2016年03月01日

新作スレ立てのお知らせ

SS速報VIPにて勇者「俺はヒーローになれなかった」スレ立て致しました。

スレタイの通り、ヒーローになれなかった勇者による物語。
ストーリーもので男主人公は自分のssでは珍しいですね
糖分控えめですが、正統派の勇者魔王ss頑張りたいと思います
posted by ぽんざれす at 18:51| Comment(0) | スレ立てお知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月28日

twitterに投下したもの

twitter生活エンジョイさせて頂いています。
この記事はtwitterに投稿した画像ファイルを保存しておこうという自己満足ページです。

・各カップル身長差
バレンタインスピンオフに参加したカップル達の身長差を出してみました。
これはあくまで作者の脳内妄想なので、公式設定ではありません。(魔女のように「ちんちくりん」という描写がない限り、読者さんごとの脳内設定を重視して下さいませ)
ちなみにアラサー賢者、呪い状態では135センチと妄想しているので、魔法戦士との身長差は35センチかなー、と思っています。

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・読者様方の反応
勇者「パーティーでのカーストが最下位でつらい」をスレに投下した時の反応。腹抱えて笑いました。

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・↑の知人の力説
確かに「明らかに巨乳な子が自分に自信ないってのは違和感」は納得しました。
けど引くわ!!!

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・反省会
姫「私の初恋と記憶の中の貴方」の評価が不評だったこともあり、反省会を致しました。
反省を次回に活かす能力があるのか、試されている…。

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posted by ぽんざれす at 13:24| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月22日

新作スレ立てのお知らせ

SS速報VIPにて姫「私の初恋と記憶の中の貴方」投下開始致しました

初恋の思い出に浸る姫は、成長して再び恋をする。しかし姫の生まれた国は魔王の国と戦争中で…。
恋愛モノでいく予定です

1週間くらいで完結しブログにまとめる予定ですので、まとめ読み派の方は少々お待ち下さい

なお今作は生キャラメルさんと同じテーマで書き比べして遊んでいます
よろしければ生キャラメルさんのssもどうぞ
スレ→魔王「最善の選択肢と、悪魔の望む回答」
生キャラメルさんのブログ→ゴミ捨て場の木彫りのクマ
posted by ぽんざれす at 16:34| Comment(0) | スレ立てお知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月17日

各作品あらすじ(ダーク)

女勇者「私の死を望む世界」
→勇者が死ねば、別の者が勇者として選ばれる。そんなルールの中、勇者に選ばれたのは無力な少女だった。
☆勇者に共感したら辛いかも。


神様「勇者も魔王もいなくなった世界で」
→少女は目を覚ました時、記憶を失っていた。彼女の世話を焼いてくれる同居人を「神様」と呼び、彼と色々な話をする。
☆物事を考えるのが苦手な少女と、ひたすら優しい神様の会話はどこか不思議です。ラストはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、それは読む人によって変わると思います。


女勇者「優しくされたいなぁ」
→勇者は優秀な剣の使い手だが、やや承認欲求が強い所があり…。
☆このssのファイル名は「メンヘラ勇者」でしたね。

*************
その他カテゴリから分離させました。
作者的にはダークですが、人によっては物足りないかもしれないので、あくまで作者の主観でのカテゴリ分けということでご了承下さい。
posted by ぽんざれす at 22:21| Comment(0) | 各作品あらすじ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

女勇者「優しくされたいなぁ」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455616807/

1 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:00:07.89 ID:pYX9d+WG0
子供の頃…


父「おぉ、村に入ってきた魔物を退治したのか!」

少女「うん! 弱い魔物だったから、ボク1人で倒せたよ!」

父「お前は剣の才能に恵まれているな」ナデナデ

母「そうね、きっと男にも負けない凄腕の剣士になれるわよ」

村人「騎士団に入れば、この村の出世頭だな」

友達「少女ちゃん、かっこいいー!」

少女「えへへー」


剣の腕を上げれば上げる程、皆はボクを褒めてくれた。
それが嬉しくて、ボクはひたすら腕を上げた。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455616807
2 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:00:36.26 ID:pYX9d+WG0
そして数年後…


王「剣術大会で見事優勝を果たしたお主に、勇者の称号を与えよう」

勇者「光栄でございます…ですが本当によろしいのでしょうか」

王「当然だろう。何を遠慮する必要がある?」

少女は誰もが認める剣士となり、国で開催された剣術大会で優勝する程の腕前になった。
その剣術大会は勇者を決める為の大会で、勇者は魔王討伐の旅のバックアップが受けられるのである。

勇者「故郷ではもう『お前は優勝できて当たり前』って言われてたもので、改めて祝福して頂けると嬉しいというか…」

王「何を言っておる。お主は我々の救世主となる者だぞ」

勇者「えへ、えへへへ…」

王「お主が利用する施設の料金は国で負担しよう。それから旅を共にする者もこちらで選考しておいた」

戦士・魔法使い・僧侶「宜しくお願いします!」

勇者「宜しく!」

戦士「へぇ、あんたが剣術大会で優勝したのか。どんなゴリラかと思ったら、可愛いめの女の子じゃねぇかよ!」

魔法使い「こらこら戦士、早速ナンパしないの。宜しく勇者、足引っ張らないように頑張るね!」

僧侶「大会で勇士を拝見していましたよ。とても力強く、頼りがいがありますね」

勇者「えへへー、それほどでもぉ」

勇者(絶対に皆をガッカリさせないように頑張ろう!)

3 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:01:05.41 ID:pYX9d+WG0
勇者「でりゃああぁーっ!!」ズババッ

魔物「ガハッ」

戦士「すっげー!! あの巨体を一擊かよ!」

僧侶「流石です、勇者さん!」

勇者「えへへ、これくらいなら慣れてるからね~」

魔法使い「でも勇者、女の子なんだから掛け声には気をつけなさい」

勇者「ああいう掛け声出した方が力入るもんで…」

僧侶「なるほど、あの掛け声も勇者さんの力の秘訣なんですね」

魔法使い「それはいいけど、嫁の貰い手がなくなるわよー」

勇者「えへへ…別にいいや、剣さえできれば皆認めてくれるでしょ?」

戦士「まぁ、勇者を認めない奴なんていないと思うけど」

勇者「じゃあ、それでいい! ボクにとって1番大事なのは、強くあることだから!」

魔法使い「そう。ごめんね上から目線で色々言っちゃって」

勇者「ううん、いいよー」

4 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:01:36.08 ID:pYX9d+WG0
>1週間後


勇者「でりゃあああぁぁっ!!」ズババッ

魔物「ガハッ」

魔法使い「よし倒したね」

僧侶「お怪我はありませんね? では行きましょうか」

勇者「……」

戦士「どうした勇者?」

勇者「今ボクが倒した魔物、新種だったよね?」

僧侶「? そうですね」

勇者「今までの敵で1番体も大きかったし…」

魔法使い「そうね」

戦士「でも勇者なら倒せるだろ、これくらい?」

勇者「………うん」

5 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:02:02.90 ID:pYX9d+WG0
勇者「でりゃぁーっ!」ザクザクッ

魔物「グハアアァッ」

勇者「ねぇねぇ、見て見て! 10匹切り達成し…」

魔法使い「戦士、大丈夫?」

戦士「ちょっと腕をやっちまった、いてて」

僧侶「今、回復しますね」

勇者「……ねぇ」

僧侶「あ、ごめんなさい勇者さん。今ちょっと忙しくて」

戦士「僧侶の回復魔法には助けられるなぁ~」

勇者「……ボク、魔物10匹倒した」

魔法使い「うん、お疲れ様」

勇者「………」

6 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:02:29.15 ID:pYX9d+WG0
>夜


戦士「カードやらねー?」

魔法使い「いいわね。あれ、勇者は?」

僧侶「外で体を動かしてくるとのことですよ」

戦士「元気だなー」



勇者「でりゃああぁぁっ!!」ブンブン

勇者「ハァ、ハァ……」

勇者(もっと、もっと強くなる…)

勇者(もっと強くなれば、きっと褒めてもらえる!!)

7 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:02:58.67 ID:pYX9d+WG0
勇者「どりゃあぁーっ!!」ズバアアァァッ

魔物「ウグッ」

勇者「ねぇねぇ、20匹倒したよ! 見て見て!」

戦士「あぁ、そうだな」

勇者「そうだな…って……」

魔法使い「そんな大げさに言うことじゃないでしょ。勇者ならもっとやれるんでしょ?」

勇者「……え?」

僧侶「最近、宿についた後もトレーニングされているようですし。余裕あるんですよね?」

戦士「勇者ならできて当然だろ。つぅか疲れた……」

勇者「………」

8 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:03:29.11 ID:pYX9d+WG0
>夜


勇者「ハァ…」

勇者(「もっとやれる」「余裕ある」「できて当然」)

勇者(違うもん…ボクだって努力してるもん)

勇者(どうすればまた皆、前みたく褒めてくれるかな…)

勇者(そうだ! 自分がされて嬉しいことは人にやれって言うよね!)

9 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:04:01.42 ID:pYX9d+WG0
勇者「戦士、腕上げたね! やっぱ男の人だし腕力はかなわないや!」

戦士「……あ、うん」

勇者「魔法使いって色んな魔法使えて凄いよね~! ボクは頭悪いから、こんなに覚えられないや」

魔法使い「……そう」

勇者「僧侶の回復魔法って重宝するよね! 聖魔法習得は厳しい修行を必要とするって聞くし、ありがたいよね!」

僧侶「……どうも」

勇者(何でも自分自分じゃダメだよね~。皆だって凄いとこ一杯あるんだもん、これからはガンガン褒めていこう!)

勇者「あ、それで皆って~…」

戦士「…なぁ」

勇者「ん、なーに?」

戦士「そんな風におだてられてもさ。俺とお前はかなり差があるし、皮肉にしか聞こえねーんだよな」

勇者「えっ」

魔法使い「いくら魔法を覚えたところで、勇者程貢献してないし…」

勇者「そ、そんなこと」

僧侶「それに勇者さんダメージ受けないから、私の力を必要としていないじゃないですか」

勇者「!!」

戦士「慰めるつもりでそういうこと言うのやめてくれ、惨めになる」

魔法使い「私達、勇者みたいな天才じゃないんだから」

僧侶「それよりも行きましょう。私達が足を引っ張ってしまっているので申し訳ありませんけど」

勇者「あ、あの…」

勇者「………」

10 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:04:28.98 ID:pYX9d+WG0
>夜


勇者「うぅ、ゴホゴホ」グスッ

勇者(そんなつもりないのに…ボク、皆のこと大事な仲間だって思ってるのに)

勇者(剣の稽古ばっかりで、皆とあんまり遊んだりお喋りしたりしてないもんなぁ…)

勇者(今日は稽古は休み! 宿に戻って皆と一緒にいよう!)ゴホゴホ



勇者「ただいま~…コホッ」

魔法使い「お帰り勇者…あれ、顔が赤いわね?」

勇者「え?」

戦士「何か声も変だな」

僧侶「ちょっと熱計ってみましょう」

勇者「……? ゴホッ」

11 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:04:54.88 ID:pYX9d+WG0
勇者「あうぅー…」

魔法使い「まさか風邪なんてね~」

勇者「ゴメンね、ゴホッ…」

僧侶「いえ、気にしないで下さい。それにしても勇者さんだけ風邪を引くなんてねぇ」

戦士「勇者も超人ではないわけだ」アハハ

勇者「当然だよぉ…。ボクのこと何だと思ってたの」

戦士「はは、わりわり。リンゴ剥いてやるよ勇者」

魔法使い「何か食べたいものある?」

僧侶「無理しないで、ゆっくり体を休めて下さいね」

勇者「……えへへ」

勇者(風邪引いたら、みんな優しいなぁ……)

12 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:05:24.63 ID:pYX9d+WG0
>3日後


勇者「完全復活! 今までゴメンね、さぁ行こう!」

戦士「良かったな、すっかり元気になって」

魔法使い「いい休息になったわ。リフレッシュもしたし、行きますか」


ワーワー

勇者「でりゃーっ!!」ズバッ

魔物「ガハッ」

勇者「……」

戦士「おらっ!」

魔法使い「喰らえ、火炎魔法!」

僧侶「サポートします!!」

勇者(何か元通りだなぁ……ちょっと寂しい)

戦士「おい、勇者、後ろっ!」

勇者「え?」


ガンッ

13 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:05:55.20 ID:pYX9d+WG0
魔法使い「火炎魔法! よし倒したわ、勇者は!?」

勇者「いちち……」

戦士「だ、だだだ大丈夫か勇者!?」

僧侶「凄い出血…。今、回復魔法をかけますね!!」

勇者「はは、そんな焦らなくても…」

魔法使い「勇者が攻撃を喰らうなんて珍しいもの…焦るわよ」

戦士「あー、でも良かったぜ命に別状が無さそうで」

僧侶「痛みませんか、勇者さん?」

勇者「…あ、うん」

勇者(そうか……皆、風邪を引いたり怪我をしたら優しくしてくれるんだ)

14 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:06:26.31 ID:pYX9d+WG0
ズバッ

勇者「いたーっ」

ボコッ

勇者「~っ!」

ドカッ

勇者「あたたっ」


戦士「……」

魔法使い「……」

勇者「ごめん僧侶、回復魔法かけて!」

僧侶「…もうMPも残り少ないんですよ」

勇者「あ、そう? じゃあ町に着くまで頑張るよ!」

戦士「……おい勇者」

勇者「ん、なーに?」

戦士「お前、ここのところ不注意だな」

勇者「え?」

魔法使い「ふざけてるの? あの程度の魔物、勇者なら攻撃をよけられるわよね?」

勇者「え…っと」

魔法使い「真面目にやってよね!」

勇者「………」

15 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:06:53.24 ID:pYX9d+WG0
>夜


勇者(また元通りだ…)

勇者(ボクは強くて当然だから、怪我したら怒られるんだ)

勇者(ひどいよ。ボクだって怪我したら痛いんだよ)

勇者(どうしてわかってくれないのかなぁ…)

勇者(ここの所、皆と一緒にいるのつらいや……)

16 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/16(火) 19:07:43.15 ID:pYX9d+WG0
今日はここまで。
嫌な予感がしたら読むのやめましょう。

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/16(火) 20:58:33.22 ID:JTfd1+Ps0
悲しいな…

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/17(水) 19:17:28.64 ID:9ElyWsRfO
いやもうこの仲間いる必要ないから置いていこう勇者よ。
代わりに私が仲間になりますよウヘヘヘ

20 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 21:57:58.17 ID:pAcWS+JR0
>洞窟


戦士「複雑な洞窟だなぁ…」

魔法使い「これじゃあ目的のものがどこにあるんだかわかったもんじゃないわね」

勇者「じゃあさ…二手に別れて行動しない?」

僧侶「二手に…ですか?」

勇者「うん。ボクは1人でこの先見てくるから、皆はこっちをお願い」

戦士「おい、1人で大丈夫かよ!?」

勇者(あ、心配してもらえた♪)

勇者「大丈夫、大丈夫! それじゃ、お互いにがんばろー!」

魔法使い「気をつけてねー」

21 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 21:58:33.17 ID:pAcWS+JR0
勇者(こっちには何もなかった、っと)

勇者(さてと皆は…)

<うわああぁぁぁ

勇者「ん?」


戦士「くっ、数が多すぎる!!」

魔法使い「ハァ、ハァ…」

僧侶「皆さん…もう、駄目……」


勇者(皆が大量の魔物にやられている!)

勇者「やめろぉーっ!!」

戦士「!! 勇者!」

勇者「皆を傷つけるなああぁぁっ」

ズバババッ

勇者「ふぅ…皆、大丈夫だった?」

僧侶「…勇者……」

勇者「ん?」

魔法使い「…ありがとう!!」ガバッ

勇者「!!」

22 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 21:59:08.24 ID:pAcWS+JR0
戦士「危うく死ぬかと思ったぜ…助かったよ勇者」

魔法使い「やっぱり私達、勇者がいないと駄目だよぉ~」

僧侶「勇者さんが来てくれて、良かったぁ…」

勇者「………!!」パアァ

勇者「当然だよ! だって皆は、ボクの大事な仲間だもん!」

魔法使い「ありがとう、ありがとう……」

勇者「えへへへ……」ジーン

勇者(そうか、これだ……)

23 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 21:59:40.94 ID:pAcWS+JR0



勇者「それじゃ皆、ちょっと休憩しようか!」

魔法使い「さんせーっ」

僧侶「ふぅ、疲れましたねぇ…」

勇者「あ、ちょっとボクトイレ。皆ここで待っててね」

戦士「おう、気をつけてな」


勇者(確かこの辺は肉食の魔物が沢山生息しているはず…)コソッ


<うわーっ
<きゃあぁーっ


勇者(早速皆のピンチだ! 行かなきゃ!)

勇者「待て! ボクの仲間に手出しは許さないよ!」

24 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:00:18.12 ID:pAcWS+JR0
魔法使い「ありがとう、ありがとう勇者…」グスッ

僧侶「また助けられてしまいましたね…」

勇者「これくらい、当たり前じゃない!」

戦士「お前は俺たちの恩人だ。本当に頼りになるぜ」

勇者「えへへ……」ジィーン

25 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:00:56.07 ID:pAcWS+JR0



魔法使い「くっ、もう駄目……」

勇者「皆、今助けるね!!」

ズババッ

戦士「……」

勇者「皆、大丈夫だった?」

魔法使い「うん…ありがとう」

僧侶「ありがとう、ございます……」

戦士「……助かったぜ」

勇者「?」

26 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:01:29.87 ID:pAcWS+JR0
>夜


勇者(今までの傾向から見て、何回も同じことがあったら皆もう「助けてもらって当たり前」になってるのかな)

勇者(もう、皆贅沢だなぁ! でもまぁ、仕方ないか)

勇者(今日の稽古は早めに終わらせて、宿に戻ろう)



勇者「ただい…」


魔法使い「…やっぱ、そうよね?」


勇者(? 中で何か深刻そうな話をしているなぁ)


僧侶「だって、おかしいですよ…私達3人の時に必ず魔物達に囲まれるなんて…」

戦士「それに勇者の奴ここんとこ頻繁に1人になるが、何をしているんだ…?」


勇者(ボクの話……?)


魔法使い「考えられる可能性はひとつ…」

戦士「勇者は、魔物側の内通者……!!」


勇者「!!!」

27 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:02:00.25 ID:pAcWS+JR0
どうして…?


戦士「勇者選考の剣術大会にも、内通者として出場したのかもしれない…!」


どうして、そんなこと言うの…?


