2016年09月27日

魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」/分岐ルート後日談

魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」の分岐ルートスピンオフ、各ルートの後日談です。


以下のリンクから各ルートに飛びます

ハンタールート
猫耳ルート
勇者ルート







ハンタールート

わいわい

魔姫「綺麗に手入れされた庭園、爽やかなそよ風……紅茶の香りが私に癒やしを与える」

ハンター「……」

魔姫「ね? いいお店でしょ、ハンター」

ハンター「……確かに店はいい。景観もメニューも文句はない。だが……」

魔姫「何よ?」

ハンター「何で、知らん内にここが俺のバイト先になってるんだ!?」

店長「ハンター君、ネクタイ曲がってるよ」

魔姫「だって、店員さんの制服が素敵なんだもの。是非、ハンターに着て欲しくて」

ハンター「いや納得せんぞ」

魔姫「どうせ今日は私の貸切なんだし、楽なお仕事じゃないの」

ハンター「そういう問題では……。ハァ、言い合いしても無駄か」

魔姫「そういうこと。ほら、ネクタイ直してあげるわよ」

ハンター「ありがとうございます、お客様ー」

魔姫「あら照れ隠しに棒読みなんて、可愛い~。心の中ではドキドキしてるんでしょ~?」

ハンター「いや別に。慣れてるからな」

魔姫「………」

ハンター「いつまでかかって……ってオイ」

魔姫「あらハンター、ねじねじネクタイも素敵ねぇ~」

ハンター「お前な……。そういうイタズラするところがお子様だな」

魔姫「そのお子様に惚れた貴方は少女趣味なのかしら?」

ハンター「しょ……断じて違う! というかお前も成人近いのだから、その自覚を持て」

魔姫「ふぅん? どうやったら成人らしくなるのかしら?」

ハンター「そうだな……。大人としての振る舞いを身に付け……」

魔姫「わかった。店長さーん!」

ハンター「は?」



魔姫「いらっしゃいませー」

ハンター「……待て。何でお前もバイトしてるんだ?」

魔姫「大人としての振る舞いを身に付ける為よ」

ハンター「だからって何故バイト」

魔姫「1度やってみたかったのよね~。猫には内緒ね!」

ハンター「いやちょっと待て。……オイ!」

魔姫「いらっしゃいませお客様、お席はこちらになりまーす♪」

ハンター「……」

魔姫「ご注文如何ですか? はい、コーヒーと……あれっ、何だっけ」

魔姫「テーブル拭くわね~」ビチャビチャ

魔姫「え、モンブランご注文でない……。あら、どこのテーブルだったっけ??」

ハンター(いかん……。初日とはいえ駄目すぎる)

客「おい! 何だこのコーヒーのブレンドは、クソにがいぞ!」

魔姫「あらっ」

ハンター(あぁ、やらかした……)ガクッ

魔姫「申し訳ございません、お客様。すぐにお取替え致しますね」

客「待てよ、姉ちゃん。こんな濃いコーヒー飲んじまったせいで、今日は俺は眠れそうにない」

魔姫「はぁ……?」

客「だから姉ちゃんもこのコーヒー飲んで、今夜は眠らず俺に付き合ってくれよおぉ!」ヒヒヒ

魔姫「……は?」

ハンター(まずい……モンスター客だったか!)

客「いいだろう姉ちゃん、可愛いねぇ~」

魔姫「おほほお客様、ご冗談を」ゴゴゴ

客「冗談じゃねぇよ、いいからとっとと……」

ハンター「……お客様」ニッコリ

客「あん? テメェは黙って――」

ハンター「……」グビッ

客「」

魔姫「い、一気飲み……」

ハンター「……お客様。彼女の代わりに、この私がお付き合い致しますので」ニコニコ

客「い、いや、そんな……」

ハンター「私 が お 付 き 合 い 致 し ま す の で」

客「……いいや。代わりの持ってきて」ショボン



魔姫「何よぅ、私の威圧よりハンターの威圧の方が怖かったっての?」ブツブツ

ハンター「ああいう、女相手でないと強気になれない奴もいるんだ。またひとつ勉強になったな」

魔姫「ふぅん。なるほど、こうやって色んな人を知っていくのね」

ハンター「今日は頑張ったな。だが、お前がこの手のバイトに慣れるには時間がかかりそうだ」

魔姫「あー疲れたわ…。肉体的ってより精神的に」

ハンター「そう。だから大人は酔う程酒を飲むんだ」

魔姫「不健全ねぇ~。早めに寝た方がいいかしらぁ~…」フアァ

ハンター「……いや、眠るのは待て」

魔姫「ん?」

ハンター「今夜は付き合え。お前の淹れたコーヒーのせいで眠れそうにない」壁ドン

魔姫「………」

ハンター「もう一段階、大人の階段……昇ってみないか?」

魔姫「……あのオジサン客と関節キッスした口はちょっと」

ハンター「……うげぇ」

魔姫「大丈夫? 背中擦る?」

ハンター「誰のせいで……。お前、覚えてろよ」

<終わり>








猫耳ルート

わいわい

魔姫「誕生日に城で立食パーティーが開かれるなんて、流石勇者。英雄ねぇ」

猫耳「はい魔姫、料理取ってきたよ~」

魔姫「ありがとう。でも、そんな気を使わなくていいのよ?」

猫耳「なーに言ってるの。魔姫に料理を盛らせるなんて、できないよ!」

魔姫「でも、立食パーティーなんだから……」

猫耳「僕は魔姫に恥をかかせたくないんだ!」

魔姫「まぁ猫ったら」

魔姫(柄にもなく格好つけちゃって。でもまぁ、悪い気分じゃないわ)フフ

猫耳(魔姫が盛り付けたら、せっかくの料理がぐちゃぐちゃになるからね……)

魔姫「うん…一流シェフの味付けね」

猫耳「? 魔姫、もしかしてお腹空いてなかった?」

魔姫「え? どうして?」

猫耳「魔姫っていつも、凄く美味しそうに食べるからさ。今日の反応はイマイチに見えるなー、って」

魔姫「う。猫の目は誤魔化せないわね……」

猫耳「お腹空いてないなら、デザートとか……」

魔姫「だけど、まだまだ私を見る目が未熟ねぇ。私はお腹一杯じゃないし、お料理も美味しく頂いているわよ」

猫耳「んん~? ……あ、パーティーだからお上品ぶってるとか」

魔姫「私は『ぶってる』んじゃなくて、本当にお上品なのよ、猫ちゃ~ん?」ギュウゥ~

猫耳「あいたた~!」

魔姫「もー、猫。理由はひとつしか考えられないじゃない」

猫耳「いたた……。な、何?」

魔姫「普段頂いているお料理の方が、美味しいからよ」

猫耳「………へ?」ポカン

魔姫「ほら猫、早く食べないと冷めちゃうわよ」

猫耳「あ、う、うん! ……そ、そっかぁ。僕の料理が……」

魔姫(猫ったら照れちゃって。可愛いんだから)

猫耳「……あっ。新しい料理追加されたから、持ってくるねっ!」

魔姫「ありがとう~」

貴族A「魔姫様、ご機嫌よう」

魔姫「ん?」

貴族B「初めて貴方をお近くで拝見しましたが…やはり、お美しい」

魔姫「あら、ありがとう」(うん、知ってる)

貴族A「魔姫様、どうか今度行われる僕の家のパーティーにご出席下さい」

貴族B「僕たちの家は、代々国王陛下と懇意の仲であり……」

魔姫「あらー」ニコニコ

魔姫(いや知らないし。でも心なしか周囲の注目も集めちゃってるし、手ひどく振って恥かかすのも気が引けるし……)

猫耳「ま、魔姫……」

魔姫「あ、猫……」

貴族A「おや。魔姫様の確か従者の……」

貴族B「ご機嫌よう、坊や。少し魔姫さんとお話させてもらっても良いかな?」

魔姫「いえ、猫は……」

がばっ

魔姫「!? ね、猫……」

猫耳「……駄目」

貴族A「え?」

猫耳「魔姫は僕の~っ!」フーッ

魔姫「!?」

ざわざわ

貴族B「……へ? ぼ、坊やの?」

魔姫「え、えぇ。私と彼はお付き合いしてて……」

猫耳「フシャーッ」

貴族A「そ、そうですか。では」ソソクサ

貴族B「うーかゆい、猫アレルギーが……」ポリポリ

魔姫「猫、もー……貴方ねぇ」

猫耳「作戦成功だにゃー」クスクス

魔姫「!?」

猫耳「これだけ大勢の前でラブラブな様子を見せつけたら、魔姫を取ろうなんて男はいなくなるからにゃ~。これで公認だね~♪」ニコニコ

魔姫「なっ……」

猫耳「あと……魔姫は、こういうの照れるんだよね」ニーッ

魔姫「こ、こらっ……! このぶりっ子~っ!」

<終わり>






勇者ルート

勇者「お、お、俺でいいんですか!?」

魔姫「えぇ。観劇のチケット2枚頂いたから…もしかして嫌い?」

勇者「とんでもありませんっ! ほとんど見たことないけど、魔姫さんと一緒なら!!」

魔姫「そう。じゃあ明後日、お洒落して行くわ」

勇者「お、お洒落っ!?」

魔姫「そうよ。……せっかくの、ほら、デート……なんだし」

勇者「~っ……」ボロボロ

魔姫「!? な、何で泣くのよ!?」

勇者「すみません……。魔姫さんを前にすると、俺……情緒不安定なんです」

魔姫「『冷静でいられない』とか『感情を乱される』とか、マシな言い回しはないの」ガクッ



魔姫「忘れてたわ、今日は暗黒騎士シリーズの最新刊発売日だった! 売り切れてなければいいけど!」バサバサ

勇者「……」

魔姫「あら、勇者だわ。衣装屋に入ったみたいだけど……声をかけてみようかしら」

カランカラン

魔姫「勇――」

勇者「どう?」

魔姫「………」

魔姫(何、あのカラフルで目がチカチカする格好は)

店員「よ、よくお似合いですが……。うーん、組み合わせをもうちょっとですね」

勇者「そっか。服とかよくわかんないから、任せた!」

店員「ちなみに、どのような目的で着るものでしょうか?」

勇者「観劇に行く為にね!」

魔姫(明後日用だったの!? 何でサーカスみたいな服選ぶのよ!?)

店員「観劇ですか……。スーツが無難かと」

勇者「スーツは動きにくい。客の中に襲撃者がいたら困る」

店員「しゅ、襲撃者!?」

魔姫(……考えられるわね、勇者なら)

店員「なら、こちらの伸縮性素材のスーツは如何でしょうか」

勇者「ふむ……。着心地は悪くない。ただ……」

店員「ただ?」

勇者「似合わんな。俺の顔がショボすぎる」

店員「い、いえ……そんなことは」

魔姫(店員さん困らせてんじゃないわよ!」

勇者「中の下が無理してお洒落したら駄目だな。だが、魔姫さんに恥はかかせられないし……」ウーン

魔姫(別に中の下とは思わないけど……。でも、私の為に真剣に選んでくれているわ)

勇者「やっぱ勇者といえばコレっしょ! 店員さん、この鎧――」

魔姫「デートに鎧を着ていくバカがいるかーっ!」

勇者「あ、魔姫さん!?」

魔姫「騎士だって休日デートには鎧を脱ぐわよ、鎧が私服じゃあるまいし!」」

勇者「うーん、服のことよくわからなくて……」

魔姫「なら私が選ぶわ。うーん、勇者は体格がいいから……」ジー

勇者「……」ジーン

魔姫「ねぇ勇者はどっちの色が……って、勇者? おーい?」

勇者「……魔姫さんっ!」ガシッ

魔姫「な、何?」

勇者「魔姫さんに服を選んで頂けるなんて、身に余る幸せ! しかし、俺はこの通りのダサ男……。魔姫さんさえ良ければ、これからも俺の服を選んで頂けますか!?」

魔姫「え、ま、まぁ……。し、仕方ないわねぇ! この私にコーデしてもらえるなんて、貴方は本当に幸せな男よ!」

勇者「魔姫さーん。下着なんですが、綿100%のやつよりこういうの履いた方がいいでしょうかー?」

魔姫「それは自分で選びなさい!!」



勇者「魔姫さん、今日はありがとうございました!」

魔姫「沢山買ったわねぇ。いい、絶対柄物と柄物の組み合わせはやめなさいよ?」

勇者「了解です! 組み合わせたらハンターに見てもらおうかな~……」

魔姫「そこまでしなくていいんじゃない。今日買った服なら、そうそう変な組み合わせにならないだろうし」

勇者「いーえ! 魔姫さんとの記念すべき初デートなのですから、手は抜きませんよ!」

魔姫「……ねぇ勇者、ツッコんでもいいかしら?」

勇者「へ? 俺なんかボケました?」

魔姫「この状況が、既にデートだと思わない?」

勇者「」ポトッ

魔姫「……勇者?」

勇者「ぎゃあああぁぁ!! 何てことだ、魔姫さんとの初デートなのにこんなモブみたいな服でええぇぇ!!」

魔姫「いやそこまで取り乱さなくても」

勇者「着替えます! 今すぐ着替えます!」

魔姫「ここで着替えるな……物陰行っても駄目ーっ!!」

<終わり>






あとがき

いちゃラブとは何ぞや。
元は恋愛ゲームを意識して書いたssなので、どのルートもアリで御座います。
このssを本当に乙女ゲーにしたら、王子ルートとかも隠しでありそうですね。
posted by ぽんざれす at 18:20| Comment(0) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月18日

魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」/勇者ルート

本編はこちら


その少年が神童と呼ばれたのは、いつ頃からか――

魔物『ガアァッ!』

王子『ひっ!』

ダダダッ

『王子、伏せろ――ッ!!』

王子『!!』

出生、血筋――どれを取っても、彼に『特別』なものなど無かった。

『でりゃあぁ――ッ!!』ザシュッ

魔物『グアアアァァ』

だが平凡な少年は、やがてこう呼ばれるようになった。


勇者『討伐完了……立てるか?』


世界を救う英雄――『勇者』と。





魔姫「裏社会ギルド?」

ハンター「あぁ」

ハンターは朝早くこちらを訪れるなり、聞きなれない名前を口にした。

ハンター「俺たちは今、ギルドで残党狩りの依頼を行っているが……裏社会にも同様に、裏社会の人間に仕事を斡旋するギルドが存在する」

猫耳「あぁ聞いたことある。そのギルドを介して、魔物と手を組む人間もいるんだよね」

ハンター「で、だ……その裏社会ギルドの依頼書を入手したのだが……」ピラ

・討伐依頼
標的:魔姫一行
報酬:狩った獲物により変化、詳細は下記

魔姫「で、討伐報酬は……ちょっと嘘でしょ! 勇者が私より高いのはわかるけど、3倍はないでしょ3倍は!」

ハンター「俺なんてお前より3割少ないんだからな……」

猫耳「皆はマトモな額だからいいよ…。僕なんかワンコインだよ……」

魔姫「この値付けは正直納得できないけど……この値段なら、ギルドの依頼を見た連中がこぞって勇者を襲うんじゃない?」

ハンター「……それだが、既にその事態は起こっているかもしれん」

魔姫「……どういうこと?」

ハンター「今朝、勇者の家を訪れたのだが、応答がなかった。しかし扉に鍵がかかっておらず、不審に思い開けると……入口に、この依頼書が落ちていた」

魔姫「!! じゃあ、まさか……」

猫耳「勇者はギルドの依頼を受けた奴から襲撃を受けて……」

ハンター「この依頼書は、恐らくそいつが落としたものだろうな」

魔姫「大変じゃない! こんなとこでお喋りしてる場合じゃないわ!!」

ハンター「だが、勇者がどこにいるかわからん。すぐに通報したから、今頃兵士たちが勇者を探しているだろうが……」

猫耳「うにゃあ……魔姫も討伐依頼されてる身だよ。今は下手に動かない方がいいかも」

魔姫「でも……」

ハンター「勇者は強い。あいつが自力で何ともできない状況というのは……俺たちでは微力にすらならん」

魔姫「……」

魔姫(勇者……)


助手「失礼します!! ハンター様っ!!」バァン

魔姫「!!」

ハンター「助手、どうした!」

助手「勇者様が……勇者様が……ッ!!」

魔姫「……!!」





ワーワー

<まさか勇者様が……
<裏社会ギルドだって?
<物騒ねぇ……

魔姫「……」

ハンター「魔姫。気落ちするな」

魔姫「だって…だって……ッ!! 勇者が!!」

ワーワー


<キャー勇者様ー! 素敵ー!

勇者「はっはっは、ありがとう!」

<でも流石ですね勇者様!
<まさか、たった1人で裏社会ギルドを潰すなんて!


魔姫「悔しいいぃぃ!! 私達が情報を知った時には、勇者はまた1つ武勇伝を増やしていたなんて!!」

ハンター「言うな……。惨めになる」

猫耳「にゃー……ドアの鍵は締め忘れてただけなんだねぇ」


勇者「あ、魔姫さんとオマケ2人! おはようさんです!」

魔姫「勇者、あんたねえぇ!! 何か言ってから行きなさいよ、心配したでしょ!!」

勇者「えっ!! ま、魔姫さんが、俺の心配を……感激だああぁぁ!!」

魔姫「感激してないで、何で黙って行ったのか説明しなさい!!」

勇者「はい、魔姫さん! こんなタダ働きは、俺1人でチャッチャと済ませようと思ったからです!!」ビシッ

魔姫「私はお金目当てで残党狩りしてるわけじゃないのよ!! 名声独り占めなんてズルイじゃないの!」

勇者「あはは、魔姫さん何をおっしゃっているんですか。魔姫さんは世界で最も尊い女性じゃありませんか!」

魔姫「誤魔化すなあぁ――ッ!!」


ハンター「いや……誤魔化しじゃなくて本気だな」

猫耳「激怒状態の魔姫に動じないのは勇者だけだにゃー……」


魔姫「ぜぇっぜぇっ」

ハンター「勇者、裏社会ギルドの情報はどこで入手した?」

勇者「友達に聞いたんだよ。ほら俺って交友関係広いからさ」

ハンター「そうか。だが俺たちはパーティーだ、危険なことをする時は一言伝えて行け」

勇者「危険なこと……? うーん、俺にとって危険なことってそうそうないしなぁ」

ハンター「あのな……」

魔姫「よぉー…く、わかったわ」

勇者「はい?」

魔姫「勇者にとって、私達は頼りない仲間なのね! フン!!」スタスタ

勇者「あぁっ、魔姫さん! 誤解です、貴方は誰よりも強く美しく気高い!!」

ハンター「どうでもいいが、周囲に人がいるんだぞ」

<クスクス、もう勇者様ったらー



猫耳「ま、魔姫、待ってよぉ。勇者だって多分そんなつもりじゃ……」

魔姫「えぇ、そうでしょうね」

猫耳「うにゃー……そりゃまぁ名声独り占めかもしれないけど……」

魔姫「それは本気で言ったわけじゃないわ」

猫耳「だと思った。魔姫、何でそんなに怒っているの?」

魔姫「だって……」


キャーキャー

勇者「サイン? 俺にジャンケンで勝った人だけねー」

<うわー勇者様、字きたねー

勇者「うっせぇよ! 英雄様のサインだからな、プレミアつくぞ!」ハハハ


魔姫「……」

届かない。あまりにも遠すぎる。
だからこそ勇者にイライラしてしまう。これは私の身勝手――





>翌日・城前広場


猫耳「チラシ配ってた。音楽の国で祭典があるんだって」

魔姫「どんなことをするのかしら」

ハンター「昔、参加したことがあるな…。まぁ簡単に言うと音楽祭だ。その日は国中が音楽に包まれる」

魔姫「あら面白そうじゃない。人間の作る音楽は好きよ」

猫耳「オルゴールとか売ってるといいね~」

ハンター「露店が出ているはず……あ、勇者が戻ってきたぞ」


勇者「ちぃーす、お待たせ~」

ハンター「勇者。陛下からの呼び出しとは何だったのだ?」

勇者「あー。なんか、これ押し付けられた」パカ

猫耳「これは……」

勇者が開いた箱の中では、緑色の宝石がきらきら光っていた。

魔姫「み、見事なエメラルドだわ……!」

ハンター「大きさからして、俺の給料3ヶ月分くらいだな」

猫耳「勇者凄いね、良かったじゃない!」

勇者「はは……俺、宝石とかよくわからないし」

魔姫「ねぇ、これ……もしかして、ギルドを潰したご褒美じゃない?」

勇者「………え?」

猫耳「きっとそうだよ。だってあれだけ大きなことをしておいて、報酬ナシは割に合わないもん」

ハンター「褒美だと言えばお前は拒否するだろうから、押し付けたんだろうな」

勇者「………」

魔姫「素直に受け取っておきなさい。褒美を突き返されちゃ、王様の面目丸つぶれよ」

勇者「そういうことなら……魔姫さん、受け取って下さい」

魔姫「……え?」

猫耳&ハンター「!?」

勇者「この宝石が相応しいのは、俺ではなく、貴方だ。魔姫さんならこの宝石を、より輝かせられると思うんだ」

魔姫「う、受け取れないわ! だってギルドを潰したのは貴方であって……」

勇者「魔姫さんが狙われているんじゃなかったら、俺は裏社会ギルドまでたどり着けなかった。だから…魔姫さん、受け取って下さい」

魔姫「~っ……」

ハンター「くっ。宝石プラス口説き文句……見事に女のツボを突いてやがる!」

猫耳「うにゃあ……! 魔姫が陥落する……ッ!!」

勇者「はい、魔姫さん。俺が持ってても、引き出しの奥底で眠らせるだけなんで」グイ

魔姫「あ……ありが、とう……」

勇者「どういたしまして」ニコ

ハンター「……勝てる気がしない」ガクッ

猫耳「実力で得られるものは大きい……ッ!」ガクッ

勇者「あ、猫耳! それ、音楽の国の祭典のチラシじゃん! 俺、あの祭典好きなんよ~!!」

猫耳「あ、うん。面白そうだな~って皆で話してたの」

勇者「面白いぜぇ~。夜のダンスパーティーなんか、最っ高にムードあって!」

魔姫(ダンスパーティー……)


~魔姫の頭の中~

魔姫「私、ダンスは得意なのよ。一緒に踊ってくれる殿方がいれば、喜んで参加するのだけれど……」

勇者「魔姫さん……俺は立候補できない。貴方のような美しくて完璧な女性と踊るなんて、俺には……!」

魔姫「構わないわ、勇者」

勇者「えっ!」

魔姫「素敵なエメラルドを頂いたんですもの。そのお礼だと思いなさい」

勇者「お、おおぉ……! 感激だあぁ、美しくて完璧な魔姫さんとダンスができるなんて!!」

~終了~


魔姫(……な~んてね! た、ただのお礼だし!)

