意識燃やしちゃって……」


魔姫「砂糖とミルクは入れないの?」

ハンター「入れん。コーヒーの風味そのままを楽しむんだ」

魔姫「よく、そんな苦いの飲めるわねぇ」

ハンター「お子様にはわかるまい」フッ

魔姫「へぇー? 今だに辛い歯磨き粉使えない男が『お子様には』ねぇ?」

ハンター「」ブッ

魔姫「うんうん、ミントの風味は辛いもんねぇ。ふ、ふふふ……っ」

ハンター「えぇい黙れ、ピーマン食えない典型的子供舌が!」

魔姫「歯磨き粉よりはよっぽど一般的よ!」

<ギャーギャー


猫耳「まーたやってるよ」

勇者「魔姫さんのような素晴らしい方にケチをつけるなんて、由々しい奴だな」


助手「お邪魔致します」

魔姫「あら助手。いらっしゃい」ゼーゼー

ハンター「どうした」ゼーゼー

助手「お手紙を届けに。音楽の国の国王陛下からです」

勇者「音楽の国っつーと隣国だな。王様から手紙?」

助手「はい。1週間後の晩、国で祭典を行うので是非参加して下さい、と……」

魔姫「祭典? 美味しいもの食べれるの?」

勇者「勿論ですよ魔姫さん。それだけでなく、その日は楽器のメロディが国全体を包むんですよ。何せ、どこ行っても音楽、音楽、音楽ですから」

猫耳「へぇ面白そう!」

魔姫「音楽は静かな方が好きなんだけど…まぁ、美味しいものが食べられるならいいわ」

猫耳「魔姫ったら食べることばっかりだにゃ~」

勇者「ははっ、ご馳走も祭りを彩る大事な要素だからな。でも何と言っても、メインイベントは…」

魔姫「メインイベント?」

勇者「夜8時に行われるダンスパーティーですよ! その時間は国中がダンスフロア、どこを見てもリア充、リア充、リア充!」

魔姫「あら。私、ダンスは結構自信あるのよ」

猫耳「行きたい、行きたーい!」

勇者「うーん、スケジュールは大丈夫かな?」

助手「えぇ。我々の活動が実を結んだのか、現在指名手配されている残党はいません。祭典の日だけでなく、しばらく休む余裕はありますよ」

魔姫「報われたわぁ~。着ていく服、選ばないと!」

<わいわい

ハンター「……」

助手「ハンター様、祭典には……」

ハンター「俺は出ない」

魔姫「……え?」

ハンター「残党がいないならバイトする。…ああいう場は好かない」ガタッ

スタスタ

魔姫「……何よ、つまんない男ね」

勇者「あいつは元々付き合いが悪いですからね」

猫耳「行きたくないなら仕方ないにゃ~」

魔姫「…たまには、付き合ってくれたっていいじゃない……」

猫耳「ん~? そうだねぇ、ハンターと仲良くしたいよね」

魔姫「!!!」

猫耳「ハンターとは喧嘩ばかりだもんねぇ。楽しいことを共有して一緒に笑い合うってのも……」

魔姫「おほほほ! 何を言ってるのかしら、猫ちゃぁ~ん!」ギュウゥ

猫耳「ふぎゃあぁ、苦しい、苦しい!!」

勇者「いいなぁ猫耳、魔姫さんに締めてもらえて……」

魔姫(ハンターと仲良くしたいなんて有り得ないし! あいつは下僕のくせに生意気なのよ!!)