魔法使い「思えばあの人間離れした強さも胡散臭かったのよね…」


違うよ…――


僧侶「私達を助けるのも、油断させる為でしょうか?」


違うのに……


戦士「俺たちの情報は魔王に筒抜けかもしれないな…」

魔法使い「勇者に気を許さない方がいいわね」

僧侶「一旦首都へ戻って、王様にそのお話をした方がいいかも……」


勇者「――っ!!」ダッ

28 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:02:35.87 ID:pAcWS+JR0
勇者「何で、何で何で何で何でなんでなんでなんでなんで――っ!?」

勇者「皆、どうしてそんなこと言うんだよぉ…」グスッ


最初はあんなに優しかったのに――


勇者「優しくしてよぉ…」


褒めてくれない、信じてくれない……――


勇者「そんなの、そんなの……」


仲間だと、思われてない……――


勇者「………」

勇者「…あはっ」



それなら――



勇者「あははははははははははははははははははははははははははははははは」


勇者「皆もう…」





勇者「…――いらないや」

29 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:03:15.01 ID:pAcWS+JR0
>翌日


勇者「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね」

戦士「あぁ」

魔法使い「……」

僧侶「…よし、後をつけましょう」


戦士「昨日はああ言ったけど、やっぱ信じたいよな…」

魔法使い「私達の目で決定的な所を見ない内に決めつけたら、駄目よね…」

僧侶「あれ? 勇者さんどこに…」


ザザッ

戦士「うわっ!!」

魔法使い「魔物の大群!? くっ、こんな時に…」

僧侶「皆さん! 応戦しましょう!」



勇者「……」コソッ

30 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:03:47.82 ID:pAcWS+JR0
戦士「くっ…ゼェゼェ」

魔法使い「キリがないわ…いつもの魔物の群れと量が全然違う!!」

僧侶「もうほとんどMP残っていません……」

ザシュッ

戦士「うわああぁぁっ!!」

魔法使い「戦士ぃーっ!!」

戦士「ガ、ハ……」ピクピク

魔法使い「ちょっと、う、嘘でしょ…!?」ガタガタ

僧侶「う、えうぅ…」グスッ

魔法使い「ちょっと僧侶、泣かないでよこんな時に!!」

僧侶「いつもなら、勇者さんが助けてくれたのに……」

魔法使い「……っ」

僧侶「きっと勇者さんと、入れ違いになちゃったんですよ……」

魔法使い「そ、そんなこと言わないでよ…」

僧侶「仲間を疑ったバチが当たっちゃったんですよ……」

魔法使い「!!!」

ガルルル

魔法使い「い……」


魔法使い「いやああぁぁ―――っ!!」




勇者「……」

勇者「皆、さようなら」

31 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:04:40.37 ID:pAcWS+JR0
>魔王城


魔王「勇者が我に会いたがっている、だと?」

いつものように玉座で指令を出していた魔王は、突然の報せに怪訝な顔をした。

側近「はい。人間側に出回っている人相書きと照らし合わせてみましたが、勇者でしたね」

魔王「確か勇者一行の者は魔物達に殺され、勇者自身も生死不明ではなかったか?」

側近「勇者だけは難を逃れて生き残ったのでしょう」

魔王「ふむ…そして我々を欺く為に、身を潜めていたか…」

側近「恐らくは」

魔王「しかし、わからんな。我を殺す為に来たのなら、何故乗り込んで来ぬのだ」

側近「何か企んでいるのでしょう。…如何致しましょう、魔王様」

魔王「…良い。奴が仕掛けた罠だというのなら、打ち破ってやろう。ここに通せ」

側近「はっ」

32 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:05:31.25 ID:pAcWS+JR0
勇者「初めまして、魔王」ニコニコ

魔王「貴様が勇者か。話には聞いていたが、とても剣など扱えそうにない小娘だな」

勇者「そんなことないよ? ボクは人間で1番強いんだよ~」

勇者「ボクの仲間だった皆もね、3人合わせたってボクの足元にも及ばなかったんだから」

勇者「この小さい体でそれだけの力を得る為にどれだけ頑張ったか…わかってくれるかなー?」

勇者「それなのにね、皆はボクを天才だって決め付けて。ボクは強くて当たり前だって言って」

勇者「でもね…多分魔王を倒せば、世界中の皆から褒めてもらえるの!」

魔王「ほう…賞賛を得る為に我を倒すと申すか」

勇者「ううん」

魔王「何」

勇者「最初はきっと褒めてくれる。だけど皆すぐにそれが当たり前になって、褒めてくれなくなる。そんなのむなしいじゃない」

勇者「ねぇねぇ魔王」

魔王「何だ」

勇者「魔王は…ボクを褒めてくれる?」

魔王「っ!?」

33 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:06:11.26 ID:pAcWS+JR0
兵「があぁっ!!」

勇者「あー弱い弱い。皆弱い!!」ズババッ

兵「がは……」パタッ

兵「ぐぐ…お逃げ下さ…へい、か……」


勇者「さぁ~て、残りは…」

王「ゆ、勇者よ……」

勇者「あはは、情けない顔~。駄目ですよ、一国を統べる人がそんな顔したら!」

王「何故だ…何故、裏切ったのだ!?」

勇者「何故?」

勇者「そう言うならさぁ…」チャキ

王「!!」



勇者「どうして、皆ボクに優しくないんだろうね…――?」


王「――っ」

34 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:06:51.41 ID:pAcWS+JR0
魔王「…本当に、たった1人で国を壊滅させるとは…」

勇者「ねぇねぇ、凄い? ねぇ魔王ーっ」

魔王(この力…敵に回すのは得策ではないな)

勇者「ねぇ魔王ったら! 1人でやったんだよ、ボク1人で! ねぇったら!」

魔王(自身も人間に追われる身となった今…こいつが我を裏切ることはない、と考えて良いだろう)

勇者「…魔王も褒めてくれないの?」

魔王(それなら……)

勇者「それなら……」チャキ…

魔王「よくやった」

勇者「!」

魔王「お前の力は我々にとって大きな助けとなるだろう…歓迎しよう」

勇者「!!!」パアァ

35 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:07:23.57 ID:pAcWS+JR0
魔王(そして勇者は我の配下となり、3つの国を壊滅させた)

勇者「どう魔王! 今回は結構骨が折れたよ~」

魔王「あぁ、よくやってくれた。お前の活躍で魔王軍は安泰だ」

勇者「えへへ、それほどでもぉ~」

魔王(この実力…勇者は努力のみで身につけたと言っているが、恐らく才能もあったのだろう)

魔王(そしてその血筋…試してみる価値はある)

勇者「魔王?」

魔王「勇者よ」

勇者「ん?」

魔王「我の妻となれ」

勇者「!!!」

36 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:07:56.90 ID:pAcWS+JR0
ワーワー

勇者「えへへ。剣一筋だったボクがお嫁さんになれるとは思わなかったなぁ~」

魔王「我にはお前が必要なのだ」

勇者「えへへ~。たっくさん子供作ろうね、魔王!」

魔王「あぁ。そうすれば我々の国は安泰だ」

勇者「そうなの? ボクが子供産めば安泰なの?」

魔王「我々魔物は血統よりも実力主義…しかし我々の子ならばこの国を率いる程の逸材になれるであろう」

勇者「そうなんだ! よし、今晩から頑張ろうね魔王!」チュッ

37 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:08:31.71 ID:pAcWS+JR0
>数ヵ月後


勇者「ねぇ魔王」

魔王「どうした」

勇者「…出来ちゃったみたい」

魔王「…む?」

勇者「ボクたちの、子供……」

魔王「!! 本当か!」

勇者「うん…お医者様が、そう言ってたから……」

魔王「よくやった!!」ギュッ

勇者「っ!!」

魔王「よくぞ我の子を身ごもってくれた…こちらの国に来てからのお前の働きには感謝してもし足りない」

勇者「…えへへ」ニコニコ

勇者(幸せだなぁ……)

38 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:09:01.17 ID:pAcWS+JR0
>3ヶ月後


勇者「…ねぇ魔王」

魔王「どうした」

勇者「あのね、お腹の子の様子なんだけどお医者様がね」

魔王「後にしてくれ。今、我は忙しいのだ」

勇者「……」

魔王「経過は順調だと聞いている。あまり城を動き回るな、何かあっては困るからな」

勇者「………」

勇者(まただ…)

39 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:09:33.95 ID:pAcWS+JR0
勇者(皆ボクが何をしても、それが「当たり前」になって冷たくなっていく)

勇者(魔王は違うと思ったんだけどなぁ…結局、同じか)

勇者(どうすれば皆、ずっと優しくしてくれるのかなぁ?)

勇者「……そうだ」


ここは魔物の国。血縁よりも実力が物を言う世界。
それならば――実力を示せばいいのだ。


勇者「どうして今まで気付かなかったのかなぁ…えへへ、待っててね魔王」



勇者「ボクが、その座を奪ってあげるから…――」


Fin

40 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/17(水) 22:10:02.50 ID:pAcWS+JR0
ご読了ありがとうございました。
バッドエンド耐性ない方はすみませんでした。

posted by ぽんざれす at 22:12| Comment(2) | ss | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月14日

【スピンオフ】その他ss【バレンタイン】

アンケートでランク外になった作品+アンケート開始時期には完結していなかったssのバレンタインネタを一挙放出します
投票上位3作品のよりは短いですけど、全部マトモに書いたらリア充にあてられて死んじゃいますから~

下のss名をクリックすれば、そのssのネタまで飛びますよ~
(スマホ版の誤タッチを考慮して行間明けました。スクロール大変でしょうがご了承下さい)

勇者「もう勇者なんてやめたい」

勇者の娘「お父様の仇を討ちます」

魔術師「勇者一行をクビになりました」

姫「王子の代わりに戦う使命を負った」

姫「魔王子との政略結婚」

王子「囚われの姫君に恋をした」

女勇者「勇者よりも、お姫様になりたかった」

魔女「不死者を拾いました」

魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」

奴隷少女「私を、守って下さい…」執事「それが貴方の願いならば」

乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」

神様「勇者も魔王もいなくなった世界で」

勇者「パーティーでのカーストが最下位でつらい」






勇者「もう勇者なんてやめたい」

勇者(クッキーを作ったけど…)モジモジ

暗黒騎士「ん? どうかしたか?」

勇者「い、いえ、何でもありません…」

暗黒騎士「そうか」

勇者「……」モジモジ

勇者(渡す勇気が出ない…。暗黒騎士様そもそもお菓子とか嫌いかもしれないし…うぅ、何で事前に聞かなかったのかしら。それにお菓子が好きだとしても、私の手作りなんか私なんか)ウジウジ

暗黒騎士「おい」

勇者「ひぅっ! は、はいっ!?」ビクッ

暗黒騎士「…さっきから待っているのだが、もしかして無いのか?」

勇者「……はぇ?」

暗黒騎士「そうか。お前のいた国ではバレンタインが存在しなかったか」

勇者「!!」

勇者「あ、ありますぅ! どうぞっ!」バッ

暗黒騎士「有り難く頂こう。待たせた分、期待は膨れ上がっているぞ?」ニヤ

勇者「だ、駄目ですっ! わ、わわ私なんか」

暗黒騎士「阿呆」コツン

勇者「ひゃんっ」

暗黒騎士「卑下するな。……お前は俺の妻なのだから」

勇者「…!」ドキッ

暗黒騎士「さて…ふむ、見た目はいいな」

勇者「……」ドキドキ

暗黒騎士「では頂くかな…」

勇者「………」ドキドキドキドキ

暗黒騎士「…それとも紅茶を淹れてからにするか」

勇者「……」シュン

暗黒騎士「なんてな」パク

勇者「!」ビクッ

暗黒騎士「美味いぞ」

勇者「!!」パアアァァッ

暗黒騎士「喋れ」コツン

勇者「はうっ」

あげたもの→手作りチョコチップクッキー(形は硬派に丸型)



勇者の娘「お父様の仇を討ちます」(1/2) (2/2)

魔姫「さて、選びましょう。まぁ、このお店有名店だし、ハズレはないと思うけどね~」

令嬢「……バレンタイン、やらないと駄目なんですか」

魔姫「何言ってるのよ、アンタ奥さんでしょ。こういうイベントはきちんとこなしなさい」

令嬢(ああぁ…何か気が乗らない)



王子「やぁ暗黒騎士! 今日はバレンタインだね!」

暗黒騎士「あぁ。…まぁ、あいつはこの手のイベントは苦手そうだしな」

王子「ほう? それは貰えなかった時の言い訳かな~?」

暗黒騎士「!! 馬鹿を言うな、そんな予防線など張るか!!」

王子「そうだよね~、いやいや楽しみだねぇ」

暗黒騎士(この野郎)


>夕飯時

令嬢「……」

暗黒騎士「……」

令嬢&暗黒騎士(切り出しにくい……)

令嬢(怯んではいけないわ! 私は勇者、私は勇者…)ゴオオォ

暗黒騎士(な、何だ!? 眉間にシワを寄せて…)

令嬢「これっ!」ヒュッ

暗黒騎士「!?」パシッ

令嬢「ちょ、チョコ…です」

暗黒騎士「あ、ありがとう」

暗黒騎士(一瞬、ナイフを突きつけられたのかと思った…)


>翌日

暗黒騎士「王子、令嬢にチョコを貰ったぞ」

王子「……」ズーン

暗黒騎士「? どうした」

王子「魔姫さんからチョコを貰ったんだけど……」

暗黒騎士「おぉ、良かったじゃないか」

王子「それと同じもの…3幹部達も持ってたんだよね……」ズーン

暗黒騎士(義理か……)


悪魔「美味いな~」

猫男爵「あぁ、美味い。…義理でも貰えるだけ有り難いな」

呪術師「どうせ独り身ですよ、ヒヒヒ…」

あげたもの→有名ブランドのウイスキーチョコ




魔術師「勇者一行をクビになりました」

魔王「独身男の口にチョコレートが詰め込まれる事件が相次いでいるだと!?」

魔術師「ひえぇ…このバレンタインの日に、なんて事件が…」

悪魔「たっだいま~」バッサバッサ

魔王「悪魔王様! 大変です、国中でチョコレート窒息事件が相次いでいるそうで…」

悪魔「あぁ、それ俺様」

魔王「……はい?」

悪魔「魔術師ちゃんにお菓子貰っちゃってさ~、しかも手作りの!」

魔術師「ぁ、悪魔さぁん、あまり見せびらかさないで下さいよぉ~」アワアワ

悪魔「俺様は世界で最も愛する魔術師ちゃんにバレンタイン貰ってチョオオォ~幸せだけどォ~」

魔術師「も、もー」

悪魔「そんな愛する女の子からチョコを貰えない気の毒な喪男が、国中に沢山いるだろォ?」

魔王「…ほう」

悪魔「そんな喪男の為に悪魔王様から幸せお届けェ~♪ 俺様とっても国民想いィ~」

魔王「…なるほど。国民への愛をチョコという形で表現したのですね」

魔術師「絶対違いますよ!?」

悪魔「魔術師ちゃんとちゅっちゅして魔力は有り余ってたしィ~。ねー、魔術師ちゃぁん?」クネクネ

魔術師「だから、言わないで下さいよぉーっ!」

悪魔「愛し合っていることを公表することが、そんなに恥ずかしいか?」キリッ

魔術師「あっ…あぅっ、えっと…」

悪魔「……なあぁんつってえぇ!! 恥ずかしがり屋な魔術師ちゃん、キャ・ワ・ウィ・ウィ~ッ! 今夜の俺様のちゅっちゅは、チョコレート味だぜェ?」

魔術師「も、もぉーっ!」


>一方…

オークA「あ、暗黒騎士様…」

オークB「この想いは秘めておくつもりでしたが…フヒッ」

オークC「悪魔王様に後押しされたので…これを」

暗黒騎士「…媚薬の香りがするな?」

オークA「これも悪魔王様に頂いたもので、フヒッ」

暗黒騎士「あの野郎…!!」

あげたもの→ハートのトッピングシュガーが可愛いチョコマフィン




姫「王子の代わりに戦う使命を負った」(1/2) (2/2)

「飴売りさんてかっこいいよね~」
「ねー、気さくで明るいしね~」

キャイキャイ

姫「……」



姫「まぁ飴売りは私に惚れ込んでいますから、心配はないでしょうけれど…」

獣人「手作りチョコの材料を揃えました姫様」

姫「こういうイベントの日くらい力を入れませんとね。誰が渡すものよりも美味しいチョコを差し上げます」


>で……

姫「……」

獣人「ぐっちゃぐちゃですね姫様」

姫「味も甘ったるいし!! 何で! 本の通りに作ったのに!」

獣人(…手先も不器用だからな姫様は)



姫(こんなチョコ渡せないわ…やっぱり市販のものを買いに行こう)トボトボ

キャイキャイ

姫「ん?」

飴売り「ごめん、受け取れないよ」

「えぇー、どうしてですかーっ」

飴売り「本当にごめんな。その…好きな人からのチョコしか受け取らない、って決めてるんだ」


姫(飴売り……)

翼人「おや姫様」バッサバッサ

姫「げ!」

飴売り「姫さん! …あ、その手に持ってるのはもしかして!!」

姫「~っ!! 駄目です、これ失敗チョコで…」

飴売り「姫さんの手作りかぁ」ヒョイパクッ

姫「あっ!!」

飴売り「…甘くて美味いな~♪ 俺、これくらい甘いのが好きだわ~」

姫「え……っ」

飴売り「貰ってもいいの? 姫さん」

姫「こ、こんなので良いのなら…」

飴売り「姫さんがせっかく作ってくれた本命チョコを『こんなの』って言っちゃダ~メ」

姫「そ、そんな…気を使ってくれなくても、別に…」

飴売り「あ、『本命』は否定しないんだ♪」

姫「~っ……、き、斬る!」ダッ

飴売り「いやーん、捕まえてみて~♪」ダッ

翼人「相変わらず仲のよろしいことで」

あげたもの→形は悪いが味はスイートな手作りチョコ




姫「魔王子との政略結婚」(1/3) (2/3) (3/3)

>厨房

魔王子「姫様~♪」

姫「きゃっ! ま、魔王子様、入ってきたら駄目ですっ!」

魔王子「な~に言ってんの。期待してるんだから、サプライズなんてしようっても無理無理~♪」

姫「も、もー。知らないフリをしていて下さい!」

魔王子「いいよ、俺は座ってるから気にしないで。俺の為のチョコを作ってくれている姫様の姿をじっくり見ていたいんだ~」

姫「そんなこと言われたら集中できないじゃないですかぁ…」モジモジ

魔王子「集中されたら俺、姫様の心を独占しているチョコに嫉妬しちゃうよ!」

姫「何をおっしゃっているんですか~…もう」

魔王子「いいからいいから♪」

姫(もう…そうだっ)

姫「魔王子様、チョコを固める前に味見して下さいませんか?」

魔王子「ん、いいよ。モグッ…うん、いい味だと思う」

姫「本当ですか?」

魔王子「うん、甘くて――……」

姫「――」チュッ

魔王子「……」ポカン

姫「本当だ…甘くていい味ですね♪」

魔王子「……」

姫「魔王子様?」

魔王子「んもおおおぉぉ、姫様の意地悪ぅーっ! 姫様の顔まともに見れない、恥ずかちぃーっ!」ダッ

姫「あらら…。でも、後は出来上がってからのお楽しみですよ、魔王子様♪」

あげたもの→特大ハート型スイートチョコ




王子「囚われの姫君に恋をした」

王子(今日はバレンタイン。姫様はバレンタインなんか知らないだろうとあまり期待していなかったが…何をしているんだ、姫様は)

姫「……」

姫(よくわからないけど、今日はバレンタインという日らしいです。そしてどうやらバレンタインとは、好きな人にチョコをプレゼントする日)

姫(世の女性たちは手作りチョコに気持ちを込めているとか…なら、私も! これの為に本も買いました!)