魔姫「ねぇ、勇」

勇者「よし! じゃあ行こうぜ、全員で!!」

魔姫「………」

勇者「俺、こう見えてダンスは得意なんだよな~。阿波踊りってやつ! あ ホイサホイサ~ってね」

ハンター「……おい勇者、後ろ見ろ」

勇者「へ?」クルッ

魔姫「おほほ、当日楽しみにしてるわね~」ゴゴゴゴ

勇者「あ、はい! 俺も楽しみにしてます、魔姫さん!」

ハンター(と、鳥肌が……!)

魔姫「じゃあね。帰るわよ猫」ゴゴゴゴ

猫耳「う、うん……」


勇者「魔姫さん、お腹空いたのかねー?」

ハンター「……お前がモテない理由がよくわかった」





>屋敷


魔姫「もーっ、やっぱり勇者腹立つーっ!!」ジタバタ

猫耳「喧嘩はハンターとの方が多いのにね。どこが腹立つの?」

魔姫「何か……悔しいの~っ! 強いくせに天然で心広くて無欲で、何なのよっ!!」

猫耳「あー……それは嫉妬だねぇ。劣等感だよ」

魔姫「あぁもう、何で私が嫉妬しないといけないのよっ! 勇者めっ!」

猫耳「可哀想な勇者……。好きな女の子に張り合われるなんて……」

魔姫「好きな女の子ぉ~?」

猫耳(あっ!! ヤバッ!!)

魔姫「だったらねぇ、ちゃんと口説きなさいよね! あいつがやってる賞賛は、ただのミーハーよ! 肝心な時にチャンス逃すんじゃないわよ!!」

猫耳「……え?」

魔姫「何なのよぉ~……あれが草食系ってやつなの~……?」ウーン

猫耳「……ねぇ、魔姫」

魔姫「何よ」

猫耳「もしかして……気付いてる? 勇者の気持ち……」

魔姫「あんなに露骨なの、気付かない方がどうかしてるわよ」

猫耳(だよねー)

魔姫「だけど気持ちがあるだけじゃ、駄目なのよ……」

猫耳「勇者は行動もしてるよ。魔姫を守る為にギルドを潰したり、宝石をくれたり……僕やハンターじゃ、できないよ」

魔姫「……そうなんだけどね」

素直に喜ぶことができない。
そればかりか、悔しいという気持ちが一杯で。

こんなにして貰って素直に喜べないなんて――そんな自分がワガママでイヤになる。


猫耳「魔姫はワガママだにゃ~」

魔姫「~っ…自覚してても、言われるのは腹立つわねぇ……」

猫耳「僕は魔姫のワガママに慣れてるけどさぁ…勇者はいつまで辛抱できるかにゃ~?」

魔姫「……どういうことよ」

猫耳「勇者の周りには、優しくて素直で勇者を好きな女の子が沢山いるよ。好きな子がいつまでもつれなかったら、誘惑に乗るかも……」

魔姫「初耳なんだけど! 勇者を好きな女の子が沢山!?」

猫耳「そりゃ世界的な英雄で、交友関係も広い勇者だからにゃ~」

魔姫「~っ……」

猫耳「本人は激ニブだから気付いてないかもしれないけど、それなら女の子達だってアピール方法変えてくるだろうし……」

魔姫「……何が言いたいの」

猫耳「さぁ?」ニコ

魔姫「わかったわよ! ちょっと出かけてくるわ!」

猫耳「行ってらっしゃ~い♪」





>勇者の家の前


魔姫(とはいえ、行って何を言うべきか……)

魔姫(あら無用心ね、カーテン開きっぱなし……って、勇者?)


勇者「………」

兵士「………」


魔姫(兵士と何か話してるわ。後にした方がいいかしら)


勇者「………!!」


魔姫(……? 何か深刻そうね……?)


勇者「じゃあ……悪魔王は生きてるのか!?」


魔姫「……っ!?」


兵士「それは何とも……ですが城の司祭が、奴の気配を強く感じると言っており……」

勇者「わかった、俺が行く。杞憂でないなら、何か起こる前に叩かないとな」

兵士「お仲間に知らせなくてよろしいのですか?」

勇者「あぁ、俺1人でちゃっちゃと済ますよ」ガチャ

タッタッ……


魔姫「……」

魔姫「何よ、それ……。冗談じゃないわ、また置いてけぼりにされてたまるもんですか!」





>城


勇者「敵の気配はないな」

兵士「はい、侵入の形跡もありません。しかし相手が悪魔王ともあれば、もしかしたら……」

勇者「悪魔王を倒したバルコニーに行ってみる。他の奴らは避難していてほしい」

兵士「ですが、援護は……」

勇者「援護はいいや。俺は協力して戦うってのが苦手なもんで、任せてほしい」

兵士「かしこまりました。健闘を祈ります」



勇者「さーて……確かここだったな、悪魔王をブッ殺したのは」

"ククク……"

勇者「!!」バッ

勇者(黒いもや……これは悪魔王の……!)

勇者「悪魔王!! お前なのか!」

"………"

勇者「……?」

"………!!"バッ

勇者「わっ!」ヒョイ

シュバババッ

勇者(くっ、俺に明確な殺意を持ってやがる……あの時仕留め損なってたのか!)

勇者「だとしたら俺の責任だな……今度こそ、仕留めてやるよ!!」バッ


ばさばさっ

魔姫(勇者が戦ってる…! あのもや、悪魔王の力を感じるわ)

魔姫(そういえば、死後に"呪い"を産む魔物が稀にいるけど……悪魔王も、そうだったのね)


勇者「でりゃあぁ――っ!」ズバッ

勇者「はんっ! 悪魔王ごときが俺に一矢報いようなんぞ、百万年早――」

ビュンッ

勇者「うわっ!!」

勇者「はー……流石に数が多いな。切るだけの単純作業じゃ飽きるんですけどー!」


魔姫「なら、手伝いましょうか?」

勇者「わわっ!? 魔姫さん!?」

魔姫「また1人で動いたわね。後でお説教よ」

勇者「魔姫さん、危険です! 早く避難を――」

ビュンッ

魔姫「お断りよっ!!」バチバチイイィィッ

勇者「……っ!」

魔姫「貴方、やっぱり私達を信頼していないの? こういう時はね――」

勇者「魔姫さん、伏せてっ!!」

魔姫「……えっ?」

ビュンッ

魔姫「!!」

魔姫(嘘……私の魔法攻撃じゃ、倒せてなかっ……)

勇者「このーっ!」バッ

魔姫「!!」

ブォンッ

勇者「……っう!!」

魔姫「勇者、大丈夫!?」

勇者「だ、大丈夫……! それより敵は全滅していない。魔姫さん、上に避難していてくれないっすか」

魔姫「けど……」

勇者「頼みます! 後で、いくらでも説教は聞くんで!」

魔姫「……わかった」


勇者「おらあああぁぁぁ!!」


魔姫(……情けないけど、私では勇者の足を引っ張るだけだわ)


勇者「ハァ、ハァ……これで最後だ……。でりゃあぁっ!!」

ズバッ――

勇者「はぁ…終わった……」

魔姫「勇者、お疲れ様。ごめんなさい、邪魔をして……」

勇者「はは、いいんすよ。ふぅ…数が多くて気が滅入ってたけど、魔姫さんのお顔を見れたお陰…で……」ガクッ

魔姫「勇者!?」

勇者「だ、大丈夫、です……。疲れているだけだから……。ハァ、ハァ」

魔姫「ゆ、勇者。その腕……」

勇者「ん……っう!?」


魔姫(勇者の左腕は、黒いもやに覆われていた――そこは勇者が攻撃を喰らった部位。嫌な予感がした)





>勇者の家


勇者「ハァ、ハァ……」

猫耳「うにゃー……勇者の顔色がどんどん青白くなっているよ……」

助手「……」

魔姫「ど、どう、助手……」

助手「……まずいことになりましたね」

ハンター「どうまずいのだ?」

助手「今回発生したもやは、悪魔王の死後に発生した呪いです。呪いそのものに意思はないものの、本能的に勇者様に襲いかかったのでしょう」

魔姫「単刀直入に聞くけど、勇者の腕はどうなってしまうの?」

助手「……悪魔王の特性を覚えていらっしゃいますか?」

魔姫「悪魔王の……?」

助手「奴は王子様に憑依し、身柄を乗っ取った。そして勇者様の腕も……悪魔王に侵食されています」

魔姫「!!」

ハンター「では…侵食が進めば、勇者が悪魔王に身柄を乗っ取られるのか!?」

助手「今は勇者様の強靭な精神力で、それを食い止めていますが……。それが限界に来れば、恐らく……」

猫耳「そんな……」

魔姫「……っ」

魔姫(わ、私のせいだわ……私が出しゃばらなければ、勇者は……)


勇者「はは。皆、何そんな悲壮感醸し出してるんだよ。心配ないって!」

魔姫「……!」

ハンター「勇者、お前は話を理解して……」

勇者「理解した。このままだと俺、王子の二の舞になるわけだろ?」

ハンター「わかっているなら、何故そんなにお気楽なんだ……!」

勇者「まだ、全身乗っ取られてねーもん。でも、駄目そうだったらさ……」チャキ

猫耳「!! 勇者、剣で何を……」

魔姫「――っ!! やめて勇者! それだけは!!」ガシッ

勇者「……魔姫さん」

ハンター「お前……今、自害しようとしていたのか……?」

勇者「ちげーし。腕を切り落とそうかとね」

ハンター「……っ! 俺たちの見ている前でやるとは、悪趣味な奴だな!」

猫耳「か、関係ないよぅ……。僕たちがいようがいまいが、そんなことやめてよ……」グスグス

勇者「わり。まぁ、そこまで気を落とすなよ」ハハハ

魔姫「……ごめんなさい、勇者………」

勇者「ん?」

魔姫「私のせいで、こんなことに……! どんな形になってもいいから、絶対に償うから!!」

勇者「……頭上げて下さい、魔姫さん」

魔姫「……勇者?」

勇者「償いなんて、必要ない。俺は勇者として生きると決めた時から、どんな命運も受け入れるって決めていました。魔姫さんにそんな顔をさせてしまうことの方が、遥かに俺の心が痛みます」

魔姫「勇者……」

勇者「心配しなくても、俺はそう簡単に侵食されませんから。むしろ根気で勝負して、呪いを追い出してやりますよ!」アハハ

ハンター「根気も何も、呪いに根性などないのだが……」

魔姫「……」クルッ

勇者「……ん、魔姫さん?」

魔姫「………」スタスタ

勇者「あちゃー……魔姫さん泣かせちゃった? 俺、何かまずいことでも言ったかなぁ……」

ハンター「あいつ……」タタッ

猫耳「魔姫……」



ハンター「おい待て!」

魔姫「……何」

ハンター「いや、確かにお前に非はあるが……。お前が自分を責めるのは勇者にとって本位ではない。だから……」

魔姫「慰めなんかいらないわ。それに私……別に泣いてないわよ」

ハンター「そうか……」

魔姫「私は、怒ってるのよ」

ハンター「……は?」

魔姫「ちょっと行ってくるわ! くれぐれも、勇者が変な気起こさないように見張ってて!」バサッ

ハンター「あっ、おい!? どこへ行く!?」


魔姫(呪いの進行を食い止めるには……あれしかないわ!)



ハンター「全く、あいつは何を……なぁ、勇――」

勇者「ハァ、ハァ……」

ハンター「……!? おい、俺が部屋を出てる少しの間に、何があった!?」

勇者「何でもねぇ……ちょっと気が抜けたんだよな……。ハハ……」

猫耳「魔姫の前では、無理していたみたいで……」

ハンター「勇者……何故、そこまで……」

勇者「うーん、何でだろうなぁ。でも理由を言うとしたら――」

こんな気の使い方、魔姫さんは気に入らなくて――きっと俺は、ますます嫌われるだろうけど――


勇者「魔姫さんのこと――好きだから」





>魔王城


魔姫「……ここへ来るのは久しぶりね」

父が倒されるまで、ずっと住んでいた城――懐かしくもあるが、今は思い出に浸っている場合ではない。
迷わずに真っ直ぐ大広間に向かい、立ち止まった。

魔姫「城に眠る亡者の魂よ、私の声を受け入れよ――"開け"」

ゴゴゴ……

魔姫(魔王城の隠し扉。お父様亡き後、この城を探索した人間には見つけられていないようね)

魔姫(この先にある空間は――異世界。お父様には絶対に入ってはいけないと言われていたけど――)

魔姫(ここまで来たら、行くしかないわ!)ダッ

ブオオオォォン

魔姫「うぅん……異世界トリップ、話には聞いてたけど酔うわね……こう、空間がぐにゃっとねじれるような感じが……」

魔姫「……って」


<グオオオォォォ
<ピギャーピギャー
<フワアァンフワアァン


魔姫「う……」タジッ

魔姫(ここに潜むのは魔物ではなく、"異形"……異形の世界なら、私でもアウェイ……)

魔姫(けどひるんでいられないわね……『あれ』がここにあるのは知っているのよ)

<キョエエエェェ

魔姫「っ!」バッ

<ヒョヒョヒョヒョ
<プギャープギャー

魔姫「やっぱりねぇ……探し物ひとつ、そう簡単にできないと思っていたわ。ま、確かに異物を排除するのは生物の本能でしょうね」

<ピュルピュルルルル

魔姫「何言ってるかわかんないわよ。この世界を探索させてもらうわ」バサバサッ

<ヒョゲアアアァァァ!! バッ

魔姫「せりゃああぁぁぁ!!」バチバチバリイイィィッ

<ゴアアアァァァァァ!! バタバタッ

魔姫(数は多いけれど、1匹1匹は大したことないわね。これなら……)

魔姫「悪いけど、侵略させてもらうわ! 私は魔王の末裔だからねっ!!」バチバチッ

<グパアァッ バッ

魔姫「遅いの……よっ!!」バキィ

<ゴフッ

――ゴオオオォォッ

魔姫「――っう!」

<ヒョゴォ! ボコッ

魔姫「痛っ……!!」

魔姫(こんな、モロに物理攻撃喰らったの久しぶりだわ……! けど……)

<グオオオォォォ
<ピギャーピギャー
<フワアァンフワアァン

魔姫(ひるんでる場合じゃないわね……!!)ヨロッ

魔姫「上等……! これくらいの痛みは喰らっておかないと、償いにはならないわね!!」





魔姫「せやあぁ――っ!!」バチバチィッ

<グアアアァァ バタッ

<ギュルルル
<ゴルルルル

魔姫(全く、次から次へと……! 早く目的のものを……!)

ヒュー……サラサラ

魔姫「……! あの木は……」タッタッ ブチッ

魔姫(この手触り……間違いないわ。これが『呪詛の実』ね)

<グオアアァァァ!! バキィ

魔姫「きゃああぁっ!!」ドサッ、ズザザー

魔姫「いったた……」ヨロ…

<ゲギャアアァァ

魔姫「悪いけど、もうこの世界は用済みなのよ! バイバイ!!」バサバサゥ

ヒュンヒュンッ

魔姫(って言って、わかりましたバイバイって言ってくれる相手じゃないわね……まぁいいわ、ひたすら逃げるだけよ)ササッ

魔姫(あとは、この実を勇者の元に――)

バッ

魔姫「!! 追いつかれ――」

バキイイイィィッ

魔姫「――っう!!」

ドサアアァァッ

魔姫「いった……あ、でも。殴り飛ばされた衝撃で、元の世界への出口まで飛ばされたわ」

魔姫「とにかく今は、この世界を出なきゃ……」ズルズル





勇者「うぅん……」

ハンター「苦しそうだな……助手、経過はどうだ?」

助手「侵食が広がってきましたね……。流石の勇者様でも、精神力に歪みが出ているようで……」

猫耳「勇者、負けたら駄目だよ! 勇者は、悪魔王なんかに負けないんだ!」

ハンター「俺たちはお前を信じているんだ。……勿論、魔姫もな」

勇者「う、うぅ……魔姫、さん……」

猫耳「そうだよ、魔姫のこと好きなんだろ!? だったら諦めないで!」

ハンター「これを乗り切ったら……癪だが、お前の恋を応援してやるよ」

勇者「う、うぐぐ……ハァ、ハァ……」

猫耳「うにゃあ……魔姫がここにいれば……」


バァン


魔姫「ただい……ま……」

猫耳「あっ、魔姫!? どこに行――」

ハンター「お、お前!? 何だ、そのボロボロの姿は!?」

魔姫「何てことないわよ……それより、これ……」

猫耳「この実は……」

助手「……呪詛の実」

ハンター「な、何だ。その呪詛の実というのは」

助手「食べれば、一定時間だけ"呪い"の力を得ることができる実ですよ。魔姫様、それをどうなさるおつもりで……」

魔姫「こうするのっ!」

パクッ ゴクリ

猫耳「っ!?」

ハンター「飲んだ!?」

助手「まさか、魔姫様……」

魔姫「毒には毒! 私の呪いの力で、悪魔王の呪いを追い出してやるのよ!」

ハンター「何て無茶苦茶な……。だが、何もやらないよりはマシか」

猫耳「魔姫! 勇者を救ってね!」

魔姫「えぇ!」


魔姫「勇者、ちょっと苦しいかもしれないけど…ごめんねっ!」

勇者「うぅっ!! んぎゃあぁっ!」

助手「勇者様の体内で、呪いの力がぶつかり合っている……これは……」

勇者「がひゃああぁ――ッ!!」ジタバタジタバタ

魔姫「くっ、悪魔王の呪いはやっぱり根強いわ……!!」ブルブル

ハンター「おい、お前も勇者もヤバいじゃないか! やめろ!」

勇者「ぐぎぎ……だっ、大丈夫だから……!!」

ハンター「勇者!?」

勇者「それよりハンター……俺のこと、抑えててくれ……!! 多少、殴ってもいい!!」

ハンター「勇者……くっ、わかった!」

勇者「ありが……んぎゃああぁぁ、あっ、ああぁ――ッ!!」

魔姫「……っ!!」ブルブル

猫耳「魔姫……」


魔姫(付け焼刃の力で、悪魔王を追い払うのは難解……)

勇者「んっ、んんっ……はぁっ、はぁっ」

魔姫(くっ。やっぱり……私じゃ、駄目なの!?)


"俺は、魔姫さんを信じる……"


魔姫「……え?」


"魔姫さんの努力を無駄にしない……俺は絶対に、悪魔王を追い払う!"


魔姫「……」

魔姫(勇者の、声?)

勇者「ぐぎぎ、あああぁ……!!」

魔姫(勇者は私を信じて、意思の力で悪魔王を拒絶してくれている……)

勇者「あああぁ、んああぁ、お、おぉ……んっ!!」

魔姫(だったら、私が諦めるわけにはいかない!!)


"悪魔王、テメェ……"


魔姫(勇者の、心の声が聞こえる)


"王子の体を弄んだ上、テメェは……!"
"魔姫さんのことまで苦しめやがって! 絶対に許さねぇからな!!"
"今度こそ、お前を滅ぼしてやる! お前はもう1度、俺に殺されるんだ!"