魔姫「ところでハンターのバイトって、何かしら?」

勇者「あぁ、それは……」





魔姫「……で、勇者に聞いて来てみたけど……」

カランカラン

ハンター「いらっしゃいま――せっ!?」

魔姫「ふふ、遊びに来たわよ」

ハンター「……冷やかしなら帰れ」

魔姫「冷やかしじゃないわ。紅茶を頂きたいのよ、ほら私って紅茶好きでしょ?」

ハンター「……1名様、ご案内致します」

わいわい

魔姫(それにしてもバイトがまさかの接客…しかも、お洒落めのカフェの店員なんてねぇ)

ハンター「ニヤニヤ見てくるな、気が散る」

魔姫「仕事に集中なさいよ。ほら、あそこのテーブルのお客さんが呼んでるわよ」

ハンター「ったく……お待たせ致しました、ご注文はお決まりでしょうか」

魔姫(意外とサマになってるじゃない。それに、いつも戦闘服ばかりだから、ワイシャツにエプロン姿ってのはかなり新鮮だわ)

魔姫(そう言えば、ハンターは元々お坊ちゃんなんだっけ。普段は荒々しいけど、きちんとしようと思えばできるのね)

ハンター「ご注文はお決まりでしょうか」

魔姫「えぇ。日替わりのケーキと紅茶のセットをお願い」

ハンター「かしこまりました」

魔姫「ハァ……」

ハンター「何か」

魔姫「ハンターがいつもこうならいいのに~」

ハンター「……失礼致します」サッ

魔姫(あら、挑発に乗ってこないわねぇ)

魔姫(…っていうか……)


クレーマー「おい店員! 紅茶が熱くて舌火傷したじゃねぇか、どうしてくれる!」

ハンター「大丈夫ですか? すぐに水をお持ち致します」

クレーマー「ふざけんな! 金返せ! 治療費よこせ!」

ハンター「申し訳ありませんが、それはできかねます」

<ギャーギャー


魔姫(……ふぅん、大人の対応できるんだ。何か、イメージ全然違うわ)





店長「上がっていいよ、お疲れさん」

ハンター「お疲れ様です、お先失礼します」


ハンター「ふぅ……」

魔姫「お疲れ様」ヒョコッ

ハンター「何だ。出てくるのを待っていたのか?」

魔姫「まぁね~。貴方も大変ねぇ、ああいうお客さんよくいるの?」

ハンター「たまにいるが、大変ではない。……もっと厄介なのと、ほぼ毎日顔を合わせているからな」

魔姫「そうなのォ、本当に大変ねー?」ニヤニヤ

ハンター「……自覚あるのかないのか、どちらだ」

魔姫「ないわ。でもハンター、私は貴方を見直したわ」

ハンター「見直した?」

魔姫「ほら、貴方って最年長なのに大人気ないし、クールぶってる割に感情表現豊かだし、意外と後先考えないし」

ハンター「俺を罵倒しに来たのか」

魔姫「いえ。そんな部分を出さずにキチンと働いてるから、凄いなと思ったわけよ」

ハンター「金を稼ぐとはそういうことだ」

魔姫(……ハンターの家は元々裕福だったけれど、父親が魔物に殺されて生活は一変した。ハンターは、母親に裕福な暮らしをさせたいと思っているようだけれど……)

ハンター「残党刈りの仕事がしばらく無いようなら、もう1、2件バイトを増やさんとな……」

魔姫「……偉いっ!」バシッ

ハンター「っ!?」

魔姫(ハンターのお母様自身はそんなこと望んでないと思うけど、でも……)