姫「セアアァッ!」バキィ

王子(えええぇぇ、カカオ粉砕して何やってるの姫様!? …ん、手に持っている本は…)

“カカオからチョコができるまで”

王子「……」

王子(一般的なお菓子作りの本じゃなくて、そっちの方法かよ!? いや嬉しいけど、嬉しいけど……)

姫「よいしょ、っと」

王子(職人が使うようなでっけぇ釜とかよく用意できましたねえええぇぇぇ!?)

姫「ひぃ、ひぃ、ふぅ」

王子(そりゃ熱いし重いし大変だよね! 姫様汗ダラダラじゃんか! えっ、俺このまま黙って見てるべき!?)

姫(やっぱり混ぜるだけで大変だわ…よし、ここは魔法で…)

姫「トルネード!!」

ビュンビュンッ

王子(すっげえええぇ、チョコの竜巻ができてるううぅぅ!!)

姫「よし出来た! 型に入れて…完成! よし鍋を洗いましょう」ヨッコイショ

王子(すげぇ…チョコを貰えることもそうだけど、この過程に感動したよ俺は……)


>で

姫「王子様、チョコレートです! どうぞ!」バッ

王子「ありがとうございます! 嬉しいなぁ!」ニコニコ

王子(うーん、ちょっと苦いかなぁ。でもビターチョコだと思えばイケるな)

姫「…」グゥー

王子「…姫様も食べます?」

姫「は、はい、では! もぐっ…うえぇ、苦くて美味しくないですね~」

王子「そ、そうですか? 姫様は甘い方が好きですか?」

姫「自分が食べて美味しくないものをあげるなんて…。ちゃんと味見すべきでした」シュン

王子「…姫様、来月にはホワイトデーっていう、男からお礼を返す日があるんですが」

姫「はい?」

王子「その日は一緒にお菓子作りましょうか。俺、結構自信ありますよ?」ニコッ

姫「…!」

姫「は、はい! 教えて下さいね、王子様!」ギュゥ

王子(めでたしめでたし、っと)

あげたもの→カカオから作ったほんのり苦いチョコ




女勇者「勇者よりも、お姫様になりたかった」

>街

勇者(精霊にあげるチョコを買いに街まで来たけど…)

キャイキャイ

勇者(チョコを求めて、どこの店でも女の子達が賑わっている…)

勇者(こういう女の子だらけのお店入ったことないから、入りずらいなぁ…)

精霊「ゆーしゃっ♪」

勇者「わわっ、精霊!?」

精霊「黙って出掛けたから、追いかけてきちゃった♪ それにしても今日は街が大盛況だね~」

勇者「そ、そうだね」

勇者(そうか精霊はバレンタインを知らないのか…)

精霊「ていうか、何か隠密行動? そんな大きな帽子かぶって…」

勇者「な、何でもない! それより買い物してくるから、待ってて精霊!」ダッ

精霊「あ、うん」


勇者(精霊の好きそうなチョコは…これがいいな! バレない内に買って、戻るっ!)ダッ


勇者「精霊!」

精霊「あ、お帰り。欲しいもの買えた?」

勇者「はい、これ! 精霊に!」

精霊「ありがとう。…チョコレート?」

勇者「きょ、今日はね…。その…女性から男性に、チョコを贈る日だから」

精霊「わあぁー、このチョコ可愛い。流石勇者、センスが可愛いっ!」ギュゥ

勇者「わわっ、人前で飛びつくな…」

パサッ

勇者(ああああぁぁ帽子が落ちたあああぁぁ)

「おや勇者様、ご機嫌よう」
「本当だ勇者様だ。おや、その子は?」

勇者(うわああぁ)

精霊「えへへ~。勇者にチョコ貰ったの♪」

勇者(ちょおおぉぉっ!! 精霊にバレンタインの意味説明しとくんだったあああぁぁ!!!)

「おやおや勇者様もバレンタインですか。もしかして、親戚の子ですか?」

精霊「えぇーと……」

勇者「……」グッ

勇者(何、コソコソしてるのよ私…。精霊は私の王子様じゃない!)

勇者「私の、彼氏です!」

「えっ」

精霊「…っ、うわあぁ、勇者あぁ~っ!」ギュウゥ

勇者「わわっ!」

精霊「俺のこと、皆に彼氏って…ありがとう、本当ありがとうぅ!!」

勇者(…噂が広まるだろうから、これからが大変ね…。でもま、いっか)

あげたもの→動物型チョコ




魔女「不死者を拾いました」

不死者(ん…何か甘ったるい匂いが…)

魔女「……」グツグツ

不死者(おぉツボの前で何かやってる。いかにも魔女、だな)

魔女「うぅーん…」ペロッ

不死者(味…を見ているのか? 何をやっているのか気になるところだが、声をかけて邪魔しちゃ悪いしな)

魔女「あぁーっ!!」

不死者「えっ?」

ドカアアアァァン

魔女「ケホケホッ。う~…。わぁん、ベタベタぁ~!!」

不死者「大丈夫かお嬢ちゃん」

魔女「わわっ、不死者さん!」

不死者「…って、これチョコか? 一体どんなチョコ作ろうとして…」

魔女「え、ううぅ…」グスッ

不死者「わわ、泣くなって! まずチョコまみれの体洗ってこいよ、な!?」ポンポン

魔女「ひっく、ひっく…今日は、バレンタインだからぁ…」グスグス

不死者「……あ、そうか」

魔女「魔女の間に伝わる、とっても美味しいチョコを不死者さんに食べてもらいたくて…でも、でもぉ…」グスグス

不死者「……」

不死者「どれ」ペロ

魔女「ひゃんっ!? ふ、ふ、不死者さん!? い、いい今ほっぺ…」アワアワ

不死者「あぁ…確かにスゲぇ美味い」

魔女「」ボッ

不死者「…けど全部舐めるのは流石に卑猥だからな。惜しいが、洗い流してきな」

魔女「は、ははははい!」

ピューッ

不死者「ツボに残ってら。ん…美味い」ペロ

あげたもの→とろけすぎる程とろける生チョコ




魔姫「捕まえてごらんなさい、色男」

勇者「今日はバレンタインだよな~」ニヤニヤ

ハンター「気持ち悪いぞ勇者。それに魔姫に貰えたとしても義理だぞ?」

勇者「義理で結構! 俺は魔姫さんに頂けるものなら何でも有り難く頂く!」

ハンター「あーそうかい…」

猫耳「うにゃー……」

ハンター「ん、どうした?」

猫耳「魔姫ってお菓子作りに関しては壊滅的なんだよね~…。噛んだ瞬間、口の中に広がる生焼けの食感…あぁ思い出しただけで気持ち悪いや」ブルブル

ハンター「……」

勇者「そっかぁ、あの完璧な魔姫さんにも弱点ってあるんだ~。そういう所あっても可愛いよな~」ホンワカ

ハンター「お前は盲目的信者か!」


魔姫「皆ぁ~」

ハンター「げ、来た」

勇者「魔姫さ~ん! 待ってましたよ~!! さぁラブミープリイイィィズ!!」

猫耳「うにゃー……」

魔姫「はい、いつもご苦労様。3人同じものだから喧嘩するんじゃないわよ」

ハンター「…市販のチョコだな?」

魔姫「あら、その反応。さては…猫ぉ~、私の失敗談でも話してたんでしょ!」

猫耳「ふにゃーっ、ごめんごめん魔姫許してーっ!」

魔姫「もう。お菓子作りは下手だって自覚しているから、下僕を労う日に作ったりしないわよ」

勇者「俺はちょっと残念……あ、いやいや、魔姫さんが俺の為に選んで下さったんだものな! 有り難く頂きます」ハハー

ハンター「ちょっと待て、まずは下僕にツッコめ」

猫耳「にゃあ。包装が可愛くて開けるの勿体無いねぇ」

魔姫「あら、いいとこに目をつけたわね猫。チョコは市販のものだけど、包装したのは私よ」

ハンター「ほう」

勇者「えっ」

猫耳「にゃー♪ 流石魔姫、センスいいねぇ~」

勇者「あぁーっ、俺ろくに見ないで開けちゃったよ! ハンター、取り替えてくれーっ!」

ハンター「…嫌だと言ったらどうする?」

勇者「土下座でも何でもするからぁ~っ!!」

ハンター「わかったわかった。英雄にそんなことさせられるか…」

勇者「ありがとう、ハンター様ぁ!」

猫耳「勇者は騒がしいにゃー」

魔姫「ま、喜んで貰えて何よりよ。これからも奉仕宜しくね♪」

あげたもの→包装が可愛いオレンジ風味トリュフ




奴隷少女「私を、守って下さい…」執事「それが貴方の願いならば」

犬男「で、そこに生クリームを加えてだな…」

媛「こう…ですか?」

ガチャ

執事「おや、厨房にお揃いで…」

雉娘「ああぁーっ!」

執事「?」

猿少年「ウキーッ、執事は厨房立ち入り禁止!! シッ、シッ!!」

媛「ご、ごごごめんなさい執事さん! い、今は駄目なんですぅ!」

執事「? お嬢様がそうおっしゃるのでしたら。では失礼致します」

犬男「あー、サプライズがバレるとこだったな」

媛「…うぅっ」ポロポロ

雉娘「お嬢様、どうしたの!?」

媛「執事さんを傷つけちゃったかもしれない…。私、私ぃ…」グスグス

犬男「だだ、大丈夫だから! アイツそんなんで傷つく程繊細じゃねぇし!」

猿少年「それよりもホラ、美味しいケーキ作って喜ばせてあげよう! ほら、バナナ使えば絶対美味しくなるから!」

媛「はい…」ズズッ



媛「し、しし執事さん!」

執事「如何致しました、お嬢様」

媛「これっ、ケーキです! ば、バレンタインの!!」

執事「バレンタイン。……あぁ、確か地上の世界の行事でしたね。時代と共に廃れたとの事ですが…」

犬男「犬キィーック!」ドカッ

執事「つっ、何ですか犬」

犬男「お嬢様の様子を見ろっ!!」

媛「ううぅ…地上の世界のイベントなんて、やっぱり、やっぱりぃ…」グスグス

執事「…申し訳御座いません、お嬢様。バレンタインの意味を、たった今思い出しました」スッ

媛「ほぇっ。…し、執事さん……」

チュッ

媛「」

執事「お嬢様のお気持ち、身に余る程の光栄。…しかしこの行事、女性の方から想いを告げさせる点が気に入りませんね」

媛「」

執事「ですから私の想いは唇に込めて……お嬢様?」

媛「」

犬男「大変だーっ、不意打ちのキスでお嬢様がフリーズしたぞォーっ!」

執事「お、お嬢様! 呼吸が止まっている…ここは人工呼吸を!」

雉娘「トドメ刺す気かっ!」

媛(し、幸せぇ~……)ホヤァン

あげたもの→使用人に助けてもらいながら作ったチョコバナナケーキ




乙女ゲープレイヤー「魔王を攻略しよう」

乙女(右スティック回転、左スティック回転、次は…)

ゲーム機<「大成功、ヤッタネ!」

乙女「よし、チョコ作りゲーム成功! 早速配るわ!」ガッツポーズ

魔王「ゲームに熱中しているのか。全く、俺を目の前にしてけしからん奴だな」

乙女「今日は大事な日ですから!」

魔王「ゲームもいいが…。乙女、この世界では今日はバレンタインというものらしいな。当然、期待して良いのだろうな?」

乙女「いいですけど…期待していると口にすると、余裕がないと思われますよ?」

魔王「バレンタインはギャルゲーでしか知らんのだ、多少期待することを許せ」

乙女「仕方ありませんね。では少々お待ちを」



魔王(部屋に入ってなかなか戻ってこんな)

乙女「大変お待たせ致しました、ご主人様」

魔王「メイドか。そうか、今日は奉仕に積極的ということか」ニヤリ

乙女「こちら、ご主人様の為にご用意させて頂きました」

魔王「ふむ、チョコレートアイスか」

乙女「命名“乙姫特製・この氷は百年の想い、貴方の気持ちでチョコっと溶かしてシャーベット”です」

魔王「あ? 貴方の気持ちでチョコっと…?」

乙女「乙姫特製・この氷は百年の想い、貴方の気持ちでチョコっと溶かしてシャーベット、です」

魔王「お、おう? まぁ、頂こう」シャキッ

乙女「……」

魔王「うむ。濃厚なチョコが口の中に広がる。冷たくてさっぱりしていて、口触りも良い」

乙女「クール担当、乙姫ですから。アイスに関しては自信があります」

魔王「そうだな。店に出しても恥ずかしくないレベルだ!」

乙女「そうですか。ではお店に出します」

魔王「何ぃ!?」

乙女「冥土屋で1週間バレンタイン期間なので、各自メニューを考えておくよう言われていたんですよね」

魔王「だが、それはさせんぞ」

乙女「はい?」

魔王「これは俺のみに許された特別なシャーベットだ。他の客に出すなどと、許さんぞ」

乙女「…ふふ、そうですね。では別のメニューを考えておきましょう」

魔王「お前、その余裕…さては、俺がそう言うと予測していたな?」

乙女「えぇ、勿論ですとも」

魔王「流石は百戦錬磨の乙女ゲープレイヤーだ。男の属性を見極め、台詞を引き出すとは…侮れんな」

乙女「買い被りすぎですよ。貴方をよく見ているから、わかるんです」

魔王「この俺を手玉に取れるのは、どの世界を渡り歩こうがお前だけだろうな。だが、忘れるなよ」ツンッ

乙女「!」

魔王「この俺も…お前を攻略中なのだからな」

乙女「…ふふっ」

ゲーム機<「大成功、ヤッタネ!」

あげたもの→乙姫特製・この氷は百年の想い、貴方の気持ちでチョコっと溶かしてシャーベット




神様「勇者も魔王もいなくなった世界で」

少女「困りました」

神様「何を困りました?」

少女「悩みの性質上、神様に聞かれてはまずいことでして」

神様「では質問致します。私の助力なくして解決するお悩みでしょうか?」

少女「…いえ、解決しませんね。すみませんでした」

神様「謝る必要など御座いません。心に秘めておくこともまた1つの手段。如何致します?」

少女「話しておこうと思います」

神様「はい、お聞きしましょう」

少女「今日はバレンタインなのです」

神様「なるほど。世間から隔離されてなお、世間の風潮に流されるとは貴方らしい」

少女「ですが問題がありまして。私は神様の助力なくしてチョコレートを入手することができないのです」

神様「なるほど。では私の気持ちをお話し致しましょう」

少女「神様のお気持ち?」

神様「私はどのような形であれ、貴方からお気持ちを頂けるだけで嬉しいのです」

少女「…気持ち……」

神様「失敬。“気持ちを渡す”のは困難なことであると失念しておりました」

少女「困りました」

神様「では質問致します。貴方は私にどのようなチョコレートを渡したいのでしょうか」

少女「えーと…」

神様「味と形をよく想像してみて下さい」

少女「……はい、想像しました」

神様「では」ポンッ

少女「それは…私が想像していたチョコレートそのものです」

神様「はい、貴方の想像を具現化致しました。これを貴方からのチョコレートとして受け取りましょう」

少女「いいのでしょうか。神様が出されたチョコレートを神様に渡すなんていうので」

神様「その不安は私への気遣いの現れです。私はそれが素直に嬉しい」

少女「それでも答えが欲しいのです。神様は、味に満足頂けるのか」

神様「ご心配なく。私は嫌いなチョコレートなどありませんよ。それに貴方の気遣いが上乗せされ、特別なものとなるのです」

少女「そのお言葉で安心しました。神様に相談して良かった」

神様「それは良かったです。そうだ、ひとつ言い忘れておりました。チョコレート、ありがとうございました」

あげたもの→シンプルなブラックチョコ




勇者「パーティーでのカーストが最下位でつらい」

勇者(神界の騎士さん、喜んでくれるかなぁ)ドキドキドキドキ

神界の騎士「勇者~っ! チョコくれ!」

勇者「いきなりですね!?」

神界の騎士「そりゃ今日はバレンタインだし? 勇者からチョコ貰えないなら、お兄さんいっそ催促しちゃおうかな~って」

勇者「心配しなくても、ちゃんと用意してますよ。ハイ」

神界の騎士「マァ可愛らしい。あれか? 魔法使いとかに、流行りの店教えてもらったの?」

勇者「いえ、その…。手作り…です」

神界の騎士「うっそ、マジで!? お兄さん感激しちゃう!!」

勇者「気に入って頂けて何よりです」モジモジ

神界の騎士「あ~ん」

勇者「…え?」

神界の騎士「食わせて。ほら、あ~ん」

勇者「え、ええぇ!?」

神界の騎士「俺と勇者は一心同体だろ~?」

勇者「い、今は違いますよ~っ!」

神界の騎士「ほらほら、そういうプレイだと思ってやってみて」

勇者「余計やりにくい!?」

神界の騎士「じゃあ~…口移しとか」

勇者「あぁん、手で許して下さぁい!」

神界の騎士「お、食べさせてくれるのか~♪ あ~ん…」

勇者「あ~ん…」

神界の騎士「ぱくり」

勇者「!!!」

神界の騎士「わっり、勇者の手も食べちゃった。相変わらず小さい手だな~」スリスリ

勇者「きゃっ、もっもう、神界の騎士さんたら…」

>一方…

踊り子「今日はバレンタインだけど…」

僧侶「あげる予定はありませんねー…」

魔法使い「ああぁもーっ、何で私ら女3人でチョコ食べてるのよーっ、悲しい! 悲しすぎるわ!!」

あげたもの→つぶつぶイチゴの生チョコレート(手作り)






あとがき

当初予定していたネタをぎゅっと縮小したものですが、ssって本来こういうものなのではないかという気がしないでもない(遠い目

カップリングごとに違うチョコの個性を考えるのも楽しかったです。
何というか全てのカップルが尊くて泣けます。皆幸せになってしまえばいいんだよ!!
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【スピンオフ】魔王子「僕が美しすぎて世界征服とかどうでもいい」【バレンタイン】

魔王子「僕が美しすぎて世界征服とかどうでもいい」のバレンタインスピンオフです。





バレンタインデーの朝…

>シャワールーム


シャワアアァァ…

魔王子(ふふ…僕は何て美しいんだ)ウットリ

魔王子(罪なほどに美しい僕は、毎年抱えきれない程のチョコを貰っているが…)

魔王子(今年は姫様という本命がいる。バレンタインは僕にとって、特別な日となったのだ)

キュッ

服<お、シャワー終わったか

魔王子「ふふ、興奮してきた。だがそれを顔に出しては美しくないよね」フキフキ

服<顔に出てなくても股間に出てるぞオイ

魔王子「平常心、平常心…フフ、僕は美しい」

服<体冷えるぞー

魔王子「よし、いつもの僕だ…」キリッ

魔王子「では余裕を持って、行こうか!」バァン

服<……

服<おーい、着忘れてるぞー





メイドA「魔王子様、おはようござ…!」

メイドB「」

魔王子「おはよう。どうしたのかね?」

メイドA「あぁ、魔王子様…」メロメロ

メイドB「貴方は何と素敵なお方でしょう…」メロメロ

魔王子「おやおや…顔を見慣れている使用人までメロメロにしてしまうとは、湯上りの僕とは恐ろしいものだね」

魔王子「さて、正門前で姫様を待つかな」





姫「……」ドキドキ

姫(魔王子様、喜んで下さるかしら…)

姫が用意したのは、芸術の国の有名チョコ職人が造り上げた『美しき薔薇のチョコ』。

姫(見た目も味も一級品よ。何も卑屈になることはないわ…)

姫(お城が見えてきたわ…。これを魔王子様に渡すだけ!)