魔姫(こんな時にまで、自分のことは後回し……バカね、本当に)

魔姫(私、貴方のそういうところ大嫌い。何だか腹が立つのよ)

魔姫(だけどね――)


勇者「ぐぐ……負ける、もんか……ッ!!」

魔姫(そうやって溢れ出る、貴方の男気が、私――)


猫耳「い、今、どんな状態なの!?」

助手「少しずつですが、悪魔王の呪いが弱まっています。……しかし」

猫耳「しかし?」

助手「勇者様の精神力が限界に近い……勇者様が気を失っては、形勢逆転に――」


勇者「ハァ、ハァ――」

魔姫「あと少し……あと少しなのに……ッ!!」


"俺――絶、対に、諦め――"


魔姫「そうよ! 諦めるんじゃないわよ……ッ!!」

勇者「んっ、ハァ……」


"悪魔王の、好きには――魔姫、さん――……"


魔姫「……っ!」


"――俺、魔姫さんの……こと――……"


魔姫(そんな、最後の言葉みたな――)

勇者「…はぁっ」カクン


"魔、姫さんの、こと――……好――"


魔姫「――勇者っ!!」

勇者「え――っ!?」


ハンター「……!」

助手「魔姫、様……」

猫耳「え、嘘……き、き……」


魔姫「――」

勇者「………」

勇者(魔姫さんの、唇が………)

魔姫「……ハァッ。勇者」

勇者「ま、魔姫、さん……」ブルブル

魔姫「そう簡単に、諦めるんじゃ……」

勇者「んがあああぁぁ――ッ!!」ゴオオォォォ

魔姫「!?」

猫耳「!?」

ハンター「!?」


勇者「……フゥッ」

助手「………悪魔王の呪いが、消え去りました」

勇者「はー……スッキリ!」

ハンター「は? ……そんなに簡単な話だったのか?」

猫耳「……う、うん、良かったね! おめでとう!」

勇者「ありがとう!」

魔姫「ちょっ……何よ、このドラマ性のない終わり方は!? せっかく人前で……ちょっと勇者ぁ!」

勇者「魔姫さん、ありがとうございます! 魔姫さんの祝福を受けたなら、俺は神をも越えられますよ!」

魔姫「あっさりしすぎなのよ! もうちょっとねぇ……」

勇者「あ……すみません、魔姫さん。フワァ……」

魔姫「え?」

勇者「急激に眠気が……。ちょっと寝かせて下さい」

魔姫「え、ちょっ、待ちなさい、話はまだ……」

勇者「グガー」

猫耳「寝つきがいいねぇ。そういえば昨晩から寝てなかったもんね」

ハンター「……モテないわけだ」ハァ

魔姫「~っ……」

魔姫「やっぱり、勇者なんか嫌いーっ!!」





魔姫「……はぁ」

魔姫(良かったけど……何か、もやもやする)

魔姫(勇者って本当に何なのよ……わけ、わかんない)


勇者「ご心配おかけしました、魔姫さん!」

魔姫「!」

勇者「お陰で気分爽快、スッキリです! 魔姫さんは俺の命の恩人だぁ!」

魔姫「……そう、良かったわ」

勇者「それより、魔姫さんお怪我は大丈夫ですか!? さっきは朦朧としてたけど、ボロボロだったじゃないですか!」

魔姫「大したことないわ……。助手の回復魔法で何とかなる程度」

勇者「そうですか、良かったー……。魔姫さんの体に傷でも残ったらどうしようかと」

魔姫「……元々は、私のせいなのよ! バカなんじゃないの!」

勇者「へ?」

魔姫「私が怪我をしたのは自業自得! 貴方は私のせいで呪われた被害者! わかってるの!?」

勇者「えー、と……。呪われたのは悪魔王のせいであって……」

魔姫「ずっとそうよね、貴方は私を少しも責めない! 貴方の好意は好意じゃなくて、盲目的信仰なのよ! 嬉しくないわ!」

勇者「……魔姫さん、怒ってます?」

魔姫「怒ってるわよ、ずーっとね!」

勇者「そっかー……無自覚で怒らせるなんて、駄目だなぁ」ハハ

魔姫「何で笑うのよ!」

勇者「だって……俺は"勇者"だから」

魔姫「!」

勇者「誰かの為に戦って、誰かを守って、誰かの為に傷ついて……俺はそれが嫌だと思ったことないから。でも、魔姫さんはそんな俺が嫌なんですね」

魔姫「嫌……っていうか、理解できない。どうして、そういう風に思えるの」

勇者「どうして……。うーん。その答えは俺にもわからないけど、これだけは言えます」


勇者は自信満々の顔で言った。


勇者「俺は特別な出生も血筋もない、平凡な人間でした。そんな俺が"勇者"になれたのは――その価値観のお陰だと思っています」

魔姫「……やっぱり天才って変な人が多いわね。貴方は大の変人よ」グスグス

勇者「……魔姫さん、泣いてます?」

魔姫「何で、貴方なんかの為に泣かないといけないのよ……。私は、自分が許せないのよ……。貴方が、私を責めてくれないから……」グスッ

勇者「うーん……どうしたことか。魔姫さんを責めるわけにはいかないし……」

魔姫「私に聞いてどうするのよ! バカッ!」

勇者「う、うーん……」


勇者はバカ。
比べたくないけど――猫やハンターなら、もっと上手く対処してくると思う。

こうやって、鈍感で、裏表がなくて――そういう勇者だから、私はきっと――


勇者「……魔姫さん! 約束します!」

魔姫「――え?」

勇者「俺はもっと強くなります! で、魔姫さんを守れて、俺自身も傷つかないような! そんな男になります!」

魔姫「………」


わかってない。根本的に、わかってない。もう本当に、バカ。


魔姫「ふ、ふふ……」

勇者「……魔姫さん? 何か可笑し――」

魔姫「ふざけんじゃないわよーっ!! 私は守られヒロインじゃないのよっ!!」

勇者「うわあぁ!?」

魔姫「……でも、そうね」


行儀が悪いと思いつつ、私はビシッと勇者を指差した。


魔姫「……負けないから、勇者。私――貴方に並べるようになってみせるわ」

勇者「……はい?」ポカン

魔姫「でも、そう簡単に追い越されるんじゃないわよ! じゃないと、惚れ甲斐がないからね」

勇者「えーと、むしろ俺が魔姫さんに並べる男になる方が……って、ん? 惚れ、甲斐……?」

魔姫「ぐだぐだうるさい!」グイッ

勇者「――えっ」


チュッ


勇者「」

魔姫「……まずは一勝、ね」ニヤリ

勇者「ま、ま、魔姫さん……」ブルブル

魔姫「何よ」

勇者「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ」ゴオオォォォ

魔姫「!?」

勇者「落ち着いていられねええぇぇ!! 恥ずかしいいいいぃぃ!!」ダーッ

魔姫「あっ、ちょっ!? 待ちなさい!」


とことんバカ。……こっちが追いかけられているんだか、追っているんだか、わかりやしない。
だけど――


勇者「俺は……魔姫さんのこと、好きだぁ――っ!!」

魔姫「知ってるわよ、バカーっ!」


こんなバカに惚れた私も、ウルトラ級のバカ女。
これから前途多難だとは思うけれど……。


魔姫「絶対に捕まえてやるんだから! 覚悟しなさいよっ!!」


Fin



あとがき

本編で最も魔姫とフラグ立ってない男だったので、苦労しました~…。
ステータスが強さに全振りで他はアレですが、基本的には善意の人です。

乙女ゲーssでも言ってましたね、「勇者はどのルートでもいい人」と。……いい人止まりとか言ってはいけない。

男3人の中で唯一魔姫より強いんですが、魔姫は素直に守られてくれる子じゃないから難儀ですね!
posted by ぽんざれす at 13:10| Comment(0) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月07日

魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」/猫耳ルート

本編はこちら


>朝


魔姫「ふぁあぁ~……」

魔姫「あ……。つい、早起きしちゃったわ。今日は特に何もないんだっけ……」

魔王軍の残党狩りを初めて早くも半年。
私達の活動は実を結び、最近は人間に危害を加える魔物もグッと減った。

魔姫「それじゃ二度寝決定ね。おやすみ~……」

ホカホカ……

魔姫「ん~? いい香りね~……」

トントン

猫耳「魔姫~…まだ寝てるのかな?」

魔姫(あ、猫。ゴメンね、私はもう少し寝ていたいの)

猫耳「寝てるなら仕方ないにゃー。せっかく、新作の紅茶を淹れたのに……」スタスタ

魔姫「おはよう、猫っ!!」バーン

猫耳「おはよう。ちゃんと、服に着替えてから来てね?」ニコ





魔姫「この紅茶いいわね~、クセになりそう♪」

ハンター「……俺には違いがわからん」

勇者「俺はわかりますよ! 魔姫さんが紅茶好きだから、俺も色々と勉強してるんです!」

ハンター「砂糖を入れないと飲めないみたいだがな」

勇者「美味しく飲めればいいんですぅー!!」

魔姫「ところで今日は非番よね。どうして2人とも、うちに来たの?」

勇者「そうだ! 魔姫さん、海行きませんか!!」

魔姫「海……?」

勇者「そーそー、海! たまにはパーッと遊ぶのもいいと思って!! な、ハンター! 助手も誘ってさ!」

ハンター「俺はバイトしようと思ったが……ま、まぁ、付き合いも大事にしないとな」

魔姫「今月は音楽の国でのお祭りもあるのよねぇ。海かぁ……」

勇者「あっ! もしかして魔姫さん、泳げないとか!? 大丈夫! 浮き輪もあるし、何なら俺が教えますよ! それとも日焼けですか!? いいオイルが」

ハンター(がっつきすぎだ、勇者!)


猫耳「スコーン焼けたよ~」トタトタ

魔姫「あらありがとう。ねぇ猫、海ってどう?」

猫耳「うーん……僕、泳げな」

勇者「大丈夫! 浮き輪もあるし、何なら俺が」

ハンター「落ち着け勇者」

魔姫「そういえば、昔は水遊びやったわね。ほら、魔王城の中庭に噴水があったじゃない?」

猫耳「うにゃー……思い出してきちゃった……」

魔姫「猫ったら水が苦手なものだから、足までしか入らなかったのよね~。それを私が猫にしがみついて引きずり込んで……」クスクス

猫耳「笑い事じゃないよ~。あれだけ密着されたら抵抗できないし……」

勇者「ね~こ~み~み~」

ハンター「俺が許す…やれ!」

猫耳「え、な、何?」ガクブル

魔姫「あ。私、水着持ってないわ」

勇者&ハンター「「何っ!」」ガーン

魔姫「残念ねぇ、海で遊ぶのも面白いと思ったんだけど……」

猫耳「あるよ、水着」

魔姫「え?」

猫耳「可愛いの見つけたから衝動買いしてたんだよね。デザイン気に入るかわからないけど……」

魔姫「猫のセンスなら大丈夫でしょ。海、行けるわね」

勇者「よくやったぞ! グッジョブだ、猫耳!!」グッ

ハンター「今ほどお前を有能な猫だと思ったことはない」

猫耳「うん、皆で遊ぶのも楽しいよねぇ」

魔姫「でも、サイズ大丈夫?」

猫耳「大丈夫だよ、僕は魔姫のサイズちゃんと把握し」

勇者「やっぱ許さん!!」ギュウゥ

ハンター「それではすぐに落ちる、なるべく長く苦しませろ!」

猫耳「フギャアアァァ!!」ジタバタ





>海


ザザザザザー


魔姫「急な雨ね」

猫耳「急な雨だね」

助手「急な雨ですね」

ハンター「……タイミングの悪い」

勇者「チッキショオオォォォ!!」ガクッ

魔姫「仕方ないわね。海辺のお店でお茶でも頂こうかしら?」


勇者「ううぅ……せっかくの計画が……」ヨロヨロ

ハンター「また次の機会を待つか……」


猫耳「魔姫、助手、水着着てよ」

勇者&ハンター「「!!!」」

魔姫「どうしてよ」

猫耳「2人の水着姿を見れるチャンスなんて、そうそうないじゃない。せめてもの雰囲気作りで、ね?」

魔姫「そんなに見たいわけ、私達の水着姿?」

猫耳「うん!!」ニコッ

魔姫「もう、仕方ないわねぇ」

助手「それでは、あちらの更衣室で着替えてきましょう」スタスタ


ハンター「フン…上手いこと言うじゃないか、猫耳」

勇者「よっ、この天然スケベ~!」ナデナデ

猫耳「ス、スケベ!? そ、そんなつもりじゃ」アワワ

勇者「赤くなるなよ、こいつぅ!」ギュウゥ

ハンター「ふっ……1人だけ純情ぶるのは許さん」

猫耳「ギニャアアァ、どうしてこんな目に遭うワケェ~!!」ジタバタ


<ギャーギャー


魔姫「何かうるさいわねー。ま、男3人仲悪いよりはいいわね」

助手「このメンバーでいると、ハンター様は活き活きとされています」

魔姫「そう、私もよ。友達とワイワイやってた思い出がないから、今はとても楽しいわ」

助手「そうでしたか。魔王城では、勉強漬けだったとか?」

魔姫「いえ、違うのよ」





魔王城にいた頃は――人間達との争いや、定期的に起こる反乱で、国は荒れていた。
その為、魔王の一人娘である私は安全性を重視され、外に出ることは許されてこなかった。

魔姫『息が詰まるわ! 他の子は自由に遊んでいるのに、私だけダメなんて!』

魔王『仕方ないのだ……姫が外に出れば、必ず姫に危害を加えようという者が現れる』

魔姫『どうして私はお父様の娘に生まれたのよ! 毎日こんなんなら、お姫様になんてなりたくなかったわ!』

魔王『姫……』

今となってはひどいことを言っていたと思うけど――子供の頃の私は、自由が欲しかった。

<あはははっ
<ふふふっ

魔姫『……』

魔姫(いいなぁ)

毎日、外で遊ぶ子供達を眺めていた。同じ国、同じ世界にいるというのに、その子達の存在はまるでファンタジー。
外で遊ぶなんてのは、私にとって遠い世界での話のようだった。





助手「そうだったんですか……確かに、時代が時代でしたからね」

魔姫「私ってワガママで好奇心旺盛だったからね……お父様、かなり苦労されたと思うわ」

助手「子供にとっては当然の不満ですよ。……あ、でも、猫耳さんがいらっしゃいましたよね」

魔姫「あぁ、猫ね。あの子と出会ったのは5歳くらいの頃かしらね」





『西部はほぼ壊滅状態だ……くっ、悪魔王め!』
『こんな時に反乱を起こすなど……』
『大きな痛手だぞ! 悪魔王、許さん!』

魔姫(どうしたのかしら)

大人たちがバタバタしていたのは覚えている。
外の世界を知らない私にとっては、まるで他人事だったけれど。

『生き残りの子供を保護したぞ! どいてくれ!』バタバタ

魔姫『んっ?』クルッ

不意に振り返ったその時――その魔物が抱えていた存在が目に入った。

魔姫(あっ……)

私はその時、初めて間近で小さな子供を見た。
だけどその子は、傷だらけで、土まみれで――その時は顔がよく見えなかった。

私はその子を追いかけて、すぐに医務室に飛び込んだ。

魔姫『ねぇ……』

と、声をかけようとしたら――

魔姫『――』

ベッド上に寝かされたその子はぐったりしていた。
正に、虫の息。
外の子達とは違う。弱い存在。儚い命――幼心に、そんなものを感じた。

『やはりダメかもしれない……この幼い体が、悪魔王の技に耐えられるわけが……』

魔姫『ダメ!』

『! 魔姫様……』

魔姫『お願い、その子を助けて! 治してあげてよ!』


まだ『死』という概念をはっきり知らない私だったけれど、それでも彼を救わないといけないということだけは強くわかった。
ともかく、医師、薬師、魔法使い――あらゆる治療のプロが手を尽くし、彼は1週間後に目を覚ました。


猫耳『………』


その子が、猫耳だった。





助手「そんな出会いが……」

魔姫「あぁ……猫には、本当にひどいことしたわ」ハァ

助手「? 何か」

魔姫「あの子、事件で家族も友達も皆失って……心に傷を負っていたのよ。それで、体が治った後もなかなか心を開かなかったんだけれど……」

助手「そうでしょうね……」

魔姫「私ってばお構いなしに『暗い子ね!』って言って、猫のこと引き連れ回してたのよ」

助手「…………」

魔姫「今では、猫本人は『あのお陰で陰鬱な気分から立ち直れたよ』って笑い話にしてくれているんだけど……。それにしても、ねぇ?」

助手「うーん……ご本人がいいとおっしゃっているなら、結果オーライということで」

魔姫「それでいいのかしらね」

助手「昔の話ですよ。それよりも、早く水着に着替えてしまいましょう」

魔姫「あ、そうね。皆を待たせているものね」ヌギッ

助手「……」ヌギッ

魔姫「……ねぇ助手」

助手「何でしょう?」

魔姫「貴方……着やせするタイプだったのね。ボリュームが……」ジッ

助手「!! あ、あまり見ないで下さい……。魔姫様とは違い、肌も荒れていますし……」

魔姫「水着は肌を晒すのよ、恥ずかしがってどうするのよ~」

助手「ひぃっ、狙いを定めないでーっ」

魔姫「あはは、助手ってばいつもクールだから新鮮だわ~」

助手「ま、魔姫様ぁ~……」


ズドオオオォォォン


魔姫「!? 壁が……」

助手「破壊された!?」


<ワアアアァァ バタバタ……

大たこ焼き「グオオオォォン」

魔姫「野生の魔物だわ!! ふん、蹴散らしてやるわよ!!」

助手「……服、どこに行きましたかね?」

魔姫「………」


勇者「魔姫さーん、助手ーっ!」ダダツ

魔姫&助手「「!!!」」

勇者「あぁ良かった、無事なnゲブヒャアアァァッ」

魔姫「来るなーっ!!」バチバチバチッ

助手「接近禁止です!」ゴオオォォ


ハンター「おぉ……見事に最悪なタイミングだったわけか」

猫耳「視線そらしていこー……」

勇者「く……しかしデッケェ魔物だな。雨で良かったかもな、海水浴客が多かったらパニックになっていた」


大たこ焼き「グオオオォォッ」ビュン

魔姫「!!」

猫耳「……っ!! 魔姫、逃げ――」


バッ


ハンター「何をしようとしている、この軟体動物が」ザシュッ

勇者「無防備な女性を狙う辺り、下等生物だな」ザシュッ

ボトッ

猫耳「!! タコの足を切り落とした……」


ハンター「助手、魔姫。そこでじっとしていろ、すぐに終わらせてやる」

勇者「この程度の奴ら、俺たち2人がいりゃ十分だな!」

大たこ焼き「グオオォォォン!!」

ハンター「勇者。タコの痛覚は、目にしかないそうだ」

勇者「へぇ、なるほど。じゃ、目を狙っていくか」

大たこ焼き「グオオオオォォォ!!」ビュンッ

勇者「でりゃあああぁぁぁ――っ!!」ザシュッ

ボトッ

勇者「攻めてこようがガードされようが関係ねぇ。邪魔なモン全部、切り落とすだけだ」

ハンター「その通り。単純作業だが、まぁいいか」チャキ


猫耳(わ、わぁ……。圧倒的だ)

魔姫「猫!」

猫耳「えっ、な、何?」

魔姫「バスタオル持ってたわよね! ちょうだい!」

猫耳「あ、う、うん!」

魔姫「猫! 上、上っ!」

ドンッ

猫耳「ぎにゃあ!?」

勇者「わり、猫耳。そっち気にかける余裕なかった」

ハンター「気をつけておけ…ここは戦場だからな」

猫耳(ひどいよー…でっかいタコ足もろに当ててくるなんて)クラクラ

助手「……勝負あり、ですね」

猫耳「え?」


勇者&ハンター「「はああぁぁ――っ!!」」

――ズシュ

大たこ焼き「グアアアァァァァッ!!」

ドオオォォン

魔姫「討伐完了。ま、勇者ならノーダメージで倒せると信じていたわ」

勇者「魔姫さああぁん! 貴方からお褒めの言葉を頂くなんて、俺は幸せ者ですッ!!」

ハンター「おい、勇者だけか!? 俺は」

魔姫「だから、こっち見るな!!」バチバチバリイィィッ

勇者&ハンター「「ぐああああぁぁぁ」」

魔姫「猫、早くバスタオルを」

猫耳「う、うん! ……ねぇ」

魔姫「なに?」

猫耳「その……僕はいいの?」

魔姫「? 何が?」

猫耳「あ、いや……何でもない。はい、バスタオル」

魔姫「ありがと。さて、ガレキに埋もれた服を探し……って、貴重な男手がノビてるわ」

助手「攻撃したのは、魔姫様ですがね……」

猫耳「ぼ、僕が探すよ!」

魔姫「いいわよ、力自慢の2人にやってもらうから。ほら2人とも、起きた起きた!」ペチペチ

猫耳「………」





>翌日


魔姫「ふぇっくしょん!」

ハンター「風邪でも引いたか?」

魔姫「そうかもね……」グスグス

ハンター「ずっと裸で雨に打たれていたからな。助手も昨日から寝込んでいる」

勇者「申し訳ないです! 俺が海に誘ったばっかりに!!」

魔姫「別に気にしなくて……ふぇっくし!」

猫耳「魔姫、寝た方がいいよ。早く治さないと、今度のお祭りにも行けなくなるし……」

魔姫「そうねー…何か新しい仕事入ったみたいなのに、行けなくてゴメンね」

勇者「なーに言ってんですか、魔姫さん! 俺が魔姫さんの分まで戦いますって!」

魔姫「そうね、勇者は頼れるわ」

ハンター「おい。俺に当てつけか?」

勇者「仕方ないじゃん。ハンター、魔姫さんより弱いんだし」

魔姫「大丈夫大丈夫、ハンターも人間にしてはやるから。頼れはしないけど」

ハンター「お前らなぁ~……」

勇者「はいはい、さっさと行くよハンター」ズルズル

ハンター「覚えてろ……」グヌヌ

魔姫「行ってら……ふぇっくしょん! ふぅー。寝てくるわ」

猫耳「あ。うん」





魔姫(とはいえ、昨晩はタップリ寝たから眠くないのよねー……)