魔姫「私はもう、親孝行できないから。貴方は後悔のないようにやるのよ!」

ハンター「はぁ……?」

魔姫「よしハンター、労ってあげる。私の奢りよ」

ハンター「は?」

魔姫「飲みに行こうって言ってるのよ。好きでしょ、お酒」

ハンター「おい……お前は飲めないだろ」

魔姫「私はノンアルでいいわよ。さぁさぁ、行くわよ」

ハンター「……ったく。未成年と飲み屋に行くのは気が進まんが、お前は強引だからな」ハァ

魔姫「魔王の血筋は酒豪の血筋よ、成人したら負けないんだから!」

ハンター「そうかそうか。だが、飲み比べは体に悪いからやらないぞ」

魔姫「ノリ悪いわねぇ。まぁいいわ、アダルトに夜の街を案内してよ」

ハンター「じゃあ、あそこの店にするか。女に人気の店だぞ」

魔姫「いいわね~、外装も素敵。それじゃ、行きましょ♪」

ハンター「本当に、飲むなよ」





魔姫「うぅ~……」フラフラ

ハンター「本当にお前は……」ハァ

魔姫「何よぅ、飲んでないじゃない~」フラフラ

ハンター「夜ふかしできないなら、あらかじめ言え! ったく、酔ってないのに道端で寝そうだな……」

魔姫「寝ないわよぉ~。ふぁ~……」

ハンター「……お前、本当に一滴も飲んでないんだよな?」

魔姫「当たり前でしょぉ~。飲酒は成人を過ぎてから、睡眠は日付が変わる前に、の健康優良児よ!」

ハンター「やっぱり、子供は子供か……」

魔姫「子供子供って、バカにして~」

ハンター「馬鹿にする意味ではない。事実を述べただけだ」

魔姫「………」

魔姫(ハンターは私のこと、子供として見てるのかしら……)

ハンター「ほら、おぶされ」グイッ

魔姫「あっ」

ハンター「屋敷まで運んでやるよ。恥ずかしいかもしれないが、お互い様だ」

魔姫「お…重く、ない?」

ハンター「余程の肥満でもなければ、別に重くない」

魔姫「何よそれ~…」

ハンター「文句を言うな。黙って寝てろ」

魔姫「……」

魔姫(顔が近くて、アルコールの匂いがする。体は意外と筋肉質で……大人の男、って感じがする)

魔姫(ハンターは大人だから……子供の私には……)

ハンター「全く……大人しくしてりゃ、それなりに可愛げがあるものを」フゥ

魔姫「……うるさい。お互い様」ボソッ





>屋敷


猫耳「にゃにゃっ、魔姫に一体何が!?」

ハンター「眠気が来ただけだ。別に変なことはしていない」

猫耳「ありがとうハンター。魔姫ぇ~、こんな風になるまで夜遊びするなんて……」

魔姫「むにゃむにゃ…猫のくせに、説教なんて……すやーっ」

ハンター「寝言もハッキリしているのだな、こいつは」

猫耳「お恥ずかしいにゃ…」

ハンター「寝室はどこだ。お前じゃベッドに運べないだろう」

猫耳「2階の突き当たり。何から何までありがとうね、ハンター」





ハンター「よっこいせ、っと」

魔姫「すやー、すやー」

ハンター「人の気も知らずにのん気なことだ。さて、俺は帰るか」

魔姫「むにゃむにゃ……待ちなさいよぉ~」

ハンター「ん?」

魔姫「服のままで寝るの、イヤ~……」

ハンター「……自分で着替えろ」

魔姫「何よぅ。せっかく、こぉんなハイスペック美女が誘ってあげてるっていうのにぃ」

ハンター「……お前、本当に酔ってないよな? 凄まじい寝ぼけ方をするな……」

魔姫「寝ぼけてないぃ。着替えるの手伝ってぇ」

ハンター「猫耳に手伝ってもらえ。伝えておいてやる」パタン

魔姫「あ……」

魔姫(私って……そんなに魅力ないのかしら……)