魔王子「おーい、姫様ー」

姫(! 魔王子様の声が…)

姫「魔王子さ……」

魔王子「やぁ、待ってたよ」キラリーン

姫「」

魔王子「うん? どうしたのかな姫様?」

姫「いっ……」

魔王子「い?」

姫「いやあああぁぁぁぁ!!」ダーッ

魔王子「なっ……逃げるだと!?」

魔王子(何故だ! 僕はこんなにも美しい、逃げられる要素など…ま、まさか…)

魔王子(バレンタイン当日に、フラれた…!?)ガーン





姫「はぁ、はぁ…」

姫(魔王子様…どうして服を着ていなかったの!?)

姫「……チョコ、渡しそびれちゃった…」





魔王子「あぁ…せめて理由を聞かせてよ姫様。僕が美しすぎるから!? 僕と共にその罪を背負うのが重くなってしまったのかい!?」

魔王子「それとも…」


女戦士「魔王子様…今日も美しいわ」ウットリ

魔法使い「チョコを渡しに来たというのに…」

僧侶「何ということでしょう! あまりの眩しさに近づくことすらできないなんて!!」


魔王子「毎年チョコを沢山貰っているというのに、今年は誰も来ない…」

魔王子「まさか!! 僕の美しさがランクダウンしてしまったというのか!?」

魔王子「ああぁ…確かめようにも鏡を見るのが怖い。美しくない僕なんて見たくないよ!」

人々は言う。『人は見た目ではなく中身だ』と。
それを否定する気はない。否定する気はないが――

魔王子「美しさとは僕そのものなんだよ! 美しくない僕は、僕じゃないんだ!!」

人々は言う。『花は儚いからこそ美しいのだ』と。
それも納得している。だけど、それは花の話。

魔王子「僕の美しさは時の流れなんかに奪える程度のものではなかったはずだ! それなのに、それなのに…ッ!!」


側近(ん? 魔王子様の叫びが……裸で何やってるんだあの馬鹿は)

魔王子「美しくない僕なんて、美しくない僕なんて…!!」チャキッ

側近「!?」

魔王子「せめて美しく、この胸に紅い花を咲かせて…」

側近「早まらないで下さい、魔王子様!!」バッ

魔王子「側近! 離してくれ、せめて美しく死なせてくれえぇっ!」ジタバタ

側近「貴方が自害を考えるなど、何があったのですか!?」

魔王子「僕は僕である意味を失ったのだ!! アァッ、僕の心は何て悲劇的で美しいのだっ!!」

側近「酔ってんじゃねーよ!」



姫(魔王子様…怒ってないかしら)

姫(魔王子様が服を着ていらっしゃらないのには、必ず理由があるはず…! まずは話し合いを…)

姫(……ん?)



側近「話を聞けつってんだろ、このナルシが!!」ゼェッハァッ

魔王子「アァ…僕を拘束するのならこんな荒縄じゃなくて薔薇にしてくれよ…」


姫(魔王子様!? し、縛られてる、何があったの!?)


側近「ハァハァ…。で、魔王子様。何故、自害など謀ったのですか?」

魔王子「気づいているんだろう側近! 僕の美しさは損なわれたのだ!」

側近「…すみません、いつもとの違いがわかりませんが。何故そう思われたのです」

魔王子「今年は…チョコを1個も貰っていないんだよ!」」

側近(毎年、義理チョコを数個貰える程度の私に対して嫌味か?)ビキッ

魔王子「僕の美しさが損なわれたから、誰もチョコをくれないのだ! 姫様も僕の姿を見て逃げ出してしまったし!」

側近(その発言、『僕の魅力は見た目だけです』って言ってるようなものだぞ)

魔王子「美しくない僕なんて…僕なんてえぇっ!!」


姫「…話は聞かせて頂きました、魔王子様」

魔王子「姫様!!」

側近「あ」

魔王子「…見ないでよ姫様。美しくない僕なんて…」プイ

姫「いいえ。魔王子様、この鏡をご覧になって」パッ

魔王子「え――っ」


反射的に鏡を見て、魔王子は驚愕した。
だって、そこに映っていたのは――


魔王子「う――…美しい!!」


いつもと変わらぬ、神々しいまでに美しい自分の姿だったのだから――


魔王子「教えてくれ、姫様! 何故…こんなに美しい僕から、逃げ出してしまったんだい!?」

姫「それは――裸だからです」

魔王子「はだ、か…?」


そう言われ、魔王子は自分の体に視線を移した。
そして――理解した。


魔王子「何てことだ…! 僕は…僕は、服を着忘れていたんだね!」

姫「そうです、魔王子様!」

側近(気付いてなかったのかよ…)

魔王子「きっと朝のシャワーの時だ…。はは、姫様のチョコに期待して服を着忘れるなんて、余裕のない証拠だね。僕としたことが、美しくな…美しくない僕なんてええぇ!!」

側近「それはもういいっつーの」

魔王子「でも参ったなぁ、これでは常時パーフェクトビューティ魔王子フラッシュ状態だ。側近、タオルを1枚持ってきてくれないかい?」

側近「いや股間隠せばいいってもんじゃねーぞ」





姫「…そういうわけで魔王子様、こちらがチョコレートです」

魔王子「ありがとう、姫様」

側近(やれやれだな)


キャイキャイ

魔王子「……ん?」


女戦士「魔王子様ーっ!」

魔法使い「チョコレートですぅ、受け取って下さぁい!」

僧侶「魔王子様の為に徹夜して並んで買ったんですよーっ!」


魔王子「ハハ、ありがとう」

姫「魔王子様ったらぁ」プクー

魔王子「嫉妬かい姫様。大丈夫、姫様のチョコを1番大切にするよ」

姫「他の女性からの本命チョコを受け取っちゃうなんてぇー」

魔王子「仕方ないじゃないか、だって僕は――」


不誠実と言われても仕方ないのかもしれない。
それが自分の背負った罪の代償。だって僕は、こんなにも――


魔王子「何者をも魅了する程に、美しいのだからね!」

姫「そうですね…仕方ないですね!」


それが、美しすぎるという罪なのだから――




側近「馬鹿じゃねーの」


Fin


あとがき

いやまぁ、ナルシスバカじゃない魔王子は魔王子じゃないから…。
本編以上に全裸でしたね。全裸でリア充とかどんだけ恵まれてるんだよ。

ちなみに本編は恋愛エンドでしたが、これギャグssですからね(言い訳
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【スピンオフ】魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」【バレンタイン】

魔道士「僕のお嫁さんを召喚するよ☆」のバレンタインスピンオフです。





町娘「薄力粉と、チョコレートパウダーと…よし」

私はその日、街にチョコレートケーキ作りの為の材料を買いに来ていた。
もうすぐバレンタイン。やはり、日頃お世話になっている魔道士さんの為にお礼をしなきゃ。

町娘(しばらく作ってなかったけど、ケーキ作りは結構得意なのよね!)

町娘(私のケーキを食べたら、魔道士さんきっと…)


魔道士『アハーン町娘ちゃん…とろけるようにスウィ~トなケーキだね。まるでキスのようだ…』キラリン


町娘「……」

町娘(…って、そんなの期待してないし!! あぁもう、魔道士さんに感化されておかしくなってるわ!!)ブンブン



町娘「只今戻りました~」

魔道士「Oh…」ズーン

町娘「…魔道士さん?」

魔道士「あ…。チャオ☆ 町娘ちゃん帰ってたんだ」

町娘「ちゃんと私は挨拶しましたよ~」

魔道士「アハ、ゴメンゴメ…あれ、その手に持っているのは……」

町娘「あ…」

ケーキ作りの材料を見られてしまった。でも、魔道士さんはバレンタインの日くらい知ってるだろうし、隠さなくていいか。

町娘「バレンタインにはチョコレートケーキでも作ろうかと思って」

魔道士「……ワオ」

何だろう? 魔道士さんの笑顔がヒクついているような……。

町娘「あ…もしかして、チョコレートケーキ嫌いでした?」

魔道士「まさか★ そうかぁ、町娘ちゃんのチョコレートケーキ楽しみだなぁ~♪」

町娘「そうですか」

気のせいだったようだ。私はとりあえず材料をしまうことにした。


魔道士「……これは参ったぞ」

魔道士「バレンタイン…それは正しく危険日 ~デンジャラスデー~」



>その日の夜…


魔道士「ご馳走様…」

町娘「あら…おかず、多かったですか?」

珍しく魔道士さんが夕飯を残した。

魔道士「ゴメンね、ちょっと間食しちゃったものだから…。あ、明日食べるからしまっておいて」

町娘「わかりました」

魔道士「それと明日は出かけるから、お昼におにぎり1個作っておいて」

町娘「それだけじゃ足りなくないですか? お弁当作りましょうか」

魔道士「いや、いいからいいから! それじゃ、仕事に戻るね!」ソソクサ

町娘(…様子が変ね。間食しすぎたのを気にしてるのかしらね?)



>翌日


町娘(仕事済んじゃった。魔道士さんの昼食作りがないから、今日はいつもより動いてないかも)

魔道士「ただいま~」

町娘「お帰りなさ…って」

魔道士さんは汗だくになって帰ってきた。

町娘「何やってきたんですか魔道士さん!?」

魔道士「アハ~ン、ちょっとね。それよりもお風呂に入りたいな☆」

町娘「あ、はい。すぐ沸かしてきます!」

魔道士「急がなくていいよ★ あと、明日からしばらくお昼空けるから、おにぎりお願いね!」

町娘「わ、わかりました」

町娘(何かハードな仕事でも入ったのかしら…心配)


そして魔道士さんの言った通り、魔道士さんは家を空けることが多くなった。

魔道士「行ってきます☆」

町娘「行ってらっしゃい」


町娘(いつも汗だくで帰ってきて、一体何の仕事かしら。食欲も前より落ちたみたいだし…でも聞いても教えてくれないのよね)

町娘(何か、この家にずっと1人ってのも何か、こう……)

町娘「………」

町娘(べ、別に寂しくないし! しばらく楽ができると思っておけばいいのよ!)





>そんなこんなでバレンタイン当日…


町娘「これでよし、っと」

ケーキが焼きあがった。あとはデコレーションするだけだ。

町娘(どうデコろうかなぁ。魔道士さんセンスいいから、格好悪くはしたくないわね)

町娘(……バレンタインだし、やっぱりハート?)

町娘(…いやいやまさか!! そんなハートとかまるで私が魔道士さんのこと)ブンブン

コツコツ

町娘(ん? 足音?)


魔道士「…」コソコソ

町娘(あ、魔道士さん帰ってきたのか。でも、ただいまも言わないでコソコソして、どうかしたのかしら?)

魔道士「……」ブルブル

町娘(何か怯えている? 何をそんなに……ん、足元にあるあれは……)


…体重計?


魔道士「……」ソロー

魔道士「……」

魔道士「グッ……」

町娘「?」

魔道士「Great Success…! ダイエット成功だぁ~…!」グッ

町娘「…魔道士さん?」

魔道士「Ohhhhh!?」ビクウウゥッ

町娘「!?」

魔道士さんは体重計から飛び跳ねるように落ち、尻餅をついた。

町娘「ご、ごめんなさい驚かせて…。ところで、そのー…ダイエットって」

魔道士「オゥノオオオォォ!!」

町娘「え? あのー…」

魔道士「ごめんなさい! 仕事と嘘ついてダイエットしてました! 本当にごめんなさい!」

町娘「……え?」





町娘「…つまり、数日前に体重を計ったら増えていたと」

魔道士「Oh…それでバレンタインを迎えたら間違いなく、元通りのおデブのブーちゃんじゃないかアハーン…」

町娘「それならそうと言って下さったら、野菜多めのメニューにしたり協力したのに…」

魔道士「恥ずかしくて★」キャッ

町娘「女子か!!」

魔道士「そんなこと言ったら町娘ちゃん、気を使ってチョコレートケーキ作るのパスしちゃいそうじゃない」

町娘「だからってこんな短期間での無理なダイエットは…」

魔道士「町娘ちゃんのケーキ、食べたかったんだもん☆ お陰で2キロも落とせたよ♪」

町娘「あーはいはい」

町娘(全くもう、無茶する人なんだから…)

魔道士「チョコレートのいい香りが漂ってるね~。よーし、今日はお気に入りの紅茶を淹れよう!」

町娘「…魔道士さん。かっこいい体型を維持するのも大事ですけどね」

魔道士「ン?」

町娘「その…女の子は、あまり放っておいたら…駄目、ですよ」ゴニョゴニョ

魔道士「町娘ちゃん? ゴメンね、よく聞き取れないよ」

町娘「~~っ…あぁもう、何でもないです!! もうすぐ出来ますから、大人しく待ってて下さい!」

魔道士「What!? 何で怒られてるの!?」


ともあれ…


魔道士「絶品だなぁ★ 口の中で甘いチョコがとろけて、スウィ~トな気分になれるよ♪」

町娘「そうでしょう? 自信あったんですからね」フフン

魔道士「こんなに美味しいケーキなら毎日のように食べたいけど…それは我慢だね」

町娘「ダイエットするの大変ですからねぇ」

魔道士「いや…そうじゃない」

町娘「え?」

魔道士「バレンタインにしか食べられないからこそ…町娘ちゃんのケーキは、特別なんだから」

町娘「」

町娘「」ボッ

魔道士「今日は特別なケーキを堪能するぞ~♪」

町娘(魔道士さん、カッコつけて言ったの!? 天然で言ったの!? あああぁぁもう!!)

魔道士「どうかした、町娘ちゃん?」

町娘「何でもありません!!」


とにかくダイエットもケーキも大成功。
今日はハッピーなバレンタインとなりました…。


町娘「ところで体重増えたって、何キロ増えてたんですか?」

魔道士「恥ずかしいけど…0.5キロ」モジモジ

町娘「たったそれだけで!? 結果的に1.5キロ痩せてるじゃないですか!?」

魔道士「まぁでもチョコケーキ食べて増えると思うし…って、どうしたの?」

町娘(まずいまずい…あと何キロか痩せられたら私と体重が並ぶわ……よし、一杯食べさせよう!!)

魔道士「アハーン…? な、何か不吉な予感…☆」



Fin



あとがき

チャオさんがチャオって1回しか言ってなry
家事スキルの高い町娘ちゃんならケーキとか作っちゃうだろうなぁ。チャオさん体重増加が心配だなぁ。って感じでスピンオフssの内容は迷いませんでしたね。
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【スピンオフ】アラサー賢者と魔王の呪い【バレンタイン】

アラサー賢者と魔王の呪いのバレンタインスピンオフです。





>バレンタイン当日


賢者「それじゃあ、今日の授業は終わりまーす」

<ありがとうございましたー

賢者「さーて、明日の授業の準備してから帰ろうかな…」

生徒A「あー!」

賢者「あら?」

振り返ると生徒たちが、窓の外に手を振っていた。
彼らが手を振っている相手は…

賢者「あら、魔法戦士君」

魔法戦士「お久しぶりです」

生徒A「あれー魔法戦士、ちょっと見ない内に大きくなったー? あ、なってないね」アハハ

魔法戦士「そう簡単に伸びないから」

魔法戦士が田舎に帰ってくるのは、1、2ヶ月ぶりか。
騎士団も忙しいと聞いているが、やはり若いからか、魔法戦士は元気そうだ。

賢者「魔法戦士君たら。帰ってくるのなら、お手紙くれれば良かったのに~」

魔法戦士「……いやぁ」

賢者「?」


この時魔法戦士は、かなり複雑な心境でいた。


魔法戦士(こんなバレンタインの日を狙って帰ってくるつったら、チョコ用意しててくれ、って言うみたいじゃん)フン

魔法戦士(…他の男にはチョコやったのかな?)ムム

魔法戦士(いや別に! チョコなんて期待してないし!? 急に帰ってきた奴の為にチョコなんか用意してないよな!)ヘッ

魔法戦士(…先生、バレンタインは知ってるよな? 魔法以外のことに割と疎いし……)ムムゥ

魔法戦士(いやいやいやいや!! 知ってたとこで俺とは関係ないしいいぃぃ!!)グヌヌゥ


生徒B「どうしたのよ魔法戦士、さっきからコロコロと顔が変わってるけど」

魔法戦士(はっ、つい!!)

賢者「あ、わかった」

魔法戦士「せ、先生、違うんだ!! お、お俺、別にっ」アワアワ

賢者「思い出し笑いみたいなものでしょ~。魔法戦士君、騎士団でどんなことがあったのか聞かせてよ♪」

魔法戦士「……」

魔法戦士(先生…ナイス天然)グッ

生徒E「本当にどうしちまったんだ魔法戦士の奴? 激務で頭おかしくなったか?」

生徒F「そういう時は糖分だな。おい魔法戦士食うか、俺のチョコ…」

魔法戦士「チョコ!?」

生徒F「」ビクッ

生徒A「あーほら、今日バレンタインだからさ。チョコのやりとりがあったのよ」

生徒B「事前に帰ってくること言ってくれれば、魔法戦士の分も用意しといたのに~」

魔法戦士(そりゃそうだよな…だが問題なのは…)

賢者「?」

魔法戦士(先生からこいつらへのチョコはあったのか、なかったのか…!!)

生徒A「あ、そろそろ帰らなきゃ。魔法戦士、今度来る時は連絡よこしなさいよ! じゃあね~」

賢者「みんな、気をつけてね~」

魔法戦士「……」

賢者「魔法戦士君、どうしたの?」

魔法戦士「え、あ、いやぁ~! べ、別に実家帰ってもすることないし!」

賢者「?」

魔法戦士「せ、せっかくだし、明日の授業の準備手伝うよ先生!」

賢者「あら~、いいの? ここぞとばかりに力仕事頼んじゃうわよ~?」

魔法戦士「バッチコイ! 力仕事なら俺に任せてよ!」

賢者「まぁ、頼もしいのね。それじゃあ教材運びをお願いしちゃおうかしら」

魔法戦士「了解!」

賢者「ふふ、魔法戦士君が手伝ってくれるから、今日は早く帰れそうだわ♪」

魔法戦士「……」

魔法戦士(い、いや別に何の下心もないから! チョコなんて期待してないから!)