トントン

猫耳「魔姫ぇ……起きてる?」

魔姫「あら猫? どうしたの」

猫耳「ホットミルク作ったよ。飲む?」

魔姫「あら、ありがとう。頂くわ」

猫耳「入るよ。……あー、魔姫。ダメでしょ、そんな薄いパジャマ着てー」

魔姫「だって暑いんだもの」

猫耳「風邪の時はあったかくして、おでこと脇の下を冷やすんだよ。保冷剤持ってくるから、ちゃんと着替えておいてね」

魔姫「はーい」ヌギッ

猫耳「!! 僕が出てってから着替えて!!」

魔姫「何を怒っているのよ。それより、保冷剤持ってきて」

猫耳「~っ……」





猫耳「はい、持ってきたよ」

魔姫「ありがとう。んー、冷たいの気持ちいい♪」

猫耳「当てるのはほっぺじゃなくて、おでこだよ」

魔姫「暑いんだもの。汗を流したいわー……」

猫耳「熱が下がるまで、お風呂はダメだよ」

魔姫「えー、そんなのイヤよ」

猫耳「イヤでもダメなの! 魔姫ってそうやって言うこと聞かないで、よく風邪を悪化させるよね!」

魔姫「もー、わかったわよ。だから怒らないで、猫」

猫耳「うん、言うこと聞くならいいよ」

魔姫「だから、体拭いてよ」

猫耳「………にゃ?」

魔姫「おねがーい……体がダルくて力入らないのよー……」

猫耳「ダ、ダメだよぉ! 女の子の体を拭くなんて、そんな」アワアワ

魔姫「なーに言ってるのよ、私と猫の関係じゃない」

猫耳「………」

魔姫「猫?」

猫耳「……背中だけだよ」

魔姫「えぇ、お願いねー♪」

猫耳「……」





魔姫「ふぅ、さっぱりしたわー」

猫耳「はぁー…もう何もない?」

魔姫「えぇ、ありがとう。何か眠くなってきたわー…」フアァ

猫耳「なら、寝た方がいいよ。僕は夕飯でも作っているよ」

魔姫「よく働くわねぇ。ちょっとは休みなさいよ」

猫耳「いや…僕は疲れてないから」

魔姫「そう? 何か様子がいつもと違うわよ。余裕がないみたい」

猫耳「……っ」

魔姫「私のせいかしら?」

猫耳「えっ!?」

魔姫「いつもの猫なら、不満はちゃんと言ってくれるのに……私が風邪を引いているから我慢してるのよね」

猫耳「……本当だよ」

魔姫「ごめんね。猫にはつい甘えちゃってワガママばかり…なんて、言い訳にならないか。伏せている間、反省しておくから」

猫耳「……甘えられるのも、ワガママ言われるのも、嫌じゃないよ」

魔姫「え?」

猫耳「だって魔姫は僕にとって特別だから……だから、全然嫌じゃない」

魔姫「……そうね。私にとっても昔から、猫は特別な存在よ」

猫耳「どういう意味で?」

魔姫「え?」

猫耳「魔姫は僕に対して無防備すぎるよ……! 僕に気を許してくれているのかもしれないけど、どうしてなの! 僕には度胸も力もないから安全だと思ってるの!? それとも――」

魔姫「猫……?」

猫耳「――それとも」


僕のこと、男だと――


ドォン


魔姫&猫耳「「!?」」

魔姫「下で音がしたわね……」

猫耳「僕が見てくるよ! 魔姫はここにいて!」ダッ


猫耳(尋常じゃない物音だったけど……)


「おい、そこのクソガキ!!」

猫耳「!!」バッ

賊A「魔姫んとこのガキだな?」

賊B「間違いねぇ。魔姫の従者の、猫耳だ」

猫耳「だ、誰だ! 勝手に入ってきて!」

賊C「あぁ? ただのお客様だよ、お客様!」


猫耳(そんなわけない。こいつら人間みたいだけど……そう言えば!)

猫耳(魔姫達がギルドの依頼で残党狩りをしているように……裏社会にも、裏社会にとって邪魔な者を排除するギルドがあると聞いたことがある)

猫耳(こいつら……ギルドの依頼で、魔姫を殺しに来たんじゃ……!)

賊A「聞いたぜ。お宅の今日の残党狩り、今日は人間2人だったそうじゃないか?」

賊B「魔姫は体調でも崩したか? それとも、人間とは仲違いしたか?」

賊C「ちょっくら、ご挨拶させてくんねェかなぁ?」

猫耳(魔姫は今、大分弱っている……。こいつらに会わせるわけにはいかない!)

猫耳「魔姫は出掛けているよ。帰りは遅くなるんじゃないかなぁ?」

賊A「へぇ? それじゃ、待たせてくれねェかな」

賊B「そいつはいい。茶でも出して、もてなしてくれや」

猫耳「……」

猫耳(こいつらを追い出す手段はない……ここに留まらせておいて、勇者とハンターが戻ってくるのを待つしか……)

賊C「いや、待て」

猫耳「っ」

賊C「もし先に、勇者達が戻ってきたらどうする。相当厄介なことになるぞ」

猫耳(…っ、読まれていた!)

賊A「それもそうだが、引き返すわけにもいかねぇだろ」

賊B「だなァ……どうするんだ?」

賊C「そりゃ勿論」ジロ

猫耳(……!? ぼ、僕!?)

賊C「おいガキ。魔姫がどこ行ったか、知ってるんだろ?」

猫耳「えっ……し、知らな」

ドゴォ

猫耳「――っう!! ゲホ、ゲホッ!!」

賊A「従者であるお前が知らないはずがない。おい、教えな」グイ

猫耳「本当だよ……魔姫は勝手に出かけること多いから……」

賊B「嘘つくんじゃねぇぞ!!」バキィ

猫耳「ぎにゃっ!!」

賊C「どうしてもそう言い張るなら……徹底的に痛めつけるだけだ」グリグリ

猫耳「~~っ……」

猫耳(耐える……こんなの、大したこと――)


バッ


魔姫「何をしているのかしら?」


猫耳「!! 魔姫……」

賊A「はっ、出かけてたなんて嘘じゃねーか。パジャマ着て真昼間からグースカ寝てたわけかよ」

魔姫「黙りなさい。私を怒らせたからには、どうなるかわかっているんでしょうね?」

賊B「望むところだ。お前の首には莫大な懸賞金がかかっているんだ」

賊C「それに見たところ顔が赤い。熱でもあるんじゃねーか?」

猫耳「魔姫、早く逃げて! こいつら、魔姫のこと――」

魔姫「心外ね」

猫耳「っ!?」

魔姫「いくら弱ってても、小物にやられる私じゃないわーっ!!」バチバチバチッ

賊's「「ぐあああぁぁぁ」」

魔姫「ふん、反省なさい」

猫耳「魔姫…ぇ」

魔姫「猫、怪我してるわ! 早く治療を……」タタッ

猫耳「!! 魔姫、危ないっ!!」バッ

魔姫「え――」


ドゴォ


魔姫「!!」

猫耳「~~っ……ゴホッ」

賊A「ちっ、このガキ邪魔しやがって。狙いを外したぜ」

魔姫「なっ……!? ピンピンしてる!?」

賊B「ちょっとシビれるくらいで、大したことなかったぜ」

賊C「どうやら、魔力まで弱っているみたいだな?」

猫耳「……ぅ」

魔姫「猫、猫っ!! しっかりして!!」

猫耳「僕はいいから……逃げて、魔姫……」

賊A「おっと、そうはいかねぇ。俺らは、お前を殺す為に来たんだよ」

魔姫「……っ!」ギリッ

賊A「そう睨むなよ。強がってるのが見え見えで可愛いねぇ」ヘヘヘ

賊B「顔だけは傷つけんなよ。ギルドに出す時、判別がつかなくなるからな」

賊C「あばよ、姫様……地獄でお父様がお待ちしてるぜ」

魔姫「……っ!!」

猫耳(魔姫……っ!!)


――どかっ


賊A「ぐっ!?」

魔姫「あ――」

猫耳「……え?」


勇者「何か……グッドタイミング? あ、それとも遅かった?」

ハンター「2人とも生きている。だが――」

勇者&ハンター「「お前たちは許さん」」

賊's「ひっ……」


ぐあああああぁぁぁぁぁ……


魔姫「2人とも、来てくれたのね……。猫、無事……?」

猫耳「うん……僕は大丈夫」

魔姫「そう……何か、安心したらどっと眠気が……」フラッ

猫耳「魔姫……うっ」ズキッ

勇者「あ、魔姫さんと猫耳が!」

ハンター「こいつらの粛清の続きは後でだな。おい、今助けてやるからな!」ヒョイッ

猫耳「ありがと……う」ガクッ

猫耳(力強い腕。魔姫を守るに相応しい。僕とは……何もかもが、違う)





魔姫「う~ん……」

勇者「何てこった! 魔姫さんの熱が上がったぞ」

ハンター「今、医者を呼んだ。熱が下がるまで、俺とお前が交代で護衛だな」

猫耳「ごめん……」

勇者「謝ることじゃないって。それより、自分の体心配しな」

猫耳「大丈夫。見た目が派手なだけで、大したことないから……」

ハンター「そうか、安心した。俺は一旦家に戻って諸用を済ませたい。2人とも、この場は任せたぞ」

勇者「了解。さーて…猫耳、ちょっと休ませてくれ。ちょっと疲れててよ……異変があったら大声で叫んでくれ」

猫耳「うん、わかった」

猫耳「……」

魔姫「うぅーん……」

猫耳「魔姫、安心してね……。頼りになる2人がいてくれるんだもん。もう、怖い目に遭うことはないよ」

猫耳「てか勇者はわかりやすいけど、ハンターも絶対、魔姫のこと好きだよね」

魔姫「うーん、うーん……」

猫耳「でもね、魔姫。僕だって――」スッ

魔姫「……すぅーっ」

猫耳「魔姫のこと――守りたいって、思っているんだよ……?」





『あいつ、出来損ないなんだってよ』

『魔物のくせに、戦えないんだ』

『何であんな奴が、魔姫様のお側にいるんだ』


猫耳『……』


魔物というものは本来、屈強な肉体もしくは魔力に恵まれた、戦う力に優れた種族だ。
だけど――僕は多くの魔物が持つその特性から、外れてしまった。


猫耳『力が……出ない』


それは、死の淵から生還した代わりに失ったもの。
悪魔王の技で傷つけられた体は、戦いの為の機能を失ってしまった。
悪魔王に恐怖心を植えつけられた心は、魔力を生み出すことができなくなってしまった。


猫耳(僕は――どうして生き残ってしまったのだろう)


生き残っても仕方ない。この命に価値はない。死んでも、誰も悲しまない――はずだった。

だけど――


魔姫『猫っ!』ポンッ

猫耳『! 魔姫様……』

魔姫『ボーっとして、どうしたのよ。相変わらず、暗い子ねぇ』

猫耳『ほっといてよ……』

魔姫『いーえ、ほっとかないわ! ダーツの相手を探してたのよ!』

猫耳『何で僕……』

魔姫『相手がいないからに決まってるでしょ』

猫耳『……変な奴』


他に友達がいれば、自分なんかに寄り付きもしないだろう――けど、


魔姫『ホラ、来なさい! 来ないなら、引っ張っていくわよ!』

猫耳『……わかったよ』クス


魔姫は、自分を必要としてくれる、唯一の存在だったから――





魔姫「うぅん……」


朦朧とする意識の中、夢を見ていた。
あれは――昔の光景。


猫耳『もーっ、魔姫のばかぁ!』

魔姫『何よぅ、猫のわからずや!』

昔、猫と喧嘩したことがある。理由は今にしてみれば、他愛ないことだった。
とにかくその喧嘩で、私は猫と絶交することにした。…のだけれど。

魔姫『猫ったら、何で謝りに来ないのよーっ!』プンスカ

喧嘩から2日経っても猫が謝りに来ないことに、私はひどく憤慨していた。

魔姫『謝りに来たら、許してあげようと思ってたのに……』

魔姫『謝りに来れない理由でもあるの? ……どうして、来てくれないのよ……』

魔姫『もしかして。猫が私を許してない、とか……?』

ワガママ放題に生きてきた私は、そんなことすら気付くのに遅れて。

魔姫『……何で、私が謝らないといけないのよ!』

魔姫『……でも………』

魔姫『このまま……猫と遊べなくなるのかしら』ジワァ

初めての喧嘩で、どうしていいかわからなくなって、心がぐちゃぐちゃになって。

魔姫『……そんなのは、イヤ!』

だけど、だからこそ、行動しなきゃ、って思えて――
気づいたら、猫の所に走り出していた。

魔姫(猫、猫――)

はやる気持ちが足を急がせた。
1分でも、1秒でも早く猫に会いたくて――


魔姫『猫――っ!』





魔姫「猫……」

ボーっとする。景色が変わり、目の前に天井があった。
猫はどこ――そう考えながら周辺を見て、ようやく気付く。

あぁ、あれは夢だったの。

魔姫「……猫?」

だけど夢から覚めても、私は猫を探していた。
何だか心細くて、猫に会いたくて――

ガチャ

魔姫「!」バッ

ハンター「よぅ。起きてたか」

魔姫「……猫は?」

ハンター「今はいない」

魔姫「え……っ」

ハンター「俺と勇者に看病を任せると言って、どこかに行っちまった。行き先くらい告げていきゃいいものを……」

魔姫「猫が、いない……」

ハンター「まぁあいつのことだ、そう遠くには……」

魔姫「猫……」ポロポロ

ハンター「!?」

魔姫「どうして、どうしていないのよ……」

ハンター「あー…まだ熱があるのか? 寝ておけ、じゃあな!」ピュー

魔姫「猫……」

何故だか無性に悲しかった。
猫がいない状況、夢の続きみたいで――まるで、あの時の私の心境そのもの。
どうしてこんな気持ちになるのかわからない。だけど、とにかく――

猫に、傍にいて欲しかった。





それから熱にうなされながら、何度か夢を見た。
夢の中の私は、猫を探していた。
生まれ育った魔王城、父亡き後に転々とした地、中央国のお祭り――

一緒に過ごした場所なのに、猫はどこにもいなかった。

孤独だった私の側にいてくれた。
父を失った後も側にいてくれた。

側にいてくれたから、私は元気でいられた。

だから――猫がいないだけで、私の心はこんなにも心細くなって、世界から取り残されたような暗闇に包まれてしまうの。


「魔姫」

魔姫「!」





魔姫「……」

猫耳「あ、目を開けた。お薬、飲める?」

魔姫「……猫」

猫耳「僕のこと、わかるの? 2人から聞いた話では、何か熱で頭がボーッとしてるって聞いたから……」

魔姫「猫っ!」ギュッ

猫耳「にゃにゃっ!?」

魔姫「どこ行ってたのよぉ……探したんだからね……!!」

猫耳「探し……? ぼ、僕も薬草を探しに行ってたんだよ」

魔姫「薬草……?」

猫耳「うん。お医者さんによると、魔姫は変なウイルスに感染してたみたいで……その薬草は、ネコ科が好きな類のって聞いて」

魔姫「だからってどーして、わざわざ貴方が採りに行くのよ!! バカなんじゃないの!」ポカポカ

猫耳「バ、バカって……。でも、そうだよね……僕みたいな奴が行くより、他の人に頼んだ方が確実だもんね」

魔姫「そういうこと、言ってるんじゃない……」ギュウ

猫耳「え……っと?」

魔姫「こういう時に、いなくならないでよ……猫は、いて当たり前なの! いなきゃダメなの!」

猫耳「……ワガママだなぁ、魔姫は」

魔姫「ワガママな私を受け入れてくれるのは、貴方だけだもの……」グスグス

猫耳「そんなことないよ。勇者やハンターだって……。魔姫はもう、僕以外にも仲間がいるじゃない」

魔姫「それでも、猫が特別なのはずっと変わらない」

猫耳「魔姫……」

魔姫「貴方がいないだけで、不安で心細くてたまらないのよ……だって猫はもう、私にとって特別な家族で……」

猫耳「……ぅ」

魔姫「……?」

猫耳「魔姫ぇ」ボロボロ

魔姫「ちょ、猫!? あ、貴方、何泣いてるのよ!?」アセアセ

猫耳「ふええぇぇぇ」





魔姫「落ち着いた? 全く…病人に気を遣わせるんじゃないわよ」

猫耳「グスッ、ごめんね魔姫……でも僕、僕、嬉しくて……」グスグス

魔姫「嬉しい……?」

猫耳「僕は……力もないし、弱いし、頼りにならないし……。魔姫だけが僕を必要としてくれていたのに、僕はずっと、役に立たないままで……だからせめて役に立ちたくて……」グスッ

魔姫「……だから、薬草を」

猫耳「せめて、僕も魔姫の助けになりたいって思って……」グスッ

魔姫「十分、助けてもらってるわよ。猫がいなければ私、とっくに孤独死してたわ」

猫耳「魔姫……」

魔姫「だから……ね? 猫には、側にいてほしいの。今までだけじゃなくて、これからもずっと……」

猫耳「うん……うん!」


~♪


魔姫「……あら、この音楽は?」

猫耳「お祭りの音楽かな? 今日だったんだよ」

魔姫「あぁ……風邪のせいで、行きそびれちゃったわねぇ」

猫耳「来年行こうよ。……僕たち、ずっと一緒なんでしょ?」

魔姫「ふふ……そうね」


~♪


猫耳「……それにしても、聞き覚えある曲だよね。何の曲だっけ?」

魔姫「ウエディングソングの定番じゃなかったかしら」

猫耳「あ、そうだったねぇ。はは、昔を思い出す……」

魔姫「……」

猫耳「……」

魔姫「ね、ねぇ」

猫耳「な、何っ!?」

魔姫「む……昔はよくやったわよね! 結婚式ごっこ!」

猫耳「にゃにゃっ!? お、思い出しちゃったの!?」

魔姫「まぁ……。むしろ、何で忘れてたのかが不思議なくらい……」

猫耳「そ、そう」

魔姫「ねぇ、猫」

猫耳「ん……?」

魔姫「また……する?」

猫耳「……ふにゃっ!?」

魔姫「せ、せっかくロマンチックな音楽だし……お祭り、行けないし……ねぇ?」

猫耳「理由になってないにゃ……」

魔姫「……嫌かしら?」

猫耳「………」ドキドキ


猫は黙って目を閉じる。

男女の役割が逆でしょ――そう苦笑いしながら、私は彼との距離を縮める。
昔と変わらず、あどけなくて可愛らしい顔に胸が高まる。

気分を盛り上げるのは、音楽の国の演奏――って、ん?