>で


魔姫「このドレスがいいわ!」

猫耳「それは胸元が開きすぎてるよ」

魔姫「じゃあこれは!」

勇者「スリットがちょっと…。いや個人的には嬉しいんですがね、魔姫さんにはあまり肌を晒して欲しくないというか……」

魔姫「なら、どれがいいのよーっ! ひと皮剥けた、アダルトな私の魅力を出せるドレスはどれ!」

勇者「魔姫さん、どうしちまったんだ?」ヒソヒソ

猫耳「さぁ?」ヒソヒソ


ハンター「ここにいたのか」

勇者「あ、ハンター」

ハンター「女の衣装屋で何をしている」

猫耳「いやぁ、魔姫が祭典に着ていくドレスを買うから、男の意見が欲しいと言われて……」

ハンター「ろくに女経験のない2人の意見など聞いてもな……」ククク

勇者「何だとテメェー!」

猫耳「聞き捨てならないにゃーっ!」


魔姫(ハンターは女経験豊富なのかしら?)ジロ

助手「それよりも、ギルドより依頼が入りまして」

魔姫「ギルドから? 何かしら」

助手「はい。魔王軍残党、妖花の群れが農村地帯に被害を及ぼしたそうです。その妖花の討伐依頼が出されました」

魔姫「妖花…あぁ、魔王城の警備をしていた連中ね」

ハンター「数の多い連中だ。1日で全てを狩るのは不可能だというのがギルドの見解だが……」

助手「住処への往復も含め、3日はかかるでしょうか」

猫耳「待って。それって……」

勇者「おもっくそ、祭典と被るじゃん」

魔姫「まぁ…何てタイミングの悪い」

勇者「楽しみだったのになぁー…。でも人々の為だ、我慢するか!」

猫耳「じゃあ僕は1人で参加してくるにゃー」

勇者「うわぁーっ、それは許さん! お前も道連れじゃい!」

猫耳「フギャーッ、理不尽ーっ!」

ハンター「いや、お前たちは祭典に参加してこい」

魔姫「え?」

ハンター「数は多いが、相手はCクラス。俺と助手で何とかなる相手だ」

魔姫「でもハンター……」

勇者「よっしゃ任せたぞハンター! 全員討伐したら、褒美に飯奢ってやるよ!」バシバシ

魔姫「ちょ、ちょっと! もし何かあったら……」

ハンター「ふぅ…俺はお前に信頼されていないんだな」

魔姫「!! ち、違う、そういうわけじゃ……」

勇者「大丈夫ですよ魔姫さん。ハンターはこういう仕事、大ベテランですから」

猫耳「好意は素直に受け取った方がいいよ。ありがとう、ハンター」

魔姫「……」





>祭典当日


魔姫「ハァ……」

猫耳「魔姫、もう準備できた……わぁっ、そのドレスやっぱり似合うね! シックって言うのかな? 大人っぽいよ、魔姫!」

魔姫「ありがとう。猫も今日の衣装は素敵ね」

猫耳「主役は女の子だから目立たない程度に、でも連れの女の子に恥をかかせないように…って、ハンターが選んでくれたんだ」

魔姫「…そうなの」

魔姫(そういうTPO知ってるってことは…お祭りは好かないとか言いつつ、参加したことあるんじゃないの?)モヤモヤ

猫耳「音楽の国までは、馬車で1時間かかるんだってね。もうすぐ迎えに来ると思うけど……」

魔姫「ハンターは今頃、戦ってるのかしらね……」

猫耳「ん、そうだと思うよ。……あ、そう言えばさぁ。妖花が襲ったのって農村だっけ?」

魔姫「そう言ってたわね。それがどうかした?」

猫耳「確か妖花って、自然の養分を糧にしてたよなー…って」

魔姫「……!!」

猫耳「農村を襲ったともなると、作物に大分被害出ただろうねぇ。可哀想に……」

魔姫「ごめん、猫っ!」ガタッ

猫耳「どうしたの?」

魔姫「急用ができたわ! 祭典には先に行ってて!」バサッ

猫耳「え、急用って……魔姫ぇーっ!!」


バサバサッ


魔姫(全速力で飛べば……!!)