賢者「ありがと~っ、魔法戦士君! おかげで先生助かっちゃったわ」

魔法戦士「これくらい何てことないよ。つか先生、いつもこんな重いもん持ってたの?」

賢者「勿論、少しずつ持ってたわ。じゃないとおばさん、すぐ腰痛めちゃうから」

魔法戦士「いやいや、俺より若い体で何をおっしゃる」

賢者「子供にも肩こり腰痛はあるのよ」

魔法戦士「鍛え方が足りないなぁ~? 今からそんなんじゃ、体が成長した時…」

賢者「きゃあ、怖いこと言わないでぇーっ」ブンブン

魔法戦士(はは。つい、いじめたくなっちゃりして…)

賢者「さて帰りましょうか魔法戦士君。ねぇ、時間ある?」

魔法戦士(お?)「あるよ勿論」

賢者「それじゃあ手伝ってくれたお礼に、ちょっと寄り道しましょう♪」

魔法戦士「!!! ぜ、是非!!」

賢者「? えぇ」

魔法戦士(バレンタインデート…!! あ、いや、デートとか、そんなんじゃねーよな!! 期待すんな、俺!!)


それで…


魔法戦士「……」

賢者「はぁ、美味しいわねぇ。仕事終わりのコレが楽しみでねぇ」

魔法戦士「……そうだね」

賢者「遠慮なく食べてね魔法戦士君。先生贔屓のお店なの……ここの、牛丼屋」

魔法戦士「大盛りご馳走になりまーす!」

賢者「その食べっぷり、流石男の子ねぇ」

魔法戦士「そうだろ~そうだろ~」


そりゃ、期待すんなと自分に言い聞かせはしたが…


魔法戦士(よりにもよって田舎の牛丼屋かよ!!)

賢者「う~ん美味しい、幸せぇ~」ニコニコ

魔法戦士「良かったねぇ、先生」

魔法戦士(もう俺ゼッテー男として意識されてねぇよ…)ズーン


やはりバレンタインなどろくでもない…魔法戦士はそう思いながら肉の味を噛み締めた。





賢者「ふぅ、美味しかったぁ。よーし、明日も頑張るわよ~」

魔法戦士「牛丼くらいなら、俺も作れるよ」

賢者「まぁ~。それは食べさせてくれるって期待してもいいのかしら?」

魔法戦士「いいぜ。また帰ってきた時、時間とれれば俺の手料理振舞ってあげるよ」

賢者「あら。今回はそんなにゆっくりしていられないの?」

魔法戦士「そうだね。明日には帰るよ」

賢者「それじゃあ1泊する為にわざわざ?」

魔法戦士「……まぁね」

賢者「あぁ、でもずっと帰ってきてなかったものねぇ。たまに元気な顔を見せてくれると、先生は嬉しいわよ!」ポン

魔法戦士「はは…ありがとう」

魔法戦士(あぁ…やっぱ俺……)

いくら強がっても、やっぱり心のどこかで期待していた。

魔法戦士(先生からのチョコ、欲しかったんだろうなぁ……)


もし強がらずに、事前に帰ることを伝えていればチョコを貰えたのだろうか。
だけどそこまでしておいて貰えなかったら……

魔法戦士(ああぁーっ、俺の臆病者!!)


結局、怖かっただけか。


賢者「魔法戦士君、今回急に帰ってくるものだから…」


そう。
自分は「チョコを貰えなかったのは、急に帰ってきたせい」と予防線を張りたいヘタレなのだ。
それなのに、貰えるかもしれないという期待を捨てきれず帰ってきてしまう下心はしっかりあるのだ。


魔法戦士(こんな情けない男に先生が惚れるかっつーの!! あぁもう!!)

賢者「チョコ、そっちの下宿に郵送しちゃってたわよ」


魔法戦士「……」


……はい?


賢者「だってホラ、今日バレンタインじゃない。魔法戦士君と入れ違いになっちゃったかなぁ」

魔法戦士「せ、せ、先生!?」

賢者「あら、どうしたの?」

魔法戦士「ほ、ほ、ほんとに!? ほんとに俺にチョコを!?!?」

賢者「えぇ。日頃頑張ってる魔法戦士君に…あ、チョコ嫌いだった?」

魔法戦士「いやいや、大好きだよ!」

賢者「良かったぁ。帰ったら食べてね、魔法戦士君!」

魔法戦士「~っ……」

賢者「魔法戦士君?」


魔法戦士(生きてて良かったぁ~……!!)ググッ


賢者「あのチョコ、E君達も美味しいって言ってたから、男の子の口にも合うと思うわよ~♪」

魔法戦士(ですよねー!! 他の奴らにも同じのやってますよねー!!)





>下宿


魔法戦士(つっても、先生から貰えたチョコに変わりはないし)

魔法戦士「手作りじゃなくて市販かー…って、これうちの田舎で1番の高級店のチョコじゃん。心して食おう!」

魔法戦士「ん、何か入ってる。……手紙?」


~~~~~~~~~~~~
魔法戦士君へ

騎士団で強く立派に成長できることを願っています。

先生より♪
~~~~~~~~~~~~


魔法戦士「………」


自分は約束した。
強く一人前の男になって、賢者を迎えに行くと――


魔法戦士(強く立派に成長して、迎えに来てくれる日を待ってますって、そんな先生!!)←※そんなこと書いてない

魔法戦士(一人前になるまで本命チョコはお預けってことだな! よっしゃ待ってろよ本命チョコ!!)←※そんなこと書いてない


ともあれ、魔法戦士にとっては幸せなバレンタインとなった。





一方その頃、賢者は――


賢者「お菓子屋さん見てたら目移りして、ついつい自分も食べたくなっちゃって…」パカッ

賢者「あぁ、美味しい~♪ 甘いもの食べてる時って幸せ~♪」

賢者「うぅ。でもブランデー入りのチョコは苦く感じるぅ~。舌だけは大人に戻りたーい」


1人楽しく、自分用チョコを嗜む独身アラサーであった。


Fin




あとがき

あれ…?魔法戦士ってこんなにアホだったっけ…? まぁ、恋は人を狂わせますから。
賢者が色々と残念な人なんだからしっかりしろ魔法戦士!
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2016年02月05日

勇者「パーティーでのカーストが最下位でつらい」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454152849/

1 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:20:49.32 ID:O+DFJ7tW0
>ある町の教会


勇者(あぁ神様、どうかお願いします……)

夜、人気のない教会で手を組み祈っていた。
故郷から旅立って3日目、彼女はまだ新米の勇者である。

勇者「神様、どうか私を…」


勇者「私を勇者の座から下ろして下さい!!」

2 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:21:13.69 ID:O+DFJ7tW0
話は3日前、父と共に王城に呼ばれた所に遡る。


勇者「私が勇者……ですか?」

王「うむ。神託によるとお主が魔王を討つ勇者であるそうだ」

勇者「そ、そんな…」アワアワ

騎士団長「…確かに娘には、護身の為の剣を幼い頃より教え込んできました。伸び代はありますが、まだまだ腕は未熟でして……」

王「神の言葉を疑うのか、騎士団長」

騎士団長「いえ、ですが…」

勇者「ううぅ、無理だよぅお父さん…」グスッ

騎士団長「…この通りの娘でして」

王「ふむ、まぁ気持ちはよくわかる。だが国を救う為だ、頼まれてはくれぬか」

勇者「国を、救う……」グスグス

王「旅の供はこちらで用意しよう。女子ばかりなら、怖くなかろう?」

勇者「……」グスッ

国のトップたる王にこう頼まれては、気弱な彼女に逆らえるはずもなかった。
こうして騎士団長の娘は勇者として旅立つこととなった。

3 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:21:40.79 ID:O+DFJ7tW0
勇者「怖いなぁ…」トボトボ

王子「やぁ、子猫ちゃん♪」

勇者「っ!」ビクッ

彼は国の第一王子。勇者にとって苦手な相手だった。

王子「聞いたよ、勇者に選ばれたんだって? 大人しい君が勇者だなんて、世の中ってわからないものだねぇ」ナデナデ

勇者「ううぅ…」

勇者(あまり、くっつかないでほしいなぁ…。でも言ったら何をされるかわからないし……)

王子「そうだ、僕が君の為に装備を特注しておこうかな♪」

勇者「お、王子様が…ですか?」

王子「そう。ほら、あんな感じの」

勇者「?」

王子が窓の外を指差すと、そこには旅の女剣士がいた。
その女剣士が着ていたのは――

勇者「~~っ!!」カアアァァ

王子「ほらぁ、子猫ちゃんもあんなビキニアーマー着る勇気が大事だと思うよ~?」ニヤニヤ

勇者「し、し、失礼しますっ!」ダッ

王子「あはは、じゃあまたね~♪」

4 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:22:09.31 ID:O+DFJ7tW0
そして3日後の夜、今現在――


勇者「私を勇者の座から下ろして下さい!!」


早々にへこたれた彼女は、神に神託の取り消しを祈るのであった。


勇者「私、もう駄目ですぅ…やっていけません……」


『へー、何で?』


勇者「きゃああぁぁ!?」ビクッ

まさか誰かに聞かれているとは思わず、勇者は跳ね上がった。

『自分から神に声かけといて、返答が来たら驚くって…そりゃねーだろ』

勇者「え、えっ?」キョロキョロ

周囲を見渡すが、人の姿は見当たらない。
男の声ははっきり聞こえるのだけれど…。

『いくら探しても見えねーよ。俺には実体がないんだから』

勇者「実体が、ない……?」

『あぁ、自己紹介がまだだったな』


神界の騎士『お兄さんは神界の騎士。神に仕える者だ』

勇者「神界の騎士……神に、仕える者……」

5 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:22:38.86 ID:O+DFJ7tW0
神界の騎士『ところで、質問してもいいか?』

勇者「は、はい」

神界の騎士『勇者の座を下ろせ、つったよな? 理由は?』

勇者「え…理由?」

神界の騎士『あんた、神が選んだ勇者だろ? それを下りたいっつーなら、それなりの理由がないとな?』

勇者「えと、その……旅が辛いんです」

神界の騎士『あ? 辛い?』

勇者「皆の足を引っ張ってしまって…いたたまれないんですよ……」

神界の騎士『でも見たところあんた、まだ経験積んでないよな? 今投げ出すのは早いんじゃないのか?』

勇者「だって…」

神界の騎士『だって?』

6 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:23:09.77 ID:O+DFJ7tW0
~回想・旅立ち数分後~


魔法使い「それでその男に言ってやったわけよ、『フツメン未満が勘違いするんじゃないわよ』って~」

踊り子「いるいる、そういう勘違い男」

僧侶「魔法使いさんだから言えたんですね~。私ならとてもとても」

キャイキャイ


勇者(話について行けないなぁ…)

魔法使い「勇者は何かある? 男との話」

勇者「え、えっ?」

踊り子「あ、いいわね。聞きた~い♪」

勇者「わ、私は特に」アワアワ

魔法使い「ないの!? えー、ないんだー! ごめんね、まさかないとは思わなくて~!!」

踊り子「ごめんね勇者ちゃ~ん」

勇者「あ、いえ、別に……」

勇者(何で嬉しそうなんだろう……?)


僧侶「…あれ、確か勇者さんて王子様に気に入られているんですよね?」

勇者「えっ!?」

魔法使い「……え?」

踊り子「王子様って…あの王子様?」

僧侶「えぇ。私はそう聞きましたけど…」

勇者「そ、その…」

勇者(そんなんじゃないし…私むしろ王子様のこと苦手で……ん?)

魔法使い「……」チッ

勇者「………?」

7 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:23:35.23 ID:O+DFJ7tW0
~回想・防具屋にて~


勇者(どうしようかなぁ…)

魔法使い「あ、これなんてどうかな?」

踊り子「あらいいわね~、魔法使いちゃんによく似合う♪」

勇者(流石2人ともオシャレだなぁ)

僧侶「まだ決まらないんですか勇者さん」

勇者「ご、ごめんなさい!」

魔法使い「これとかどう?」

踊り子「いいんじゃないの、防御力も高いし」

勇者「あ、じゃあこれ買ってきます」


クスクス

勇者「…?」

魔法使い「やだー、あんなダサいの私は着れな~い」

踊り子「魔法使いちゃんが勧めたんじゃな~い」

魔法使い「まぁ前衛で戦うなら、あれでもいいんじゃないのクスクス」


勇者「……」

8 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:24:06.91 ID:O+DFJ7tW0
~回想・戦闘にて~


僧侶「ふぅ…皆さんお怪我はありませんか」

勇者「あぅあぅ…」ガタガタ

魔法使い「勇者ぁ、何やってんのよ。1匹も倒してないじゃない」

勇者「ご、ごめんなさい…」

勇者(王様は『少しずつ戦いに馴れていけばいい』って言ってたのに…)

踊り子「魔法使いちゃんは魔法を沢山使えて、凄いわね!」

魔法使い「べっつにー? 魔王討伐の旅してるんだから、これくらい当たり前じゃなーい?」

クスクス


勇者(ううぅ…)ズキッ

僧侶「あの、東と西、どっちの町に寄ります?」

魔法使い「東がいいわ。美味しいスイーツショップがあるのよ」

踊り子「えーホント? 行きたい行きたい!」

魔法使い「そうと決まれば行こう!」

勇者「あっ、待っ…」


魔法使い「それでさっきの続きだけど~」アハハ

僧侶「あらら」

踊り子「もう、やだぁー」


勇者「……」ポツン

9 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:24:37.51 ID:O+DFJ7tW0



勇者「…というわけで」

神界の騎士『女グループのヤなとこ凝縮したようなパーティーだな…』

勇者「わ、悪いのは私なんです」

神界の騎士『いや、1番弱いあんたに意地悪する女どもが性格悪いだろ。言い返してやれよ』

勇者「…言い返せません。私が駄目なんだから…」

神界の騎士『駄目だから、ってなぁ。神に選ばれたんだから自信を持てよなー、そんなウジウジしてるから…』

勇者「……グスッ」

神界の騎士『………あ?』

勇者「ウジウジしててすみません~…。私、いつも人をイラつかせてばかりで…」グスグス

神界の騎士『ちょ、待!? え、これ俺が泣かせたの!?』

勇者「違うんです、全部私が悪いんです…えううぅぅ」グスグス

神界の騎士『ごめん、ごめんて! ひとまず泣き止もう、な!?』

勇者「ううぅ…」グスッ

神界の騎士『参ったなー、こりゃ…』

神界の騎士の姿は見えないけれど、本当に困っている様子が窺い知れる。
大変申し訳なく思う。

勇者「私なんて…弱いし、臆病だし……駄目なんですよぉ……」グスグス

神界の騎士『……』


神界の騎士『…しゃーねぇ! お兄さんが手ぇ貸してやるよ!』

勇者「……え?」

10 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/30(土) 20:25:16.65 ID:O+DFJ7tW0
手を貸すとは…?
疑問を口にしようとしたその時、不意に――

勇者「きゃあぁ!?」モミモミ

勇者の手が勝手に動き、軽く揉んだ。乳を。

神界の騎士『おぉー、意外とボリュームあるじゃねぇか!』

勇者「な、なななななな…」

神界の騎士『驚いただろ。今な、俺があんたの体に一部憑依してるんだよ』

勇者「憑依…?」

神界の騎士『そ。こういうこともできる』サワサワ

勇者「きゃああぁぁ!?」

神界の騎士『そういう反応はお兄さんのような男を喜ばせるだけだぞォ~?』

勇者「やだやだぁ」グスッ

神界の騎士『っつー冗談は置いといて。腕に自信がないなら、お兄さんが代わりに戦ってあげよう!』

勇者「神界の騎士さんが…代わりに……?」

神界の騎士『どうせ神も王も、あんたが勇者の座を下りること許しはしないぞ。それよりは…』サワサワ

勇者「きゃあぁ!」

神界の騎士『なーに、スキンシップ、スキンシップ! っつーわけで宜しくなー勇者!』

勇者「うぅぅ…」

勇者は諦めた。

19 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/31(日) 18:16:32.58 ID:M0sRaDE50
>翌朝


勇者「……」

神界の騎士『なぁ、全員遅くね?』

勇者「支度に時間かかっているんですよ」

神界の騎士『支度~? んなもん時間取られる程のことじゃ…』


僧侶「おはようございます」

魔法使い「ふぁー、ねむ。行こ~」

踊り子「今日はどこへ向かうの~?」


神界の騎士『……何、支度ってもしかして服選びとか化粧?』

勇者「はい、オシャレですよね」

神界の騎士『いやいやいや魔王討伐の旅を何だと思ってるんだって!!』

勇者「まぁ女性ですから…」


魔法使い「勇者、さっさと行くよー」

勇者「あ、はい! すみません」

神界の騎士『謝るんじゃねぇよ、あいつらの方が先にこっちを待たせていたじゃねぇか!!』

勇者「そんなこと言われても…」

神界の騎士(あー駄目だ、完璧に上下関係に呑まれてやがる)

20 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/31(日) 18:16:58.45 ID:M0sRaDE50
キャイキャイ

魔法使い「でさでさぁ、見てよこの雑誌。ここ行ってみたくない?」

踊り子「わぁ、行きたい! ねぇねぇ行きましょうよ!」

魔法使い「そうね! この街に向かおうか」

僧侶「異論はありません」


勇者「……」

神界の騎士『なぁ聞いてもいいか?』

勇者「はい?」

神界の騎士『何で、あいつら主導で動いてんの?』

勇者「だって…私は勇者とはいえ弱いから指揮を取れる立場じゃないし、反論もないし……」

神界の騎士『けど、せめて勇者にも意見を聞くくらいしていいんじゃねぇか?』

勇者「私なんか……」


と、その時――

踊り子「魔物が現れたわ! 戦闘準備よ!」

勇者(え、えええぇぇ)アタフタ

21 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/31(日) 18:17:31.86 ID:M0sRaDE50
魔法使い「勇者、ボーっとしてんじゃないわよ!」ドンッ

勇者「きゃっ」

魔法使い「喰らえ、炎魔法!!」

勇者「ううぅ…」

神界の騎士『おいおい、ビビってる場合か。仲間たちが戦ってるぞ』

勇者「私なんて皆の邪魔になるだけだし…」

神界の騎士『そう言ってたらいつまでもレベルアップなんかしないだろ』

勇者「そう…なんですけど……」

剣を握る勇者の体は震えている。
戦わなければいけないと頭では理解してはいるが、その一歩が踏み出せない。

神界の騎士は、戦っている勇者の仲間たちを見る。
王に選抜されただけあってなかなかの実力者揃いではある――だが、勇者への配慮は一切無いらしい。

神界の騎士『…明らかな人選ミスだな王。心の弱い女の子を戦場に送り出すなら、もうちょい優しいメンバーを選ぶべきだったな』

勇者「う、ううぅ……」

神界の騎士『でもまぁ、勇者がグループで軽んじられている理由がよーくわかった。でも、今日からは――』

勇者「っ!?」

体の震えが収まり、勇者の剣を持つ手に力が入る。
これは――

神界の騎士『――下克上開始だ!』

22 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/31(日) 18:18:02.41 ID:M0sRaDE50
勇者「きゃあぁ!?」

踊り子「!?」

勇者の意思に反して、体が高く跳躍する。そして――

勇者「――っ!?」

神界の騎士『はあぁ――っ!!』ズバァッ

魔法使い「!?」

目の前にいた魔物を、一刀両断で切り伏せた。


一体何が起こったのか――仲間たちどころか、勇者自身も信じられなかった。
それでも魔物達は本能的に危険を察知してか、勇者に襲いかかっていった。

だが――

勇者「…」ズババッ

その剣はひと振りで3匹の魔物を切り伏せ、

勇者「…」ドカッ

鋭い蹴りが魔物を吹っ飛ばした。

魔物達は勇者を取り囲み、次々と襲いかかる。
だが、勇者の剣は、攻撃を喰らう前に魔物達の急所を貫いていった。

そして――

僧侶「何てこと……」

勇者「……」

あっと言う間に、生きてる魔物の姿はなくなった。

23 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/31(日) 18:18:28.75 ID:M0sRaDE50
魔法使い「ちょ……」

魔法使いは信じられなかった。
あの足手まといの勇者が、こんな簡単に魔物達を蹴散らすなんて――

踊り子「勇者ちゃん…?」


勇者「……」ガタガタ

一方の勇者は血の気が引いていた。
自分の意思と反して、体は魔物達の間を駆け抜けた。その恐怖心、手に残る感触――どちらもトラウマになりそうで。


だけど――

勇者『なーんだ、この程度かー』

魔法使い「……え?」

勇者(えええぇぇ!?)