魔姫「……待って。何で、遠方の国の音楽がここまで聞こえ……」

<ガサガサ

魔姫「ん? 窓の外に何か……」


ハンター「おい、音楽止まったぞ。ネジ巻け、ネジ」

勇者「待って、待って! ねーじねーじ」グルグル

ハンター「全く……肝心な時に音楽が止まるとは、お前のそういう所が女を遠ざけているんだな」ハァ

勇者「何だとぉ! 俺だって頑張って……」


魔姫「何をしてるのかしら?」ニッコリ

勇者&ハンター「」


<グアアアアァァァァ


猫耳「魔姫の調子が戻ったにゃー」

魔姫「もー…まさか見られてたなんて」カアァ

猫耳「いいじゃん魔姫、見せつけてやれば♪」

魔姫「……えっ?」


チュッ


魔姫「……」

猫耳「えへへ。これで、公認カップルだにゃ~」

魔姫「な、な……」プルプル

ハンター「天然……なんだよな?」

勇者「恐ろしい逸材ですな」

魔姫「ね、猫ぉーっ!」

猫耳「わー、逃げろぉーっ!」


私と猫は、ずっと一緒。今までも、これからも――それを誓い合った今日は、特別な日。


魔姫「覚えてなさいよーっ。一生逃がさないからねっ!」



Fin


あとがき

猫耳は、本編では魔姫に男と意識されてない状態だったので、恋愛仲にするにはどうしたもんかと悩みました。
幼馴染って王道だけど、ずっと友達止まりの関係だったら進展が難しいんですねコリャ。
でも、魔姫が1番素直になれる相手は猫耳だと思ってます。

ちなみに悪魔王のせいで戦えなくなった設定は完全なる後付けなのですが、矛盾はない……ですよね?((
posted by ぽんざれす at 17:14| Comment(0) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月31日

魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」/ハンタールート

本編はこちら


悪魔王との戦いから半年…


魔姫「はああぁっ!!」バチバチバリィッ

焼き鳥A「ギャヒイィィ」

魔姫「どう、雷撃の味は。いいスパイスになるかしら?」

焼き鳥's「ギュアアァァッ!!」

魔姫「何羽来ようと同じこと……」

――ザシュッ

魔姫「!」

ハンター「全く…数が多いばかりで手応えがないな」

魔姫「ちょっとハンター、邪魔しないで。そいつら、私の獲物なんだから」

ハンター「ふん。張り合うなら、とっとと獲物を狩ればいいものを」

魔姫「ちなみに貴方、何羽倒したの?」

ハンター「今ので12羽だな」

魔姫「あら、そう。私は20羽」ニッコリ

ハンター「……」

ハンター「これからが本領発揮だああぁぁ!!」ダダッ

魔姫「だから人の獲物取るんじゃないわよーっ!!」

<ギャーギャー


勇者「ははっ…2人とも苦戦する様子ないな、流石!」←スコア:40羽





勇者「それじゃ、焼き鳥の討伐をギルドに知らせてくるわ~」←最終スコア:87羽


ハンター「くっ……」←最終スコア:23羽

魔姫「数が多いだけで大したことなかったわねぇ」←最終スコア:31羽

ハンター「………フン」

魔姫「そんなに気落ちしないで。貴方、人間にしてはかなりやる方だと思うわよ?」

ハンター「えぇい、中途半端な慰めなどいらん!」

魔姫「あら、そう。なら…まだまだね」フッ

ハンター「俺に話しかけるな!」

魔姫「何よそれ!」

<ギャーギャー


勇者「報酬受け取ってき……って、また喧嘩かよ。ハンター、いい加減にしなよ~」

魔姫「そうよ、いい加減にしなさいよ~」

ハンター「俺が悪いのか!?」

勇者「魔姫さんが悪いわけないだろ」

魔姫「あらありがとう勇者。貴方って紳士よね~」

勇者「魔姫さん……! 俺は貴方を信じていますよ、このクールぶったキザ野郎が全部悪いんです!」

ハンター「…一生やってろ」ハァ


魔姫とその他一行は、人間に危害を加える残党刈り退治をしていた。





>魔姫の住む屋敷


猫耳「お帰りぃ~♪ 果物のタルト焼いたから召し上がれ!」

魔姫「あら、いい香りねぇ。猫、紅茶を淹れて」

勇者「俺は緑茶~! で、ハンターは……」

ハンター「…コーヒー」ムスッ


猫耳「ハンターの奴、機嫌悪いね」ヒソヒソ

勇者「あぁ、いつものアレだよ」

猫耳「そっかぁ、また魔姫に負けたのかぁ」

勇者「全くハンターの奴、魔姫さんに対抗意識燃やしちゃって……」


魔姫「砂糖とミルクは入れないの?」

ハンター「入れん。コーヒーの風味そのままを楽しむんだ」

魔姫「よく、そんな苦いの飲めるわねぇ」

ハンター「お子様にはわかるまい」フッ

魔姫「へぇー? 今だに辛い歯磨き粉使えない男が『お子様には』ねぇ?」

ハンター「」ブッ

魔姫「うんうん、ミントの風味は辛いもんねぇ。ふ、ふふふ……っ」

ハンター「えぇい黙れ、ピーマン食えない典型的子供舌が!」

魔姫「歯磨き粉よりはよっぽど一般的よ!」

<ギャーギャー


猫耳「まーたやってるよ」

勇者「魔姫さんのような素晴らしい方にケチをつけるなんて、由々しい奴だな」


助手「お邪魔致します」

魔姫「あら助手。いらっしゃい」ゼーゼー

ハンター「どうした」ゼーゼー

助手「お手紙を届けに。音楽の国の国王陛下からです」

勇者「音楽の国っつーと隣国だな。王様から手紙?」

助手「はい。1週間後の晩、国で祭典を行うので是非参加して下さい、と……」

魔姫「祭典? 美味しいもの食べれるの?」

勇者「勿論ですよ魔姫さん。それだけでなく、その日は楽器のメロディが国全体を包むんですよ。何せ、どこ行っても音楽、音楽、音楽ですから」

猫耳「へぇ面白そう!」

魔姫「音楽は静かな方が好きなんだけど…まぁ、美味しいものが食べられるならいいわ」

猫耳「魔姫ったら食べることばっかりだにゃ~」

勇者「ははっ、ご馳走も祭りを彩る大事な要素だからな。でも何と言っても、メインイベントは…」

魔姫「メインイベント?」

勇者「夜8時に行われるダンスパーティーですよ! その時間は国中がダンスフロア、どこを見てもリア充、リア充、リア充!」

魔姫「あら。私、ダンスは結構自信あるのよ」

猫耳「行きたい、行きたーい!」

勇者「うーん、スケジュールは大丈夫かな?」

助手「えぇ。我々の活動が実を結んだのか、現在指名手配されている残党はいません。祭典の日だけでなく、しばらく休む余裕はありますよ」

魔姫「報われたわぁ~。着ていく服、選ばないと!」

<わいわい

ハンター「……」

助手「ハンター様、祭典には……」

ハンター「俺は出ない」

魔姫「……え?」

ハンター「残党がいないならバイトする。…ああいう場は好かない」ガタッ

スタスタ

魔姫「……何よ、つまんない男ね」

勇者「あいつは元々付き合いが悪いですからね」

猫耳「行きたくないなら仕方ないにゃ~」

魔姫「…たまには、付き合ってくれたっていいじゃない……」

猫耳「ん~? そうだねぇ、ハンターと仲良くしたいよね」

魔姫「!!!」

猫耳「ハンターとは喧嘩ばかりだもんねぇ。楽しいことを共有して一緒に笑い合うってのも……」

魔姫「おほほほ! 何を言ってるのかしら、猫ちゃぁ~ん!」ギュウゥ

猫耳「ふぎゃあぁ、苦しい、苦しい!!」

勇者「いいなぁ猫耳、魔姫さんに締めてもらえて……」

魔姫(ハンターと仲良くしたいなんて有り得ないし! あいつは下僕のくせに生意気なのよ!!)





魔姫「ところでハンターのバイトって、何かしら?」

勇者「あぁ、それは……」





魔姫「……で、勇者に聞いて来てみたけど……」

カランカラン

ハンター「いらっしゃいま――せっ!?」

魔姫「ふふ、遊びに来たわよ」

ハンター「……冷やかしなら帰れ」

魔姫「冷やかしじゃないわ。紅茶を頂きたいのよ、ほら私って紅茶好きでしょ?」

ハンター「……1名様、ご案内致します」

わいわい

魔姫(それにしてもバイトがまさかの接客…しかも、お洒落めのカフェの店員なんてねぇ)

ハンター「ニヤニヤ見てくるな、気が散る」

魔姫「仕事に集中なさいよ。ほら、あそこのテーブルのお客さんが呼んでるわよ」

ハンター「ったく……お待たせ致しました、ご注文はお決まりでしょうか」

魔姫(意外とサマになってるじゃない。それに、いつも戦闘服ばかりだから、ワイシャツにエプロン姿ってのはかなり新鮮だわ)

魔姫(そう言えば、ハンターは元々お坊ちゃんなんだっけ。普段は荒々しいけど、きちんとしようと思えばできるのね)

ハンター「ご注文はお決まりでしょうか」

魔姫「えぇ。日替わりのケーキと紅茶のセットをお願い」

ハンター「かしこまりました」

魔姫「ハァ……」

ハンター「何か」

魔姫「ハンターがいつもこうならいいのに~」

ハンター「……失礼致します」サッ

魔姫(あら、挑発に乗ってこないわねぇ)

魔姫(…っていうか……)


クレーマー「おい店員! 紅茶が熱くて舌火傷したじゃねぇか、どうしてくれる!」

ハンター「大丈夫ですか? すぐに水をお持ち致します」

クレーマー「ふざけんな! 金返せ! 治療費よこせ!」

ハンター「申し訳ありませんが、それはできかねます」

<ギャーギャー


魔姫(……ふぅん、大人の対応できるんだ。何か、イメージ全然違うわ)





店長「上がっていいよ、お疲れさん」

ハンター「お疲れ様です、お先失礼します」


ハンター「ふぅ……」

魔姫「お疲れ様」ヒョコッ

ハンター「何だ。出てくるのを待っていたのか?」

魔姫「まぁね~。貴方も大変ねぇ、ああいうお客さんよくいるの?」

ハンター「たまにいるが、大変ではない。……もっと厄介なのと、ほぼ毎日顔を合わせているからな」

魔姫「そうなのォ、本当に大変ねー?」ニヤニヤ

ハンター「……自覚あるのかないのか、どちらだ」

魔姫「ないわ。でもハンター、私は貴方を見直したわ」

ハンター「見直した?」

魔姫「ほら、貴方って最年長なのに大人気ないし、クールぶってる割に感情表現豊かだし、意外と後先考えないし」

ハンター「俺を罵倒しに来たのか」

魔姫「いえ。そんな部分を出さずにキチンと働いてるから、凄いなと思ったわけよ」

ハンター「金を稼ぐとはそういうことだ」

魔姫(……ハンターの家は元々裕福だったけれど、父親が魔物に殺されて生活は一変した。ハンターは、母親に裕福な暮らしをさせたいと思っているようだけれど……)

ハンター「残党刈りの仕事がしばらく無いようなら、もう1、2件バイトを増やさんとな……」

魔姫「……偉いっ!」バシッ

ハンター「っ!?」

魔姫(ハンターのお母様自身はそんなこと望んでないと思うけど、でも……)

魔姫「私はもう、親孝行できないから。貴方は後悔のないようにやるのよ!」

ハンター「はぁ……?」

魔姫「よしハンター、労ってあげる。私の奢りよ」

ハンター「は?」

魔姫「飲みに行こうって言ってるのよ。好きでしょ、お酒」

ハンター「おい……お前は飲めないだろ」

魔姫「私はノンアルでいいわよ。さぁさぁ、行くわよ」

ハンター「……ったく。未成年と飲み屋に行くのは気が進まんが、お前は強引だからな」ハァ

魔姫「魔王の血筋は酒豪の血筋よ、成人したら負けないんだから!」

ハンター「そうかそうか。だが、飲み比べは体に悪いからやらないぞ」

魔姫「ノリ悪いわねぇ。まぁいいわ、アダルトに夜の街を案内してよ」

ハンター「じゃあ、あそこの店にするか。女に人気の店だぞ」

魔姫「いいわね~、外装も素敵。それじゃ、行きましょ♪」

ハンター「本当に、飲むなよ」





魔姫「うぅ~……」フラフラ

ハンター「本当にお前は……」ハァ

魔姫「何よぅ、飲んでないじゃない~」フラフラ

ハンター「夜ふかしできないなら、あらかじめ言え! ったく、酔ってないのに道端で寝そうだな……」

魔姫「寝ないわよぉ~。ふぁ~……」

ハンター「……お前、本当に一滴も飲んでないんだよな?」

魔姫「当たり前でしょぉ~。飲酒は成人を過ぎてから、睡眠は日付が変わる前に、の健康優良児よ!」

ハンター「やっぱり、子供は子供か……」

魔姫「子供子供って、バカにして~」

ハンター「馬鹿にする意味ではない。事実を述べただけだ」

魔姫「………」

魔姫(ハンターは私のこと、子供として見てるのかしら……)

ハンター「ほら、おぶされ」グイッ

魔姫「あっ」

ハンター「屋敷まで運んでやるよ。恥ずかしいかもしれないが、お互い様だ」

魔姫「お…重く、ない?」

ハンター「余程の肥満でもなければ、別に重くない」

魔姫「何よそれ~…」

ハンター「文句を言うな。黙って寝てろ」

魔姫「……」

魔姫(顔が近くて、アルコールの匂いがする。体は意外と筋肉質で……大人の男、って感じがする)

魔姫(ハンターは大人だから……子供の私には……)

ハンター「全く……大人しくしてりゃ、それなりに可愛げがあるものを」フゥ

魔姫「……うるさい。お互い様」ボソッ





>屋敷


猫耳「にゃにゃっ、魔姫に一体何が!?」

ハンター「眠気が来ただけだ。別に変なことはしていない」

猫耳「ありがとうハンター。魔姫ぇ~、こんな風になるまで夜遊びするなんて……」

魔姫「むにゃむにゃ…猫のくせに、説教なんて……すやーっ」

ハンター「寝言もハッキリしているのだな、こいつは」

猫耳「お恥ずかしいにゃ…」

ハンター「寝室はどこだ。お前じゃベッドに運べないだろう」

猫耳「2階の突き当たり。何から何までありがとうね、ハンター」





ハンター「よっこいせ、っと」

魔姫「すやー、すやー」

ハンター「人の気も知らずにのん気なことだ。さて、俺は帰るか」

魔姫「むにゃむにゃ……待ちなさいよぉ~」

ハンター「ん?」

魔姫「服のままで寝るの、イヤ~……」

ハンター「……自分で着替えろ」

魔姫「何よぅ。せっかく、こぉんなハイスペック美女が誘ってあげてるっていうのにぃ」

ハンター「……お前、本当に酔ってないよな? 凄まじい寝ぼけ方をするな……」

魔姫「寝ぼけてないぃ。着替えるの手伝ってぇ」

ハンター「猫耳に手伝ってもらえ。伝えておいてやる」パタン

魔姫「あ……」

魔姫(私って……そんなに魅力ないのかしら……)





>で


魔姫「このドレスがいいわ!」

猫耳「それは胸元が開きすぎてるよ」

魔姫「じゃあこれは!」

勇者「スリットがちょっと…。いや個人的には嬉しいんですがね、魔姫さんにはあまり肌を晒して欲しくないというか……」

魔姫「なら、どれがいいのよーっ! ひと皮剥けた、アダルトな私の魅力を出せるドレスはどれ!」

勇者「魔姫さん、どうしちまったんだ?」ヒソヒソ

猫耳「さぁ?」ヒソヒソ


ハンター「ここにいたのか」

勇者「あ、ハンター」

ハンター「女の衣装屋で何をしている」

猫耳「いやぁ、魔姫が祭典に着ていくドレスを買うから、男の意見が欲しいと言われて……」

ハンター「ろくに女経験のない2人の意見など聞いてもな……」ククク

勇者「何だとテメェー!」

猫耳「聞き捨てならないにゃーっ!」


魔姫(ハンターは女経験豊富なのかしら?)ジロ

助手「それよりも、ギルドより依頼が入りまして」

魔姫「ギルドから? 何かしら」

助手「はい。魔王軍残党、妖花の群れが農村地帯に被害を及ぼしたそうです。その妖花の討伐依頼が出されました」

魔姫「妖花…あぁ、魔王城の警備をしていた連中ね」

ハンター「数の多い連中だ。1日で全てを狩るのは不可能だというのがギルドの見解だが……」

助手「住処への往復も含め、3日はかかるでしょうか」

猫耳「待って。それって……」

勇者「おもっくそ、祭典と被るじゃん」

魔姫「まぁ…何てタイミングの悪い」

勇者「楽しみだったのになぁー…。でも人々の為だ、我慢するか!」

猫耳「じゃあ僕は1人で参加してくるにゃー」

勇者「うわぁーっ、それは許さん! お前も道連れじゃい!」

猫耳「フギャーッ、理不尽ーっ!」

ハンター「いや、お前たちは祭典に参加してこい」

魔姫「え?」

ハンター「数は多いが、相手はCクラス。俺と助手で何とかなる相手だ」

魔姫「でもハンター……」

勇者「よっしゃ任せたぞハンター! 全員討伐したら、褒美に飯奢ってやるよ!」バシバシ

魔姫「ちょ、ちょっと! もし何かあったら……」

ハンター「ふぅ…俺はお前に信頼されていないんだな」

魔姫「!! ち、違う、そういうわけじゃ……」

勇者「大丈夫ですよ魔姫さん。ハンターはこういう仕事、大ベテランですから」

猫耳「好意は素直に受け取った方がいいよ。ありがとう、ハンター」

魔姫「……」





>祭典当日


魔姫「ハァ……」

猫耳「魔姫、もう準備できた……わぁっ、そのドレスやっぱり似合うね! シックって言うのかな? 大人っぽいよ、魔姫!」

魔姫「ありがとう。猫も今日の衣装は素敵ね」

猫耳「主役は女の子だから目立たない程度に、でも連れの女の子に恥をかかせないように…って、ハンターが選んでくれたんだ」

魔姫「…そうなの」

魔姫(そういうTPO知ってるってことは…お祭りは好かないとか言いつつ、参加したことあるんじゃないの?)モヤモヤ

猫耳「音楽の国までは、馬車で1時間かかるんだってね。もうすぐ迎えに来ると思うけど……」

魔姫「ハンターは今頃、戦ってるのかしらね……」

猫耳「ん、そうだと思うよ。……あ、そう言えばさぁ。妖花が襲ったのって農村だっけ?」

魔姫「そう言ってたわね。それがどうかした?」

猫耳「確か妖花って、自然の養分を糧にしてたよなー…って」

魔姫「……!!」

猫耳「農村を襲ったともなると、作物に大分被害出ただろうねぇ。可哀想に……」

魔姫「ごめん、猫っ!」ガタッ

猫耳「どうしたの?」

魔姫「急用ができたわ! 祭典には先に行ってて!」バサッ

猫耳「え、急用って……魔姫ぇーっ!!」


バサバサッ


魔姫(全速力で飛べば……!!)






ハンター「ハァッ!」シュッ

妖花A「グファッ…」

ハンター「仕留めたか!?」

妖花A「ガアァ――ッ!!」ビュンッ

ハンター「ちっ!!」バッ


ハンター「たかが花とはいえ、デカいだけあって防御力が高いな」

助手「いっそ焼き払いましょうか?」

ハンター「ここは可燃物が多すぎる。できればそれは最終手段でいきたいが……」

妖花B「ガフォッ」

ハンター「……? 何かを振りまいている?」

助手「鼻と口を塞いで下さい! あれは、幻惑の花粉です!」

ハンター「!!」バッ

ハンター(くっ…少し吸い込んでしまった。少しだけ、気分が悪い……)


うぞぞ……


ハンター「……!!」

妖花ボス「グファ……」

ハンター(でかい…あいつが頭か)

ハンター「早々に討つ! 喰らえ!」ダッ

妖花ボス「ガファアァ――ッ!!」ビュンッ

ハンター「!!! 速――」

ベチーン

ハンター「つっ……」

助手「ハンター様!」

ハンター「平気だ。しかし…この素早さと力で、Cクラスだと!」

助手「恐らく、農村の作物の養分を吸い取ってパワーアップしたのでしょう。申し訳ありません、予想できていたはずなのに……」

ハンター「なに、気にするな。パワーアップされたなら、報酬を値上げ交渉するだけのこと」チャキ

妖花ボス「グルアァ――ッ!!」

ハンター「助手! ボスは俺がやる、他の奴らの対処を頼む!」ダッ

ベチーン

ハンター「ぐっ」

助手(ハンター様の動きがいつもより鈍い…幻惑の花粉のせいか)

ハンター「……この程度!」シュッ

ズブッ 妖花ボス「ゲヒャアァ!!」ピュッ

ハンター「何だ……?」サッ

シュウゥ

ハンター(これは…溶解性の粘液か。こんな技まで使うとは……)

妖花ボス「ギュアアァ!!」ピュッピュッ

ハンター「ふん…回避は容易い」サッ

シュルル

ハンター「!! しまった!」





魔姫(妖花の香りが漂ってくる…この辺で間違いないはずだけど……)


助手「ハンター様!」


魔姫「んっ?」


ハンター「くっ……」ズルズル


魔姫(ハンターが引きずられて…あっ、妖花のツルが足に!)


妖花ボス「ゲヒョア……」

ハンター「ち……っ! 粘液の狙い、ばっちり定めてやがる」

助手「ハンター様……!! くっ、雑魚が邪魔!!」

妖花ボス「ギュアアァ!!」ピュッ


魔姫「させないわ! ハン――」


ハンター「――甘いんだよ」


魔姫「え?」


ハンター「はああぁ――ッ!!」ブンッ

シュウウゥ

妖花ボス「!!! グギャアアァァ」


魔姫(足を振り上げて、妖花のツルで粘液をガードした……!)