ハンター「ハァッ!」シュッ

妖花A「グファッ…」

ハンター「仕留めたか!?」

妖花A「ガアァ――ッ!!」ビュンッ

ハンター「ちっ!!」バッ


ハンター「たかが花とはいえ、デカいだけあって防御力が高いな」

助手「いっそ焼き払いましょうか?」

ハンター「ここは可燃物が多すぎる。できればそれは最終手段でいきたいが……」

妖花B「ガフォッ」

ハンター「……? 何かを振りまいている?」

助手「鼻と口を塞いで下さい! あれは、幻惑の花粉です!」

ハンター「!!」バッ

ハンター(くっ…少し吸い込んでしまった。少しだけ、気分が悪い……)


うぞぞ……


ハンター「……!!」

妖花ボス「グファ……」

ハンター(でかい…あいつが頭か)

ハンター「早々に討つ! 喰らえ!」ダッ

妖花ボス「ガファアァ――ッ!!」ビュンッ

ハンター「!!! 速――」

ベチーン

ハンター「つっ……」

助手「ハンター様!」

ハンター「平気だ。しかし…この素早さと力で、Cクラスだと!」

助手「恐らく、農村の作物の養分を吸い取ってパワーアップしたのでしょう。申し訳ありません、予想できていたはずなのに……」

ハンター「なに、気にするな。パワーアップされたなら、報酬を値上げ交渉するだけのこと」チャキ

妖花ボス「グルアァ――ッ!!」

ハンター「助手! ボスは俺がやる、他の奴らの対処を頼む!」ダッ

ベチーン

ハンター「ぐっ」

助手(ハンター様の動きがいつもより鈍い…幻惑の花粉のせいか)

ハンター「……この程度!」シュッ

ズブッ 妖花ボス「ゲヒャアァ!!」ピュッ

ハンター「何だ……?」サッ

シュウゥ

ハンター(これは…溶解性の粘液か。こんな技まで使うとは……)

妖花ボス「ギュアアァ!!」ピュッピュッ

ハンター「ふん…回避は容易い」サッ

シュルル

ハンター「!! しまった!」





魔姫(妖花の香りが漂ってくる…この辺で間違いないはずだけど……)


助手「ハンター様!」


魔姫「んっ?」


ハンター「くっ……」ズルズル


魔姫(ハンターが引きずられて…あっ、妖花のツルが足に!)


妖花ボス「ゲヒョア……」

ハンター「ち……っ! 粘液の狙い、ばっちり定めてやがる」

助手「ハンター様……!! くっ、雑魚が邪魔!!」

妖花ボス「ギュアアァ!!」ピュッ


魔姫「させないわ! ハン――」


ハンター「――甘いんだよ」


魔姫「え?」


ハンター「はああぁ――ッ!!」ブンッ

シュウウゥ

妖花ボス「!!! グギャアアァァ」


魔姫(足を振り上げて、妖花のツルで粘液をガードした……!)


妖花ボス「グウウゥ……」

ハンター「植物も苦しむんだな。沢山の魔物を狩ってきたが、これは初めて知ったな」

妖花ボス「ゲャアアァァ!!」シュッ

ハンター「おらっ!!」ズブッ

妖花ボス「ゲアアァァァ!!」


魔姫(あのパワーアップ版妖花を圧倒するなんて…ハンターって、あんなに強かったかしら?)