これまた自分の意思に反して、勝手に声が出てきた。
すぐさま訂正しようとしたが、自分の意思で声が出せない。

勇者『ちょっと腕試し程度に戦ってみたんですけどー…』

勇者『弱すぎてびっくりしちゃいましたー!! いや、皆さんが手こずっている相手だから強いのかなーって思ったんですけどぉー…』

勇者(し、神界の騎士さん…?)ブルブル

神界の騎士『事実だもんよ』

勇者(で、でも……)


魔法使い「……」ギロ

踊り子「……」ムスッ

勇者(ヒイイィィ、怒らせちゃいましたああぁぁ!!)

神界の騎士『お、やるか? やるならドサクサに紛れて乳もんだろ』ヒヒヒ

勇者(やめて下さい~!!)


魔法使い「…行くわよ!」クルッ

勇者「……え?」

明らかに面白くなさそうだが、仲間たちはそれ以上何も言わずに先を行く。
その姿を追いかけながら、勇者は喧嘩にならなかったことを内心ホッとしていた。

24 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/31(日) 18:19:05.06 ID:M0sRaDE50
神界の騎士『このパーティーの力関係がわかった』

勇者「力関係…ですか?」ヒソヒソ

神界の騎士『このパーティーでの力関係を作っている要素は3つ。「容姿」「気の強さ」「戦闘力」だ』

勇者「はぁ…」

神界の騎士『俺の目から見て、勇者以外の容姿レベルは踊り子>僧侶≧魔法使いってとこだな』

勇者「え、魔法使いさん美人だしスタイルもいいじゃないですか」

神界の騎士『それはお洒落補正でそう見えるだけだ。冷静な目で見れば顔貌は中の下レベルだし、体も肉感が無くて欲情しねぇ』

勇者「そうなんですか…?」

神界の騎士『でもああいう鶏ガラが女の世界じゃ持て囃されるからな。とまぁ補正込みで「容姿」は踊り子≧魔法使い>僧侶、と位置づけるとしよう』

神界の騎士『次に「気の強さ」。これは魔法使い≧踊り子>僧侶。この時点で僧侶はナンバー1争いからは外れた』

勇者「まぁ…僧侶さんは、お2人よりは大人しいですからね」

神界の騎士『そして順位を決定づけたのが「戦闘力」。これを魔法使いが踊り子を大きく上回ったことにより、このパーティーのナンバー1が決定したわけだ』

勇者「な、なるほど…?」

神界の騎士『他人事みたいに言ってんじゃねぇ。あんた、序列最下位の見下し要員にされてたんだぞ』

勇者「ううぅ…」ガーン

神界の騎士『ま、へこむな。さっきも言ったろ、今日から下克上だって』

勇者「下克上って…何をするつもりですか?」

神界の騎士『ま、お兄さんに任せなさーい!』ガハハ

勇者(嫌な予感しかしない…)

25 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/01/31(日) 18:20:23.26 ID:M0sRaDE50
今日はここまで。

勇者が自分の意思で話す言葉→勇者「」
神界の騎士が勇者に憑依して話す言葉→勇者『』
と、カッコの形で区別宜しくお願いします。

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/01(月) 01:04:56.94 ID:Xr6PeOzAO

ギャフンと言わせてやれ

28 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 18:55:13.75 ID:+gqJTuWP0
>街


神界の騎士『よぅし、自由行動の時間だ! 早速買い物するぞ!』

勇者「買い物? 何を買うんですか?」

神界の騎士『防具だよ、防具!』

勇者(防具か…てっきり勝負下着とか言うのかと)

神界の騎士『さっき戦ってわかったが、あんたは防具が体に合ってない! 筋力ないのにこんな重い防具つけてたら、思うように動けないぞ』

勇者「そ、そうですか? ダメージ軽減されるから良いと思ったんですけど…」

神界の騎士『防具で軽減するんじゃなくて、回避して軽減するんだ。とりあえず防具屋に行くぞ、お兄さんがアドバイスしてやる!』

勇者「は、はい。わかりました」



>防具屋


神界の騎士『ヒョォ~、この金属臭さ、たまんねぇなぁ~』

勇者「それで…どんな防具にすれば?」

神界の騎士『そうさなぁ~…動きやすさ重視で、でも何かしらの付属効果があればいいな…』ブツブツ

勇者(流石、神様に仕える騎士だわ)

神界の騎士『で、あとはその"少しキツそうにCカップブラに押し込んでるけど実はDカップのバスト"を活かしたいとこだな!』

勇者「な、ななななんでカップ数わかって…」アワワワ

神界の騎士『お、あれとかいいじゃん!』

勇者「これは…」

29 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 18:55:50.85 ID:+gqJTuWP0
防具屋「ありがとうございやした~」

勇者「買っちゃった…」

神界の騎士『古い防具も売ったし、明日からはそれ装備な! じゃ一旦、その鎧は宿に置いていこうぜ』

勇者「まだどこか行くんですか?」

神界の騎士『確か魔法使い達が行ったのは…雑誌に載ってたカフェだったな』

勇者「え? そうですね」

神界の騎士『よっしゃ! ちょっと体借りるぞ勇者!』

勇者「え――」



>カフェ


魔法使い「このケーキ美味しい~っ」

僧侶「お洒落な雰囲気も最高です。来て良かったですね」

踊り子「これで彼氏とかと一緒だったら最高なんだけど…」

魔法使い「こーらっ。今は旅をしてるんだから、男なんて作ってる場合じゃないわよ~」

踊り子「そうよね~。私達、モテない女同士で仲良くしましょう~」

僧侶「ふふ、そう言って2人に抜けがけされちゃいそう」

魔法使い「もー何言ってんのよぉ、私らの友情はそんな脆いもんじゃないわよ!」


カランカラン

店員「いらっしゃいませ~」

イケメンA「3名で」

イケメンB「タバコは吸わないです」


踊り子「あら、あの人たちかっこいいわねぇ」

魔法使い「ほんとだ。目の保養でもさせて……」


勇者『ホントにおごってもらっちゃっていいんですかぁ…?』モジモジ


魔法使い「」ブッ


イケメンA「いいのいいの、誘ったの俺たちだし♪」

イケメンB「こんなに可愛い子とお茶できるなんて、滅多にない機会だしな!」

勇者『それじゃあ…お言葉に甘えちゃおっかな♪』キャッ

30 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 18:56:42.35 ID:+gqJTuWP0
<ワイワイ


踊り子「あれ…勇者ちゃんよね?」

僧侶「ど、どういうことですかね…?」

魔法使い「イケメン達と楽しそうに…!!」


<ギロー

勇者(すっごく睨まれてますよ~…)アワワ

神界の騎士『おー、妬んでる妬んでる。いい調子だ』

勇者(全然良くないですよ!?)

神界の騎士『よし、トドメだ!』

勇者『あ! 魔法使いさん、こちらにいたんですねー!!』

魔法使い「……」ギロ

勇者『踊り子さんと僧侶さんも一緒ですか…何か意外かも』

魔法使い「…どういう意味よ?」

勇者『だって、こういうお洒落なカフェって…』



勇者『ボーイフレンドとかと一緒に入りたいじゃないですか~!! 魔法使いさんくらい綺麗なら、1人や2人いらっしゃいますよね~?』

魔法使い「……」ビキビキ

神界の騎士『よっしゃあ、会心の一撃!!』

勇者(これ、もうまずいです……)シクシク

31 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 18:57:36.44 ID:+gqJTuWP0
魔法使い「ボーイフレンドも何も…私、旅の最中だし? 旅先で捕まえたりとかありえないしー? ねぇ?」

踊り子「そう、ねぇ…」

魔法使い「あ、まさか勇者…今までも私達と別行動して、とっかえひっかえしてたのー!? やだー!!」

神界の騎士『お前がハブってたんじゃねーかよ』

魔法使い「大した女だわ~。まさかそんなビッチだとは思わなかった~」

神界の騎士『流石、気の強いこって。そんなら望み通り、負けてやろう』ニヤリ

勇者『ビッチじゃないですぅ~!!』エーン

魔法使い「…は?」

勇者『違いますもんねぇ~?』ウルウル

イケメンA「ひどいこと言うなー。勇者ちゃん、いっつもいじめられてたの?」

魔法使い「はぁ!? ちょっ、変な誤解……」

イケメンA「よしよし勇者ちゃん。あれはね、モテない女の僻みだよ」

魔法使い「」

イケメンB「女グループってモテる子を潰すって聞いてたけど、まさかマジとは…うわー」


魔法使い「」ビキビキ

僧侶「お、抑えて魔法使いさん…」

踊り子(魔法使いちゃんに同調したら私まで喪女扱いされるわ。スルーしとこ)

32 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 18:58:19.42 ID:+gqJTuWP0
魔法使い「あんた魔王討伐の旅の最中でしょ!? そんな時に男2人も連れてヨロシクするなんて、ビッチもいいとこじゃないの!」

勇者『魔法使いさんたら、発想がやらしい~』

魔法使い「やらしいのはあんたの方でしょ!?」

勇者『違いますよ~。このお2人は情報屋さんですもの』

魔法使い「…へ? 情報屋……?」

イケメンA「そ。旅の指針の為に情報が欲しいって言われてね。それで、このカフェで話をしようってことになったのさ」

イケメンB「じゃ、俺たちは話をするんで」

魔法使い「………」


イケメンA「いやー、自分たちだって遊んでるくせに勇者ちゃんをビッチ扱いとは」

イケメンB「勇者ちゃんが可愛いから嫉妬してるんだよ、おぉ怖」


魔法使い「……」ビキビキ

僧侶「ま、魔法使いさん…ケーキ食べましょう?」

踊り子(あらまぁ魔法使いちゃんたらお気の毒)クス


勇者(この男の人達も、魔法使いさんを貶めて私を持ち上げるなんて、絶対良くないですよ…)

神界の騎士『おう。最低男の香りがしたから連れてきた』

勇者(ええぇー……)

33 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 18:59:02.12 ID:+gqJTuWP0
>宿屋


勇者「あぁ、気まずいなぁ…」ズーン

神界の騎士『ほう? 見下し要員のままが良かった?』

勇者「そうじゃないですけど…」

神界の騎士『勇者ってマジでウジウジしてるよな~。お兄さんイライラしちゃうぞ~』

勇者「うぅ。どうせ私なんて……」

神界の騎士『…あのさぁ男視点で言うとさ』

勇者「……はい?」

神界の騎士『容姿だけなら勇者が1番可愛いぜ?』

勇者「!!!」

神界の騎士『さっきの男たちも言ってたじゃん。ウジウジしてなけりゃ、絶対に勇者が1番男ウケするんだって』

勇者「そ、そんな……」アワアワ

神界の騎士『あ、でもさっきの男たちは「あわよくばヤりたい」からチヤホヤしてただけだから。騙されないようにな』

勇者「……」ズーン

神界の騎士『まぁ、俺はその辺見抜くのは得意だから。お兄さんに任せなさい!』

勇者「むうぅ…」

神界の騎士『それより明日に備えて早く寝な! 男女関わらず、早寝早起きの健康体が1番!』

勇者「はい……」

勇者(明日から気まずいなぁ…)

34 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 18:59:46.93 ID:+gqJTuWP0
>翌日


魔法使い「今日の小物はこれにしようかな~」

踊り子「魔法使いちゃんはお洒落に余念がないわねぇ」

魔法使い「まぁね~」

僧侶(正直、そんな細かい所誰も見てませんけどね)

踊り子(素の容姿だけで勝負できない子って大変ねぇ)


僧侶「おはようございま…す?」

勇者「お、おはようございます」

踊り子「あら…その鎧は?」

勇者「あっこれ…昨日、買ったんです…」

神界の騎士が選んでくれた鎧は、軽装鎧だった。
守る部分は手足、胸部、腰周りと、今までの装備よりは面積が小さいけれど、軽くて動きやすかった。

勇者(ちょっと恥ずかしいなぁ…)モジモジ

ヘソと太ももが出たデザインだったので、スパッツを履いて露出を抑えることにした。それでも体のラインが出るので、恥ずかしかった。
もうちょっと露出の小さいデザインがいいと言ったのだけれど…。

神界の騎士『勇者はスタイルいいんだから、見せつけてやろうぜ! それに、この程度なら全然やらしくねーって!』

そう言われ、押し切られてしまったのだ。

魔法使い「…今までの鎧の方が性能良かったんじゃないの?」

勇者(ううぅ、目が怖い)

神界の騎士『俺に任せろ』

35 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 19:00:26.51 ID:+gqJTuWP0
勇者『動きやすさを重視しました。まぁ、確かに恥ずかしいんですけれど~…』

魔法使い「そうよね~、ヘソと太もも出るデザイン装備なんて、ビッチみたいで…」

勇者『ですよねー。だからスパッツ履いてごまかさなきゃいけないんですよー。私…スタイル良くないですから』

魔法使い「……は?」

勇者『魔法使いさんはいいですよね~、何を着ても や ら し く 見 え な く て』

魔法使い「」

踊り子「…プッ」

僧侶「お、踊り子さん」アワワ

踊り子「いや、だって…」クスクス

魔法使い「あ、あんたね…!!」ブルブル

勇者『それより昨日の情報屋さんに聞いたんですけど、首都周辺が最近色々物騒みたいですよ』

踊り子「首都周辺が? まぁそれは気になるわね」

勇者『でしょう? ちょっと行ってみましょう』

魔法使い「ちょっ、勝手に決めるんじゃ…」

踊り子「まぁいいじゃない魔法使いちゃん」

僧侶「あ…私もそれでいいです」

魔法使い「くっ」

神界の騎士『おぉ、力関係が徐々にこっちに傾いてきたぞ』

勇者(こうも簡単に…!?)

36 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/01(月) 19:00:55.84 ID:+gqJTuWP0
魔法使いの移動魔法により勇者一行は首都に戻ってきた。
久々に戻る故郷は懐かしく思えたが、どこかピリピリしているように思えた。

勇者「陛下…」

王「おぉ勇者よ、よくぞ戻った!」

僧侶「こちらが最近物騒だと耳に入りまして。何があったのですか?」

王「うむ。魔王軍幹部が付近に配属されたようでな…。首都周辺の魔物が強くなったのだ」

踊り子「まぁ、幹部が!」

王「幹部を討伐に行きたい所だが、騎士団も周辺の魔物から首都を守るので手一杯でな…」

その時、兵が広間に駆け込んできた。

兵「陛下、報告します! 敵の不意打ちにより、騎士団長殿が負傷されました!」

勇者「!! お父さんが…」

王「勇者、すぐに行ってやれ!」


41 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/02(火) 18:24:01.07 ID:l6OZ/d3Y0
>城内・救護室


勇者「お父さん!」

救護室に駆け込むと、上半身に包帯を巻いた父がベッドに伏せていた。

騎士団長「おぉ勇者…久しぶりだな」

勇者「お父さん、お父さん……」ジワァ

騎士団長「なぁに、命に別状はない。しかし正直、こちらの状況はジリ貧だ…」

僧侶「やはり幹部を討たねば状況は改善されないでしょう」

踊り子「でも、騎士団ですら手こずっている状況だというのに…」

魔法使い「どうするのよ……」

勇者「……」

勇者「私達がやりましょう!」

魔法使い「はぁ!?」

騎士団長「勇者、お前の手に負える相手では…」

勇者「いえ、私達がやるしかない……。このまま黙って状況を見ていられません」

僧侶「勇者さん……」

踊り子「……」

勇者「…各自、準備をして1時間後中央広場で合流しましょう」

42 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/02(火) 18:24:33.29 ID:l6OZ/d3Y0
神界の騎士『よく言った、偉いぞ勇者』

勇者「…えうぅ」

神界の騎士『?』

勇者「怖いです…すっごく…グスッ」ブルブル

神界の騎士『…あぁそうだな、怖いよな』

勇者「グスッ、神界の騎士さん…私、貴方に頼るしかできない…」

神界の騎士『構わんよ』

勇者「私、こんなに情けなくて臆病なのに……皆に偉そうに命令なんかしちゃって…グスッ」

神界の騎士『何言ってんだ。自分が行く、って言えるようになっただけ成長じゃねぇの。お兄さん感心したよ~?』

勇者「うぅっ、グスッ…」

神界の騎士『俺に実体がありゃ頭を撫でてやるとこなんだけど…俺がすべきなのは、それじゃないわな』

勇者「グスッ、ヒック…」

神界の騎士『あとは任せな。お兄さんがパパッと解決してやるよ』

43 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/02(火) 18:25:13.28 ID:l6OZ/d3Y0
魔王軍幹部の居場所は西の山――そう情報を得た勇者たちは、早速山へと向かった。

勇者「――っ!!」

神界の騎士『オラオラオラーっ、雑魚は邪魔なんだよ!!』

勇者(怖い怖い怖い怖い怖い)

装備を変えた為か、動きは昨日よりも軽やかだった。
騎士団が苦労しているという魔物達を相手にしても、神界の騎士は苦戦する様子がない。

神界の騎士『はいはいはい、次切られたいのはどいつかな~?』

1匹、また1匹と切り伏せる。
正直、まだこの感触には慣れない。だけど――

勇者(逃げてちゃ駄目…ちゃんと向き合わないと)


踊り子「勇者ちゃんたら覚醒したわねぇ。とっても頼りになる」

僧侶「そうですね」

魔法使い「……」フン

44 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/02(火) 18:26:26.51 ID:l6OZ/d3Y0
>頂上


僧侶「情報によると、この辺に幹部がいるとのことですが…」

神界の騎士『…邪悪な力が漂ってやがるぜ』


“お前達、勇者一味だな?”