妖花ボス「グウウゥ……」

ハンター「植物も苦しむんだな。沢山の魔物を狩ってきたが、これは初めて知ったな」

妖花ボス「ゲャアアァァ!!」シュッ

ハンター「おらっ!!」ズブッ

妖花ボス「ゲアアァァァ!!」


魔姫(あのパワーアップ版妖花を圧倒するなんて…ハンターって、あんなに強かったかしら?)


ハンター「何度……」


魔姫「え?」


ハンター「何度、いけ好かない小娘に泣かされてきたと思っている。あいつに比べればお前達の攻撃など、ぬるすぎてあくびが出る」


魔姫(何よそれ、いけ好かない小娘って私?)ムッ


妖花ボス「グギャアアァァァ!!」ビュンッ

ハンター「その上、お前たちは実力だけでなく――」ヒョイッ


魔姫「……?」


ハンター「――花としても、あいつに負けている。本物の花なら、あいつの足元程度には可憐になれ」


魔姫「――っ!!?」ボッ


ハンター「……なんて、知能の低い生物に言っても理解できないか」タタッ

ハンター「ハァッ!」ズシャッ

妖花ボス「グゲアアァァッ!!」ドサッ


魔姫「あっ……いけない!!」


ハンター「ようやく倒れたか。植物も首をはねれば死ぬのか。……どこが首だかわからんが」チャキ

魔姫「待って!!」

ハンター「……!! お前、どうしてここに」

魔姫「話は後よ。それより……妖花!」

妖花ボス「ギュルル……」

魔姫「全く、貴方はこのご時世に何をやっているの。迂闊なことをすれば残党刈りの対象よ、わかっているの?」クドクド

妖花ボス「しゅん」

ハンター「妖花が大人しくなった……?」

魔姫「ごめんなさい、ハンター。妖花を狩るのはストップしてもらっていいかしら?」

ハンター「何を言ってやがる」

魔姫「妖花の特性を思い出したのよ。この子達、人間に敵意は持っていないわ」

ハンター「どういうことだ」

魔姫「妖花は生きていく為に、養分を吸収しないといけないのよ。だけど」ギロリ

妖花ボス「」ビクッ

魔姫「考えなしの行動で、農村の作物の養分まで吸収してしまった。そうよね?」

妖花ボス「……ギュル」コクリ

魔姫「つまり今回の行動は悪意によるものでなくて、うっかりなのよ。だからって罪がないわけじゃないけど……命を狩る程のことではないと思って」

ハンター「……」

魔姫「妖花には人に迷惑をかけない住処に移住してもらって、農村には私から償いをするわ。だから……」

ハンター「……」

助手「ハンター様……」

ハンター「……本当に、もう人間に被害を出さないんだな?」

妖花ボス「ギュルル」

魔姫「ホホホ。万が一またこういうことがあったら、私の顔に泥を塗ったということで…わかっているわね?」ニコ

妖花ボス「ギュルッ!! グギャギャ~」ブルブル

ハンター「怯えているぞ。どれだけ恐ろしいんだ、お前は」

助手「どうなさいますか、ハンター様」

ハンター「そういうことなら仕方ないだろう。全く…無駄足だったな」ハァ

魔姫「そう言わないで。…ありがとう、ハンター」フフ

ハンター「何で礼……。まぁいい。ところでお前、祭典はどうした」

魔姫「あっ! もう始まっている時間だったわ……どうしよう」

ハンター「まぁ、飛んでいけば途中からでも参加できるだろう。ギルドには俺たちから伝えておいてやる、早く行……」

魔姫「そうはいかない!」ガシッ

ハンター「!!?」

魔姫「貴方も行くわよ、ハンター!」バサッ

ハンター「はっ!? だから俺は参加しないと……離せ!!」

助手「ギルドには私から伝えておきます。楽しんできて下さい」

魔姫「ありがとう助手! お土産買っておくわ、それじゃあ!」

ばっさばっさ <おーろーせー!





~♪


魔姫「フフッ…セーフね」ハァハァ

ハンター「大分遅くなったな。もうダンスが始まる時間じゃないか。俺を置いてきた方が早く着いただろ」

魔姫「駄目。たまには付き合いなさい」

ハンター「本当に強引だな…来てしまったものは仕方ないか」ハァ

魔姫「そんなに嫌なの?」

ハンター「そういうわけではないが……音楽に興味はないのでな」

魔姫「じゃあ、目の前にあるものを楽しめば?」

ハンター「あ?」

魔姫「気付かない? ほら私、いつもと違うでしょ?」クルッ

ハンター「……言われてみれば、地味になったな」

魔姫「うわぁ、ひどい感想。貴方、絶対モテないでしょ」

ハンター「文句を言う前に、レディー扱いしてもらえる女になれ」

魔姫「レディー、ねぇ。……でも」

ハンター「?」

魔姫「お花のようには思ってもらえてるみたいよね」ニヒッ

ハンター「!!!」ブッ

魔姫「ごめんねぇ~、あまりにも声が大きくて聞こえちゃったのよ~。ふふ、花かぁ」

ハンター「ちょ、待、違っ」

魔姫「へぇ、何が違うのよ?」

ハンター「それは、だな……お、お前のような半人前の小娘にすら負ける程ひどいと言いたかったんだ!」

魔姫「何よそれーっ! 人のこと、また小娘扱いしてーっ!!」

魔姫(ツンデレだとしても、言っていいことと悪いことがあるのよ!)プイッ

ハンター「……いや、その点については悪かった」

魔姫「え?」

ハンター「先日、お前に言われた通りだ。俺は大人気ないし、お前の方がよほど達観している」

魔姫「あら、そう思う出来事があったの?」

ハンター「俺がお前を追っていた頃からだ。お前は自分の父親が殺されても、勇者を憎んでいなかった。人間と魔物の争いという背景があったとはいえ……そう頭で割り切ることは、俺にはできない。俺はずっと、父親を殺された恨みで動いていたからな」

魔姫「誰だって感情はあるんだし、無理に割り切る必要はないのよ。私が憎んでいるのは勇者じゃなくて、時代だし……」

ハンター「それだ。お前は広い視野で物事を見ている。先ほどの妖花とのことだって、平和的解決の道をお前は提示した」

魔姫「まぁ……私も魔物だから、人間とは視点がちょっと違うというか……」

ハンター「……普段自信満々なくせに、褒められると謙遜するんだな? 照れ屋か?」ニヤ

魔姫「!!!」カアァー

ハンター「褒め言葉は素直に受け取っておけ。俺がお前を褒めることは、この先ないぞ」

魔姫「まぁーっ! 本当、ひねくれた男ね!」

ハンター「お互い様だ」ククク

魔姫「むむ……」

魔姫(なんか…ハンターが素直だと、調子狂うわ……)


ハンター「それにしても……これだけ人が多いと、勇者や猫耳を見つけられんな」

魔姫「そうね」

ハンター「2人とも、お前と踊りたかっただろうな」

魔姫「踊りたいのは2人だけじゃないわ」

ハンター「ん? …あぁ、お前もか。まぁ祭典にこだわらずとも、ダンスパーティーの機会はいくらでも……」

魔姫「今日じゃないと駄目なのよ。……だから」

ハンター「ん?」

魔姫「ハンター。私と踊りなさい!」

ハンター「……は?」

魔姫「ほら、始まるわ! 早く早く!」ダダッ

ハンター「ちょっ……」


~♪

魔姫「ほら、しっかり手を取って」

ハンター「いや待て……踊れと言われてもどうすればいいのか……」

魔姫「周囲の人の真似をしなさい。大丈夫よ、貴方は運動神経いいんだし」

ハンター「無茶なことを」ハァ

魔姫「ふふっ」

ハンター「どうした」

魔姫「いえ。何だかんだで、付き合ってくれるのねぇ」

ハンター「付き合わされているんだ。全く、好意的に受け取りやがって」

魔姫「……でも、このドレスを選んで良かったわ」

ハンター「? ドレスがどうかしたか」

魔姫「このドレス、大人っぽいじゃない? 貴方と踊るには、ぴったりだと思って」

ハンター「……ん? おい……」

魔姫「何かしら?」

ハンター「いや、勘違いなら悪いが……。まるで俺と踊る為にドレスを選んだかのような……」

魔姫「ほら、足がもつれてるわ! ここでターンよ!」

ハンター「……っ!」クルッ

魔姫「ふふ、上手い上手い! 貴方、ダンスの才能あるわよ!」

ハンター「~っ…もうダンスは2度とごめんだ」

魔姫「あら、どうしてよ?」

ハンター「だから元々こういったものは好かないと……」

魔姫「ひねくれてるわねぇ。楽しんでるの、伝わってくるわよ?」

ハンター「……」

ハンター「それは――だから」ボソッ

魔姫「え、何か言った?」

ハンター「……っ!! 意を決して言ったのに、お前は!」

魔姫「あら、ごめんなさい。もう1回言ってくれる?」

ハンター「……っ。いいか、聞き逃すなよ! 俺が楽しんでいるのは、相手が――」

~♪ ……

魔姫「あら、音楽が終わったわ」

ハンター「……」

魔姫「楽しい時間って、あっという間ね。これで終わりかしら」

ハンター「……終わらせない」

魔姫「え? ――っ」


ハンター「――」

魔姫「――」


ハンター「……ぷはっ」

魔姫「ハ、ハンター…今、唇……」

ハンター「終わらせたり、しない……」

魔姫「……え?」

ハンター「お前を他の男と踊らせる気はない。だから…この時間を、終わらせたりしない」

魔姫「ハン、ター……」

ハンター「……」ドキドキ

魔姫「……」ドキドキ


ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ


魔姫(何か言いなさいよ! どうしろってのよ、この状況!!!)カアアァァ


「あらヤダ奥さん、見ました?」

「見た見た、やーねぇ」


魔姫&ハンター「!!?」ガバッ


勇者「なァんか行動が不審だと思っていたら……そういうことだったのねェ」

猫耳「いつの間にそんな関係になってたのかしらねぇ。気づかなかったわァ」

勇者「ハンターさんたら興味なさそうにしてたくせに、やーねぇ」

猫耳「魔姫さんもよォ。いつも喧嘩ばかりしてたのに、まんざらでもなさそうよ」

勇者&猫耳「「やーねぇ」」


魔姫「ね、猫ぉ!?」

ハンター「勇者!? どうしてここに!?」

勇者「どうしてって。そりゃ、俺らだって祭典に参加してたんだから当たり前だろ。バーカ」

猫耳「僕たちは悲しく男同士で踊ってたのににゃ~。ふーん、へーぇ」

魔姫「こ、ここここれはっ! 違うの、ハンターの痴漢だから!」

ハンター「ちか……お前なあぁ、通報案件をサラッと口にするな!!」

勇者「はいはい、ツンデレツンデレ。喧嘩もいちゃラブのひとつなんですね、ご馳走様です」

魔姫「いやっ、だからっ、そのっ!」

猫耳「勇者、悲しい独り身同士で飲もうか~。お酒駄目だけど」

勇者「いいねぇ猫耳、傷心の俺を慰めてくれ。俺も酒駄目だけど」

ハンター「おい待て!」


猫耳「じゃあね~♪」

勇者「ごゆっくり~♪」


魔姫&ハンター「……」

魔姫「……どうするのよ」

ハンター「開き直るしかないんじゃないか?」

魔姫「……はい?」

ハンター「ほら、2曲目が始まる。踊るぞ」ギュッ

魔姫「!!! ちょっ」

ハンター「嫌か?」

魔姫「……」

魔姫「いや、じゃない。……いい」

ハンター「そうか」フッ

魔姫「そういう言い方は、ずるいわよ……」

ハンター「一応大人なのでな。経験値の差だ」

魔姫「!! そう言えばハンター、貴方過去に女性経験……」

ハンター「ステップが遅れているぞ。仕方ない、リードしてやるよ」グイッ

魔姫「ちょっ……後で覚えてなさいよ!!」


どうにも素直になれない2人だけど――
だけどきっと、気持ちは一緒だから。


ハンター「一生かけて尋問しろ。逃げも隠れもしない」

魔姫「望むところよ。今度は私が、捕まえてやるんだからね!」


Fin





あとがき

ハンタールートでした。
基本的にちゃんとした大人だけど、感情で無茶な行動を取ることもある所がハンターの魅力だと思っています。
そして勇者猫耳に比べると遥かにひねくれていて、ある意味1番大人であり、1番子供なのかもしれないですね。

それよりもバイト中の正装敬語ハンターをもっと書きたかったかもしれん((

ハンターの異性経験値? ご想像にお任せしますってことで~。
posted by ぽんざれす at 20:47| Comment(0) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月07日

【スピンオフ】魔術師「勇者一行をクビになりました」【七夕】

魔術師「勇者一行をクビになりました」の七夕スピンオフです。





勇者「ここにぶら下げて、と」

悪魔「いよおおぉぉッ!! 勇者クン、チィース!!」

勇者「!!!」ビクウウウゥゥゥッ

悪魔「イャハハ!! 七夕なんで、悪魔王様がハッピーをお届けに来たぜえェッ!!」

勇者「クリスマスじゃないんだぞ」

悪魔「細けェことはいいんだよ! ところで勇者、短冊に何書いたんだ?」

勇者「あっ!!」


『彼女ができますように 勇者』


悪魔「………」

勇者「………」

悪魔「ごめんなさい」

勇者「謝るなよ!!」

悪魔「イャハハハハ、ぶゎっ、ぶゎっ、うひゃひゃひゃ、ぐぁーっはっはっはっは!!」ジタバタ

勇者「笑い者にするのもヤメロ!!」

悪魔「ヒィ、ヒィ……つか勇者。テメェんとこ、ハーレムパーティーだったろ? 他の子達はどうしたよ?」

勇者「……各自、彼氏を作りました」

悪魔「うわー……」

勇者「わかっている、あの頃の俺は調子こいていた…! 女の子に囲まれて、自分はモテていると錯覚してたんだ!!」

悪魔「租チンのくせにね」

勇者「それを言うなああぁぁ!!」

悪魔「ま、頑張って」

勇者「えっ!? ハッピーを届けに来てくれたんじゃないの!?」

悪魔「だってテメー、俺様ンとこの国民じゃねぇし」

勇者「恥かき損かよチキショウ!! 頼むよ、助けてくれよ悪魔王!!」

悪魔「んー…じゃあアソコを引っ張って伸ばして、サイズアップする?」

勇者「するか!! 想像しただけでタマがヒュンとなったわ!!」

悪魔「下ネタ言ってんじゃねえェッ!!」バキィッ

勇者(えええぇぇーっ!!)ドサッ

悪魔「ったくよぉ…勇者ともあろうモンが、七夕の日にモテたいだのタマヒュンだの」

勇者「いでで……な、何か問題でも?」

悪魔「知ってっか! 七夕は1年に1回、彦星と織姫ちゃんが会える日なンだよ! 可哀想なカップルの記念日なンだよ!!」

勇者「お、おう…!」

悪魔「勇者、テメェは落ちぶれても勇者。人類の希望だろ?」

勇者「希望…そうだ、俺は希望を背負った勇者なんだ!」

悪魔「ならば…救ってみたいと思わねェか、悲劇のカップルをよォ」

勇者「救いたい! めっちゃ救いたい!」

悪魔「その言葉が聞きたかったアァ!! よし、俺様と一緒に来い!!」

勇者「この俺が、救ってみせよう!!」







>魔王城・魔術師の部屋の前


悪魔「魔術師ちゃ~ん、出ておいでェ~」

魔術師「もー知りませんっ! 悪魔さんイヤッ!!」

悪魔「ゴメンてば~! 今の魔術師ちゃんを最ッ高に愛してるから、ね、ね!?」


勇者「……?」

暗黒騎士「あー…まだやってたのか」

勇者「なぁ、一体何をやっているんだ?」

暗黒騎士「この短冊を見ろ」

勇者「?」


『魔術師ちゃんのバストが成長しますように 悪魔』


勇者「………」


悪魔「勇者、救って」

勇者「いや無理」



おわり



あとがき

魔術師ちゃんが怒ったら、流石の悪魔王様でもどうもできないってことで。
七夕スピンオフでやる意味? そこをツッコんではいけない。
posted by ぽんざれす at 11:43| Comment(2) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月19日

【父の日】魔王子「僕が美しすぎて世界征服とかどうでもいい」

魔王子「僕が美しすぎて世界征服とかどうでもいい」の父の日スピンオフです。





魔王「側近よ、魔王子の様子はどうだ」

側近「はっ。非常に馬鹿…あ、いえ、魔神の姿が人間共に与えた影響は計り知れず、馬鹿にしては…ではなく、他国と上手くバランスを取っているご様子です」

魔王「成程な。だが、あいつは甘いところがあるのが心配だな」

側近(心配なのは甘いところで終わりませんて…。こないだも服を着忘れたことに気付かないっていう馬鹿っぷりを披露しやがったし)

魔王「だが最近…湯治のお陰か、腰の痛みも和らいできた」

側近「!! では、魔王様……」

魔王「あぁ…我の復帰も近いぞ……!!」

側近(遂に…魔王様が復活なさる!!)


バタバタ


魔王子「パパ~ン! パパ~ン!」

魔王「どうした魔王子」

側近(馬鹿が来た)

魔王子「今日はパパンに感謝を伝える日なんだってさ」

魔王「ほう。お前は我に何を感謝していると言うのだ」

魔王子「ありがとう、僕をこんなに美しく産んでくれて…恐ろしい顔のパパンと僕は似ても似つかないけど、でもパパンは美しい僕の父親だ! だから…誇っていいよ?」

魔王「お前は馬鹿か」

側近(すみません魔王様、貴方の息子は馬鹿です)

魔王子「パパン! 見てよ、美しい僕の華麗なる奥義…」ヌギッ

側近(あ、脱いだ)

魔王子「ビューティフルフラワーシャワー!!」

ばらばらっ

魔王子「黄色い薔薇は父の日の花…。薔薇が僕に降り注ぐ景色、美しいだろう?」

魔王「ほう、魔法で花を生み出すか。脆弱な技だな」

魔王子「花は儚いからこそ美しいんだよ、パパン。それにこの技は、実用的でもあるんだ」

魔王「例えば?」

魔王子「パパンの湯治に使っていた薬草は、この技で生み出したんだよ」

魔王「………」

側近「………」

魔王子「それじゃあ僕は国中に薔薇を降り注いでくるね! グッナイ、パパ~ン!」ダッ

側近「去って行きやがった、あの馬鹿……」

魔王「……側近よ」

側近「は、はい!」

魔王「腰の調子が…悪化してきた」

側近「魔王様ぁ――っ!?」


こうして魔王は復活が叶わず、世界は平和が続いたそうな。


終わり




あとがき

父の日ssなのに父の腰を悪くしてどうする! あとヒロインが1度も出てきてないぞ!
ツッコまれる前にセルフでツッコんだから責められまい、フハハハハ!!
posted by ぽんざれす at 06:52| Comment(0) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月05日

【こどもの日スピンオフ】もう勇者なんてやめたい/アラサー賢者と魔王の呪い/勇者よりもお姫様になりたかった

勇者「もう勇者なんてやめたい」

勇者「今日は節句なので、鎧兜を飾りましょうね~」

子供「キャッキャ」

暗黒騎士「……おい」

勇者「あ、見て下さいあなた。これできっと、この子も立派に成長しますね~」

暗黒騎士「節句に俺の暗黒鎧を飾るな」

勇者「え、でも強く逞しい子になるんじゃありませんか?」

暗黒騎士「…暗黒の鎧には暗黒の力が込められている。奇跡の子であるこいつの祝い事にそんなもの使ったら、どうなることか」

勇者「!! 今すぐ普通の鎧を持ってきます!」ワタワタ

暗黒騎士「そういう問題ではない。……阿呆」




アラサー賢者と魔王の呪い

賢者「今日は子供の成長を祝う日よ~♪ 皆、じゃんじゃん食べて大きくなってね♪」

生徒たち「ご馳走様でーす!」

魔法戦士「……先生はおもてなしする側じゃなくて、される側じゃないかな?」

賢者「こーら、先生は呪いを受けてても立派な大人なんです。成人もまだな魔法戦士君が生意気だぞ~」

魔法戦士「はいはい、わかりました。あ、パーティーってことで、ちらし寿司作ってきました」

生徒たち「すげー! 鯉のぼりの模様になってる!!」

賢者「…ゴクリ」

魔法戦士「はい、先生の分。おかわりもあるから遠慮なく食べてね」

賢者「うん! モグッ…あ、美味しい~♪」ニコニコ

魔法戦士(1番子供っぽいの、やっぱ先生だよな~)




女勇者「勇者よりも、お姫様になりたかった」

勇者「さて、着替えたし行くかな」

精霊「勇者ぁー、あのね、くまさんがね!」

勇者「あ、精霊」

精霊「………すみません、人違いでした」ソソクサ

勇者「待て! 私だよ、勇者だよ!」

精霊「いやぁ…男装がサマになりすぎてて人違いしちゃったよ」アハハ…

勇者「今日は菖蒲の節句。男子の成長を願う節句の日なんだ。城で式典を行うから、執行者として呼ばれたんだよね」

精霊「男子の成長! 式典に出たら俺の背も伸びる!?」

勇者「精霊は…菖蒲の節句というより……」

精霊「?」

勇者「………敬老の日?」

精霊「俺、どっちの式典にも出られるじゃん! 美味しいもの食べられる機会が多いってことだよね!」キラキラ

勇者「素直に喜ぶな」





こどもの日スピンオフはこの3つのssから考えていたのですが、どうもネタが膨らみませんでした。
ファンタジー感がない? ははは、気にしたら負けだ!!Σ(´∀`||;)ドキッ!
posted by ぽんざれす at 11:45| Comment(2) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月01日

【ブログ限定連載】暗黒大陸学園すちゅーでんつ☆【第1話】

今日から何と、このブログで連載が始まります!
その名も暗黒大陸学園すちゅーでんつ☆

これは当ブログにあるssをクロスオーバーさせて学園パロをやるという、ゆる~いオムニバスであります!