ハンター「何度……」


魔姫「え?」


ハンター「何度、いけ好かない小娘に泣かされてきたと思っている。あいつに比べればお前達の攻撃など、ぬるすぎてあくびが出る」


魔姫(何よそれ、いけ好かない小娘って私?)ムッ


妖花ボス「グギャアアァァァ!!」ビュンッ

ハンター「その上、お前たちは実力だけでなく――」ヒョイッ


魔姫「……?」


ハンター「――花としても、あいつに負けている。本物の花なら、あいつの足元程度には可憐になれ」


魔姫「――っ!!?」ボッ


ハンター「……なんて、知能の低い生物に言っても理解できないか」タタッ

ハンター「ハァッ!」ズシャッ

妖花ボス「グゲアアァァッ!!」ドサッ


魔姫「あっ……いけない!!」


ハンター「ようやく倒れたか。植物も首をはねれば死ぬのか。……どこが首だかわからんが」チャキ

魔姫「待って!!」

ハンター「……!! お前、どうしてここに」

魔姫「話は後よ。それより……妖花!」

妖花ボス「ギュルル……」

魔姫「全く、貴方はこのご時世に何をやっているの。迂闊なことをすれば残党刈りの対象よ、わかっているの?」クドクド

妖花ボス「しゅん」

ハンター「妖花が大人しくなった……?」

魔姫「ごめんなさい、ハンター。妖花を狩るのはストップしてもらっていいかしら?」

ハンター「何を言ってやがる」

魔姫「妖花の特性を思い出したのよ。この子達、人間に敵意は持っていないわ」

ハンター「どういうことだ」

魔姫「妖花は生きていく為に、養分を吸収しないといけないのよ。だけど」ギロリ

妖花ボス「」ビクッ

魔姫「考えなしの行動で、農村の作物の養分まで吸収してしまった。そうよね?」

妖花ボス「……ギュル」コクリ

魔姫「つまり今回の行動は悪意によるものでなくて、うっかりなのよ。だからって罪がないわけじゃないけど……命を狩る程のことではないと思って」

ハンター「……」

魔姫「妖花には人に迷惑をかけない住処に移住してもらって、農村には私から償いをするわ。だから……」

ハンター「……」

助手「ハンター様……」

ハンター「……本当に、もう人間に被害を出さないんだな?」

妖花ボス「ギュルル」

魔姫「ホホホ。万が一またこういうことがあったら、私の顔に泥を塗ったということで…わかっているわね?」ニコ

妖花ボス「ギュルッ!! グギャギャ~」ブルブル

ハンター「怯えているぞ。どれだけ恐ろしいんだ、お前は」

助手「どうなさいますか、ハンター様」

ハンター「そういうことなら仕方ないだろう。全く…無駄足だったな」ハァ

魔姫「そう言わないで。…ありがとう、ハンター」フフ

ハンター「何で礼……。まぁいい。ところでお前、祭典はどうした」

魔姫「あっ! もう始まっている時間だったわ……どうしよう」

ハンター「まぁ、飛んでいけば途中からでも参加できるだろう。ギルドには俺たちから伝えておいてやる、早く行……」

魔姫「そうはいかない!」ガシッ

ハンター「!!?」

魔姫「貴方も行くわよ、ハンター!」バサッ

ハンター「はっ!? だから俺は参加しないと……離せ!!」

助手「ギルドには私から伝えておきます。楽しんできて下さい」

魔姫「ありがとう助手! お土産買っておくわ、それじゃあ!」

ばっさばっさ <おーろーせー!