勇者「!!」

目の前で黒い霧が発生し、霧の中から全身鎧を纏った魔物が現れた。

魔剣士「俺は魔王軍幹部、魔剣士。魔王様に刃向かう危険因子は殺す」

踊り子「流石に強そうねぇ。勝てるかしら?」

魔法使い「…やるしかないじゃない」


勇者「…頼みましたよ、神界の騎士さん」

神界の騎士『任せろ!!』

神界の騎士は勇者に憑依し剣を抜く。
魔剣士の禍々しい魔力を前にしても怯むことなく、意気揚々と飛びかかっていった。


魔法使い「…っ、勇者に遅れをとらず行くわよ!!」

45 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/02(火) 18:27:01.53 ID:l6OZ/d3Y0
剣が合わさった金属音が高く響く。

神界の騎士(筋力は相手のが上――力押しできる相手じゃねぇな)

素早く判断した神界の騎士は、力で押し切るのは諦め、一旦跳躍し距離を取った。

神界の騎士(ここは手数で勝負だな!)

地面を蹴り、魔剣士との距離を一気に詰めた。
狙うは、全身鎧の隙間――関節部分。

魔剣士「…させるか!」カァン

神界の騎士(おー、なかなかやるねぇコイツ)

勇者の体で勝つのはなかなか難易度が高そうだ。
そう思いながらも、負ける気は微塵もない。


踊り子「時の精霊、召喚! 敵の時間を遅らせて!」

魔剣士「――っ」

魔法使い「一気にカタつけるわよ!! 喰らえ、大爆発!!」

神界の騎士(あ、バカ)


ドカアアァァン


魔法使い「やった!?」

勇者『いえ。油断しないで下さい』

魔法使い「え!?」

46 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/02(火) 18:27:46.05 ID:l6OZ/d3Y0
魔剣士「…無駄なことを」

魔法使い「…っ、無傷!?」

神界の騎士(無傷なだけなら良かったんだけど…)

勇者『3人とも、凄いのが来ますよ。魔法でできるだけ強力なシールドを作って下さい』

魔法使い「何を言って……っ!?」

魔剣士「ふん…」

突き刺さるような魔力が魔剣士から放たれていた。
それもそうだ――

勇者『魔剣士の鎧――魔力を吸収する効能があるようです』

僧侶「魔力を…!?」

勇者『いいから早く防御を――っ』

――危険を感じ、とっさに横に跳んだ。
勇者が立っていた場所で爆音が響いた。吸収した魔力を、返されたか――

魔剣士「今のはよく避けたな、褒めてやろう」

神界の騎士『剣だけでなく魔法の扱いも優れてるとは、厄介な奴だぜ。つーか…』


魔法使い「う…」

踊り子「魔法使いちゃん、大丈夫!?」

僧侶「今、回復魔法をかけます!」


神界の騎士『前に出てきたのが失敗だったな。ま、命拾いしたようで何より』

勇者「か…勝てるんですか?」ブルブル

神界の騎士『ん?』

勇者「あんなとんでもない敵を相手に、勝てますか……?」

神界の騎士『おいおい、やるっつったのは勇者だよな?』

勇者「そう…ですけど……」

魔法使いは王に選ばれただけあって、かなり優秀な魔法の使い手だった。今まで共に旅をして、彼女の強さはよく知っていた。
それだけに、こうも簡単に魔法使いがやられてしまう場面を見ると、恐怖心がこみ上げてきて――

神界の騎士『余計な心配すんな』

勇者「……?」

神界の騎士はそこに転がっていた、魔法使いの杖を拾い上げた。
一体何をするつもりだろうか…聞く前に違和感が発生した。

勇者(こ、これは…!?)

47 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/02(火) 18:29:12.24 ID:l6OZ/d3Y0
神界の騎士『魔力充電完了~』

彼は魔法使いの杖にこもっていた魔力を吸収し、剣に纏わせたのだ。
こんな人間業ではない芸当は出来れば封じておきたかったが――

神界の騎士『ま、そんなこと言ってられんわな。確実にあいつを討たないとどうしようもねぇ』

勇者「神界の騎士さん…?」

神界の騎士『心配すんな勇者。お兄さんがキッチリ、あいつに引導渡してやるからよ』


魔剣士に向かって駆ける。
こちらが剣を振り下ろせば、魔剣士はそれを剣で受け止める――

神界の騎士『――前に、退くっ!』

魔剣士「!?」

神界の騎士『そんでェ!!』

勇者の剣は魔剣士の胴を打った。しかし刃は鎧に受け止められ、魔剣士にダメージを与えない。

魔剣士「無駄なことを……――」

と、魔剣士は違和感に気付いた様子だった。

ドカァン!

神界の騎士『やっぱ吸収した魔力程度じゃ、大した爆発は起こせなかったか』

魔剣士「無駄だということを学習しなかったのか。魔力を返すぞ…――」

勇者『しまった! 皆、早く防御を――』



勇者『――なんてね♪』

魔剣士「――っ!?」


ドゴオオォォン


目の前で魔剣士が爆発し、鎧の破片が飛び散った。

48 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/02(火) 18:29:46.62 ID:l6OZ/d3Y0
神界の騎士『剣が鎧に当たった時…俺はあいつの鎧に仕掛けをした』

勇者「仕掛け…?」

神界の騎士『そう。“魔力を外に放出させないよう内に封じる”仕掛け。俺が起こした爆発はフェイク』

魔力は鎧の内側に封じられ、放出できずに鎧の内側で爆発が起こった。
鎧の中身は、爆発に耐えうるだけの耐久力はなかったようだ。

神界の騎士『まともに剣でやり合うより、こっちのが確実だった。…それよりお仲間さん大丈夫か?』

勇者「あ、あのっ、魔法使いさんはっ!」


魔法使い「うぅ…」

踊り子「大丈夫よ、意識は戻ったわ」

勇者「魔法使いさん…あの、大丈夫ですか」

魔法使い「…城に戻るわよ」

勇者「えっ?」

僧侶「お体の調子は…」

魔法使い「放っておいて! さっさと戻るわよ!!」


踊り子「もう、何なのかしら~?」

僧侶「さぁ…?」

神界の騎士『ヒスですねー、おぉ怖』

勇者「……」


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/02(火) 22:53:03.00 ID:lDWdwVFko
戦闘では戦犯だし異性には喪女扱いされるし…いいぞ、もっとやれ
乙でした

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/02(火) 23:23:11.22 ID:K2zzXYMz0
鎧の内側に爆発って魔剣士さんミンチじゃないですか

57 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/03(水) 19:55:03.41 ID:DAyh9BNS0
>城


王「よくぞ戻った!!」

勇者「あ、あの…私達、西の山で魔剣士を…」

王「あぁ、王宮魔術師の魔法で戦いの様子は見ていた。強くなったな、勇者よ!」

勇者「え、あ……」

王「褒美としてはささやかなものだが、今夜は城で晩餐を取ると良い。それまで体を休めておくのだ!」

勇者「あ、は、はい…」


神界の騎士『いいなぁいいなぁ、城の豪華飯いいなぁ~』

勇者「神界の騎士さん、私に憑依して召し上がります…?」

神界の騎士『マジでいいの!? お兄さん頑張った甲斐があったなー!』


魔法使い「……」スタスタ

勇者「あ、魔法使いさん…お体の方は」

魔法使い「何よ…。心の中でほくそ笑んでいるんでしょ」

勇者「え…?」

魔法使い「あんたは城の皆に勇姿を見せたけど、私は恥を晒しただけだわ。ざまぁ、って思ってるんでしょ!」

勇者『あ、はい』

魔法使い「…」ビキビキ

勇者「いえいえいえいえいえ、違いますっ!!」

勇者(神界の騎士さん~っ!!!)

神界の騎士『わり。つい本音がポロッと』

58 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/03(水) 19:55:31.46 ID:DAyh9BNS0
王子「やぁ子猫ちゃ~ん♪」

勇者「!」

魔法使い「!」

神界の騎士『お? 何だあのチャラいボンボンは』

勇者「お、王子様…」

神界の騎士『王子? へぇ、まぁ顔は確かに王子様って感じだけど』

王子「子猫ちゃんの活躍見てたよ~。まさか子猫ちゃんがあんなに強くなってるなんて、僕は感動したよ!」

勇者「は、はぁ…」

魔法使い「…」フン

王子「本当なら子猫ちゃんをあそこまで頑張らせなくても良いはずだったんだけど…ねぇ魔法使い?」

魔法使い「…っ!」

勇者「え?」

王子「子猫ちゃんがか弱いお姫様でいられるように、魔王討伐隊にはよりすぐりのメンバーを選んだはずなんだ。それがまさか、敵に一擊も与えられず倒されるなんてね…」ハァ

魔法使い「……」

王子「全く、恥を知りなよ? 君には魔法が優れている以外、何一ついいとこがないんだからさぁ」

魔法使い「~っ…!!」

王子「ねー子猫ちゃん? ところで今日の晩餐会の後、君に用が…」サワッ

勇者『…触るな』

王子「え?」

勇者『…』ゲシッ

王子「!!!」チーン♪

勇者『あら御免あそばせ~。変質者にはとっさに体が反応するようになりましたの』オホホ

王子「ウグググ……」

59 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/03(水) 19:56:01.77 ID:DAyh9BNS0
王子「全く子猫ちゃんたら…♪ ぼ、僕はちょっと用事を思い出したよ…」フラフラ

神界の騎士『股間抑えて歩く後ろ姿ってみじめですねぇ』オホホ

勇者「い、いいのかな…」

魔法使い「…っ」グスッ

勇者「……え?」

魔法使い「もー何なのよ…。最悪よ、王子もだけど……私はもっと最悪じゃない」グスグス

勇者「ま、魔法使いさん?」

魔法使い「…今までごめんなさい」

勇者「え?」

魔法使い「ごめんなさい…私、王子のことが好きで、王子に気に入られているあんたに冷たくしてたのよ。…さっきので恋心も冷めたけどね」

勇者「そ…そうだったんですか…」

神界の騎士『男を見る目が最悪だな。だからって正当化できる話じゃねーけどな』

魔法使い「今更謝って許されることじゃないとわかってるわ。でも…ごめんなさい」

勇者「……」

勇者「いえ、許しますよ」

魔法使い「…えっ?」

神界の騎士『えー』

60 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/03(水) 19:56:28.90 ID:DAyh9BNS0
神界の騎士『そう簡単に許していいのかよ。これ、勇者が見下し要員でなくなったから、しおらしくなっただけだぞ』

勇者「いいんです…魔法使いさんに冷たくされてる理由がわかって、良かったです」

魔法使い「良かった…って」

勇者「そりゃ冷たくされてて辛かったですけど…でもウジウジしていた私にも責任はあると思うんです」

魔法使い「そんなこと…」

勇者「それに…これ以上仲をこじらせても仕方ないですよ。一緒に魔王を倒しに行く…仲間なんですから」

魔法使い「勇者…」

勇者「…改めて、宜しくお願いしますね」ニコ

魔法使い「…えぇ。宜しくね」


神界の騎士『ま、勇者がいいならいいけどさ。お人好しだな、勇者って』

勇者「あはは…」

61 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/03(水) 19:56:59.55 ID:DAyh9BNS0
その日から、パーティーは変わった。

魔法使い「勇者! そっちをお願い!」

勇者「はい!」

勇者と魔法使いの連携が取れるようになり、パーティーの戦闘力が上がった。


踊り子「ねぇ、幹部の情報が2つ入ったけど、どちらを優先する?」

勇者「相談で決めましょう」

僧侶「そうですねぇ、私は…」

話し合いは平等に行われるようになり、それにより全員の不満が軽減された。


踊り子「さっき倒した魔物がこんなもの持ってたわよ~」

魔法使い「これは…魔法のレオタード! レアアイテムよ!」

僧侶「せ、性能は良さそうですが…」

勇者「こ、こんなの着て歩くんですか…!?」

魔法使い「よーし、じゃゲームで負けた人が着るってのはどうよ」

僧侶「えぇ!?」

勇者『魔法使いさんが着るとバストの布が余りますね』

踊り子「…アハハッ」

魔法使い「何ですってー!! 踊り子、あんたも笑うなあぁ!」

勇者(神界の騎士さん!?)アワワ

神界の騎士『事実を述べただけ~♪』

何より、パーティーの雰囲気が良くなった。

62 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/03(水) 19:57:29.48 ID:DAyh9BNS0
そんな感じで旅は順調に進み、倒した幹部の数も5人、勇者一行の名は広まっていた。

宿屋「これは勇者ご一行様。世界の為に戦う貴方達から料金は取れません、遠慮なく泊まって下さい!」


勇者「ふぅ…何かどこ行っても優遇してもらえるようになってきましたねぇ」

神界の騎士『これくれー当たり前だって。世界の為に命懸けで戦ってんのよー?』

勇者「何か申し訳ないです…戦っているのは私でなく神界の騎士さんなのに、私ばかり持ち上げられて…」

神界の騎士『あ、俺? 俺は別に名声とか興味ねぇから!』

勇者「でも…」

神界の騎士『それよりも女の子と体を共有できる方がお兄さんにとってはご褒美だなぁ、ウヒヒ』

勇者「も、もうっ!」

神界の騎士『ま、俺に体を預けてくれるだけで勇者は貢献してるんだしさ。気後れしなくて良いって』

勇者「…ねぇ神界の騎士さん」

神界の騎士『ん?』

勇者「どうして、私に力を貸して下さるんですか?」

神界の騎士『それ、今更聞く?』

勇者「聞く機会がないまま、ずっと過ごしてきちゃって…」

神界の騎士『んー…そうだな。ま、この機会に話しておくか』

63 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/03(水) 19:57:55.73 ID:DAyh9BNS0
神界の騎士『俺は昔、魔王に挑んだことがあるんだよ』

勇者「えぇっ!?」

神界の騎士『知っての通り魔王はご存命、つまり結果は俺の負け。あ、でもお兄さん結構いいとこまで行ったんだぜ~?』

勇者「えーと…でも神界の騎士さんもご存命ですよね?」

神界の騎士『どうなんだかなー…』

勇者「え?」

神界の騎士『俺は肉体を魔王に封じられて、魂だけの存在になった。これって幽霊みたいなもんじゃね?』

勇者「ゆ、幽霊!?」

神界の騎士『みたいなもん、だって。それに肉体を取り戻せば、俺は元のイケてるお兄さんに戻れるわけだし』

勇者「あ、でももし肉体を破壊されていたら…」

神界の騎士『神界の騎士の肉体は破壊されても再生可能なんだぜ。問題なし』

勇者「へぇ…それなら私より、神界の方々の方が勇者に相応しいのでは…」

神界の騎士「いや、魔王を倒せるのは神が見初めた勇者だけらしい。その辺のシステムは俺でもよーわからん」

勇者「私なんか、とても勇者になれる器じゃないのに…」

神界の騎士『いや、器はいいぜ?』

勇者「え?」

神界の騎士『俺は誰にでも憑依可能だけど、勇者程しっくり来る体の奴はいなかったからなぁ』

勇者「そ、そうなんですか」

神界の騎士『おう、俺と勇者の体は相性がいい!』

勇者「何かヤラシイです!」

神界の騎士『とにかく俺は神に仕える者として、また魔王にリベンジする為に協力しているわけだ。わかったら、安心してお兄さんに委ねなさーい!』

勇者「は、はい」

64 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/03(水) 19:58:21.42 ID:DAyh9BNS0
そして…

魔法使い「遂に来たわね、魔王城」

僧侶「ここに、魔王がいるんですね…」

踊り子「ふふ…何だか今までのことを考えると感慨深いわねぇ」


神界の騎士『おぉー、この感じ久しぶり! あー何か柄にもなく緊張しちまうぜ。な、勇し…』

勇者「」ガタガタガタガタ

神界の騎士『おいこら。しっかりせんかい!』

勇者「き、ききき来ちゃいましたねええぇぇ」ガタガタガタ

神界の騎士『あー駄目だこりゃ…。ま、気絶しててもいいぜ。その間に終わらせておくから』

勇者「ほ、ほんとですか…?」

神界の騎士『……ただし、お兄さんがイタズラしちゃうからな?』

勇者「やめて下さいよ~っ!」

神界の騎士『そっちこそ冗談を「ほんとですか」ってマジに受け取るんじゃねぇ!! 寝るなよ!!』


魔法使い「どうしたの勇者? 入りましょう」

勇者「うっ…ちょっ待」

勇者『さぁさっさと終わらせますよ!!』タッタッタ

踊り子「勇者ちゃんたら肝が座ってるわねぇ」

僧侶「えぇ、成長しましたね」


勇者(神界の騎士さああぁぁぁん、待って、ちょっと待ってええええぇぇ!!)ガタガタガタガタ

神界の騎士『前進あるのみ! ほら早速魔物のお出迎えだぜ!』


73 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/04(木) 17:13:02.59 ID:i+BdEZpb0
踊り子「ここは任せて…〝魔神召喚”!!」

ズゴッバキッバキッ

僧侶「おぉ凄い、次々と魔物を蹴散らしていきますね」

魔法使い「よし道ができたわ! 進みましょう!」

神界の騎士『……ん?』

勇者「ど、どうかしました?」

神界の騎士『何か、このフロアから妙な魔力を感じるんだが…』

勇者「妙な魔力…? まさか、罠――」

と、言いかけたその時。


勇者「きゃあっ!?」

魔法使い「っ!?」

僧侶「えっ――」

踊り子「な…っ!」


瞬時、4人の姿はそこから消えた。

74 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/04(木) 17:13:43.57 ID:i+BdEZpb0
勇者「は、わわっ!?」

次の瞬間、勇者は見知らぬ場所にいた。
暗く広い部屋には、霧が不気味に流れている。

勇者「み、皆さーん…?」

神界の騎士『…どうやら別のフロアに飛ばされたようだな。あと気ぃ引き締めな、勇者』

勇者「え――?」


「待っていたぞ、勇者よ」


勇者「~~っ!?!?」

神界の騎士『この感じ…忘れちゃいねぇぜ。なぁ…?』


魔王「我は魔王――この世を暗黒に包む者である」


神界の騎士『リベンジしに来たぜ…魔王!!』

勇者「」


意気込む神界の騎士に反して、気絶寸前の勇者であった。

75 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/04(木) 17:14:11.65 ID:i+BdEZpb0
魔王「話は聞いているぞ勇者…その細腕で、我が魔王軍の幹部達を次々と切り伏せてきたようだな」

勇者「あ、ま、まぁ…」

魔王「そして幹部達を葬ってきたその剣で、今度は我の命を取る気らしいな?」

勇者「えーと…? どなたが言ったんでしょうねー…?」汗ダラダラ

魔王「だが我も甘くはないぞ…貴様が我に抱いている殺意を、そっくりそのまま返してやろう」

勇者「えーと、そっくりそのままどころか倍返しされる予感が…」

神界の騎士『しっかりしろや勇者ァ!! 気絶したらイタズラすっからなぁ!!』

勇者(無理ですよぉ!! あとは神界の騎士さんがやって下さいよおおぉぉ!!)