さてさて、今日はその第一回をご覧下さい

・見方
キャラの台詞の後に、そのキャラが出ているssのリンクが貼ってあります。
キャラ名が同じ色のキャラ同士は、同じ作品に出ているキャラ同士です。




朝の挨拶

>校門前

魔道士「チャオ☆ チャオ☆ チャオ☆」(→魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」

村娘「ちゃ、ちゃお?」(→勇者「俺はヒーローになれなかった」

魔道士「今週は生徒会による挨拶週間だからね。チャオ☆」

村娘「ちゃ、ちゃおだす! こりが都会の挨拶かぁ…」

勇者「いや信じないでね」




学園のマドンナ

猫耳「魔姫のお通りだにゃ~」(→魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」

ハンター「…何で俺が荷物持ちなんかせねばならんのだ」

魔姫「悪いわね3人とも」

勇者「下僕として当然ですッッッ!!」

(くっ、男3人もはべらせて…見てなさい、私だって負けないわ!!)(→姫「勇者に魅力を感じない」

(…けど暗黒騎士、悪魔、魔王子……この学校のカッコイイ男子はほとんど恋人がいるわ…だ、誰かフリーの相手は…)



「さぁ、行きますよ」

勇者「…はぇ?」(→介護ヘルパーシリーズ

魔王「ふがー」

ヘルパー「姫ちゃん、お世話してくれてありがとうねー」ニコニコ

(違う…何か違う)シクシク



食堂

町娘(私は町娘。この学園の食堂で働いているの)(→魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」

悪魔「イエエェイ、生肉ウウゥゥッ!!」ガツガツ(→魔術師「勇者一行をクビになりました」

町娘(流石、学生さんは食いっぷりがいいわねぇ…)

「ハフッ、ハフッ!!」(→奴隷少女「私を、守って下さい…」執事「それが貴方の願いならば」

町娘(…がっつきすぎ?)

「ううぅ…美味しい、久しぶりのごはん美味しい」グスグス(→王子「囚われの姫君に恋をした」

町娘(な、泣く程?)

魔道士「チャオ☆ 町娘ちゃん、日替わり定食あるかな?」

町娘「あ、完売です」

魔道士「Oh…」



食堂その2

町娘「……」(→魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」

少女「困りました」(→神様「勇者も魔王もいなくなった世界で」

神様「えぇ、本当に困りました。まさか貴方が食券すら選べない方であったとは」

少女「わからないのです、私のお腹が欲しているものを」

神様「では値段で決めるというのは如何でしょうか? 財布と相談…それもまた選択方法の1つ」

少女「それが…今日はお財布にお金が沢山入っているので…」

神様「おやおや。富むということは選択肢が増えることであり、時として混乱を招く…実に興味深い」

町娘「……」


魔道士「チャオ☆ 町娘ちゃん、ここでの仕事はどうかな?」

町娘「この学校、変な人多すぎです」



イチャイチャ

暗黒騎士「おい。これ、お前が提出したんだろう」(→勇者「もう勇者なんてやめたい」

勇者「えっ? …あぁっ!! 暗黒騎士様との交換日記ぃ!? 理科のノートと間違えたあぁ!!」

暗黒騎士「どこをどう間違えた、阿呆」コツン

勇者「きゃうん」

魔王子(…いいなぁ、頭をコツン)(→姫「魔王子との政略結婚」



「魔王子様、お弁当作ってきました♪」

魔王子「姫様ぁ~、こんなにでっかいハートの弁当を教室で広げられるわけないだろ~」

「あっ…それもそうですね」

魔王子(頭をコツン、頭をコツン…)

魔王子「……」

魔王子「駄目だああぁぁ、姫様にそんなことできないっ!! そんなところも可愛いよ姫様ああぁぁ」ギュウゥゥゥ

「もぉ~魔王子様ったらぁ」

暗黒騎士「……本物の阿呆」ゴンッ

魔王子「あだぁ!!」



僧侶先生とヘルパー先生

僧侶「今日は科学実験をしたいと思いますー」(→僧侶「貴方を待ち続けて」

ヘルパー「私が僧侶先生の補助をするねー!」(→介護ヘルパーシリーズ

僧侶「えーと薬品の蓋を開けて…」ツルッパリーン

ヘルパー「あららー、こぼしちゃったねー! いいよー、私が拭くから気にしないでねー!」

僧侶「素早く混ぜてー…」モワモワモワモワモワ

ヘルパー「僧侶さーん、素早さが足りないぞー! よし、ここは私に任せて!」

僧侶「でー…あ、換気しとくの忘れてましたー」

ヘルパー「大丈夫! 私がやっておいた!」グッ

魔人(補助ってより介護…)



覗き

神界の騎士『次は体育だぜ、ほら早く着替えないと間に合わないぞ!』(→勇者「パーティーでのカーストが最下位でつらい」

勇者「あ、制服の下に体育着着てきたんですよ」

神界の騎士『カアアァァ~ッ、お兄さんが求めているのはそういうことじゃないんだ!』

勇者「えっ?」

神界の騎士『女子更衣室に突撃かまそうぜ! レッツゴー、女だらけの桃源郷!』

勇者「だ、だだ駄目ですってーっ! わあぁ、足が止まらないーっ!!」

キャーッキャーッ

神界の騎士『…? 何か騒がしいな』

勇者「フハハハハッ!! 女達の嬌声を受けて、俺のエクスカリバーは成長するッ!!」(→側近「女だらけの魔王城に全裸の勇者が突撃してきた」

勇者「キャアアアァァァァ!!!」

神界の騎士『………』

勇者「さぁ、喰らえ! 性剣エクスカリ…」

神界の騎士『…オラッ』ゲシッ

勇者「!!!」チーン パタッ

神界の騎士『ばーか』



覗き2

王子「この学校は可愛い女子が多いが、同時に腕の立つ女子も多い…故に覗き行為はバレ次第、即抹殺という危険を伴う。しかし俺には奥の手がある」(→姫「王子の代わりに戦う使命を負った」

王子「その名も…女装作戦ッ!!」バーン

王子「女装は済ませた! あとは女子更衣室へ向かうのみだ!!」タッタッ

オーク「待て。お前…男だろう?」(→魔術師「勇者一行をクビになりました」

王子「!?」

オーク「人間の目は誤魔化せても、性欲の権化たる俺の鼻は誤魔化せんぞ…フヒッ」

王子「性欲の権化…そうだ、協力しないか? お前も女の着替えが見たいだろう?」

オーク「勘違いするな…」

王子「え?」

オーク「俺が興味あるのは…男の肉体だっ!」ガバッ

王子「え、ちょ……」

<アッー

魔術師「? 何の声でしょうね」

「さぁ」



いじめ

先代(理科室でいじめが行われていると匿名の手紙が届いた…これは教師として見過ごすわけにはいかん)(→先代勇者「あの時のツケがやってきたか…」

先代(現場を押さえるぞ!)ガラガラッ

悪魔「イャハハハハ、人体実験イエエェイ!!」(→魔術師「勇者一行をクビになりました」

不死者「あぢ、あぢぃっ! やめろおおぉぉ!!」(→魔女「不死者を拾いました」

先代「……」

先代「何だ実験か。死なないから大丈夫だろう」

不死者「そういう問題じゃねぇ!!」



コンプレックス

勇者「この学校って小柄で可愛い子が多いよね…。ハァ、私なんてこんなに大柄だし…」(女勇者「勇者よりも、お姫様になりたかった」

「私だって男装しても違和感ない体格ですけど、コンプレックスに思っていませんよ」(→姫「王子の代わりに戦う使命を負った」

勇者「私、彼氏より大きいんだよねー…」

「でも精霊君はそんな勇者のことが好きになったのでしょう?」ポンポン

勇者「あ、あれ姫の彼氏」


飴売り「賢者先生は小さくて可愛いな~。飴でも食いますか~?」デレデレ

賢者「こーらっ、おばさんを可愛いとか言うんじゃありませんっ」(→アラサー賢者と魔王の呪い

「…ほう……?」ゴゴゴ

勇者(うわー…知らないっと)



コンプレックス2

>女子更衣室

令嬢「……ねぇ乙女さん」(→勇者の娘「お父様の仇を討ちます」

乙女「……何でしょう」(→乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」

令嬢「女の価値は胸じゃありませんよね?」

乙女「逆に考えればいいのですよ、貧乳はステータスだと」

令嬢「そうですね! 巨乳が何だっていうんですか!」ガシッ

乙女「そうですよ! この歳までこの大きさを保てているのは、かえって凄いことなんですよ!」ガシッ

ガチャ

賢者「きゃあ大変、急いで着替えないと準備間に合わないわ~」バタバタ(→アラサー賢者と魔王の呪い

令嬢乙女「……」

賢者「じゃ、体育館で待ってるわねー」

令嬢乙女(負けた…子供に負けた)



貴公子

悪魔「いよぅ勇者アァ! オラッ!」ズリッ(→魔術師「勇者一行をクビになりました」

勇者「ギャアアァァ!!」

悪魔「イャハハハ、相変わらずの粗チンでえぇ!! げひゃひゃひゃひゃ」


勇者「ううぅ…もう露出は嫌だぁ…」

魔王子「おやおや、男の涙とは美しくないね」(→魔王子「僕が美しすぎて世界征服とかどうでもいい」

勇者「ハッ! 貴方は全裸の貴公子こと、魔王子!」

魔王子「生まれたままの姿を恥じる必要なんてない…パーフェクトビューティ魔王子フラーッシュ!!」

女戦士&魔法使い&僧侶「「「キャーッ、魔王子様ーっ」」」

勇者(何て神々しいんだ…よし、俺も!!)

勇者「皆ぁ、俺のありのままの姿を見てくれーっ!!」



悪魔「勇者が停学になったみてェだぞ」

魔術師「な、何があったんでしょうかねぇ…?」



介護実習

ヘルパー「今日は介護実習を行いますよー。皆ぁ、自分のおばあちゃんだと思って優しくしてあげてねー!」(→介護ヘルパーシリーズ

魔女「おばあちゃんじゃないもん…うぇっ、ひっく」(→魔女「不死者を拾いました」

ヘルパー「このように感情コントロールがきかなくなるのも認知症の特徴で…」

魔女「調合もよく失敗するけど、認知症でもありません~!!」ビエーン



文化祭・ステージ練習

僧侶「文化祭ではステージで歌を歌ってくれませんかー」(→僧侶「貴方を待ち続けて」

「まぁ先生、私なんかが…? ふふ、ご期待に沿えるように頑張りますね♪」(→姫「勇者に魅力を感じない」

(学校でもトップクラスの美人で美声の持ち主である私がステージの主役とは、まぁ意外性もないわね)

僧侶「楽器担当は…笛吹き君、お願いしていいですかー」

笛吹き「了解した」(→姫「ボクの名は姫! 誇り高き勇者の血を受け継ぐ者!」

ブッピョリポリョリ~ン♪

「…………」

僧侶「歌って下さい、姫さん」

「無理です」



文化祭・模擬店

乙女「隣のクラスはメイドや執事のコンセプトカフェをやっているそうですね」(→乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」

執事「お嬢様がメイドをされるなど…心配でたまりません」(→奴隷少女「私を、守って下さい…」執事「それが貴方の願いならば」

乙女「見に行ってみませんか? 私の彼と媛さん、シフトの時間が一緒のはずです」



「お、お帰りなさいませぇ、ご主人様にお嬢様ぁ! ご、ご注文は何にいたしましょ」アワアワ

乙女(オドオドしてて可愛い。バイト先にスカウトしたい)

執事「お嬢様にご奉仕頂くなど、やはりできません…。貴方に仕えることが私の喜びなのですから…」

「きゅぅー」

乙女(いいなぁ、乙女ゲーのワンシーンみたい)フフ

魔王「微笑んでいないでさっさと選べ。それともこの俺の執事姿に発情でもしたのか? やれやれ、いけないお嬢様だ」クイッ

乙女「ちょっとは執事らしくしろ俺様系」



オタトーーク

乙女「逃走プリンセスのアニメ、クオリティ高いですよね」(→乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」

魔王「個人的には勇者×王子が推しだな」(→腐女子魔王「勇者マジ邪魔」

乙女「うぅーん…乙女ゲー原作なのでBLはちょっと…」

魔王「けど主人公が特定の男とくっついたとしよう。そしたら、他の攻略対象キャラはいずれ他の女と添い遂げるのだろう」

乙女「まぁ…そうですね」

魔王「そうなるより、攻略対象キャラ同士でくっついてくれた方がいいと思わんか?」

乙女「……」

乙女「それもそうですね」

魔王「乙女、騙されているぞ。可愛い奴め」フフ

悪魔「いや可愛いで済まされるもんじゃねーぞ……」



いかがでしたでしょうか?
作者の青春時代とは程遠い楽しい学園ライフ、頑張って連載していこうと思います


まぁ嘘だけどな。

アイプリルフールってことで楽しませて頂きました~、イャハハ☆
ネタを出すより色分けの方が大変でした(´・ω・`)
posted by ぽんざれす at 08:00| Comment(0) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月14日

ホワイトデースピンオフss

ssのタイトル名をクリックすると、そのssのスピンオフまでとびます。

勇者「もう勇者なんてやめたい」

勇者の娘「お父様の仇を討ちます」

魔術師「勇者一行をクビになりました」

姫「王子の代わりに戦う使命を負った」

魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」

姫「魔王子との政略結婚」

王子「囚われの姫君に恋をした」

女勇者「勇者よりも、お姫様になりたかった」

魔王子「僕が美しすぎて世界征服とかどうでもいい」

魔女「不死者を拾いました」

アラサー賢者と魔王の呪い

魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」

奴隷少女「私を、守って下さい…」執事「それが貴方の願いならば」

乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」

神様「勇者も魔王もいなくなった世界で」

勇者「パーティーでのカーストが最下位でつらい」






勇者「もう勇者なんてやめたい」

勇者「いいお天気~…ふわぁ」

暗黒騎士「おい」

勇者「ひゃいっ!?」ビクッ

暗黒騎士「今日は何の日か知っているな?」

勇者「え、えっ!? えぇと、えぇと…」アタフタ

暗黒騎士「…2月14日は何だった?」

勇者「………あ」

暗黒騎士「そういうわけだ。受け取れ」

勇者「わぁ、可愛い包装ですねぇ~」

暗黒騎士「あぁ、お前が好みそうなものを選んだ」

勇者「私の為にありがとうございます~。…ふふっ」

暗黒騎士「どうした?」

勇者「いえ。暗黒騎士様がこれを買う様子を想像したら…ふふふっ」

暗黒騎士「……阿呆」コツン

勇者「きゃんっ」

貰ったもの→プチセレブな香水




勇者の娘「お父様の仇を討ちます」(1/2) (2/2)

令嬢「…ホワイトデー、ですか?」

暗黒騎士「あ、あぁ」ドキドキ

令嬢「あ、ありがとうございます…」

暗黒騎士「じゃあ、俺は行くから!」

令嬢「…行ってしまった。さて中身は…あら髪飾り」



暗黒騎士(こういうイベントは馴れていないんだって…)壁ドンドンッ

令嬢「あなた」

暗黒騎士「!!!」

令嬢「…つけてみたんですが……どうですか?」

暗黒騎士「あ、あぁ。…いいぞ」

令嬢「でも…少し派手じゃないですかね?」

暗黒騎士「いいんだ。…お前につけてほしかった」

令嬢「…あ、あの!」

暗黒騎士「な、何だ?」

令嬢「せっかくですし…これをつけて一緒にお出かけしたいと思いまして」

暗黒騎士「えっ!?」

令嬢「……さぁ、行きますよ!!」グイッ

暗黒騎士(照れくさい……)

貰ったもの→金色の髪飾り(羽モチーフ)




魔術師「勇者一行をクビになりました」

悪魔「魔術師ちゃ~ん! 愛してるゥッ!!☆ミ」

魔術師「え!? ぁ、は、はい!?」

悪魔「ホワイトデーだからァ…俺様からの愛を受け取って魔術師ちゃ~ん!」

魔術師「ぇと、これは…わあぁ、可愛いドレス…!!」

悪魔「やっぱ魔術師ちゃんは俺様のお姫様だしィ~。ねぇねぇ、着てよォ」ジー

魔術師「も、もう悪魔さんたら…」テレテレ



魔術師「ぉ、お待たせしました…」

悪魔「」

魔術師「ぁ、悪魔さん?」

悪魔「もうダメだ…あまりのキュートさに、死ぬ……」ガクッ

魔術師「悪魔さん!? だだ誰か蘇生魔法をおおぉぉ!!」

暗黒騎士「また馬鹿やっているのか」

魔術師「うええぇ、悪魔さぁん」グスグス

暗黒騎士「落ち着け、そいつがそう簡単に死ぬわけない。というか珍しい格好だな」

魔術師「ぁ…これ、悪魔さんに頂いたんです……」

暗黒騎士「そうか。どうせなら見せて回ってきたらどうだ、皆の目の保養に…」

悪魔「ダメエエエエェェ!!」ガバッ

魔術師「生き返った!!!」

悪魔「魔術師ちゃんは俺様のー!! あまりに可愛くして皆の目を引いたらヤダヤダヤダー!!」ジタバタジタバタ

魔術師「もう…悪魔さんたら」ポッ

暗黒騎士(…どこに惚れる要素があるんだ?)

貰ったもの→ドレス(ピンクのロリータ系)



姫「王子の代わりに戦う使命を負った」(1/2) (2/2)

飴売り「なぁ姫さん知ってるか?」

姫「何でしょうか」

飴売り「ホワイトデーのお返しのお菓子には意味があってさ。マシュマロには「お断り」、クッキーには「お友達」って意味があるんだぜ」

姫「へぇ…知りませんでした」

飴売り「それで俺が姫様にお返しするのは…コレっ!!」

姫「まぁ、宝石のような飴ですね。手作りですか?」

飴売り「そーよ! 味付けも見た目も包装も頑張ったんだからな~!」フフン

姫「ありがとうございます、大事に頂きます」

飴売り「それでさっきの話の続きだけど、飴の意味は……」

姫「あら美味しい」

飴売り「でしょでしょ~! 飴作りに定評のある飴売りさんだからな!」ドンッ

姫「何か癪ですね」

飴売り「えええぇ何で!?」

姫「私よりお菓子作りが得意だなんて、飴売りのくせに生意気」

飴売り「ハハ、飴だけだって~。それで飴の意味は…」

姫「はい、味のおすそ分け」チュッ

飴売り「」

姫「貴方が私に送るメッセージなんてわかっていますよ。本命、でしょう?」

飴売り「は、はは…姫さんたら」

貰ったもの→手作りの飴




魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」

魔道士「町娘ちゃん、お金が沢山あったら何に使う?」

町娘「貯金ですね」



魔道士「助けて~、弟君~」

弟「お姉ちゃんは欲がないからなぁ」

魔道士「僕としては絶品チョコレートケーキのお返しをしなければ気がすまないのだけれど…」

弟「うーんと…あ、そうだ」



魔道士「チャオ☆ 町娘ちゃん、今日は何の日かな?」

町娘「ホワイトデーですか?」

魔道士「Oh!? 一発正解とは予想外だよアハ~ン…」

町娘「そりゃ一般常識ですから。気を使って下さらなくても大丈夫でしたのに」

魔道士「そういうわけにはいかないよ。はい、これ」

町娘「これは…あっ」

魔道士「弟君から預かった、壊れたオルゴール。直しておいたよ★」

町娘「…ありがとうございます。これ、両親の形見で。本当に嬉しいです」

魔道士「それは良かった☆ あと、町娘ちゃん」

町娘「はい?」

魔道士「気を使わなくてもいい、なんて言わないで…。僕が町娘ちゃんにしてあげることは…全部、僕がやりたいことなんだから、さ…」

町娘「魔道士さん……」

魔道士「………」

町娘「だから、何で真面目になったら喋れなくなるんですか!? いや今日は頑張った方ですけど!」

貰ったもの→大切な思い出のオルゴール




姫「魔王子との政略結婚」(1/3) (2/3) (3/3)

魔王子「フッフッフ…今日はホワイトデー。この日の為に俺は…!!」

<コケコッコー

魔王子「昨晩から国1番の製菓店に徹夜で並んでいるッ!! 狙うは『先着10名様限定ホワイトデーギフトキャンディー』!!」

店主「ま、魔王子様!? おっしゃって下されば特別にご用意していたのに…」

魔王子「そういうわけにはいかん…。ホワイトデーの競争は王族も平民も平等だろ、なぁ?」

店主(何という…男前!!)