~♪


魔姫「フフッ…セーフね」ハァハァ

ハンター「大分遅くなったな。もうダンスが始まる時間じゃないか。俺を置いてきた方が早く着いただろ」

魔姫「駄目。たまには付き合いなさい」

ハンター「本当に強引だな…来てしまったものは仕方ないか」ハァ

魔姫「そんなに嫌なの?」

ハンター「そういうわけではないが……音楽に興味はないのでな」

魔姫「じゃあ、目の前にあるものを楽しめば?」

ハンター「あ?」

魔姫「気付かない? ほら私、いつもと違うでしょ?」クルッ

ハンター「……言われてみれば、地味になったな」

魔姫「うわぁ、ひどい感想。貴方、絶対モテないでしょ」

ハンター「文句を言う前に、レディー扱いしてもらえる女になれ」

魔姫「レディー、ねぇ。……でも」

ハンター「?」

魔姫「お花のようには思ってもらえてるみたいよね」ニヒッ

ハンター「!!!」ブッ

魔姫「ごめんねぇ~、あまりにも声が大きくて聞こえちゃったのよ~。ふふ、花かぁ」

ハンター「ちょ、待、違っ」

魔姫「へぇ、何が違うのよ?」

ハンター「それは、だな……お、お前のような半人前の小娘にすら負ける程ひどいと言いたかったんだ!」

魔姫「何よそれーっ! 人のこと、また小娘扱いしてーっ!!」

魔姫(ツンデレだとしても、言っていいことと悪いことがあるのよ!)プイッ

ハンター「……いや、その点については悪かった」

魔姫「え?」

ハンター「先日、お前に言われた通りだ。俺は大人気ないし、お前の方がよほど達観している」

魔姫「あら、そう思う出来事があったの?」

ハンター「俺がお前を追っていた頃からだ。お前は自分の父親が殺されても、勇者を憎んでいなかった。人間と魔物の争いという背景があったとはいえ……そう頭で割り切ることは、俺にはできない。俺はずっと、父親を殺された恨みで動いていたからな」

魔姫「誰だって感情はあるんだし、無理に割り切る必要はないのよ。私が憎んでいるのは勇者じゃなくて、時代だし……」

ハンター「それだ。お前は広い視野で物事を見ている。先ほどの妖花とのことだって、平和的解決の道をお前は提示した」

魔姫「まぁ……私も魔物だから、人間とは視点がちょっと違うというか……」

ハンター「……普段自信満々なくせに、褒められると謙遜するんだな? 照れ屋か?」ニヤ

魔姫「!!!」カアァー

ハンター「褒め言葉は素直に受け取っておけ。俺がお前を褒めることは、この先ないぞ」

魔姫「まぁーっ! 本当、ひねくれた男ね!」

ハンター「お互い様だ」ククク

魔姫「むむ……」

魔姫(なんか…ハンターが素直だと、調子狂うわ……)