神界の騎士『ったく仕方ないなァ…せめて起きてろよ?』


魔王「随分弱気なことだな、勇者よ。我を前にして怖気づいたか…?」

勇者『ハァ? 調子こいてんじゃねーですよ、このクソジジイ様』

魔王「…何?」

勇者『話が長ぇんですよ、さっさとやろうじゃないですかぁ…殺し合いをよォ、ケケケ』ギロリ

魔王「ほう…?」


勇者(キャラ変わってますよ…?)

神界の騎士『ちょっとやってみたかったんだよねー、キ○ガイ殺人鬼』

76 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/04(木) 17:14:38.17 ID:i+BdEZpb0
魔王「そこまで言うなら…我の暗黒の力を喰らうが良い!!」

魔王の手から黒い塊が10発ほど放たれた。
あれはどんな魔法か――考える間もなく、神界の騎士は一直線に魔王へと向かう。

神界の騎士『こんな塊、無視だ無視!』

軽く跳躍し、次々と塊を回避する。

神界の騎士『隙間を縫えば回避なんぞ簡単――』

魔王「馬鹿め――誘い込んだのだ」

待っていたとばかりに魔王は、勇者に向かって衝撃波を放った。
これは罠だったのか――


神界の騎士『…バーカ、バレバレだっつーの』

神界の騎士は剣を抜き、そして――

神界の騎士『おらああぁぁ――っ!!』

衝撃波を、剣で真っ二つにした。


魔王「…ほう? まさか我の魔法を切れる人間がいたとはな」

神界の騎士『人間業じゃねぇってか? そりゃ人間じゃねぇからな~』

軽口を叩きながらも確実に魔王との距離を詰め――

神界の騎士『でりゃあぁ!!』


魔王の肩に、重い一擊を加えた。

77 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/04(木) 17:15:05.50 ID:i+BdEZpb0
魔王「…っ、貴様の技量を舐めていた。だが――」

魔王は今度は爪を肥大化させ、勇者の喉元を狙った。
神界の騎士はそれを剣で受け止める。

神界の騎士『…っと、流石に単純な力で勝負するには分が悪いな』

一旦跳躍し魔王との距離を空ける。

神界の騎士『距離を空ければ、魔王が取る手段は――』

魔王「我からは逃げられんぞ…」バチバチッ

魔王は手の中に雷を召喚をする。
それを見て神界の騎士は――

神界の騎士『待ってましたァ!!』

歓喜した。

魔王「覇ァ!」

勇者の周囲を囲むように雷が襲いかかってくる。雷をなぎ払うことも、回避することも不可――に見えた。
神界の騎士は動じず、ただ黙って剣を高く掲げた。

そして――

魔王「!!」

神界の騎士『美味い魔力を、ご馳走様…♪』

剣は、魔王が放った雷を纏っていた。

神界の騎士『おらあぁ――ッ!!』

神界の騎士は意気揚々と魔王を切りつけた。
バチバチという電気音と共に、魔王の傷口からは焦げた匂いが漂った。

78 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/04(木) 17:15:35.57 ID:i+BdEZpb0
勇者(す、凄い…)

先ほどからただ神界の騎士に任せていた勇者だったが、信じられない気持ちで一杯だった。
神界の騎士の強さは知っていたが、それでも魔王相手ともなると、1対1では厳しいものがあるだろうと思っていた。

勇者(なのに――)

神界の騎士『手応え十分…』

神界の騎士は対等――いや、それ以上に魔王と渡り合っていた。

勇者(神界の騎士さん凄い! もしかして本当に…魔王を倒せちゃう!?)


魔王「……」

魔王「どうも戦い方が人間離れしていると思ったが…思い出したぞ」

勇者「…え?」

魔王「貴様…我がその肉体を封じた、神界の騎士だな?」

神界の騎士『おーや…バレちまった』

魔王「そうか、神界の者は肉体を封じても、魂は自在に動き回れるのだったな。だが――」

次の瞬間、魔王から強い魔力が放出され――

神界の騎士『――っ』

その魔力がフロア全体を包み込んだ、と同時――


勇者「…っ!? あ、あれ……?」

魔王「フ…これでどうだ」

勇者「え…あ……」

神界の騎士の気配が、その場から消えた。

79 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/04(木) 17:16:04.93 ID:i+BdEZpb0



魔法使い「今、強い魔力を感じたわ! こっちよ!」

僧侶「勇者さん無事でしょうか…」

踊り子「あっ、あれ!!」

魔法使い「!!」


遅れて駆けつけた魔法使い達が見たのは――


魔王「さぁ無力な勇者よ、死ねぇ――っ!!」

勇者「――っ」


魔法使い「いけない、届け炎魔法!!」

僧侶「聖なる矢!」

踊り子「精霊召喚!!」


勇者に襲いかからんとする魔王に向かい、遠距離攻撃を放ったが――


魔王「無駄だあぁっ!!」


魔法使い「きゃああぁぁ!?」


フロア全体に強い揺れが生じ、その場にいた全員が吹っ飛ばされた。

84 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:03:38.29 ID:AkYriVYm0
魔王「まずは貴様からだ。仲間たちもすぐにお前の後を追わせてやろう」

勇者「あ…あぁ……」

魔法使い「く…勇者…!!」


勇者(怖くて、動けない……)

勇者(やっぱり私は駄目だ…神界の騎士さんに頼らないと、何もできない…)

勇者(世界を、救えない…!!)ギュッ


諦めるようにして覚悟を決めた。
魔王はそんな勇者の様子を察してか、ニヤリと上機嫌に笑った。


魔王「さぁ死ね、勇者ぁ――っ!!」

勇者「――っ」

その時、勇者に異変が起こった。
ある意味、頭は混乱に近かった。だが一方で冷めた自分がいて、衝動的に体が動いて――


カキィン


魔王「な――っ!」

勇者は剣で、魔王の爪を受け止めていた。


勇者(見える…魔王の動きが!?)

85 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:04:05.42 ID:AkYriVYm0
思えば――


神界の騎士『オラオラオラーっ、雑魚は邪魔なんだよ!!』

勇者(怖い怖い怖い怖い怖い)


神界の騎士の戦い方を誰よりも近くで見てきた。

勇者(まさか…神界の騎士さんの戦い方が、私の体に刻まれて…?)

魔王「今のは偶然だ…!! 喰らえ――っ!!」

勇者「はっ!」

今度は跳躍し、魔法を回避した。
今ので勇者は確信した。

勇者(私…戦える!)

勇者「魔法使いさん、踊り子さん、僧侶さんっ!!」

魔法使い「!」

勇者「援護お願いします! 私…やります!!」

魔法使い「…言われなくてもそのつもりよ!」

踊り子「ちょっと体は痛いけど、まぁ動けるわ」

僧侶「ここは踏ん張り所ですね!」

自分は、神界の騎士のように1人では戦えない。
だから全員の協力を得て、確実に魔王を討つ――…!

86 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:04:34.73 ID:AkYriVYm0
僧侶「聖なる力で皆さんを強化します…さぁ、全力でどうぞ!」

魔法使い「喰らいなさい、超本気・爆発魔法!!」

魔王「く…」

踊り子「それで終わりじゃないわよ…大魔神ぱ~んちっ!!」

魔王「!!」

連続攻撃で魔王の体は吹っ飛ばされる。
その先を、勇者は先回りしていた。

勇者「でやっ!!」

魔王「ふんっ!」

勇者の一擊を魔王は爪で受け止めた。
もう片方の手の爪でそのまま勇者の喉元を狙ったが――

勇者「…っとぉ!」

勇者はそれをギリギリ回避。元々身軽ではあるが、僧侶の強化魔法のおかげで回避できた。

勇者(やっぱり怖い…けど、このまま押す!!)

勇者は再び魔王に一擊加えようと剣を振り上げた――が、

魔王「遊びはここまでだあぁ――っ!!」

勇者「っ!!」

瞬時、本能的に身の危険を感じ、後方へと跳ねた。

87 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:05:06.04 ID:AkYriVYm0
魔法使い「勇者! 魔王に近づいちゃ駄目!!」

後ろから魔法使いが大声をあげる。

魔法使い「そいつ、触れるだけで精神を蝕む魔力を纏っている! 勇者は下がってなさい!!」

勇者(なっ…)

咄嗟に感じた身の危険は、やはり当たっていたようだ。


魔法使い「距離をとって攻撃するわよ…喰らえ爆発魔法!!」

踊り子「魔神召喚!」

僧侶「聖なる雨!!」


魔王「無駄だ…!!」ゴォッ

僧侶「…!! かき消した!」

魔法使い「まさか…あの魔力は魔王自身を守る鎧ともなり得るわけ…!?」

踊り子「それじゃあ、攻撃しようがないじゃない!」

魔王「驚くのはまだ早い…この魔力を広げることも可能なのだぞ?」

勇者「!!」

触れるだけで精神を蝕む魔力――そんなものを喰らえばきっと、戦いどころじゃない。

魔王「喰らうがいい!!」

勇者「――っ!!」

88 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:05:33.89 ID:AkYriVYm0
魔力はみるみる広がっていく。

魔法使い「逃げて、早くっ!!」

逃げても、きっと逃げ切ることはできない。
それなら――

踊り子「…勇者ちゃん?」

精神を蝕む――それは一体どんなものなのか、よくわからないけど。

勇者「…突っ込みます!」

魔法使い「はあぁ!?」

魔王「…ほう?」ニヤリ

勇者「そうでもしないと魔王は倒せません…!」

僧侶「本気…ですか!?」

魔王「面白いぞ勇者…! ならば来い!!」

勇者「そう簡単にやられませんよ…」

いつも駄目な自分だったから。
こういう時くらい、強い精神でいなくてどうする。

勇者「絶対に、負けないんだから!!」




「――よく言った」



――えっ?

89 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:06:02.26 ID:AkYriVYm0
魔王「――っ!?」

視界に人影が映った。
その人影は魔王の背後に回り、手にした刃を魔王に振り下ろした。

魔王「っ!!」

魔王は刃を爪で受け止める。
その刃を振り下ろしている男を、勇者は見た。

勇者「貴方は――」

「やっぱ勇者たるもの、そうじゃないと…な?」


大人っぽい顔立ちに浮かべる、懐っこい笑顔。
その顔は初めて見るけれど、抱いていた印象そのままで――


勇者「神界の騎士さん――ですね?」

神界の騎士「おう! お兄さん、戻ってきたぜ!」

90 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:06:56.68 ID:AkYriVYm0
魔王「クッ…貴様、どうやって!」

神界の騎士「お前に封じられていた肉体を取り戻しただけだよ。お前が魔力を大分消費してたお陰で、封印の力も弱まっていたぜ」

魔王「何故、この魔力の中にいて平気なのだ…!!」

神界の騎士「神に仕える者の精神力をナメてもらっちゃー困るな」

ニヤリと笑うと神界の騎士は、再び勇者を見た。

神界の騎士「おい勇者、決着つけるぞ!!」

勇者「…はい!」

返事をすると同時、神界の騎士は剣を振り上げた。
彼が何をしようとしているのかはわからない。わからないけど、勇者は走り出していた。

わからなくても、読める――

勇者(だって私と神界の騎士さんは、ずっと一緒にいたんだから…!!)


神界の騎士「オラアアァッ!!」

神界の騎士が剣を思い切り振り下ろすと、魔力が割れた。
その魔力の割れ目が魔王までの道を作り出し――勇者は迷わず駆けた。

神界の騎士「行け、勇者ぁ――っ!!」

2人同時に剣を振り下ろす。
息の合った剣――まるで、神界の騎士が自分の体にいた時のように、自然に体が動いて。


魔王「――ガハッ」

魔王の胸を貫いた感触も、2人で共有しているかのような錯覚が頭にあった。

91 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:07:50.86 ID:AkYriVYm0
魔法使い「魔王を、倒した…!?」

踊り子「やったわ…やったのよ!!」

僧侶「勇者さんが、勝った!!」

仲間たちから歓声が上がる。
それでようやく現実に戻ったような気になった。

勇者「魔王を…倒した……!?」

とんでもない事実に、後から感情が追いついてくる。
倒した。この自分が、魔王を。

勇者「あ、わわわ……」ブルブル

神界の騎士「おいおい、もうちょっと締まった顔しろっての」

勇者「だ、だだだって……」

神界の騎士「ま…それでこそ勇者だけどな」


魔法使い「勇者」

勇者「あ…皆さん、無事でしたか?」

踊り子「えぇ、お陰様で。ところで、その方はどなた?」

勇者「そ、そうでした! 皆さんに全部説明しま…」

僧侶「あっ!?」

勇者「え?」

僧侶が声をあげて、その視線の先――神界の騎士の方に振り返った。

勇者「神界の騎士さん…!?」

神界の騎士の体は、透過していた。

92 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:08:18.02 ID:AkYriVYm0
神界の騎士「俺の役目が終わったみたいだ」

勇者「役目…!?」

神界の騎士「あぁ。俺は神界に戻らないといけない」

勇者「!!」

そんな、せっかく会えたのに――

勇者「嫌です、行かないで下さい!! 私、貴方に言いたいことが沢山――」

神界の騎士「そういうこと言わない。お兄さん、心残りができるでしょーが」

勇者「だって、だって…」

神界の騎士「お兄さんはいつでも、神界から勇者を見守ってるぞ。だから――」

勇者「!!」


――悲しむ必要なんて、ないから……


魔法使い「…消えた……」

踊り子「神界……?」

僧侶「勇者さん、彼は…」

勇者「…っ」

魔法使い「…勇者?」

勇者「ひっく、やだぁ…うあああぁぁ――っ!!」


神界の騎士さん、ごめんなさい。やっぱり私、泣かずにいられません。
だけどいつか、貴方がいない日常を受け入れますから――

だから私を嫌わないで、見守っていて下さい。

93 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:08:44.40 ID:AkYriVYm0



勇者「ふぅー」

魔王を倒してから数ヵ月。季節はすっかり冬。
白い息を吐きながら、勇者は雪道を歩く。

「勇者ちゃん、こんにちは! 遊びに行くのかしら?」

勇者「こんにちは。ちょっと魔法使いさん達に、お茶に誘われまして」

「あら、そう。女の子同士、楽しんでいらっしゃい」

平和になった世界で、勇者は普通の少女に戻って日常を過ごしている。
魔法使いらのお陰で友人も増え、充実した毎日を送っていた。

勇者(だけど――)

心のどこかに寂しさを覚えていることは、きっと誰にもわからないだろう。

勇者(あ、時間より早く来すぎちゃった)

勇者(どこかで暖を取りたいわ、どこで…あっ)

ふと目に入ったのは教会。
ここなら待ち合わせまでの間、暖を取れる。

勇者「お邪魔しま~す…」

教会の中は無人だった。

94 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:09:11.04 ID:AkYriVYm0
勇者「ふぅ、あったかい…それにしても」

祭壇を前に気持ちが引き締まる。
教会は神に近い場所と言われているが――

勇者(…何だか、あの日を思い出すわ)

あの日、自分は泣き言を言いに教会を訪れた。
当時の自分には、あの状況が辛くて辛くて。

勇者(でも、彼のお陰で変わることができた)

彼が助けてくれたから。だから自分も変わることができた。

勇者「神界の騎士さん…私の言葉は届いていますか?」

勇者「私、きっと剣の道には戻らないでしょうけど…でも貴方のお陰で、色んな強さを身につけることができました」

勇者「もし、願いが叶うのなら――」

勇者「また、貴方に会いたいです…」





「いいよ」


勇者「……えっ?」

95 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:09:40.41 ID:AkYriVYm0
勇者「――っ!!」

空からズドンと何かが降ってきた。
そして降ってきた“彼”はこちらを見るなりニヒッと――

神界の騎士「よっ!」

懐っこい笑顔を見せた。

勇者「……」

神界の騎士「おやおや? どした、ボーっとしちゃって」

勇者「神界の騎士、さん…?」

神界の騎士「そうだよ? あれ、まさかお兄さんの顔うろ覚え?」

勇者「な、ななな何、で……」

神界の騎士「下に降りたいって神に言ったら、いいよって言われたから」

勇者「………」

神界の騎士「勇者?」

勇者「…神界の騎士さあぁ~ん」グスッ

神界の騎士「ぬっ!?」

96 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:10:07.79 ID:AkYriVYm0
神界の騎士「おいおいおい勇者ぁ、強くなったんじゃなかったのかぁ?」

勇者「グスッ…なりましたよ、強くなりました…。神界の騎士さんの、ばか」

神界の騎士「ばかって何だよ、ばかって~。お兄さんも流石に傷つくぞ~」

勇者「私だって傷ついてましたから、おあいこですよ~だ!」

神界の騎士「うわちゃー、確かに強くなったなぁ。…やっぱ女ってコエー」

勇者「ふんだ」

神界の騎士「悪かった、お兄さんが悪かった。勇者の言うこと聞くから、そうむくれないでくれ」

勇者「…本当に聞いてくれます?」

神界の騎士「あ、あぁ。勇者のことだから非常識なことは…言わない、よな?」

勇者「それじゃあ…」

神界の騎士「……」ドキドキ

勇者「…また、一緒にいてくれますか?」

神界の騎士「何だ、そんなことか」

勇者「今までいなくなっていたくせに」ジー

神界の騎士「悪かったってば! はい、小指」

小指と小指を絡めて約束する。
思えば、直接触れ合うのはこれが初めてだったか――そう思ったら、小指を離すのが惜しくなって。


神界の騎士「約束するよ…これからもずっと、勇者の側にいる」

交わした約束は尊く、触れ合いは心の隙間を埋め、今この瞬間に幸せを感じていた。


Fin

97 : ◆WnJdwN8j0. [saga]:2016/02/05(金) 19:10:33.75 ID:AkYriVYm0
ご読了ありがとうございました。
当初は恋愛作品書こうとしてたのに予定がズレました(´・ω・`)

過去作も宜しくお願いします。
http://ponpon2323gongon.seesaa.net/

98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/05(金) 20:03:35.57 ID:U/cQxwDV0


posted by ぽんざれす at 20:30| Comment(0) | ss | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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