魔王子「ふわ~あ…城に戻ってきたはいいけど、姫様は外出中かぁ。眠くなってきた…」

魔王子「クカークカー」

姫「只今戻りまし…あら、魔王子様。戻られて眠っていらっしゃるのね」

姫「……」



魔王子「むにゃむにゃ…ふぁ~よく寝…」

姫「あら、お早いお目覚めで♪」

魔王子「!!! 姫様の…膝枕!?」

姫「いつもお疲れ様です魔王子様。ふふ、魔王子様の寝顔をゆっくり拝見できました」

魔王子「~っ!!」ガバッ

魔王子「ひ、姫様…これ、ホワイトデー!!」ドキドキ

姫「まぁキャンディー。まさかこれを買う為に昨晩から?」

魔王子「まぁね。毎年、開店と同時に売り切れる商品みたいだから…」

姫「とっても嬉しいですけど…でも、1人にしちゃイヤです」プクー

魔王子「ごめん、ごめん! 今日はホワイトデーだし、何でも姫様のお願い聞くよ!」

姫「それじゃあ魔王子様…今日は1日一緒にいて下さい♪」

魔王子「はいはい、っと。姫様は本当に可愛いなぁ~」ナデナデ

貰ったもの→有名店の限定キャンディー




王子「囚われの姫君に恋をした」

王子「バレンタインの約束通り、今日は一緒にお菓子を作りましょう」

姫「宜しくお願いします、先生!」

王子「チーズケーキなんかどうですか。俺、結構自信ありますよ!」

姫「チーズケーキいいですね! 是非、作りましょう!」

王子「まずは土台作りの為、クッキーを細かく砕き…」

姫「はいっ!」ドゴォ

王子「バターを溶かし…」

姫「はいっ!」ゴオオォ

王子「チーズを湯煎にしてクリーム状になるまで混ぜて…」

姫「はいっ!」グルングルン

王子(何かすげー力技だなぁ…バレンタインを思い出すや)

姫「王子様、次は次は!」

王子(まぁ、ワイルドな姫様も可愛いからいいか)ホンワカ



姫「できましたね! 早速切り分けて…」

王子「これにジャムをかけたりして…」

姫「こうですか?」ビチョビチョ

王子「つけすぎです姫様!」

姫「でも甘くて美味しそうですよ。はい、あーん♪」

王子「…あーん」パク

姫「どうですか王子様!」

王子「クッソ甘くて幸せです、姫様」

姫「どれどれ…んぐっ、味が濃い! ふえぇ~、また失敗してしまいました~」

王子「大丈夫です姫様! このビチョビチョのケーキは俺が食います!!」

姫(王子様…何て男らしいの!!)

王子(姫様と関節キッス…最高!!)

貰ったもの→一緒に作ったチーズケーキ




女勇者「勇者よりも、お姫様になりたかった」

重騎士「なぁ精霊、ホワイトデーって知ってるか?」

精霊「何それ? 大雪の日?」

重騎士「バレンタインのお返しをする日だよ。店に行けば特設コーナーがあるはずだぜ」

精霊「へぇ、教えてくれてありがとう! 勇者へのお返しのもの見てくるよ」


精霊「とは言ったものの…勇者には(俺の趣味で)色々あげてるから、改めて何をあげればいいか思いつかないなー」

<あ、勇者様の彼氏さんだーワイワイ

精霊(うーん。俺が世界の英雄である勇者の彼氏だってバレたからには、下手なものあげれないぞ)

精霊「…そーだっ」



精霊「勇者、ゆーしゃっ♪ これあげる! ホワイトデー!」

勇者「あらー、わざわざありがとう。開けてもいい?」

精霊「いいよー! あのね、手作りなんだ!」

勇者(何だろう。ハンドメイド品かな、それともお菓子かな…)

勇者「……」

勇者「ダイヤモンド?」

精霊「作ったの!」

勇者「…ダイヤモンドを?」

精霊「うん!! あのね、炭素原子を含んだ鉱物を高熱で溶かしてね!」キラキラ

勇者(えええええぇぇぇ)

勇者「動物チョコのお返しでダイヤモンドなんて申し訳ないわね…」

精霊「バレンタインは俺にとってはそれだけ嬉しいことがあったんだも~ん♪」

勇者「…そっか。そうだね。…そうだ精霊、デートしない?」

精霊「デート?」

勇者「そ。デートして、このダイヤモンドを皆に見せびらかすの。だって公認カップルなんだしね」

精霊「それはいいね~! じゃあ、じゃあ可愛い格好してよ勇者!」

勇者「ふふ…、うん、待っててね!」

貰ったもの→手作りダイヤモンド




魔王子「僕が美しすぎて世界征服とかどうでもいい」

魔王子「姫様! バレンタインのお返しを持ってきたよ!」

側近「ふぅ、ふぅ…重い」

姫「まぁ魔王子様。お返しなんて気にしなくて良かったのに」

魔王子「そうはいかないよ、貰いっぱなしなんて美しくない。美しくないのは僕のポリシーに反するからね!」

姫「ふふ、魔王子様ったら」

魔王子「今年は本命である姫様の為に特別なものを用意したよ…これだぁっ!」バッ

姫「!! これは…」

魔王子「フフ。美しいだろう、名づけて"パーフェクトビューティ魔王子ケーキ"さ!」

側近(この無駄にリアルな造形。おぉおぞましい)

魔王子「ちなみに義理のお返しでは毎年、僕型のクッキーを配っている」

女戦士「魔王子様のクッキー、素敵ぃ~」メロメロ

魔法使い「私、魔王子様を食べられな~い」メロメロ

僧侶「むしろ食べられた~い」メロメロ

姫「………」

魔王子「姫様?」

側近(あまりのアホさに呆れられているのだろう。フラれてしまえ)

姫「あの…」

魔王子「ウン?」

姫「こういうケーキってどこから食べようか迷いますよね。やっぱり唇かしら」ウフフ

魔王子「吸い付いてみるといいかもね!」

側近(やはりアホを好きになるのはアホなのか)

貰ったもの→パーフェクトビューティ魔王子ケーキ




魔女「不死者を拾いました」

魔女「お皿洗いも終わったし、調合でもしようかなぁ」

ぱさっ

魔女「きゃん! これは…」

不死者「おー、似合ってるな」

魔女「不死者さん! この帽子は…」

不死者「ホワイトデー。魔女っぽいとんがり帽子、どうよ?」

魔女「あ、可愛いですねぇ。ありがとうございます」

不死者「おう、これでちんちくりんを誤魔化せ」

魔女「むぅー」

不死者「洗いやすいから、調合で爆発してススまみれになっても大丈夫だぞ」

魔女「汚すの嫌ですよ~。脱ぎます」

不死者「待て。脱ぐな、俺の為に」

魔女「えっ!? でもそれだと調合が…」

不死者「今日は調合は休みだ。それより、せっかく帽子かぶったんだから外に行くぞ」

魔女「えと…あ、調合素材の採取ですか?」

不死者「ま…それでいいや、行くぞ」

魔女「はい、行きましょう」

不死者「…鈍い奴」

魔女「え?」

不死者「いや何でもない」

魔女(? 変な不死者さん)

不死者(言えねーよ…デート、なんて)

貰ったもの→装飾がファンシーなとんがり帽子




アラサー賢者と魔王の呪い

魔法戦士(ふむふむ。"ホワイトデーのお返し、お断りならマシュマロ、友達にはクッキー、本命には飴"ね…)←雑誌を読んでいる

魔法戦士(…待てよ。チョコに対して飴って、何かランクダウンしてないか)

魔法戦士(先生はあまりお菓子に込められたメッセージとか気にしなさそうだし…先生はケーキとかが好きだし…)

魔法戦士(…いや待てよ。こういうとこでアプローチしていかないと、ずっと男として意識してもらえないままじゃ……)

魔法戦士(……つーか飴をあげたら先生に「好きです」って言ってるも同然なんだよな…)

魔法戦士「」ウーンウーンウーン

>ホワイトデー当日

配達屋「お届けものでーす」

賢者「あら魔法戦士君から。さて中身は…」

手紙『バレンタインのお返しです。頑張って作りました』

賢者「まぁ手作りケーキ♪ 凝ってるわね~。あら、このデコレーションは何だろう」ペロ

賢者「あら飴だわ」


魔法戦士「飴デコレーションが精一杯だった…先生は気づいてくれたかな」ドキドキ

配達屋「お手紙でーす」

魔法戦士「先生からだ!」

手紙『ケーキご馳走様でした。とても美味しかったです。あと、あの飴…』

魔法戦士「そう、あの飴は俺の…」ドキドキ

手紙『飴でデコレーションするなんて、魔法戦士君たら女子力高いのね~♪』

魔法戦士「……」

魔法戦士「ますます男として見られなくなってんじゃねぇか、俺の馬鹿ああぁ!!」

貰ったもの→クリームケーキ(飴デコレーション)




魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」

猫耳「男子会、いえ~い」パチパチ

勇者「うえぇ~い!!」パチパチ

ハンター「……何で俺まで」

勇者「そりゃバレンタインに3人同じモン貰ったんだし! 誰にも抜けがけさせねーぞ、っていう企画よ!」

猫耳「魔姫の大好きなシュークリームを作りましょ~♪」

ハンター「菓子作りなどしたことないのだが…」

猫耳「大丈夫、僕が教えるよ! お菓子作りって結構腕力を必要とするから、脳筋の2人とも頼りにしてるよ!」

勇者「任せろ!!」

ハンター「誰が脳筋だ誰が」

猫耳「文句言わないで始めるよ~」

勇者「うえぇ~い!!」

ハンター(面倒な…)



猫耳「さて、焼きあがったねー。2人とも、どう?」

勇者「見て見てー、巻きグソ型!」

ハンター「児童かお前は!! 食い物で遊ぶな!」

勇者「大丈夫、これハンター用だから! 中身は勿論、チョコレートクリームで!」

ハンター「食えるか!!」

猫耳「よし、ハンター用のはよけて、ラッピングしよう!」

ハンター「俺があれを食うのは決定なのか!?」



猫耳「魔姫~」

勇者「魔姫さーん」

魔姫「あらどうしたの」モグモグ←高級シュークリーム

ハンター「……」

猫耳「……」

勇者「……」

魔姫「?」

勇者「…一流階級御用達のいい店があるんです! そこで食事しましょう!」グッ

魔姫「あら、もしかしてホワイトデー? 嬉しいわね~」

ハンター(金は3人で折半な)

猫耳(なお、手作りシュークリームはスタッフが美味しく頂きました)

貰ったもの→高級レストランでお食事




奴隷少女「私を、守って下さい…」執事「それが貴方の願いならば」

執事「お嬢様、先日のバレンタインでは身に余る物を頂き、誠にありがとうございます。ささやかなお返しとして、チョコレートパイを焼きました」

媛「おっしゃれー…流石、執事さん!」

犬男(執事のヤロー、ホワイトデーも知らなかったくせにそつなくこなしやがって)

猿少年(材料費もきっちり"3倍返し"だウキー)

執事「貴方だけの為に作った特別なパイです。どうぞ召し上がれ」

媛「頂きますっ!」

サクッ、ボロボロボロボロ

媛「……」

雉娘(あるある。パイって綺麗に食べるの難しいのよねー)

媛(ど、どどどどうしよう!?)

執事「失礼、お嬢様」スッ

媛(!! て、手が……)

執事「こうしてパイを横にし、中央の層にナイフを入れ…さぁ、薄くなりました。どうぞ」

媛(どどど、どうしよう、緊張して…)ガチガチ

執事「?」

犬男(おっとお嬢様、緊張で上手く食べられない! さて有能執事はここでどうするか)

執事「あぁ、そうか」

猿少年「お?」

執事「はいお嬢様」ヒョイ

媛「むぐ!?」パク

執事「どうですか?」ニコ

媛「」

執事「お嬢様? どうされましたお嬢様?」

媛(執事さんに食べさせてもらった執事さんに食べさせてもらった執事さんに食べさせてもらった執事さんに食べさせてもらった)

雉娘「まーた天然でお嬢様を殺しにかかったわコイツ…」

貰ったもの→手作りチョコパイ




乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」

魔王「乙女の世界で見た、チョコレートフォンデュというものをこちらの世界で作ってみた」

乙女「……」


悪魔「噴水全部チョコとは、面白いなぁ」バシャバシャ

守護精霊「そーれっ!」バシャーッ

側近「こちらにかけないで下さい」


乙女(何か違う…いや、思い切り違う!)

魔王「今日はホワイトデーらしいので、ホワイトチョコにしてみた。さぁ入れ、乙女!」

乙女「嫌です」

魔王「お前は本当に…反抗的な犬だ」フッ

乙女「いやそういう問題ではなく」

悪魔「隙あり、魔王覚悟ーっ!」グイッ

魔王「!!!」バシャーン

乙女(あーあ、全身チョコまみれ)

魔王「……」

魔王「乙女、命令だ。舐めとれ」

乙女「断る」

貰ったもの→その後普通にホワイトチョコトリュフを貰いました




神様「勇者も魔王もいなくなった世界で」

神様「貴方の為だと思うと、世の中の風潮に合わせるのも悪くはありませんね」

少女「今日はホワイトデーでしたね」

神様「どうぞ、私からのプレゼントです」

少女「ケーキとワイン…ですね」

神様「おや、お嫌いでしたか?」

少女「アルコールの類は飲んだことがなくて」

神様「人生において、未経験の出来事に遭遇することは多々あるでしょう」

少女「えぇ…。酔う、という感覚に対してどうも不安が」

神様「なるほど。酒に酔う…確かに品行方正な貴方にとっては、良い印象は持てぬものかもしれませんね」

少女「いえ、でもせっかく神様にご用意頂いたのですから…」

神様「いいえ。貴方に押し付けるような形になるのは私にとって不本意というもの。双方が納得する形を取りましょう」

少女「というと?」

神様「酒に酔わなければいいのですよ」

少女「…コントロールできるものでしょうか」

神様「えぇ。つまり――」クイッ

少女「――っ?」

神様「…」チュッ

少女「――」

神様「酒ではなく、先に雰囲気に酔ってしまえばいいのですよ」ニコ

少女「…でも神様」

神様「はい?」

少女「例えば先に雰囲気に酔ったとしても、私がアルコールに弱い体質だとしたら、お酒の酔いが上回ってしまうのでは」

神様「ふむ、盲点でした。というかそもそも貴方を雰囲気で酔わせるということ自体が無理というものでしたね」

貰ったもの→レモンパウンドケーキと度数低めのワイン
※少女は、この世界での倫理的にはお酒を飲める年齢です。飲酒については法律を守りましょう。




勇者「パーティーでのカーストが最下位でつらい」

神界の騎士「勇者、あーんしろ、あーん♪」

勇者「や、やですよぉ~」

神界の騎士「変なことしねーって。キャラメル食わせるだけだから」

勇者「自分で食べますよ~…」

神界の騎士「何言ってんだよ、あーん♪を経験しない奴は一生リア充になれねぇぞ!!」

勇者「そんな大げさな…」

神界の騎士「悲しいな。お兄さんはいつでも勇者の味方だっただろ? そんな俺が嘘をつくと思うか?」

勇者「う」

神界の騎士「そういうわけだ。さぁ口を開けろ勇者」

勇者「…あーん」

神界の騎士「よし!!!」パクッ

勇者「きゃああぁぁ!?」

神界の騎士「失敬だな、悲鳴あげることないだろ」

勇者「だってそれ、口移ししようとしてますよね!?」

神界の騎士「口移しも何も、同じ口を共有した仲じゃないか。今更だろ?」

勇者「いやらしいことするなら神界の騎士さんイヤッ!」

神界の騎士「悪い。お詫びにこれ、勇者の為に買ってきたやつだ」

勇者「…? 綺麗な包装ですね、何ですかこれ?」

神界の騎士「Dカップのブラ。勇者のサイズぴったし…いででっ!」

勇者「もぉー私だって我慢しませんからねーっ!」ポカポカ

貰ったもの→色んな味のキャラメルとDカップブラ(白の花模様)




あとがき
ネタ出すのに苦労しました(´・ω・`)
バレンタインの時よりアホさが際立ってるけど、皆が幸せならそれでいいさ!
posted by ぽんざれす at 11:21| Comment(2) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月03日

【ひな祭り】乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」

乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」のひな祭りスピンオフです。




乙女「このアングルで」パシャ

魔王「乙女、変わった衣装だな。和服のようなドレスというか」

乙女「お雛様をイメージしてデザインされた着物ドレスです。伝統の和服をかなり崩しているので、賛否両論ではあるんですけれど…」

魔王「可愛らしければそれで良い。似合っているぞ乙女」

乙女「ありがとうございます。ひな祭りイベントで着る予定です」

魔王「ひな祭り、か…」

魔王(ひな祭りとは、この世界に存在する行事。女子の成長を祈るのが目的で、雛人形や桃の花を飾って、行事食を楽しむそうだ)

魔王「雛人形は飾らないのか?」

乙女「あー…一人暮らしする際に処分したので持ってないんです」

魔王「若者の行事離れという言葉を聞くが、お前もか乙女。それではいかん、行事は意味があるから存在するのだぞ」

乙女「耳が痛いです…」

魔王「雛人形を飾らないからお前の胸は成長しなかったのだな!!」

乙女「関係ありません」

魔王(ひな祭り…乙女はさほど重視していないらしい。しかし、行事を体感してみたいものだな)

乙女「あ、そうだ。さっき撮った写真SNSにアップしよう」

===========
*乙姫*
3/3はひな祭りイベントです( ̄ー+ ̄)
ご主人様のご帰宅をお待ちしております(`・ω・´)ノ
===========

魔王(ほう。家ではやらないが職場でやるのか。これはチャンスだな)

魔王「乙女、3日は俺もお前の職場に行ってもいいか」

乙女「いいですけど…お客さんに見られたらまずいので、一緒には行きませんよ」

魔王「構わん。お前のシフトに合わせて客として行く」


魔王(異世界の行事を学ばせてもらおう)





>当日・冥土屋


乙女「お帰りなさいませ、ご主人様…」

魔王「今帰ったぞ、もてなせ」

メイドA(あ、乙姫ちゃんの彼氏さんだ)

メイドB(相変わらず俺様だな~)

乙女「本日はひな祭りということで、特別メニューでひな祭りセットが御座います」

魔王「じゃあそれで。指名はお前だ」

魔王(セット内容はフードとドリンク1品ずつ、ブロマイドに…チェキとは何だ?)


乙女「ではひな祭り限定メニュー、"ぐるぐるハートの手巻き寿司"を作らせて頂きます」

魔王「ほう、目の前で作るのか。これは見ものだな」

乙女「皆、行きますよ」

メイド達「「おーっ!」」

魔王「?」

♪あかりをつけましょぼんぼりにー

魔王(合唱が始まった!?)

乙女「♪お花をあげましょ桃の花~」グルグル

魔王(歌いながら手巻きを作るだと!? これは何かの儀式なのか!?)

乙女「できました、ご主人様」

魔王「…うむ、可愛らしい見た目もさながら、和風の味付けが口に優しい。正に女子の為の伝統行事食、だな」

乙女「光栄です」

魔王「あと…チェキとは何だ?」

乙女「あぁ、チェキですね。こちらへいらして下さい」

魔王「?」

乙女「はい、お内裏様のかんむりと笏をどうぞ」

魔王「???」

メイドA「2人並んですまし顔でー! はい、チーズ!」

カシャ

乙女「よく撮れてますね」

メイドA「きゃーん、美男美女で正にお内裏様とお雛様ーっ」

魔王「……」





>魔王の国


魔王「なぁ、こちらの世界でもひな祭りをしないか?」

側近「ひな祭りとは?」

魔王「あちらの世界で存分に学んできた。手順から説明するとな…」

悪魔「何それ、めっちゃ面白そうじゃん!!」


こうしてこちらの世界には間違ったひな祭りが浸透していくのであった。


終わり



あとがき

チェキとは、店員さんとのツーショット写真撮影のこと…でいいと思います。
ちゃんとしたひな祭りを書け? ひな祭りのことよく知らないから無理ですキッパリ
posted by ぽんざれす at 09:00| Comment(2) | スピンオフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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