ハンター「それにしても……これだけ人が多いと、勇者や猫耳を見つけられんな」

魔姫「そうね」

ハンター「2人とも、お前と踊りたかっただろうな」

魔姫「踊りたいのは2人だけじゃないわ」

ハンター「ん? …あぁ、お前もか。まぁ祭典にこだわらずとも、ダンスパーティーの機会はいくらでも……」

魔姫「今日じゃないと駄目なのよ。……だから」

ハンター「ん?」

魔姫「ハンター。私と踊りなさい!」

ハンター「……は?」

魔姫「ほら、始まるわ! 早く早く!」ダダッ

ハンター「ちょっ……」


~♪

魔姫「ほら、しっかり手を取って」

ハンター「いや待て……踊れと言われてもどうすればいいのか……」

魔姫「周囲の人の真似をしなさい。大丈夫よ、貴方は運動神経いいんだし」

ハンター「無茶なことを」ハァ

魔姫「ふふっ」

ハンター「どうした」

魔姫「いえ。何だかんだで、付き合ってくれるのねぇ」

ハンター「付き合わされているんだ。全く、好意的に受け取りやがって」

魔姫「……でも、このドレスを選んで良かったわ」

ハンター「? ドレスがどうかしたか」

魔姫「このドレス、大人っぽいじゃない? 貴方と踊るには、ぴったりだと思って」

ハンター「……ん? おい……」

魔姫「何かしら?」

ハンター「いや、勘違いなら悪いが……。まるで俺と踊る為にドレスを選んだかのような……」

魔姫「ほら、足がもつれてるわ! ここでターンよ!」

ハンター「……っ!」クルッ

魔姫「ふふ、上手い上手い! 貴方、ダンスの才能あるわよ!」

ハンター「~っ…もうダンスは2度とごめんだ」

魔姫「あら、どうしてよ?」

ハンター「だから元々こういったものは好かないと……」

魔姫「ひねくれてるわねぇ。楽しんでるの、伝わってくるわよ?」

ハンター「……」

ハンター「それは――だから」ボソッ

魔姫「え、何か言った?」

ハンター「……っ!! 意を決して言ったのに、お前は!」

魔姫「あら、ごめんなさい。もう1回言ってくれる?」

ハンター「……っ。いいか、聞き逃すなよ! 俺が楽しんでいるのは、相手が――」

~♪ ……

魔姫「あら、音楽が終わったわ」

ハンター「……」

魔姫「楽しい時間って、あっという間ね。これで終わりかしら」

ハンター「……終わらせない」

魔姫「え? ――っ」


ハンター「――」

魔姫「――」


ハンター「……ぷはっ」

魔姫「ハ、ハンター…今、唇……」

ハンター「終わらせたり、しない……」

魔姫「……え?」

ハンター「お前を他の男と踊らせる気はない。だから…この時間を、終わらせたりしない」

魔姫「ハン、ター……」

ハンター「……」ドキドキ

魔姫「……」ドキドキ


ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ


魔姫(何か言いなさいよ! どうしろってのよ、この状況!!!)カアアァァ


「あらヤダ奥さん、見ました?」

「見た見た、やーねぇ」


魔姫&ハンター「!!?」ガバッ


勇者「なァんか行動が不審だと思っていたら……そういうことだったのねェ」

猫耳「いつの間にそんな関係になってたのかしらねぇ。気づかなかったわァ」

勇者「ハンターさんたら興味なさそうにしてたくせに、やーねぇ」

猫耳「魔姫さんもよォ。いつも喧嘩ばかりしてたのに、まんざらでもなさそうよ」

勇者&猫耳「「やーねぇ」」


魔姫「ね、猫ぉ!?」

ハンター「勇者!? どうしてここに!?」

勇者「どうしてって。そりゃ、俺らだって祭典に参加してたんだから当たり前だろ。バーカ」

猫耳「僕たちは悲しく男同士で踊ってたのににゃ~。ふーん、へーぇ」

魔姫「こ、ここここれはっ! 違うの、ハンターの痴漢だから!」

ハンター「ちか……お前なあぁ、通報案件をサラッと口にするな!!」

勇者「はいはい、ツンデレツンデレ。喧嘩もいちゃラブのひとつなんですね、ご馳走様です」

魔姫「いやっ、だからっ、そのっ!」

猫耳「勇者、悲しい独り身同士で飲もうか~。お酒駄目だけど」

勇者「いいねぇ猫耳、傷心の俺を慰めてくれ。俺も酒駄目だけど」

ハンター「おい待て!」


猫耳「じゃあね~♪」

勇者「ごゆっくり~♪」


魔姫&ハンター「……」

魔姫「……どうするのよ」

ハンター「開き直るしかないんじゃないか?」

魔姫「……はい?」

ハンター「ほら、2曲目が始まる。踊るぞ」ギュッ

魔姫「!!! ちょっ」

ハンター「嫌か?」

魔姫「……」

魔姫「いや、じゃない。……いい」

ハンター「そうか」フッ

魔姫「そういう言い方は、ずるいわよ……」

ハンター「一応大人なのでな。経験値の差だ」

魔姫「!! そう言えばハンター、貴方過去に女性経験……」

ハンター「ステップが遅れているぞ。仕方ない、リードしてやるよ」グイッ

魔姫「ちょっ……後で覚えてなさいよ!!」


どうにも素直になれない2人だけど――
だけどきっと、気持ちは一緒だから。


ハンター「一生かけて尋問しろ。逃げも隠れもしない」

魔姫「望むところよ。今度は私が、捕まえてやるんだからね!」


Fin





あとがき

ハンタールートでした。
基本的にちゃんとした大人だけど、感情で無茶な行動を取ることもある所がハンターの魅力だと思っています。
そして勇者猫耳に比べると遥かにひねくれていて、ある意味1番大人であり、1番子供なのかもしれないですね。

それよりもバイト中の正装敬語ハンターをもっと書きたかったかもしれん((

ハンターの異性経験値? ご想像にお任せしますってことで~。
posted by ぽんざれす at 20:47| Comment(0) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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